建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル令和3年3月(令和6年2月改正)(令和7年3月訂正事項を反映)厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境省水・大気環境局環境管理課まえがき優れた物性を持つ石綿は、20世紀後半に建材や摩擦材等に広く使われて、火災や事故等から人々を守る大きな役割を担ってきた。しかし、石綿を吸入した労働者や一般人の中に長い潜伏期間の後に肺がんや中皮腫といった重篤な健康障害を起こしていた。そのため、現在では殆どの先進工業国が石綿の使用を禁止している。わが国は平成18(2006)年9月に石綿含有製品の製造等を禁止し、平成24(2012)年には適用除外製品も含め全面禁止にした。しかし、21世紀中頃までは既存の建築物の解体が進むことから、石綿含有建築物の解体等の作業に従事する労働者の石綿ばく露防止対策と一般環境への石綿飛散漏えいの防止対策は極めて重要な喫緊の課題となっている。従来、労働安全衛生に係る石綿の規制は、労働安全衛生法や特定化学物質等障害予防規則によって行われていたが、上記の様な状況下で、建築物の解体等労働者の健康障害防止のため、平成17(2005)年7月に労働安全衛生法の下に石綿障害予防規則が制定され、解体・改修工事に係る事前調査の実施や労働者の石綿ばく露防止対策を適切に行うための規制がなされた。平成24(2012)年5月には厚生労働大臣指針「建築物等の解体等の作業での労働者の石綿曝露防止に関する技術上の指針」が公示され、その指針に基づいて平成25(2013)年3月に「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル(以下「ばく露防止マニュアル」という。)1.0版」が策定され、種々の具体的留意事項が示された。その後、平成29(2017)年3月に「ばく露防止マニュアル2.10版」、平成30(2018)年3月に「ばく露防止マニュアル2.20版」と改訂されてきた。一方、大気汚染防止法は、国民の健康を保護することを目的に、石綿に関する規制を行っており、建築物等の解体等に係る石綿の規制は、平成8(1996)年5月に公布された「大気汚染防止法の一部を改正する法律」により定められ、平成9(1997)年4月に施行された。これらの法令に規定されている特定粉じん(石綿)の排出等作業が適切に行われるように、平成18(2006)年3月に「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル(以下「飛散防止マニュアル」という。)」が策定され、その周知が図られてきた。その後、「飛散防止マニュアル」は、大気汚染防止法及び石綿に係る他の法規(労働安全衛生法施行令、石綿障害予防規則、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び施行規則並びに建築基準法)の改正に伴う改訂作業を行い、平成23(2011)年に「飛散防止マニュアル2011」が策定された。更に、建築物の解体工事等に伴う石綿の飛散事例が確認される等、その対策の強化が必要となり、平成25(2013)年6月に改正大気汚染防止法が公布され、平成26年6月に施行された。その改正大気汚染防止等に基づく措置を確実に実施するため、新たな知見等を取り入れて、平成26(2014)年3月に「飛散防止マニュアル2014.3」が策定された。これまで、厚生労働省と環境省は石綿障害予防規則及び大気汚染防止法に基づいて、それぞれマニュアルを作成し、周知・運用を図ってきたが、法の目的は異なるものの技術的には共通する部分も多く、実質的に多くの点で類似する規制が設けられていた。今般、石綿障害予防規則及び大気汚染防止法が改正されたことを機に、各マニュアルを統合し、「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」としてとりまとめた。本マニュアルは、統合化する際に、両省の各マニュアルが長年集積してきた知見と経験豊富な改訂検討会委員の知見の成果を、重複を避けて簡潔な表現や図・写真を豊富に示すなど使用者が使い易いように工夫して策定したが、解体等作業に携わる関係者は、労働者の石綿ばく露と一般環境への飛散漏えいを徹底して防ぐという観点から、更なる適切な対策を実施されるようお願いしたい。本マニュアルが建築物及び工作物の解体等に係る労働者の石綿ばく露防止と一般環境への石綿飛散漏えい防止対策の徹底のために広く活用され、その対策の適切な実施に資することを切に願うものである。最後に「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル改訂検討会」の委員各位及び検討会事務局各位の、これまでのご尽力ご貢献に対して、厚く御礼申し上げる。令和3(2021)年3月建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル改訂検討会委員長神山宣彦本マニュアルについて建築物等の解体等工事に伴う石綿の飛散及びばく露防止に係る措置について、環境省では大気汚染防止法(昭和43年法律第97号。)に基づく「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6」を、厚生労働省では労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。)に基づく石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。)及び「労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」に基づく「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル(平成30年3月厚生労働省)」をそれぞれ作成し、適切な作業方法等の周知を図ってきた。令和2年1月に答申がなされた「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申)」(中央環境審議会)においては、「解体等工事に携わる事業者の規制内容に係る理解の促進及び法令遵守の徹底、行政の監視・指導の強化等の観点から、建築物等の解体等工事の各プロセスに対する規制に関し、石綿則との連携を強化し、一体として解体等工事の現場での法令遵守を求めていくべき」とされた。今般、大気汚染防止法の一部を改正する法律(令和2年法律第39号)が令和2年6月5日に公布され、一部の規定を除き公布の日から1年を超えない範囲内に施行することとされている。また、石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第134号)が令和2年7月1日に公布され、一部の規定を除き令和3年4月1日に施行することとされた。本マニュアルは、上記経緯を踏まえ、事業者における建築物等の解体等工事に伴う石綿の飛散及びばく露防止対策の理解を促進し徹底を図ることから、大防法及び石綿則に基づくマニュアルを統合するとともに、両法令の改正内容を反映し、とりまとめたものである。目次頁1石綿に関する基礎知識………………………………………………11.1石綿の物性等…………………………………………………11.2石綿の生産・使用……………………………………………..41.3環境中の石綿濃度……………………………………………..81.4石綿の健康影響………………………………………………112関係法令の解説………………………………………………….142.1石綿に係る法規制の変遷……………………………………….142.2大気汚染防止法………………………………………………172.3労働安全衛生法及び石綿障害予防規則…………………………….502.4その他の関係法令…………………………………………….703用語の定義……………………………………………………..713.1関係法令の名称………………………………………………713.2建築材料等の定義…………………………………………….713.3除去等作業等に関する用語……………………………………..744建築物等の解体等における飛散防止対策……………………………….784.1石綿飛散・ばく露防止対策の概要………………………………..784.2作業の一般的手順…………………………………………….844.3事前調査…………………………………………………..894.4作業計画の作成……………………………………………..1074.5作業実施等の届出……………………………………………1124.6事前調査の結果及び作業内容等の掲示……………………………1184.7石綿含有吹付け材等の切断等を行う作業に係る石綿飛散防止対策………1234.8石綿含有保温材等の切断等を行わない除去作業に係る石綿飛散防止対策…1664.9封じ込め又は囲い込み作業に係る石綿飛散防止対策…………………1694.10石綿含有保温材等の切断等を行う作業の特殊な石綿飛散防止対策……..1734.11石綿含有成形板等の除去作業に係る石綿飛散防止対策………………1804.12石綿含有仕上塗材の除去作業に係る石綿飛散防止対策………………2034.13解体等にあたりあらかじめ石綿等を除去することが困難な場合……….2204.14隔離を行う場合の作業場内の漏えい確認…………………………2214.15石綿含有建材の除去等作業が適切に行われたことの確認及び作業の記録..2335隔離空間全体からの漏えい確認のための石綿濃度の測定等………………..2525.1隔離空間全体からの漏えい確認のための石綿濃度の測定………………2525.2敷地境界(施工区画境界)等における大気濃度測定方法の例…………..2535.3総繊維数濃度及び石綿繊維数濃度測定の概要……………………….2556呼吸用保護具、保護衣…………………………………………….2586.1保護具等の選定……………………………………………..2586.2保護具等の取扱い……………………………………………2627労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務における留意事項.2727.1労働者を常時就業させる建築物等に係る措置………………………2727.2労働者等を建築物等において臨時に就業させる場合の措置……………274付録Ⅰ事前調査の方法付録Ⅱ石綿含有建材の取り残しの例付録Ⅲ大規模工事等における石綿飛散漏えい防止手法付録Ⅳ石綿含有建材除去等工事において注意が必要な工事事例付録Ⅴ作業の順序等が不適切であったと考えられる事例付録Ⅵ参考文献付録Ⅶ石綿関連機関情報建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル改訂検討会委員名簿1石綿に関する基礎知識1.1石綿の物性等1.1.1石綿の定義と種類アスベスト(石綿)という用語は、長い歴史の中で繊維状に見えるいろいろな鉱物に対して使用されてきた。アスベストの有害性が明らかになった1970年頃に、労働者の健康管理のために何がアスベストで何がアスベストでないかの定義が必要になり、世界保健機関(WHO、1973)が初めてアスベストを定義し、公表した。その定義は次のようである。「アスベストは、天然の繊維状珪酸塩鉱物の総称で、クリソタイル、アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クロシドライト、トレモライトに分類される。」。その後、世界の公的機関はこの定義を基本的に踏襲している。国際労働機関(ILO)は1986年の「石綿の使用における安全に関する条約(第162号)」で、「石綿とは、造岩鉱物に属す繊維状の珪酸塩鉱物、すなわち蛇紋石族のクリソタイル(白石綿)及び角閃石族のアクチノライト、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト、クロシドライト(青石綿)、トレモライト又はこれらの一若しくは二以上を含有する混合物をいう」と定義している。わが国においても、厚生労働省は石綿を「繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト、及びトレモライト」と定義しており(平成18年8月11日基発第0811002号)、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他のものを規制対象としている(労働安全衛生法施行令第6条第23号)。表1.1.1に、石綿6種類の鉱物名を示した。これらの鉱物のうち繊維状のものが石綿に該当する。表には化学組成式やCASNo.も示した。石綿名表1.1.1石綿の分類:石綿名と鉱物名、化学組成式、CasNo.など化学組成式Cas№鉱物名クリソタイル(白石綿chrysotile)クリソタイル(chrysotile)蛇紋石族SerpentinesMg3Si2O5(OH)4(Mg6Si4O10(OH)8)12001-29-5アモサイト(茶石綿amosite)グリュネ閃石(grunerite)クロシドライト(青石綿crocidolite)リーベック閃石(曹閃石riebeckite)(Mg、Fe)7Si8O22(OH)212172-73-5Na2Fe32+Fe23+Si8O22(OH)212001-28-4角閃石族Amphibolesアンソフィライト石綿(anthophylliteasbestos)アンソフィライト(直閃石anthophyllite)Mg7Si8O22(OH)277536-67-5トレモライト石綿(tremoliteasbestos)トレモライト(透閃石tremolite)Ca2Mg5Si8O22(OH)277536-68-6アクチノライト石綿(actinoliteasbestos)アクチノライト(陽起石actinolite)Ca2(Mg、Fe)5Si8O22(OH)277536-66-4:CASNo.(ChemicalAbstractsNumber)建材等に使用された石綿には、肉眼で観察できるような長い大きな繊維だけではなく、光学顕微鏡や電子顕微鏡でしか見えないような微細な繊維も大量に混在していることから、石綿を取扱う労働者の健康管理については、生体影響研究や労働衛生研究から長い繊維のみならず、空気中に飛散しやすく吸入されやすい短繊維も厳重に管理することが肝心であることが判明している。1繊維状形態の認識は、肉眼レベル、光学顕微鏡レベル、電子顕微鏡レベルでそれぞれ異なるが、石綿を取扱う労働環境等では、光学顕微鏡(位相差顕微鏡)を用いた浮遊石綿の測定が広く行われており、石綿の発がん性に関する疫学調査研究もこの測定結果を基に調査されていた。同測定方法は、長さ5μm以上、長さと幅の比(アスペクト比)3以上、幅は3μm未満を繊維として計数していたことから、繊維状形態としてアスペクト比3以上が採用されている(WHO、1997)。これを踏まえ、厚生労働省の「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル(1.20版)」(2018)は、光学顕微鏡レベルでも電子顕微鏡レベルでもアスペクト比3以上を繊維と規定している。1.1.2石綿の化学成分と産状(1)クリソタイル一般的な化学組成式は表1.1.1のとおりであり、含水珪酸マグネシウムである。Fe、Alを不純物として少量含むことが多い。クリソタイルは蛇紋石族に属し、蛇紋岩を構成する主要鉱物の1つである。蛇紋岩は超塩基性火成岩(稀には苦灰岩)が蛇紋石化作用を受けてできたものであり、クリソタイルは蛇紋岩中に網状をなしているが、蛇紋岩のマトリックス(基質)にも短繊維状態で存在している。(2)角閃石石綿一般的な化学組成式は表1.1.1で示したとおりである。カミングトン閃石とグリュネ閃石は同構造の鉱物であり、カミングトン閃石はMg2+に富みFe2+に乏しく、グリュネ閃石はFe2+に富みMg2+に乏しい。Mg2+とFe2+の比の変化は連続的で同じ結晶構造であるので1つの鉱物系(固溶体)とみなせる。大量に使われたアモサイトは南アフリカのトランスバール鉱山から産したもので、グリュネ閃石に属している。トレモライトとアクチノライトも同様の関係でMg2+に富むのがトレモライトで、Fe2+が一定量以上に増えるとアクチノライトとなる。クロシドライトは、リーベック閃石が繊維状に発達したもので、NaとFe2+とFe3+を持ち青色をしているのが特徴的である。角閃石は、重要な造岩鉱物であり、そのうちの繊維状を呈する、いわゆる角閃石石綿は変成岩中に産することが多い。(3)随伴鉱物石綿の鉱石は、タルク(滑石(Mg3Si4O10(OH)2)、ブルーサイト(Mg(OH)2)等の随伴鉱物を伴う場合がある。タルクは工業原材料として採掘されるが、商品としてのタルクには、しばしばクリソタイルやトレモライト等の微小な繊維を含むことがある。1.1.3石綿の化学的・物理的特性石綿の特性としてあげられるのは、①繊維状で紡織性を有すること、②耐熱性に優れていること、③曲げや引張りに強いこと、④耐薬品性に優れていること、⑤熱絶縁性を有していること等である。これらの特性の程度は、石綿の種類により異なってくるが、概括すれば以下のとおりであり、各種石綿の化学的・物理的特性を表1.1.2にまとめた。(1)繊維構造石綿は、非常に細かい繊維に開綿しても、なお電子顕微鏡で見ると、多数の微細繊維の集合体となっている。最も細いクリソタイルでは、この微細繊維を構成する単繊維は、太さが約0.02~0.03μmで中空管状をなしていて、その断面は主に円形をなしている。通常の開綿操作で得られる最も細い繊維束の太さは約1~2μmである。このように繊維が細いため、その表面積は非常に大きく、20~30m2/gの値を示している。(2)耐熱性耐熱性は石綿の工業的利用価値を高めている重要な性質の1つであって、他の有機繊維の及ばないところである。クリソタイルにおいては、約500℃までは安定であり、それ以上の高温になると結晶水を放出しはじめ、800℃付近でほぼ完了し、13~16%の強熱減量を示す。また、角閃石綿は一般にクリソタイルより高温で安定2である。なお、繊維は結晶水の放出によってもろくなり石綿としての特質を失う。表1.1.2各種石綿の化学的・物理的特性クリソタイルアンソフィライトアモサイトトレモライトアクチノライトクロシドライト硬度2.5~4.05.5~6.05.5~6.05.5約6比重2.4~2.62.85~3.13.1~3.252.9~3.23.0~3.23.2~3.3比熱0.2660.2100.1930.2120.2170.201抗張力(kg/cm2)30,0002,80025,00070~5607035,000最大重量減温度(℃)982982871~982982N.A.1)6494ろ過性能遅い中間速速い中間速中間速速い電荷陽陰陰陰陰陰熔融点(℃)152114681399131613931193紡糸性良好不良良不良不良良柔軟性大良好不良良良好不良不良良不良耐熱性高温でもろくなる優秀高温でもろくなる良好N.A.高温で溶融する耐酸性弱い中中強い強い強い耐アルカリ性きわめて強い強い強いきわめて強い強い強い分解温度(℃)2)450~700620~960600~800注1)N.A.:測定値なし注2)結晶構造が崩壊して脱水和物又は脱水素をきたし、強度を失う温度をいう。600~850950~1,040400~600出典)「大気中発がん物質のレビュー石綿(昭和55年3月特殊法人日本化学技術センター)」、「アスベスト発生源対策検討会検討結果(昭和55年6月アスベスト発生源対策検討会)」(3)引っ張り強さ、可とう性石綿の引っ張り強さが大きいことも、石綿の工業的利用価値を高めた重要な性質の1つである。石綿の可とう性(微弾性、柔軟性)は、主として繊維の細かさと結晶水の多少によって左右される。石綿繊維中で最も細く、しかも結晶水の多いクリソタイルが最も優れた可とう性を示す。(4)耐薬品性クリソタイルは、一般に耐酸性はよくないが、耐アルカリ性には優れている。クリソタイルは、25%の苛性ソーダ水溶液中100~105℃で5時間煮沸しても減量はわずか2%である。クロシドライトは酸にもアルカリにも強い。アモサイトもクロシドライトより劣るがクリソタイルより耐酸性が優れている。(5)熱絶縁性石綿は一般的に熱絶縁性に優れている。熱絶縁性は耐熱性と相まって保温材料として使用する場合の重要な性質であるが、これは構成材料と組成状態によって左右される。(6)吸湿性・吸水性吸湿・吸水性は、保温材として使用する場合に考慮しなければならない性質である。石綿は有機繊維に比べ吸湿・吸水性は小さく、石綿の中で最も大きい吸湿率を示すクリソタイルでも、吸湿性は有機繊維の数分の一である。他の石綿に比ベクリソタイルの吸湿・吸水性が大きい理由は、その繊維が他の石綿と比べて細く、かつ中空であるため、大きな表面積を有することに起因すると考えられる。(7)安定性及び環境蓄積性環境中においては、石綿の安定性及び環境蓄積性が問題となる。すなわち、通常の環境条件下では、半永久的に分解・変質せず、また、地表に沈降したものも再発じんすることがあるため、その存在期間は極めて長いことが指摘されている。341.2石綿の生産・使用1.2.1生産・輸入状況工業原料としての石綿は、鉱物学上で定義した石綿を含む鉱石を採掘し、選鉱の後、粉砕して得られる。採掘は露天堀が多く、粗鉱中の石綿含有率は2~20%程度まで様々だが、一般的には4~9%が多い。世界における工業原料としての石綿の国別生産量は、数十年前は500万t前後で推移していたが、表1.2.1に示すように、ここ数年は世界全体で100万t程度であり、減少傾向にある。現在、国別生産量で最も多いのはロシアであり、令和元(2019)年の生産量は約75万tで、全体の7割弱を占めている。これまでの生産量もロシアが最も多く、そのほかでは中国、カザフスタン、ブラジル、カナダ、ジンバブエが主な生産国になっている。わが国では鉱物標本的な量の各種石綿が全国各地にあり、ごく小規模な採掘も戦前は行われていた。戦後は、採掘に伴って排出されたボタ山廃材の再利用により、年間約0.5万t程度が生産されていたが、現在はその生産も中止されている。わが国の石綿輸入実績の推移は図1.2.1のとおりで、輸入量は、戦後漸増し、昭和36(1961)年には10万tとなり、昭和49(1974)年が最大の35万tで、それ以後平成元年頃までは20~30万tで推移したが、その後暫時減少し、平成16(2004)年10月の労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)による石綿含有建材、石綿含有摩擦材、石綿含有接着剤の輸入、製造、使用の禁止に伴い、平成17(2005)年には約110tと大幅に減少し、更に平成18(2006)年9月からの石綿含有製品の輸入、製造、使用が禁止されたことに伴い、平成18(2006)年11月段階では石綿原綿の輸入はない。国別輸入実績は表1.2.2のとおりであるが、禁止にいたるここ10年間での輸入先はカナダが最も多く、南アフリカ、ジンバブエ、ロシアがこれに次いでおり、上位2カ国で総輸入量の多くを占めている。表1.2.1世界の石綿生産量の推移(U.S.GeologicalSurvey、MineralCommoditySummaries)(千t)ロシアカナダ中国ブラジルジンバブエカザフスタン南アフリカ米国その他※1合計※21997年7004472451701601256071562,0701998年6503302501701401252061491,8401999年7003373001701351252071361,9302000年7503402601701101251951211,9002001年750340360170120235165542,0502002年75027236020913029131202,1302003年878241260195130353932,1502004年8752003551951503471102,2302005年925200520195122355842,4002006年925244350236100355902,3002007年925185380230100300802,2002008年925175380220100300752,1802009年1,00018028025025210752,0002010年1,000100350270230201,9702011年1,000100400270210202,0002012年1,000440300240202,0002013年1,0004003002400.31,9402014年1,0504002912400.31,9802015年1,1004003112150.42,0002016年1,1004003002000.22,0002017年6902001502101,3002018年6501001002201,1002019年750125152.52001,100※1その他:ギリシャ、スワジランド、インド、コロンビア、ルーマニア、ユーゴスラビア※2各年の合計は四捨五入しているため、各国の合計値と合わないことがある。5図1.2.1石綿の輸入量の推移(財務省貿易統計)表1.2.2国別輸入量(財務省貿易統計)(t)カナダ南アフリカジンバブエスワジランドロシア米国ブラジルギリシャ中国カザフスタンその他合計1991年99,53675,51832,9931,35837,25814,4624,1986,765272,0881992年99,21864,31227,9602,91423,24510,97710,1603,18022885242,2791993年86,67556,89729,6321,57814,71710,4869,8610209,8461994年91,00648,69427,9791,25110,7719,07010,8801823199,8361995年85,89042,18129,48997611,9529,71610,46255416293191,4751996年81,83835,03527,7831,66010,58910,11810,18446614254177,8691997年88,26622,35532,1372,16211,5937,15012,04825654176,0211998年57,95416,82224,9191,5807,7305,6875,20077612817120,8131999年59,14613,30224,3921,5864,6746,8356,359482367117,1432000年51,6187,64820,7801,0105,4835,2566,56022020098,5952001年44,2036,96014,6845262,8835,1275,080079,4632002年24,43078411,2651,7382,1542,974202543,3902003年13,3324906,915208373,059024,6532004年5,3802888861,5953708,1862005年130772001102006年00001.2.2用途・製品石綿は、前述のように紡織性、耐熱性等の多くの優れた特性を有しており、それらの特性を巧みに生かして工業原料として広範多岐に使用されている。製品の種類は少なくとも3,000以上あったと言われており、JIS規格も相当数にわたって定められている。石綿製品は、石綿工業製品と建材製品に大きく分けられる。図1.2.2のとおり、わが国の石綿消費量のうち、約93%を建材製品が占めている(平成7(1995)年度)。また、使用分野では、建造物材料が約9割を占めており、自動車部品への使用は全体の4%程度となっている。新車に対して、自動車部品への石綿の利用は、国内の自動車メーカーの自主規制により順次代替化が進み、平成6(1994)年度末において、乗用車、小型商用車、軽四輪車については完全に代替が完了し、トラック・バス、二輪車についても概ね代替が完了している。なお、平成16(2004)年10月1日から労働安全衛生法により石綿含有建材、石綿含有摩擦材、石綿含有接着剤の輸入、製造、使用等が禁止となり、さらに平成18(2006)年9月から石綿を0.1重量%を超えて含有する製品の輸入、製造、使用等を禁止した(限定用途の石綿含有製品のみ、当分の間、輸入、製造、使用等の禁止の猶予措置がとられていたが、平成24(2012)年3月以降、猶予措置は撤廃されている。)。図1.2.2わが国における石綿製品等の使用状況((社)日本石綿協会)61.2.3建築物における石綿の使用石綿の消費量の約9割は図1.2.2のとおり、建材製品に係わるものである。鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、コンクリートブロック造の構造のものには、相当量の石綿が用いられている。石綿は吹付け石綿として直接壁、天井、柱、梁等に吹き付けられたほか、波形石綿スレートや石綿セメント板として床材、壁材、天井材、軒天材、防火壁材等に用いられた。吹付け石綿としては、主としてクロシドライト又はアモサイトが使用され、結合材と混合の上、吹付機を用いて吹き付けられた(最近の吹付け材の分析結果では、トレモライトが認められることがある。)。吹付け石綿の使用は、昭和30(1955)年頃から始められ、昭和39(1964)年に防音用として航空基地付近の建築物に使われたことをきっかけとして一般に使用されるようになった。昭和42(1967)年頃から建築物の超高層ビル化、鉄骨構造化に伴い、鉄骨造建築物の軽量耐火被覆材として注目を浴びて大量に使われ始め、設備投資が盛んに行われた昭和46(1971)、47(1972)年の高度成長期が最需要期であった。石綿を吹き付ける作業は、作業に従事する労働者の健康障害を防止する観点から、昭和50(1975)年に特定化学物質等障害予防規則により石綿を5重量%超えて含有する吹付けが、平成7年には1重量%を超えて含有する吹付けが原則禁止になり、さらに平成17(2005)年には石綿障害予防規則の制定に伴い、1重量%を超えて含有する吹付けが完全に禁止となった。この間、石綿含有率5重量%以下の吹付けロックウールが平成元(1989)年ごろまで使用されているが、ロックウールを含まない原材料での吹付け材(たとえば吹付けバーミキュライト、吹付けパーライト)については、石綿使用中止時期が明確ではない。吹付け石綿及び石綿含有吹付けロックウールに使われた石綿の量は、図1.2.3のとおりである。なお、平成7(1995)年の労働安全衛生法施行令で、石綿のうち、アモサイト、クロシドライトの輸入、製造等が禁止になり、平成18(2006)年の労働安全衛生法の改正で石綿が0.1重量%を超える製品の輸入、製造等が全面禁止となった。(注)生産量(t)のデータを基に、吹付け石綿は、密度0.3、厚み10㎜、吸音断熱用ロックウールは、密度0.3、厚み45㎜、耐火被覆用ロックウールは、密度0.3、厚み15㎜と仮定して、面積を求めた。また、吹付け石綿全体については、昭和43(1968)年から昭和49(1974)年までは、吹付け石綿と石綿含有ロックウールの合計であり、昭和50(1975)年以降は、石綿含有ロックウール(吸音断熱用及び耐火被覆用)である。図1.2.3吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール生産量の推移(平成17年11月建築物の解体等における石綿飛散防止検討会報告書)71.3環境中の石綿濃度1.3.1環境中の石綿濃度環境省では、平成17(2005)年12月27日付け「アスベスト問題に係る総合対策」(「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」決定)に基づき、「旧石綿製品製造事業場等」、「廃棄物処分場等」、「蛇紋岩地域」、「高速道路及び幹線道路沿線」といった発生源周辺地域と「住宅地域」、「商工業地域」、「農業地域」、「内陸山間地域」、「離島地域」といったバックグラウンド地域において、大気中の石綿濃度の測定を行っている。平成17(2005)年度以降の測定結果は図1.3.1及び図1.3.2のとおりである。一般大気中の石綿濃度のレベルは平成17(2005)年度から低下しており、多くの地点においては特に高い濃度は見られない。現時点で直ちに問題になるレベルではないが、旧石綿製品製造事業場等においては比較的高い濃度が見られる場合があることから適切に飛散防止対策を行うことが重要である。図1.3.1石綿の一般大気環境濃度レベル(発生源周辺地域)の推移図1.3.2石綿の一般大気環境濃度レベル(バックグラウンド地域)の推移891.3.2建築物の解体現場周辺の石綿濃度環境省では、解体現場周辺についても毎年大気中の石綿濃度の測定を行っている。過去5年の測定結果では、解体現場周辺は総繊維数濃度の幾何平均値で0.17~0.45本/Lとなっている(表1.3.1)。なお、過去の測定結果は環境省のHPで公開されている。(https://www.env.go.jp/air/asbestos/index9.html)表1.3.1解体現場周辺の測定結果(本/L)測定年度地点数総繊維数濃度最小値最大値幾何平均値解体現場(施工区画周辺)平成26(2014)年2ND0.900.19平成27(2015)年20.0561.50.17平成28(2016)年20.110.790.25平成29(2017)年2ND0.900.19平成30(2018)年9<0.111.70.45備考)NDは繊維が不検出であったことを示す。1.3.3災害時の大気環境中の石綿濃度(1)阪神・淡路大震災に伴う大気環境中の石綿濃度平成7(1995)年1月の阪神・淡路大震災において被害を受けた建築物の解体等に伴う石綿飛散問題を受けて、環境省は、兵庫県及び神戸市の協力を得て、大気環境モニタリングを実施している。当時の石綿の一般環境濃度は、2月、3月時において、一部の地域で高い地点がみられたものの、4月以降においては改善の傾向に向かい、夏期には図1.3.2のバックグラウンド地域と同程度の数値となっている(表1.3.2)。また、解体現場周辺の環境調査結果(敷地境界濃度)は、5月~6月においては高い地点がみられたが、7月以降には、解体等において石綿の飛散防止対策が浸透したものと推察される(表1.3.3)。表1.3.2追跡継続調査結果(継続17地点)(f/L)調査年月日最大値最小値中央値幾何平均値平成7年2月6日-2月12日4.90.21.01.03月9日-3月16日6.00.31.01.24月24日-4月28日2.10.21.00.95月29日-6月2日1.40.50.80.86月26日-6月30日1.70.30.70.87月24日-7月28日1.20.30.70.78月28日-9月1日0.80.30.50.59月25日-9月29日0.80.30.60.610月23日-10月27日0.70.20.50.411月27日-12月1日0.80.20.50.412月20日-12月25日0.90.10.20.3平成8年1月22日-1月26日0.60.10.20.210表1.3.3建築物解体現場周辺調査結果(f/L)調査年月日検体数最大値最小値中央値幾何平均値平成7年3月9日-3月16日207.70.82.63.04月24日-4月28日169.50.95.43.85月29日-6月7日1819.90.94.54.56月26日-7月18日209.50.32.32.07月25日-8月8日229.90.20.91.38月22日-9月21日104.50.20.50.79月29日-10月23日168.60.10.40.7(2)東日本大震災に伴う大気環境モニタリング平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災により、広範囲にわたる地域で甚大な被害が発生し、多くの建築物等が損壊するとともに、膨大な量の災害廃棄物が発生した。その後の災害復旧工事における建築物などの解体・改修工事、がれきの処理に伴い、アスベストを始めとする粉じんの飛散が懸念された。そこで、被災した住民等へのばく露防止と不安の解消の観点から、「避難所等の周辺」や「被災自治体において環境省が毎年実施している地点」についてアスベストの飛散防止の観点から「倒壊、半壊又は一部破損している建築物等で解体・改修中の現場」や「破砕等を行っているがれき処理現場及びがれきの集積場」等の地点を選定し、大気環境モニタリングを定期的に実施している。また、厚生労働省も「がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング」の中で、作業者のばく露状況を確認するとともに、作業場所の風下等において大気環境モニタリングを実施している。定期的な大気環境モニタリングは、平成29(2017)年3月までに1次から14次まで14回実施され、その結果は「東日本大震災アスベスト対策合同会議」において会議資料として報告している。選定された地点の詳細データは、以下のHPに掲載されている。環境省http://www.env.go.jp/jishin/asbestos_jointconf.html厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou_128856.html(3)熊本地震に伴う大気環境モニタリング環境省は、平成28(2016)年熊本地震(最初の地震は平成28(2016)年4月14日に発生し、前震とされている。本震は4月16日に発生。)の際に大気環境モニタリング調査を実施している。熊本地震の際の一般環境大気中の石綿濃度は表1.3.4のとおりであり、一般環境中では、総繊維数濃度が高い地点は確認されなかった。環境省では、その後も継続して被災地の大気環境モニタリングを実施している。また、東日本大震災と同様に、厚生労働省も「がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング」の中で作業者のばく露状況を確認するとともに、作業場所の風下等において大気環境モニタリングを実施している。厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou_419617.html表1.3.4一般環境大気中の石綿濃度(総繊維数濃度)(f/L)調査回調査年月日地点数(地点)検体数(検体)最大値最小値中央値幾何平均値1次平成28年6月14日~7月4日480.400.110.250.232次平成28年10月24日~10月29日240.280.056未満0.110.113次平成28年12月5日~12月13日120.340.280.310.314次平成29年1月17日~3月4日120.220.110.170.16注1)調査地点のうち、「避難所」に区分された地点の結果を集計した。2)中央値及び幾何平均値の算出に当たっては、定量下限値未満(0.056f/L未満)の場合は、定量下限値の値を用いて算出した。1.4石綿の健康影響石綿にばく露して引起される疾患としては、じん肺(石綿肺)、肺がん、悪性中皮腫、良性石綿胸水(胸膜炎)、びまん性胸膜肥厚等がある。その他、致命的な疾患ではないが、石綿ばく露の重要な指標として胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)がある。それらを表1.4.1に示した。表1.4.1石綿ばく露によって生じる石綿関連疾患等部位石綿ばく露に非特異的石綿ばく露に特異的肺胸膜腹膜じん肺肺がんびまん性間質性肺炎石綿肺良性石綿胸水(胸膜炎)胸膜中皮腫びまん性胸膜肥厚胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)円形無気肺腹膜中皮腫1.4.1石綿肺石綿肺は、石綿の健康影響として最も早くから注目されている疾患で、職業上比較的高濃度あるいは長期にわたって石綿を吸入した労働者に起こるじん肺の一種である。吸入した石綿が細気管支や細胞に刺激を与えて炎症を起こし、次第に終末肺気管支周辺や肺胞間質の線維化をきたし、肺機能障害を起こすことになる。ばく露から日が経っていない段階で石綿肺が検出されることはほとんどなく、初期段階の石綿肺の場合でも、最初のばく露から10年以上経ていることが多い。症例の大多数において、石綿肺は石綿にばく露することがなくなってからも進行するようであるが、初期段階の症例では、さらにばく露し続けない限り、X線撮影の結果は何年もほとんど変化しない。石綿肺は、石綿の種類によって発生率や重症度を左右するという確証はないが、紡織工場でのリスクが鉱山、採石場、摩擦材の製造工場よりも高いようである。石綿肺による肺線維症が進展すると、呼吸不全で死亡する場合もある。死亡率は、ばく露年数とばく露の程度によって影響されるが、年齢との相関はなく、喫煙者の死亡率が高くなるといわれている。また、石綿肺を有する患者及び石綿にばく露した動物実験において、免疫学的検査項目の数値が変化した例が観察されている。しかし、石綿肺の発症に、これらの変化がどの程度影響を与えたかについては、明らかではない。1.4.2肺がん昭和10(1935)年にLynchとSmithによって、石綿肺に合併する肺がんの症例が最初に報告された。その後、昭和30(1955)年にDollがイギリスの紡織工場で働く労働者を対象にした疫学調査で、この紡織工場で20年以上働く労働者の肺がん死亡率が、一般の住民に比べて13.7倍も高いことを検証した。石綿のばく露から肺がんの発症までには、一般に15~40年の長い潜伏期間があり、石綿ばく露量が多いほど肺がんの発生率が高いことも確認されている。肺がんは石綿ばく露に特異的でなく、かつ長い潜伏期間の後に発症するため、石綿に起因した肺がんを一般の肺がんと鑑別するのにかなりの困難を伴うことがある。現在、わが国では石綿ばく露の職歴を調べるとともに臨床所見(石綿肺や胸膜プラークの有無、肺内に残された石綿繊維や石綿小体の量の計測値など)を根拠にした基準が設けられている。石綿ばく露と喫煙の関係を表1.4.2に掲載した。11表1.4.2石綿ばく露と喫煙が肺がん死亡の相対危険比に及ぼす影響(中館、石綿の健康影響、医学のあゆみ、147、527―529、1988)Hammond&Selikoff1979非喫煙者石綿ばく露McDonald1980石綿ばく露なしありなし中等度高度1.05.17非喫煙者1.02.06.9中等度喫煙者6.37.512.8喫煙者10.8553.24高度喫煙者11.813.325.01.4.3中皮腫胸膜、心膜、腹膜等のしょう膜腔を覆う中皮表面及びその下層の組織から発生する、きわめて予後不良な悪性腫瘍(がん)である。胸膜中皮腫は壁側胸膜側に生じる。組織型は、上皮型、肉腫型、二相型、特殊型があり、現在では免疫化学診断で確定される。中皮腫は石綿ばく露から20~50年の長い潜伏期間の後に発症するため、日本では、1990年代以降、図1.4.1に示すように急激な増加傾向にある。人図1.4.1わが国の人口動態統計による中皮腫死亡者数の推移(1995-2018)中皮腫発生の8割程度は、石綿に起因するといわれている。石綿の種類によっても発生率に差があることも知られており、クロシドライトの危険性が最も高く、アモサイトがこれに次ぎ、クリソタイルはクロシドライト、アモサイトよりも危険性が低いといわれている。中皮腫の発症と石綿のばく露量の反応関係に関する信頼のおけるデータはないが、石綿による肺がん発症に比べて中皮腫の発症はかなり低濃度の石綿ばく露でも生じることが知られている。121.4.4良性石綿胸水(石綿胸膜炎)石綿ばく露によって生じる非悪性の胸水(胸腔に貯留した生体液)をいう。石綿ばく露以外でも胸水貯留は生じることがあるため、診断基準は、①石綿ばく露歴がある、②胸水が存在する、③胸水の原因となる他の疾患がない、④胸水発生後、3年間悪性腫瘍が発生しない、といった鑑別が重要である。自覚症状はある場合と、なくて健診で偶然見つかる場合がある。胸水は血性のこともあれば非血性のこともある。一側に発生し、自然に消退して、反対側に発生することもあれば、両側に繰り返し発生することもある。石綿ばく露開始から10年以内に発生することもあれば、30~40年後に発生することもある。臨床上、注意すべきは、当初胸水細胞診では悪性細胞を認めなかったのが、経過観察中に悪性細胞を認めるようになり、原発巣が見当たらないような場合には、悪性中皮腫を疑って対処すべきである。1.4.5びまん性胸膜肥厚胸膜プラークが壁側胸膜の病変で、臓側(肺側)胸膜との癒着を伴わないのに対して、びまん性胸膜肥厚は、臓側胸膜の病変で、壁側胸膜との癒着を伴う。びまん性胸膜肥厚は、胸膜プラークに比べて石綿ばく露との関係がない場合が多く、必ずしも石綿による発生とは限らない。結核性胸膜炎の後遺症や、リウマチ性疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、強直性脊椎炎(AS)、薬剤起因性胸膜疾患との鑑別が必要なこともある。こうした鑑別がなされ石綿ばく露があった場合は、労災補償等の対象疾病になる。一般に鑑別診断されたびまん性胸膜肥厚はかなり高濃度の石綿ばく露を受けた場合が多い。1.4.6胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)胸膜プラークは、壁側胸膜側や横隔膜に限局性で生じる肥厚斑で、臓側(肺側)胸膜との癒着を伴わず、致命的でなく、肺機能障害も示さない。しかし、石綿ばく露に特異的とされていて過去の石綿ばく露の指標として重要である。石綿ばく露から長期になるに従い胸膜プラークは石灰化を伴うようになる。胸部X線や胸部CTで肺がん患者や悪性中皮腫患者に胸膜プラークを認めた場合、あるいは胸腔鏡検査や手術時・剖検時に肉眼で認めた場合には、その患者が過去に石綿への職業ばく露、副次的職業ばく露、近隣ばく露、家族ばく露などがあったことを疑って詳細に問診等を行うことが必要である。特に原発性肺がん患者の胸部CT画像に認められる胸膜プラークが、その広がりが胸壁内側の4分の1以上に認められる広範囲胸膜プラークである場合は、それだけで石綿による肺がんとして石綿救済法で認定される。石綿取扱い職歴がある場合には労災補償法でも認められる。石綿ばく露歴の記録が不十分である場合は、詳細な職業歴、アルバイト歴、居住歴、家族の職業などを広く調べ、石綿のばく露の機会を把握すべきである。132関係法令の解説2.1石綿に係る法規制の変遷石綿関連法規の推移を表2.1.1に示す。石綿に係る法規制は、石綿製造工場等における労働者の健康障害予防のために、昭和35(1960)年に制定された「じん肺法」から始まった。昭和46(1971)年に「特定化学物質等障害予防規則」(以下「特化則」という。)が制定されたことにより、その前後で石綿によるばく露の状況が大きく変化したと考えられている。また、石綿のがん原性等に着目した対策の強化として、昭和50(1975)年に特化則が改正され、さらに、建築物の解体等に伴う労働者の石綿ばく露防止措置を強化するため、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)が平成17(2005)年に制定されている。石綿の飛散による大気汚染を防止するため、平成元(1989)年に大気汚染防止法(昭和43年法律第97号。以下「大防法」という。)の改正により、石綿製品製造工場に対する規制が導入され、敷地境界基準が設定された。また、平成3(1991)年の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の改正に伴い、「廃石綿等」が特別管理産業廃棄物に指定された。さらに、平成7(1995)年の阪神・淡路大震災による倒壊ビルの解体等に伴う石綿飛散問題が契機となって、平成8(1996)年に大防法が改正され、吹付け石綿が使用されている建築物の解体等の作業に対する規制が開始された。平成17(2005)年6月末以降の石綿問題を受けて、同年12月の大防法施行令・施行規則の改正により、規制対象の建築物の規模要件等の撤廃と石綿含有断熱材等の規制対象への追加が、平成18(2006)年2月には「石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律」が制定されたことにより、建築物の解体等の作業と同様に、石綿が使用されている工作物の解体等の作業に対する規制が導入され、平成18(2006)年10月から施行された。また、石綿による健康被害の救済のために、平成18(2006)年に「石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18(2006)年3月施行)が制定され、石綿による指定疾病(中皮腫、肺がん)に罹患した方等に対する救済措置がとられ、平成22(2010)年7月には石綿による指定疾病(著しい呼吸障害を伴う石綿肺、びまん性胸膜肥厚)を追加した。その後、大防法は平成25(2013)年に、石綿則は平成18(2006)年、平成20(2008)年、平成23(2011)年、平成26(2014)年、平成30(2018)年に所要の改正がされ、令和2(2020)年に石綿含有仕上塗材及び石綿含有成形板等に対する規制の拡大、事前調査結果の報告の義務付け、作業記録の作成・保存の義務付け等の見直しが行われた。また、令和5(2023)年に、工作物石綿事前調査者講習の新設、石綿等の切断等の作業等において、湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を義務付ける等の見直しが行われた。1415表2.1.1石綿関係法規の変遷(1)年号法規、通達名法規・通達の概要昭和35(1960)年「じん肺法」制定じん肺健診についての規定(石綿も対象)昭和46(1971)年「労働基準法特定化学物質等障害予防規則」(特化則)制定製造工場が対象、局所排気装置の設置、作業環境測定の義務付け(測定方法の規定なし)昭和47(1972)年「労働安全衛生法(安衛法)」制定、「特化則」再制定安衛法が新たに制定され、特化則は同法に基づく規定に昭和50(1975)年「労働安全衛生法施行令」(安衛法施行令)の改正名称等表示(石綿5%超対象)「特化則」の大改正(昭和45年ILO職業がん条約批推のため)石綿5%超対象、取扱い作業も対象、石綿等の吹付け作業の原則禁止、特定化学物質等作業主任者の選任、作業の記録、特殊健診の実施、掲示等昭和63(1988)年「作業環境評価基準」(厚生労働省告示)制定法規に規定されている各種物質の管理濃度を規定(石綿も対象:2f/cm3)平成元(1989)年「大気汚染防止法(大防法)・同施行令・同施行規則」の改正石綿を特定粉じんとし、特定粉じん発生施設の届出、石綿製品製造/加工工場の敷地境界基準を10f/Lと規定平成3(1991)年「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)の改正特別管理産業廃棄物として「廃石綿等」を新たに制定。吹付け石綿、石綿含有保温材等の石綿を含有する廃棄物が該当平成7(1995)年「安衛法施行令」の改正アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)の製造等禁止「労働安全衛生規則」(安衛則)の改正吹付け石綿除去作業の事前届出「特化則」の改正石綿1%超まで対象が拡大、吹付け石綿除去場所の隔離、呼吸用保護具及び保護衣の使用、解体工事における石綿使用状況の事前調査結果の記録平成8(1996)年「大防法」の改正特定建築材料(吹付け石綿)を使用する一定要件をみたす建築物の解体・改造・補修する作業が「特定粉じん排出等作業」となり、事前届出、作業基準の遵守義務を規定平成9(1997)年「大防法施行令・同施行規則」の改正平成11(1999)年「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」制定特定第一種指定化学物質として石綿が規定され、年間500kg以上使用する場合に、環境への移動・排出量を国への報告義務付け平成16(2004)年「安衛法施行令」の改正石綿含有建材、摩擦材、接着剤等10品目が製造等禁止「作業環境評価基準」(厚生労働省告示)の改正石綿の管理濃度を改正(施行期日2005.4.1)平成17(2005)年「石綿障害予防規則」(石綿則)の制定(施行期日:2005.7.1)特定化学物質等障害予防規則から、石綿関連を分離し、単独の規則である石綿障害予防規則を制定。解体・改修での規制(届出、特別教育、石綿作業主任者等)を追加「大防法施行令・同施行規則」の改正(施行期日:2006.3.1)吹付け石綿の規模要件等の撤廃と特定建築材料に石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材が追加。掻き落し、破砕等を行わない場合の作業基準を規定平成18(2006)年「大防法」の改正(施行期日:2006.10.1)法対象の建築物に加え工作物も規制対象となる「安衛法施行令」の改正(施行期日:2006.9.1)石綿0.1重量%超の製品の全面禁止(一部猶予措置あり)「石綿則」の改正(施行期日:2006.9.1)規制対象を石綿0.1重量%超に拡大一定条件下での封じ込め、囲い込み作業に対する規制の強化等「廃棄物処理法」の改正(施行期日:2006.10.1)石綿0.1重量%超を含有する廃棄物(廃石綿等を除く)を石綿含有廃棄物と定義、無害化処理認定制度が発足((施行期日2006.8.9)平成20(2008)年「石綿則」等の一部を改正する省令等(施行期日:2009.4.1)・事前調査の結果の掲示・隔離の措置を講ずべき作業範囲の拡大、隔離の措置等・吹付け石綿除去作業について電動ファン付き呼吸用保護具着用を義務付け・船舶の解体等の作業に係る措置(施行期日2009.7.1)平成23(2011)年「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:2011.8.1)船舶の解体等について、建築物解体等と同等の措置を義務付け平成24(2012)年「安衛法施行令等」の一部を改正する政令(施行期日:2012.3.1)石綿0.1重量%超の製品の製造等禁止の猶予措置を撤廃平成25(2013)年「大防法」の改正(施行期日:2014.6.1)届出義務者を発注者に変更、解体等工事の事前調査及び説明の義務化、作業基準の改正「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」(国土交通省告示)建築物の通常使用における石綿含有建材の使用実態の把握推進のため、同規定を創設平成26(2014)年「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:2014.6.1)集じん・排気装置の排気口からの石綿漏えいの有無の点検、作業場前室の負圧状態の確認、損傷・劣化等石綿粉じん発散のおそれがある保温材等の除去等の対応の追加平成29(2017)年「石綿含有仕上塗材の除去等作業における飛散防止対策について通知」(環境省)石綿含有仕上塗材の除去作業における飛散防止対策について、吹付け工法で施工されたものについては吹付け石綿として扱うこととした年号表2.1.1石綿関係法規の変遷(2)法規・通達の概要法規、通達名「安衛法施行令」、「安衛則」の改正(施行期日:2018.6.1)分析、教育用の石綿の製造・輸入・使用等を可能とした平成30(2018)年「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:2018.6.1)石綿分析用試料等の定義、製造に係る措置、製造許可、届出等を規定「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」(厚労省・国交省・環境省告示)3省連携により、国交省の旧規定の内容に解体時の事前調査に必要な知識を追加「大防法」の改正(施行期日:一部除き2021.4.1)すべての建材への規制拡大及び作業基準の適用、事前調査方法の法定化・資格者による事前調査の実施、事前調査に関する記録の保存及び都道府県等への報告の義務付け、取り残し等の確認及び記録の保存の義務化、直接罰の創設等令和2(2020)年「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:一部除き2021.4.1)事前調査及び分析調査を行う者の要件の新設、計画届の対象拡大、事前調査結果の届出制度の新設、隔離(負圧不要)を要する作業に係る措置の新設、その他作業に係る措置の強化、作業計画に基づく記録・保存の義務化、石綿の有無が不明な建材に対して石綿が使用されているものとみなして工事を行うことにより分析調査を不要とする規定を吹付け材にも適用等「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」の一部改正(厚労省・国交省・環境省告示)一戸建て等石綿含有建材調査者の講習規程を新設「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」の一部改正(厚労省・国交省・環境省告示)工作物石綿事前調査者の講習規程を新設「石綿則」等の一部改正(施行期日:一部令和5(2023)年除き2026.1.1)工作物石綿事前調査者の創設、石綿が使用されているおそれが高い工作物への観光用エレベーターの昇降路の囲いの追加等「大防法施行規則」等の一部改正(施行期日:一部除き2026.1.1)「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:2024.4.1)石綿等の切断等の作業等に係る措置として、湿潤化の措置に限定せず、除じん性能を有する電動工具を使用することその他の石綿等の粉じんの飛散を防止する措置を義務付け注1)建築基準法:一定規模以上の増改築において、吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウールが施工されている部分は除去することが、また一定規模※未満の増改築、大規模な模様替え、大規模な修繕の場合は、除去又は封じ込め、囲い込みを行うことが義務付けられた。(施行期日2006.10.1)※一定規模:増改築部分の床面積が増改築前の床面積の1/2注2)宅地建物取引法:建物の売買等の取引に際して、石綿が使用されているか調査した経緯があればその結果を建物の持ち主又は宅地建物取引業者は、買主等に対して、石綿の使用を重要事項として通知することが義務付けられた。162.2大気汚染防止法ここでは、大防法のうち、建築物等の解体等工事における規定について解説する。なお、条文は、大気汚染防止法施行規則の一部を改正する省令(令和5年省令第10号)が施行された後(令和8(2026)年1月時点)の条文としている。2.2.1目的大気汚染防止法(目的)第1条この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴うばい煙、揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制し、有害大気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染に関し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。【解説】本法の目的は、工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴って発生するばい煙や揮発性有機化合物や粉じんの飛散等を規制すること、自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染の防止を図り、もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することであり、さらには、大気の汚染に関して健康被害が生じた場合の事業者の損害賠償責任について定めることにより、被害者の保護を図ることである。また、石綿については、石綿の排出及び飛散の抑制を図るため、平成元(1989)年の大防法の改正による石綿製品製造工場にする規制を始めとして、「2.1石綿に係る法規制の変遷」のとおり規制を行ってきた。2.2.2特定建築材料の種類大気汚染防止法(定義等)第2条(中略)11この法律において、「特定粉じん排出等作業」とは、吹付け石綿その他の特定粉じんを発生し、又は飛散させる原因となる建築材料で政令で定めるもの(以下「特定建築材料」という。)が使用されている建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)を解体し、改造し、又は補修する作業のうち、その作業の場所から排出され、又は飛散する特定粉じんが大気の汚染の原因となるもので政令で定めるものをいう。大気汚染防止法施行令(特定建築材料)第3条の3法第2条第11項の政令で定める建築材料は、吹付け石綿その他の石綿を含有する建築材料とする。【解説】特定建築材料は、特定粉じん(石綿)を周辺環境へ飛散させるおそれのあるものであり、石綿を含有する建築材料のうち、その生産量、使用量等も考慮して、石綿飛散性の高いものとして、当初、吹付け石綿が指定された。その後、石綿が使用されている建築物の解体等作業における特定粉じんの飛散を防止する措置を拡充・強化するため、特定粉じんを発生し、又は飛散させる原因となる建築材料にすでに指定されていた吹付け石綿に加え、石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材が追加された。特定建築材料に追加された石綿を含有する建築材料は、解体等に当たって掻き落としや機械による破砕等が行われた場合、吹付け石綿と同様な飛散が生ずるとされていること、及びすでに石綿則第5条の届出の対象となっている建築材料であることから、法の規制対1718象に加えられたものである。さらに、平成25(2013)年の法改正から5年が経過し、法の施行状況を検討した結果、飛散性が相対的に低いことから、これまで規制対象ではなかった石綿含有成形板等(いわゆるレベル3建材)についても、不適切な除去作業を行えば石綿が飛散するおそれがあることが判明したため、法の規制対象に加えられた。当該特定建築材料における石綿の含有の考え方については、建築材料の製造若しくは現場施工における建築材料の調製に際して石綿を意図的に含有させたもの又は石綿の質量が当該建築材料の質量の0.1重量%を超えるものとされている。例えば耐火被覆材で0.1重量%を超えて石綿を含有していれば、非意図的に含有されているものも特定建築材料となるものである。この考え方は、安衛法及び石綿則における石綿等の規制対象となる物の石綿の含有率が、平成18(2006)年9月1日に従来の1重量%超えから0.1重量%超えに改正されたことを受け、吹付け石綿に関する従来の判断基準も考慮の上、平成18(2006)年10月1日付けで改められたものである。特定建築材料は、建築物その他の工作物の解体等作業に伴い特定粉じんを発生し、又は飛散させる原因となる建築材料が規定されている。当該特定建築材料が防音等の目的で使用されていようと解体等作業における飛散の度合いは変わらないことから、使用の目的を問わず「材料」で規定されている。特定建築材料に該当する建築材料の例は表2.2.1のとおり。表2.2.1特定建築材料に該当する建築材料の例特定建築材料の区分建築材料の具体例吹付け石綿①吹付け石綿、②石綿含有吹付けロックウール(乾式・湿式)、③石綿含有ひる石吹付け材、④石綿含有パーライト吹付け材石綿を含有する断熱材①屋根用折板裏断熱材、②煙突用断熱材石綿を含有する保温材①石綿含有保温材、②石綿含有けいそう土保温材、③石綿含有パーライト保温材、④石綿含有けい酸カルシウム保温材、⑤石綿含有ひる石保温材、⑥石綿含有水練り保温材石綿を含有する耐火被覆材①石綿含有耐火被覆板、②石綿含有けい酸カルシウム板第2種石綿を含有する仕上塗材石綿含有建築用仕上塗材石綿含有成形板等①石綿含有成形板、②石綿含有セメント管、③押出成形品2.2.3特定粉じん排出等作業の種類大気汚染防止法(定義等)第2条(中略)7この法律において「粉じん」とは、物の破砕、選別その他の機械的処理又はたい積に伴い発生し、又は飛散する物質をいう。8この法律において「特定粉じん」とは、粉じんのうち、石綿その他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質で政令で定めるものをいい、「一般粉じん」とは、特定粉じん以外の粉じんをいう。(略)11この法律において、「特定粉じん排出等作業」とは、吹付け石綿その他の特定粉じんを発生し、又は飛散させる原因となる建築材料で政令で定めるもの(以下「特定建築材料」という。)が使用されている建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)を解体し、改造し、又は補修する作業のうち、その作業の場所から排出され、又は飛散する特定粉じんが大気の汚染の原因となるもので政令で定めるものをいう。12この法律において「特定工事」とは、特定粉じん排出等作業を伴う建設工事をいう。大気汚染防止法施行令(特定粉じん)第2条の4法第2条第9項の政令で定める物質は、石綿とする。(特定粉じん排出等作業)第3条の4法第2条第11項の政令で定める作業は、次に掲げる作業とする。一特定建築材料が使用されている建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)を解体する作業二特定建築材料が使用されている建築物等を改造し、または補修する作業【解説】従来は建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第九号の二に規定する耐火建築物又は同条第九号の三に規定する準耐火建築物のうち、一定規模以上の作業が対象とされていたが、大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令(平成17年政令第378号)により、建築物の類型や規模によらず、特定建築材料が使用されている建築物を解体し、改造し、又は補修する作業がすべて対象となった。さらに、石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律により、建築物に加え、特定建築材料が使用されている工作物の解体等作業についても法の規制対象となったものである。「建築物」及び「工作物」の定義については、平成18年1月11日付環水大大発第06011101号通知「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令の施行等について(通知)」及び平成18年9月5日付環水大大発第060905003号通知「石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律の施行等について(通知)」において、「建築物」とは、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第一号に規定する建築物を基本としており、建築物本体のほか、建物に設ける建築設備(電気、ガス、給排水、換気、冷暖房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突等)などが含まれるとされ、「工作物」とは、民法や過去の判例によるものを基本として土地に接着して人工的作為を加えることによって成立した物とされてきた。しかしながら、令和2年8月4日付基発0804第8号通知「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について」において、建築物及び工作物の概念が明確化されたことを踏まえ、大防法及び石綿則の連携により、建築物等の解体等工事に伴う石綿の飛散防止を徹底する観点から、大防法における建築物及び工作物の概念は、石綿則と同様に以下のとおりとされた。「建築物」とは、全ての建築物をいい、建築物に設けるガス若しくは電気の供給、給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙又は汚水処理の設備等の建築設備を含むものであること。「工作物」とは、「建築物」以外のものであって、土地、建築物又は工作物に設置されているもの又は設置されていたものの全てをいい、例えば、煙突、サイロ、鉄骨架構、上下水道管等の地下埋設物、化学プラント等、建築物内に設置されたボイラー、非常用発電設備、エレベーター、エスカレータ-等又は製造若しくは発電等に関連する反応槽、貯蔵設備、発電設備、焼却設備等及びこれらの間を接続する配管等の設備等があること。なお、建築物内に設置されたエレベーターについては、かご等は工作物であるが、昇降路の壁面は建築物であること。石綿の含有状況を調査するために建築材料から少量のサンプリングが行われる場合があるが、特定建築材料が使用されている建築物等を対象としていてもサンプリングだけであれば、当該建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業でないため、当該サンプリングは特定粉じん排出等作業には該当しない。また、例えば、配管点検のために、石綿を含有する保温材を一時的に取り外す作業があるが、補修を伴わない点検だけであれば、当該建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業に当たらないため、当該作業は特定粉じん排出等作業には該当しない。しかし、特定建築材料のサンプリングや当該点検作業に当たっては大気への飛散を防止するよう十分に配慮することが必要である。配管の曲線部のみが石綿を含有する保温材で覆われている場合に、保温材で覆われていない直線部分を切断して配管ごと保温材を取り外す作業が行われることがある。このような事例において、当該作業の場所から特定1920粉じんが排出されず、かつ飛散しない場合には、当該作業は特定粉じん排出等作業に該当しない。ただし、保温材の劣化等により当該作業に伴い石綿が飛散するおそれがある場合や、当該作業時の振動等により近傍の特定建築材料から石綿が飛散するおそれがある場合には、当該作業が特定粉じん排出等作業になり得るものである。2.2.4作業基準大気汚染防止法(特定粉じん排出等作業の作業基準)第18条の14特定粉じん排出等作業に係る規制基準(以下「作業基準」という。)は、特定粉じんの種類、特定建築材料の種類及び特定粉じん排出等作業の種類ごとに、特定粉じん排出等作業の方法に関する基準として、環境省令で定める。大気汚染防止法施行規則(作業基準)第16条の4石綿に係る法第18条の14の作業基準は、次のとおりとする。一特定工事の元請業者又は自主施工者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業の開始前に、次に掲げる事項を記載した当該特定粉じん排出等作業の計画を作成し、当該計画に基づき当該特定粉じん排出等作業を行うこと。イ特定工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名ロ特定工事の場所ハ特定粉じん排出等作業の種類ニ特定粉じん排出等作業の実施の期間ホ特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積ヘ特定粉じん排出等作業の方法ト第10条の4第2項各号に掲げる事項二特定工事の元請業者又は自主施工者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業を行う場合は、公衆の見やすい場所に次に掲げる要件を備えた掲示板を設けること。イ長さ42.0センチメートル、幅29.7センチメートル以上又は長さ29.7センチメートル、幅42.0センチメートル以上であること。ロ次に掲げる事項を表示したものであること。(1)特定工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名(2)当該特定工事が届出対象特定工事に該当するときは、法第18条の17第1項又は第2項の届出年月日及び届出先(3)第10条の4第2項第三号並びに前号ニ及びヘに掲げる事項三特定工事の元請業者、自主施工者又は下請負人は、特定工事における施工の分担関係に応じて、当該特定工事における特定粉じん排出等作業の実施状況(別表第7の一の項中欄に掲げる作業並びに六の項下欄イ及びハの作業を行うときは、同表の一の項下欄ハ、ニ、ヘ及びトに規定する確認をした年月日、確認の方法、確認の結果(確認の結果に基づいて補修等の措置を講じた場合にあつては、その内容を含む。)及び確認した者の氏名を含む。)を記録し、これを特定工事が終了するまでの間保存すること。四特定工事の元請業者は、前号の規定により各下請負人が作成した記録により当該特定工事における特定粉じん排出等作業が第一号に規定する計画に基づき適切に行われていることを確認すること。五特定工事の元請業者又は自主施工者は、当該特定工事における特定建築材料の除去、囲い込み又は封じ込め(以下この号において「除去等」という。)の完了後に(除去等を行う場所を他の場所から隔離し21たときは、当該隔離を解く前に)、除去等が完了したことの確認を適切に行うために必要な知識を有する者に当該確認を目視により行わせること。ただし、解体等工事の自主施工者である個人(解体等工事を業として行う者を除く。)は、建築物等を改造し、又は補修する作業であつて、排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事を施工する場合には、自ら当該確認を行うことができる。六前各号に定めるもののほか、別表第七の中欄に掲げる作業の種類ごとに同表の下欄に掲げるとおりとする。別表第7(第16条の4関係)一令第3条の4第一号に掲げる作業のうち、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等を除去する作業(次項又は五の項に掲げるものを除く。)次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。イ特定建築材料の除去を行う場所(以下「作業場」という。)を他の場所から隔離すること。隔離に当たつては、作業場の出入口に前室を設置すること。ロ作業場及び前室を負圧に保ち、作業場及び前室の排気に日本産業規格Z8122に定めるHEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用すること。ハイの規定により隔離を行つた作業場において初めて特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始前に、使用する集じん・排気装置が正常に稼働することを使用する場所において確認し、異常が認められた場合は、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。ニ特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始前及び中断時に、作業場及び前室が負圧に保たれていることを確認し、異常が認められた場合は、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。ホ除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。ヘイの規定により隔離を行つた作業場において初めて特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始後速やかに、及び特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始後に集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換した場合その他必要がある場合に随時、使用する集じん・排気装置の排気口において、粉じんを迅速に測定できる機器を用いることにより集じん・排気装置が正常に稼働することを確認し、異常が認められた場合は、直ちに当該除去を中止し、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。ト特定建築材料の除去後、作業場の隔離を解くに当たつては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行った上で、特定粉じんが大気中へ排出され、又は飛散するおそれがないことを確認すること。二令第3条の4第一号に掲げる作業のうち、石綿含有断熱材等を除去する作業であつて、特定建築材料をかき落とし、切断又は破砕以外の方法で除去するもの(五の項に掲げるものを除く。)次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。イ特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。ロ除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。ハ特定建築材料の除去後、養生を解くに当たつては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行うこと。22三令第3条の4第一号又は第二号に掲げる作業のうち、石綿を含有する仕上塗材を除去する作業(五の項に掲げるものを除く。)次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。イ除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。(ロの規定により特定建築材料を除去する場合を除く。)ロ電気グラインダーその他の電動工具を用いて特定建築材料を除去するときは、次に掲げる措置を講ずること。(1)特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。(2)除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。ハ特定建築材料の除去後、作業場内の特定粉じんを清掃すること。この場合において、養生を行ったときは、当該養生を解くに当たつて、作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行うこと。四令第3条の4第一号又は第二号に掲げる作業のうち、石綿を含有する成形板その他の建築材料(吹付け石綿、石綿含有断熱材等及び石綿を含有する仕上塗材を除く。この項の下欄において「石綿含有成形板等」という。)を除去する作業(一の項から三の項まで及び次項に掲げるものを除く。)次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。イ特定建築材料を切断、破砕等することなくそのまま建築物等から取り外すこと。ロイの方法により特定建築材料(ハに規定するものを除く。)を除去することが技術上著しく困難なとき又は令第3条の4第二号に掲げる作業に該当するものとして行う作業の性質上適しないときは、除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。ハ石綿含有成形板等のうち、特定粉じんを比較的多量に発生し、又は飛散させる原因となるものとして環境大臣が定めるものにあつては、イの方法により除去することが技術上著しく困難なとき又は令第3条の4第二号に掲げる作業に該当するものとして行う作業の性質上適しないときは、次に掲げる措置を講ずること。(1)特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生すること。(2)除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。二特定建築材料の除去後、作業場内の特定粉じんを清掃すること。この場合において、養生を行ったときは、当該養生を解くに当たつて、作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行うこと。五令第3条の4第一号に掲げる作業のうち、人が立ち入ることが危険な状態の建築物等を解体する作業その他の建築物等の解体に当たりあらかじめ特定建築材料を除去することが著しく困難な作業作業の対象となる建築物等に散水するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講ずること。六令第3条の4第二号に掲げる作業のうち、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等に係る作業次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等の部分に使用されている特定建築材料の除去若しくは囲い込み等を行うか、又はこれらと同等以上の効果を有する措置を講ずること。イ特定建築材料をかき落とし、切断又は破砕により除去する場合は一の項下欄イからトまでに掲げる事項を遵守することとし、これら以外の方法で除去する場合は二の項下欄イからハまでに掲げる事項を遵守すること。ロ特定建築材料の囲い込み等を行うに当たつては、当該特定建築材料の劣化状態及び下地との接着状態を確認し、劣化が著しい場合又は下地との接着が不良な場合は、当該特定建築材料を除去すること。ハ吹付け石綿の囲い込み若しくは石綿含有断熱材等の囲い込み等(これらの建築材料の切断、破砕等を伴うものに限る。)を行う場合又は吹付け石綿の封じ込めを行う場合は、一の項下欄イからトまでの規定を準用する。この場合において、「除去する」とあるのは「囲い込み等を行う」と、「除去」とあるのは「囲い込み等」と読み替えることとする。【解説】(1)作業計画の作成特定工事の元請業者又は自主施工者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業の開始前に作業計画を作成し、当該計画に基づき特定粉じん排出等作業を行うこととされている。また、届出対象特定工事の作業計画に記載する事項は、作業実施の届出事項と同一である。なお、作業計画は、特定工事を行う場合に作成する必要があるため、石綿含有成形板等や石綿を含有する仕上塗材が使われている建築物の解体等を行う場合にも作成する必要がある。(2)掲示特定粉じん排出等作業の実施の期間や作業の方法等の事項を表示した掲示板を設けることが作業基準に規定(施行規則第16条の4第二号)されていることから、当該掲示板が設けられていない場合は、法第18条の21に規定される作業基準適合命令等の対象になり得るものとなる。当該掲示板は、周辺住民からも見やすい場所に設けられることが望ましい。なお、掲示については、見やすい箇所に、JISA列3番の用紙に相当する、長さ42.0センチメートル、幅29.7センチメートル以上又は長さ29.7センチメートル、幅42.0センチメートル以上の掲示板を設けることとされている。ただし、具体的な様式は定められておらず、他法令等に基づく掲示に追記する形式で表示しても差し支えないものとされており、また、他法令等に基づく掲示の内容と重複する事項を表示する必要もないとされている。掲示板による掲示のほか、デジタルサイネージ等の電子情報処理組織を使用する等の方法があり、インターネットによる掲示の内容の公開も推奨される。(3)作業の記録特定工事の元請業者、自主施工者又は下請負人は、特定工事における施工の分担関係に応じて、当該特定工事における特定粉じん排出等作業の実施状況を記録し、特定工事が終了するまでの間保存することとされている。なお、当該記録は電磁的記録を使用して保存することも可能である。当該記録は、作業基準に定める、集じん・排気装置の正常な稼働、負圧の状況、除去又は囲い込み、封じ込め(以下囲い込み及び封じ込めを「囲い込み等」という。)の完了及び隔離解除前の大気中への特定粉じんの排出等のおそれがないことの確認の結果等も含まれる。また、大防法第18条の23第1項又は第2項に規定する記録を作成する際に活用するものであるため、作業基準の各規定に対応した当該作業の実施状況がそれぞれ確認できるよう、写真、動画等を使用して作成する。また、作業の途中で作業の計画に変更が生じた場合は、当該変更の内容を記録する。(4)作業が適切に行われていることの確認当該確認は、除去又は囲い込み等の実施中に適宜行うとともに、除去又は囲い込み等が終了したときに行うものである。特定工事の元請業者は、各下請負人が作成した特定粉じん排出等作業の記録をとりまとめて大防法第18条の23第1項に規定する記録を作成する。なお、下請負人に特定工事を請け負わせていない場合の特定工事の元請業者又は特定工事の自主施工者は、自ら特定粉じん排出等作業の実施状況に関する記録を作成することを通じて、作業が適切に行われて23いることを確認する。(5)除去又は囲い込み等の完了の確認「作業が完了したことの確認」とは、除去にあっては、特定建築材料の取り残しがないこと、囲い込み等にあっては、囲い込み等が適切に行われ石綿の飛散のおそれがないことを確認することをいう。「確認を適切に行うために必要な知識を有する者」とは、建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程(平成30年厚生労働省・国土交通省・環境省告示第1号、令和5年3月27日一部改正。以下「登録規程」という。)第2条第2項に規定する一般建築物石綿含有建材調査者(以下「一般調査者」という。)、同条第3項に規定する特定建築物石綿含有建材調査者(以下「特定調査者」という。)、同条第4項に規定する一戸建て等石綿含有建材調査者(以下「一戸建て等調査者」という。)、同条第5項に規定する工作物石綿事前調査者(以下「工作物調査者」という。)、これらの者と同等以上の能力を有すると認められる者(以下「調査者等」という。)及び当該特定工事に係る石綿作業主任者(石綿則第19条に規定する者をいう。以下同じ。)をいう。ただし、工作物調査者の規定は令和8年1月1日から適用されるが、それ以前でも特定建築材料が使用されているおそれが高いものとして環境大臣が定める工作物(以下「特定工作物」という。)における作業が完了したことの確認は、調査者等や石綿作業主任者に行わせることが望ましい。また、一戸建て等調査者に確認を行わせることができるのは、一戸建ての住宅及び共同住宅の住戸の内部に限る。なお、解体等工事の自主施工者である個人(解体等工事を業として行う者を除く。)は、建築物等の改造又は補修の作業であって、排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事を施工する場合には、自ら当該確認を行うことができる。「排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事」とは、床、壁、天井等への家具の固定のための穴開け等の特定建築材料の一部を加工する作業のみを伴うような建設工事をいい、個人が事前調査を行う場合の負担や石綿飛散の蓋然性を踏まえ、このような作業については必ずしも調査者等又は当該工事に係る石綿作業主任者に確認を行わせることを要しないこととされた。ただし、個人であっても、調査者等又は石綿作業主任者に確認を行わせることが望ましい。(6)作業の方法特定粉じん排出等作業は次の6種類に場合分けされており、それぞれの場合に対して適用される基準が定められている(施行規則第16条の4及び別表第7)。また、これらの方法に代えて、同等以上の効果を有する別の措置を講じてもよいこととされている。すなわち、特定建築材料の種類や状態、作業箇所の状況によっては、作業場全体を隔離し負圧に保つ等の通常の作業方法によらず、これと同等以上の効果を有する措置(例えば、配管の一部に使用された保温材を除去する際に、当該作業箇所を局所的に隔離するための袋状の用具(いわゆるグローブバッグ)を使用して密封状態を保ったまま保温材を除去する等)を講ずることを許容するものである。これは、解体等の対象となる工作物の特性や建築物等の状態の違い、今後の飛散防止技術の進展等に対応できるよう作業基準に柔軟性を持たせる趣旨で規定されているものである。1)建築物等を解体する作業のうち吹付け石綿及び石綿含有断熱材等を除去する作業(二の項又は五の項を除く。):施行規則別表第7(一の項)吹付け石綿等の特定建築材料を除去しないまま建築物等の解体を行った場合には、周辺環境へ石綿が飛散することとなるため、建築物等を解体する前に、隔離、前室の設置、集じん・排気装置の使用、負圧化、湿潤化等の適切な飛散防止対策を講じつつ除去することにより、解体工事に伴う石綿の飛散防止を図ることとされている。また、集じん・排気装置の不具合等を原因とする石綿の飛散事例が散見されたことから、集じん・排気装置が正常に稼働することの確認について、隔離を行った作業場において初めて特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始前後に加え、特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始後に集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換した場合その他必要がある場合に随時、使用する集じん・排気装置の排気口において、粉じんを迅速に測定できる機器を用いることにより行うこととされた。「集じん・排気装置に付けたフィルタ」とは、HEPAフィルタ、1次フィルタ及び2次フィルタをいう。「その他必要がある場合」とは、作24業中に集じん・排気装置にぶつかるなど集じん・排気装置に衝撃を与えた場合等をいう。「集じん・排気装置の排気口において、粉じんを迅速に測定できる機器を用いることにより集じん・排気装置が正常に稼働することを確認」とは、排気口のダクト内部の粉じん濃度を測定し、粉じんが検出されないこと、又は特定建築材料の除去の開始前に集じん・排気装置を稼働させ、排気口のダクト内部の粉じん濃度が一定濃度まで下がって安定したことを確認の上、当該除去の開始後に排気口のダクト内部の粉じん濃度が当該除去の開始前と比較して上昇していないことを確認することをいい、当該除去中に定期的に確認することが望ましい。この場合において、「粉じんを迅速に測定できる機器」には、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)、パーティクルカウンター、繊維状粒子自動測定器(リアルタイムファイバーモニター)が含まれる。作業場及び前室が負圧に保たれていることの確認について、特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始前に加え、除去の中断時に行うこととされた。「中断時」とは、休憩や作業の中断により作業場から作業員が退室した時、当該除去を行う日における除去の終了時等をいう。なお、「作業場及び前室が負圧に保たれていることを確認」には、集じん・排気装置を稼働させた状態で、微差圧計による測定、目視により空気の流れを確認すること等の方法が含まれる。特定建築材料の除去後、作業場の隔離を解くに当たっては、特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液等を散布するとともに作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行った上で、大気中への特定粉じんの排出等のおそれがないことを確認することとされた。「大気中への特定粉じんの排出等のおそれがないことを確認」とは、清掃、作業場内の空気中に浮遊している石綿の集じん等を行った上で、位相差顕微鏡法や繊維状粒子自動測定器による総繊維数濃度の測定による確認等をいう。2)建築物等を解体する作業のうち、石綿含有断熱材等を除去する作業であって、特定建築材料をかき落とし、切断又は破砕以外の方法で除去するもの(五の項を除く。):施行規則別表第7(二の項)石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材(吹付け石綿を除く。)を除去する作業において、当該特定建築材料を原形のまま取り外す等、掻き落とし、切断、又は破砕以外の方法で除去する場合(五の項を除く。)にあっては、作業場の隔離や作業場の出入口への前室の設置等までは義務付けられておらず、特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生することや除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること等が義務付けられている。3)建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業のうち、石綿を含有する仕上塗材を除去する作業(五の項を除く。):施行規則別表第7(三の項)除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化した上で、当該特定建築材料を除去することとされている。ただし、電気グラインダーその他の電動工具を用いて特定建築材料を除去するときは、除去する特定建築材料の薬液等による湿潤化に加え、特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生する。「薬液等により湿潤化」には、特定建築材料を湿潤な状態にできれば、水や剥離剤による湿潤化も含む。「養生」とは、屋内の作業において作業場の壁面や床等をプラスチックシート等で覆うことや、屋外の作業において作業場の周囲をパネル、プラスチックシート等で囲うことをいい、作業場の負圧管理は要しない。「電気グラインダーその他の電動工具」とは、ディスクグラインダー又はディスクサンダーをいうが、高圧水洗工法、超音波ケレン工法等を用いる場合についても各作業現場の状況に応じて湿潤化に加えて養生を行うことが望ましい。また、当該特定建築材料の除去後、作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行う(養生を行ったときは、養生を解くに当たって行う)。なお、これらの方法に代えて、同等以上の効果を有する別の措置を講じてもよいこととされており、作業場を隔離し、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等を除去する場合の作業方法(施行規則別表第7の一の項下欄)を採用することも可能であり、また、「除じん性能を有する電動工具を使用すること」を「除去する建材を薬液等により湿潤化すること」と同等以上の効果を有する措置として取り扱って差し支えない。4)建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業のうち、石綿含有成形板等を除去する作業(一25~三及び五の項を除く:施行規則別表第七(四の項)切断、破砕等することなくそのまま建築物等から取り外すことで当該建築材料を除去することとされている。ただし、そのまま建築物等から取り外すことが技術上著しく困難なとき又は建築物等を改造し、若しくは補修する作業の性質上適しないときは、除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化する。この場合において、除去する特定建築材料が石綿含有けい酸カルシウム板第1種であるときは、当該特定建築材料の薬液等による湿潤化に加え、当該特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生する。また、当該特定建築材料の除去後、作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行う(養生を行ったときは、養生を解くに当たって行う)。「切断、破砕等することなくそのまま建築物等から取り外す」とは、固定具等を取り外すこと、母材等と一体として取り外すこと等により、特定建築材料を切断、破砕等せずに建築物等から除去することをいう。そのまま建築物等から取り外すことが「技術上著しく困難なとき」とは、特定建築材料や固定具が劣化している場合、特定建築材料の大きさ、重量、施工箇所等によって取り外しが物理的に困難な場合など、除去する特定建築材料や作業場の状況等によって切断、破砕等せざるを得ない場合をいう。「建築物等を改造し、又は補修する作業の性質上適しないとき」については、床や壁として使用されている特定建築材料の一部を除去する場合も「除去」に含まれることから、このように特定建築材料の一部を加工する建築物等の改造又は補修の作業を行う場合等をいう。なお、これらの方法に代えて、同等以上の効果を有する別の措置を講じてもよいこととされており、作業場を隔離し、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等を除去する場合の作業方法(新規則別表第7の一の項下欄)を採用することも可能であり、また、「除じん性能を有する電動工具を使用すること」を「除去する建材を薬液等により湿潤化すること」と同等以上の効果を有する措置として取り扱って差し支えない。5)建築物等を解体する作業のうち、あらかじめ特定建築材料を除去することが著しく困難な作業:施行規則別表第7(五の項)当該建築物等が、一部崩壊していたり、傾いている等の状態にあり、除去すべき特定建築材料に作業者が近づけない等、一の項や二の項による基準に従った特定建築材料の除去ができない場合に散水等の可能な対応を図ることを求めるものとされている。この作業に該当するか否かについては、個別事例に応じ、新規則別表第7の一の項の下欄に掲げる作業基準を遵守することが可能な状態の建築物かどうかを踏まえ都道府県等が判断する。6)建築物等を改造し、又は補修する作業のうち吹付け石綿及び石綿含有断熱材等に係る作業:施行規則別表第7(六の項)改造し、又は補修する場合には、解体する場合と異なり、改造又は補修箇所の状況等に応じてさまざまな工法を選択することができる。特定建築材料を除去する場合は、一の項又は二の項による基準を遵守することとされている。掻き落とし、切断、又は破砕以外の方法で吹付け石綿を除去する場合、建築物等の改造又は補修の際に限り、施行規則別表第7の二の項下欄に掲げる事項で足りることとされた。しかし、機械等を使用する可能性のある建築物等の解体においては、吹付け石綿が使用されている建築物等からの当該特定建築材料の除去において、施行規則別表第7の二の項下欄に掲げる方法では、従来どおり不十分とされている。実際に行われている方法は、除去のほか、特定建築材料を板等で完全に覆う囲い込み工法及び特定建築材料に薬剤を吹き付け、固化する封じ込め工法がある。一般に、囲い込み又は封じ込める場合は、除去する場合と比べ石綿の飛散の程度は大きくないと考えられるが、アンカーボルトを打ち込む場合や特定建築材料の劣化・損傷の状態によっては、除去と同程度に特定粉じんの飛散するおそれがある。「囲い込み」、「封じ込め」とは、次の作業をいう。なお、吹付け石綿の囲い込み若しくは石綿含有断熱材等の囲い込み等(これらの建築材料の切断、破砕等を伴うものに限る。)を行う場合又は吹付け石綿の封じ込めを行う場合は、作業時に石綿が飛散するおそれが大きいため、施行規則別表第7の一の項下欄の方法で行うこととされている。「切断、破砕等」には、切断又は破砕のほか、作業時の振動によって石綿の飛散のおそれがある場合の振動も含まれる。【囲い込み】大気への特定粉じんの排出及び飛散が生じないようにしながら特定建築材料が露出しないよう板状の材料で2627完全に覆う等して、特定粉じんの飛散防止及び特定建築材料の損傷防止を図ること。【封じ込め】大気への特定粉じんの排出及び飛散が生じないようにしながら特定建築材料の表面又は内部に固化剤を浸透させる等して、特定粉じんの飛散防止及び特定建築材料の損傷防止を図ること。特定建築材料の囲い込み又は封じ込めを行うに当たり、囲い込み板の取り付け、薬剤の吹き付け等の作業に伴い特定粉じんが飛散するおそれがある場合には、吹付け石綿については施行規則別表第7の一の項下欄、石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材については施行規則別表第7の二の項下欄に各々掲げられた作業基準に準じた措置を講ずる必要がある。なお、囲い込み又は封じ込めを行うにあたっては、当該部分の特定建築材料の状態(劣化状態、下地との接着状態)を確認し、状態不良と認められる場合には、除去を行う必要があり、この場合、除去を行うにあたっては、除去作業に係る一の項又は二の項の基準を遵守しなければならない。2.2.5解体等工事に係る調査大気汚染防止法(解体等工事に係る調査及び説明等)第18条の15建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事(以下「解体等工事」という。)の元請業者(発注者(解体等工事の注文者で、他の者から請け負つた解体等工事の注文者以外のものをいう。以下同じ。)から直接解体等工事を請け負つた者をいう。以下同じ。)は、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて、設計図書その他の書面による調査、特定建築材料の有無の目視による調査その他の環境省令で定める方法による調査を行うとともに、環境省令で定めるところにより、当該解体等工事の発注者に対し、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。一当該調査の結果二当該解体等工事が特定工事に該当するとき(次号に該当するときを除く。)は、当該特定工事に係る次に掲げる事項イ特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積ロ特定粉じん排出等作業の種類ハ特定粉じん排出等作業の実施の期間ニ特定粉じん排出等作業の方法三当該解体等工事が第18条の17第1項に規定する届出対象特定工事に該当するときは、当該届出対象特定工事に係る次に掲げる事項イ前号に掲げる事項ロ前号ニに掲げる特定粉じん排出等作業の方法が第18条の19各号に掲げる措置を当該各号に定める方法により行うものでないときは、その理由四前三号に掲げるもののほか、環境省令で定める事項2~6(略)大気汚染防止法施行規則(解体等工事に係る調査の方法)第16条の5法第18条の15第1項の環境省令で定める方法は、次のとおりとする。一設計図書その他の書面による調査及び特定建築材料の有無の目視による調査を行うこと。ただし、解体等28工事が次に掲げる建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事に該当することが設計図書その他の書面により明らかであつて、当該建築物等以外の建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴わないものである場合は、この限りではない。イ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等(ロからホまでに掲げるものを除く。)ロ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した非鉄金属製造業の用に供する施設の設備(配管を含む。以下この号において同じ。)であつて、平成19年10月1日以後にその接合部分にガスケットを設置したものハ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した鉄鋼業の用に供する施設の設備であつて、平成21年4月1日以後にその接合部分にガスケット又はグランドパッキンを設置したものニ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した化学工業の用に供する施設の設備であつて、平成23年3月1日以後にその接合部分にグランドパッキンを設置したものホ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した化学工業の用に供する施設の設備であつて、平成24年3月1日以後にその接合部分にガスケットを設置したもの二解体等工事(特定建築材料が使用されているおそれが大きいものとして環境大臣が定める工作物以外の工作物に係る工事にあっては、塗料その他の石綿が使用されているおそれのある材料の除去の作業を伴うものに限る。)に係る前号に規定する調査(前号ただし書に規定する場合を除く。)については、当該調査を適切に行うために必要な知識を有する者として環境大臣が定める者に行わせること。ただし、当該解体等工事の自主施工者である個人(解体等工事を業として行う者を除く。)は、建築物等を改造又は補修する作業であつて、排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事を施工する場合には、自ら当該調査を行うことができる。三第一号に規定する調査により解体等工事が特定工事に該当するか否かが明らかにならなかつたときは、分析による調査を行うこと。ただし、当該解体等工事が特定工事に該当するものとみなして、法及びこれに基づく命令中の特定工事に関する措置を講ずる場合は、この限りでない。(解体等工事に係る説明の時期)第16条の6法第18条の15第1項の規定による説明は、解体等工事の開始の日までに(当該解体等工事が届出対象特定工事に該当し、かつ、特定粉じん排出等作業を当該届出対象特定工事の開始の日から14日以内に開始する場合にあつては、当該特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前までに)行うものとする。ただし、災害その他非常の事態の発生により解体等工事を緊急に行う必要がある場合にあつては、速やかに行うものとする。(解体等工事に係る説明の事項)第16条の7法第18条の15第1項第四号の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。一法第18条の15第1項又は第4項の規定による調査(以下「事前調査」という。)を終了した年月日二事前調査の方法三第16条の5第二号に規定する調査を行つたときは、当該調査を行つた者の氏名及び当該者が同号に規定する環境大臣が定める者に該当することを明らかにする事項四解体等工事が届出対象特定工事以外の特定工事に該当するときは、第10条の4第2項第二号及び第三号に掲げる事項五解体等工事が届出対象特定工事に該当するときは、第10条の4第2項各号に掲げる事項【解説】(1)事前調査の対象事前調査の対象は、「建築物等の解体等工事」とされており、様々な工事が含まれる。これらの義務の対象範囲は、令和2年11月30日付環水大大発第2011301号通知「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行等について(通知)に明確にされており、石綿則の令和2年8月4日付基発0804第8号厚生労働省労働基準局長通知「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について」と同様である。詳細については4.3.1及び4.3.2に記載した。(2)事前調査の方法解体等工事の元請業者又は自主施工者が行う事前調査の方法として、まず、設計図書その他の書面による調査及び現地での特定建築材料の有無の目視による調査を行う。「設計図書その他の書面による調査」とは、設計図書等の確認による、解体等工事に係る建築物等の設置の工事に着手した日の調査、使用されている建築材料の種類の調査、使用されている建築材料のうち石綿が使用されている可能性があるものについて、石綿(アスベスト)含有建材データベース等を使用した石綿の含有の有無の調査等をいう。「特定建築材料の有無の目視による調査」とは、解体等工事に係る建築物等において設計図書と異なる点がないか、現地において建築材料に印字されている製品名や製品番号等を確認すること、特定建築材料に該当する可能性のある建築材料を特定すること等をいう。事前調査は、解体等工事に係る建築物等の全ての部分について行うものであり、当該建築物等の構造上、解体等工事に着手する前に目視することができない箇所があった場合、着手した後に目視が可能となった時点で調査を行うともに、調査結果を都道府県等へ速やかに報告する。ただし、平成18(2006)年9月1日以降は石綿の新たな使用が禁止されていることから、解体等工事が次の建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事に該当することが設計図書その他の書面により明らかであって、当該建築物等以外の建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴わないものである場合は、その後の書面による調査及び目視による調査は要しないこととされている。・平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等(以下の工作物を除く。)・平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した非鉄金属製造業の用に供する施設の設備(配管を含む。以下同じ。)であって、平成19(2007)年10月1日以後にその接合部分にガスケットを設置したもの・平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した鉄鋼業の用に供する施設の設備であって、平成21(2009)年4月1日以後にその接合部分にガスケット又はグランドパッキンを設置したもの・平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した化学工業の用に供する施設の設備であって、平成23(2011)年3月1日以後にその接合部分にグランドパッキンを設置したもの・平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した化学工業の用に供する施設の設備であって、平成24(2012)年3月1日以後にその接合部分にガスケットを設置したものその上で、書面による調査及び現地での目視による調査により解体等工事が特定工事に該当するか否かが明らかにならなかったときは、分析による調査を行う。ただし、当該解体等工事が特定工事に該当するものとみなして、法及びこれに基づく命令中の特定工事に関する措置を講ずる場合は、分析による調査は要しない。分析方法については、JISA1481-1、A1481-2、A1481-3、A1481-4等がある。「当該解体等工事が特定工事に該当するものとみなして、法及びこれに基づく命令中の特定工事に関する措置を講ずる」とは、解体等工事に係る建築物等の部分における各建築材料(吹付け石綿を含む)について、その種類に応じた特定建築材料に該当するものとみなし、法及びこれに基づく命令中の当該特定建築材料の種類に係る特定工事に関する措置を講ずることをいう。なお、事前調査は、石綿則第3条第1項及び第5項の規定に基づく事前調査等と兼ねて実施しても差し支えないものであり、また、解体等工事の対象となる建築物等の同一箇所について、過去に大防法及びこれに基づく命令に定める方法により事前調査(建築物に係る書面による調査及び現地での目視による調査にあっては、一29定の知見を有する者が行ったものに限る。)を行っている場合は、その結果を活用することを妨げるものではない。(3)調査を適切に行うために必要な知識を有する者解体等工事の元請業者又は自主施工者は、建築物を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事(解体等工事が、平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事に該当することが設計図書その他等の書面により明らかであって、当該建築物以外の建築物を解体し、改造し、又は補修する作業を伴わないものである場合(以下「平成18(2006)年9月1日以降の建築物の場合」という。)を除く。)に係る書面による調査及び現地での目視による調査については、一般調査者、特定調査者、又はこれらの者と同等以上の能力を有すると認められる者に行わせることとされた。また、登録規程第2条第4項に規定する一戸建ての住宅及び共同住宅の住戸の内部については、上記の者に加え、一戸建て等調査者に調査を行わせることができることとされた。なお、解体等工事に係る建築物の設置の工事に着手した日を設計図書その他の書面により調査するに当たっては、必ずしも調査者等を活用することは要しない。平成29(2017)年11月20日付環水大大発第1711201号環境省水・大気環境局大気環境課長通知「事前調査の不徹底により石綿含有建材が把握されずに建築物等の解体等工事が開始された事案等について」において、石綿に関する一定の知見を有し、的確な判断ができる者には、一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者が含まれるものとしてきたことを踏まえ、「同等以上の能力を有すると認められる者」とは、義務付け適用前までに一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者が該当する。一般調査者及び特定調査者については、いずれの建築物の調査も行わせることができることとされているが、使用されている可能性がある石綿含有材料の種類が多岐に亘るような大規模建築物又は改修を繰り返しており石綿含有材料の特定が難しい建築物については、特定調査者又は一定の実地経験を積んだ一般調査者に行わせることが望ましい。工作物に係る解体等工事の事前調査について、特定建築材料が使用されているおそれが大きい工作物に係る解体等工事及びその他の工作物に係る解体等工事のうち塗料その他の石綿を含有するおそれのある建築材料の除去の作業を伴うものについては、大防法施行規則第16条の5第一号ただし書きに規定する場合を除き、工作物の種類に応じて、工作物調査者、一般調査者、特定調査者、又はこれらのものと同等以上の能力を有すると認められる者に行わせることとされた。当該者に調査を行わせる義務については、令和8年(2026年)1月1日から施行されることとされているが、義務付け適用以前においても、事前調査は調査者等に行わせることが望ましい。分析による調査については、石綿則第3条第6項の規定により、適切に分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定めるもの(石綿障害予防規則第3条第6項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者等(令和2年厚生労働省告示第277号))に行わせなければならない。(4)一般個人による事前調査(3)にかかわらず、解体等工事の自主施工者である個人(解体等工事を業として行う者を除く。)は、建築物の改造又は補修の作業であって、排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事を施工する場合には、自ら当該調査を行うことができることとされている。「排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事」とは、床、壁、天井等への家具の固定のための穴開け等の特定建築材料の一部を加工する作業のみを伴うような建設工事をいい、個人が事前調査を行う場合の負担や石綿飛散の蓋然性を踏まえ、このような作業については必ずしも調査者等に調査を行わせることを要しないこととされたものである。ただし、個人であっても、作業基準の遵守義務等、法の規制の対象であり、当該作業を伴う建設工事を特定工事とみなして大防法及びこれに基づく命令中の特定工事に関する措置を講ずるか、又は調査者等に調査を行わせることが望ましい。30(5)解体等工事に係る説明解体等工事の元請業者が当該解体等工事の発注者に対して書面に記載して説明する事項は、次のとおり。当該説明は、解体等工事の開始の日までに(当該解体等工事が届出対象特定工事に該当し、かつ、特定粉じん排出等作業を当該届出対象特定工事の開始の日から14日以内に開始する場合にあっては、当該特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前までに)行うこととされている。ただし、災害その他非常の事態の発生により解体等工事を緊急に行う必要がある場合は、当該説明を調査の実施後速やかに行うものとされている。説明に当たっては、電磁的方法により書面を発行し説明することができる。また、事前調査に関する記録は、元請業者が解体等工事の終了した日から3年間保存しなければならないが、電磁的記録を使用して保存することができる。【事前調査に係る説明事項】説明事項は下表のとおり。「事前調査の結果」とは、特定工事に該当するか否か及びその根拠、「事前調査の方法」とは、書面による調査、現地での目視による調査、分析による調査及び調査者等に調査を行わせたこと、「調査者等に該当することを明らかにする事項」とは、当該調査を行った者が登録規程に基づく講習を受講した講習実施機関の名称(一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者については、その旨)をいう。なお、事前調査の段階では調査が困難な箇所があった場合には、当該箇所とともにその理由をあわせて発注者に対して説明することが望ましい。表2.2.2事前調査に係る説明事項根拠説明事項特定工事該当届出対象特定工事非該当特定工事非該当法第一事前調査の結果届出対象特定工事該当○○○―○○18二イ建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積条のロハ特定粉じん排出等作業の種類特定粉じん排出等作業の実施の期間―○○―○○15ニ特定粉じん排出等作業の方法三ロ特定粉じん排出等作業の方法が法第18条の19各号に掲げる措置を当該各号に定める方法により行うものでないときは、その理由―○○――○二事前調査の方法四施行規則第一事前調査を終了した年月日○○○三施行規則第16条の5第二号に規定する調査を行つたときは、当該調査を行つた者の氏名及び当該者が同号に規定する環境大臣が定める者に該当することを明らかにする事項○○○○○○16条の7五特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況四五――○特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要四五―○○特定工事の元請業者の現場責任者の氏名及び連絡場所五下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所―○○――○31322.2.6調査結果の説明等大気汚染防止法(解体等工事に係る調査及び説明等)第18条の15(略)2解体等工事の発注者は、当該解体等工事の元請業者が行う前項の規定による調査に要する費用を適正に負担することその他当該調査に関し必要な措置を講ずることにより、当該調査に協力しなければならない。3解体等工事の元請業者は、環境省令で定めるところにより、第1項の規定による調査に関する記録を作成し、当該記録及び同項に規定する書面の写しを保存しなければならない。4解体等工事の自主施工者(解体等工事を請負契約によらないで自ら施工する者をいう。以下同じ。)は、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて、第1項の環境省令で定める方法による調査を行うとともに、前項の環境省令で定めるところにより、当該調査に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。5解体等工事の元請業者又は自主施工者は、第1項又は前項の規定による調査に係る解体等工事を施工するときは、環境省令で定めるところにより、前2項に規定する記録の写しを当該解体等工事の現場に備え置き、かつ、当該調査の結果その他環境省令で定める事項を、当該解体等工事の現場において公衆に見やすいように掲示しなければならない。6(略)大気汚染防止法施行規則(解体等工事に係る調査に関する記録等)第16条の8法第18条の15第3項及び第4項に規定する記録は、次に掲げる事項(解体等工事に係る建築物等が第16条の5第一号イからホまでに掲げるもののいずれかに該当する場合にあつては、第一号から第五号までに掲げる事項に限る。)について作成し、これを解体等工事が終了した日から3年間保存するものとする。一解体等工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名二解体等工事の場所三解体等工事の名称及び概要四前条第一号及び第二号に掲げる事項五解体等工事に係る建築物等の設置の工事に着手した年月日(解体等工事に係る建築物等が第16条の5第一号ロからホまでに掲げるもののいずれかに該当する場合にあつては、これに加えて、これらの規定に規定する建築材料を設置した年月日)六解体等工事に係る建築物等の概要七解体等工事が建築物等を改造し、又は補修する作業を伴う建設工事に該当するときは、当該作業の対象となる建築物等の部分八第16条の5第二号に規定する調査を行つたときは、当該調査を行つた者の氏名九分析による調査を行つたときは、当該調査を行つた箇所並びに当該調査を行つた者の氏名及び所属する機関又は法人の名称十解体等工事に係る建築物等の部分における各建築材料が特定建築材料に該当するか否か(第16条の5第三号ただし書の規定により解体等工事が特定工事に該当するものとみなした場合にあつては、その旨)及びその根拠2第16条の5第二号に規定する調査を行つたときは、前項の記録を、前項第八号に規定する者が第16条の5第二号に規定する環境大臣が定める者に該当することを証明する書類の写しとともに保存するものとする。3法第18条の15第3項に規定する書面の写しは、解体等工事が終了した日から3年間保存するものとする。(解体等工事に係る掲示の方法)第16条の9法第18条の15第5項の規定による掲示は、長さ42.0センチメートル、幅29.7センチメートル以上又は長さ29.7センチメートル、幅42.0センチメートル以上の掲示板を設けることにより行うものとする。(解体等工事に係る掲示の事項)第16条の10法第18条の15第5項の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。一解体等工事の元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名二第16条の7第一号及び第二号に掲げる事項三解体等工事が特定工事に該当する場合は、特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類【解説】(1)解体等工事に係る調査への協力特定工事に該当するか否かの調査の実施に当たっては、解体等工事の発注者の意向が大きく作用する。このため、当該調査が適切に実施されるよう、解体等工事の発注者は、当該解体等工事の元請業者が行う当該調査に要する費用を適正に負担することその他当該調査に関し必要な措置を講ずることにより、当該調査に協力しなければならない。(2)事前調査に関する記録解体等工事の元請業者又は自主施工者は、事前調査に関する記録を作成し、解体等工事が終了した日から3年間保存しなければならない。また、建築物を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事の書面による調査及び現地での目視による調査を行ったとき(平成18(2006)年9月1日以降の建築物の場合を除く。)は、調査を行った者が調査者等に該当することを証明する書類の写しとともに当該記録を保存することとされている。「調査を行った者が調査者等に該当することを証明する書類」とは、当該者が登録規程に基づく講習を受講した講習実施機関から発行された講習修了証(一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者については、当該協会から発行された登録証)をいう。また、「事前調査に関する記録」、「調査を行った者が調査者等に該当することを証明する書類」ともに、電磁的記録を使用して保存することができる。記録事項としては、表2.2.3のとおり。「解体等工事に係る建築物等の概要」とは、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造等の建築物等の構造、階数、延べ面積等をいう。なお、「解体等工事に係る建築物等の工事に着手した年月日」については、工事年代によっては正確な年月日までは把握できない場合も想定されるため、平成18(2006)9月1日以降の建築物等かどうかであることを確認できる程度の記載があればよい。なお、解体等工事の自主施工者である個人(解体等工事を業として行う者を除く。)は、建築物等の改造又は補修の作業であって、排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事を施工する場合のうち、当該建設工事が特定工事であるとみなす場合には、当該工事に係る建築物等の部分の工事着手前の写真及び作業の様子を撮影して当該写真を設計図書その他の書面とともに保存するなど簡易な方法により事前調査に関する記録を作成・保存することができる。33表2.2.3事前調査に関する記録事項施行規則根拠記録事項設計図書等に記載されている設置年月日により明らかに石綿非含有と判明した場合※1第左記以外の場合○○16一解体等工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名条の8二解体等工事の場所三解体等工事の名称及び概要○○四事前調査を終了した年月日○○○○事前調査の方法五解体等工事に係る建築物等の設置の工事に着手した年月日○○○○建築材料を設置した年月日六解体等工事に係る建築物等の概要○※2――七解体等工事が建築物等を改造し、又は補修する作業を伴う建設工事に該当するときは、当該作業の対象となる建築物等の部分○―八第16条の5第二号に規定する調査を行つたときは、当該調査を行つた者の氏名○―九分析による調査を行つたときは、当該調査を行つた箇所並びに当該調査を行つた者の氏名及び所属する機関又は法人の名称○―十解体等工事に係る建築物等の部分における各建築材料が特定建築材料に該当するか否か(特定工事に該当するものとみなした場合にあつては、その旨)及びその根拠○―○※1解体等工事に係る建築物等が第16条の5第一号イからホまでに掲げるもののいずれかに該当する場合※2解体等工事に係る建築物等が第16条の5第一号ロからホまでに掲げるもののいずれかに該当する場合に限る。(3)解体等工事に係る掲示調査を行った者である解体等工事の元請業者及び自主施工者は、当該調査に係る解体等工事を施工するときは、掲示板を設けることにより、調査の結果、調査を行った者の氏名又は名称及び住所(法人の場合は、その代表者の氏名も加える。)、調査を終了した年月日、調査の方法並びに解体等工事が特定工事に該当する場合は、特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類を、当該解体等工事の場所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。当該掲示については、JISA列3番の用紙に相当する、長さ42.0センチメートル、幅29.7センチメートル以上又は長さ29.7センチメートル、幅42.0センチメートル以上の掲示板を設けることとされている。ただし、具体的な様式を定めておらず、他法令等に基づく掲示に追記する形式で表示しても差し支えない。また、他法令等に基づく掲示の内容と重複する事項を表示する必要はない。掲示板による掲示のほか、デジタルサイネージ等の電子情報処理組織を使用する等の方法があり、インターネットによる掲示の内容の公開も推奨される。34352.2.7事前調査結果の都道府県等への報告大気汚染防止法(解体等工事に係る調査及び説明等)第18条の15(略)6解体等工事の元請業者又は自主施工者は、第1項又は第4項の規定による調査を行つたときは、遅滞なく、環境省令で定めるところにより、当該調査の結果を都道府県知事に報告しなければならない。(罰則)第35条次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、30万円以下の罰金に処する。一~三(略)四第18条の15第6項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。五(略)大気汚染防止法施行規則(解体等工事に係る調査の結果の報告)第16条の11法第18条の15第6項の規定による報告は、次のいずれかに掲げる解体等工事に係る事前調査について行うものとする。一建築物を解体する作業を伴う建設工事であつて、当該作業の対象となる床面積の合計が80平方メートル以上であるもの二建築物を改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であつて、当該作業の請負代金(解体等工事の自主施工者が施工するものについては、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額。次号及び次項第五号において同じ。)の合計額が100万円以上であるもの三工作物(第16条の5第二号の環境大臣が定める工作物に限る。)を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であつて、当該作業の請負代金の合計額が100万円以上であるもの2法第18条の15第6項の規定による報告は、次に掲げる事項(解体等工事に係る建築物等が第16条の5第一号イからホまでに掲げるもののいずれかに該当する場合にあつては、第一号から第四号までに掲げる事項(第16条の7第三号並びに第16条の8第1項第六号及び第九号に掲げる事項を除く。)に限る。)について行うものとする。一解体等工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名二第16条の7第一号及び第三号並びに第16条の8第1項第二号、第三号、第五号、第六号及び第九号に掲げる事項三解体等工事の実施の期間四解体等工事が前項第一号に掲げる建設工事に該当するときは、同号に規定する作業の対象となる床面積の合計五解体等工事が前項第二号又は第三号に掲げる建設工事に該当するときは、これらの規定に規定する作業の請負代金の合計額六解体等工事に係る建築物等の部分における建築材料の種類七前号に規定する建築材料が特定建築材料に該当するか否か(第16条の5第三号ただし書の規定により解体等工事が特定工事に該当するものとみなした場合にあつては、その旨)及び該当しないときは、その根拠の概要八解体等工事が特定工事に該当するときは、当該特定工事における特定粉じん排出等作業の開始時期3建築物等の解体等工事を同一の者が2以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを1の契約で請け負つたものとみなして、第1項の規定を適用する。4法第18条の15第6項の規定による報告は、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号)第6条第1項の規定に基づき、電子情報処理組織(同項に規定する電子情報処理組織をいう。以下この項において同じ。)を使用する方法により行うものとする。ただし、電子情報処理組織の使用が困難な場合は、様式第3の4による報告書によつて行うことをもつてこれに代えることができる。【解説】解体等工事の元請業者又は自主施工者は、事前調査を行ったときには、遅滞なく、当該調査の結果を都道府県知事に報告しなければならない。また、当該報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、30万円以下の罰金が規定されている。「遅滞なく」とは、事前調査後に調査結果の整理など必要な作業を行った上で速やかに報告することをいい、遅くとも解体等工事に着手する前に報告する。ただし、解体等工事に係る建築物等の構造上、解体等工事に着手する前に目視することができない箇所があった場合、着手した後に目視が可能となった時点で調査を行い、再度報告を行う。(1)報告の対象事前調査結果等の報告は、次のいずれかの解体等工事に係る事前調査について行う。・建築物を解体する作業を伴う建設工事であって、当該作業の対象となる床面積の合計が80平方メートル以上であるもの・建築物を改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であって、当該作業の請負代金(解体等工事の自主施工者が施工するものについては、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額。以下同じ。)の合計が100万円以上であるもの・工作物(特定建築材料が使用されているおそれが大きいものとして環境大臣が定めるものに限る。)を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であって、当該作業の請負代金の合計が100万円以上であるもの「請負代金の合計」とは、材料費も含めた作業全体の請負代金の額をいい、事前調査の費用は含まないが、消費税を含む額とする。「特定建築材料が使用されているおそれの大きいものとして環境大臣が定める」工作物とは、特定建築材料が使用されているおそれが大きいものとして環境大臣が定める工作物(令和2年環境省告示第77号、令和5年6月23日一部改正)に規定するものをいう。なお、以下の工作物については、それぞれ以下のとおりとされている。・配管設備(第四号関係)配管設備には、農業用パイプラインを含み、水道管は含まないこと。・送電設備(第十一号関係)送電設備のケーブルは、延焼防止用の塗料やシール材に石綿等が使用されていたという報告があるため、対象に含めていること。・トンネルの天井板(第十二号関係)トンネルには鉄道施設(鉄道事業法(昭和61年法律第92号)第8条第1項に規定する鉄道施設をいい、軌道法(大正10年法律第76号)による軌道施設を含む。)は含まないこと。また、建築物等の解体等工事を同一の者が2以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを1の契約で請け負ったものとみなす。建築物内部に工作物が設置されている場合など建築物と工作物が混在するものの解体等工事について、建築物と工作物にそれぞれ分割して請け負う場合にも、同様に1の契約で請け負ったものとみなす。この場合においては、建築物の解体工事に係る部分の床面積の合計が80平方メートル以上又は工事全体の請負金額の額が100万円以上である場合に1件の建築物等の解体等工事として報告を行う。なお、工作物の中には、数年ごとなど定期的に同一の部分について修理等の改修を行うものがあるが、平成18(2006)年9月1日以降に設置の工事に着手した工作物の改造又は補修作業を伴う建設工事については、特定工事に該当しないことが明らかであるにもかかわらず、定期的な改修の度ごとに事前調査の結果の報告3637を求めることは合理的でないことから、平成18(2006)年9月1日以降に設置の工事に着手した工作物について、同一の部分を定期的に改造又は補修する場合は、当該改修又は補修作業を伴う建設工事について一度報告を行えば、同一部分の工事については、その後の報告は要しない。(2)報告の事項報告の事項としては、下表のとおり。なお、事前調査の段階では調査が困難な箇所があった場合には、当該箇所とともにその理由をあわせて報告することが望ましい。表2.2.4事前調査結果の報告事項施行規則の根拠報告事項設計図書等に記載されている設置年月日により明らかに石綿非含有と判明した場合※1左記以外の場合第16条の11第2項一解体等工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名○○二第16条の7一事前調査を終了した年月日○○三第16条の5第二号に規定する調査を行つたときは、当該調査を行つた者の氏名及び当該者が同号に規定する環境大臣が定める者に該当することを明らかにする事項―○第16条の8第1項二解体等工事の場所○○三解体等工事の名称及び概要○○五解体等工事に係る建築物等の設置の工事に着手した年月日○○建築材料を設置した年月日○※2―六解体等工事に係る建築物等の概要―○九分析による調査を行つたときは、当該調査を行つた箇所並びに当該調査を行つた者の氏名及び所属する機関又は法人の名称―○三解体等工事の実施の期間○○四建築物を解体する作業を伴う建設工事に該当するときは、作業の対象となる床面積の合計○○五建築物を改造・補修する作業を伴う建設工事又は特定の工作物を解体し、改造・補修する作業を伴う建設工事に該当するときは、作業の請負代金の合計額―○六解体等工事に係る建築物等の部分における建築材料の種類―○七解体等工事に係る建築物等の部分における建築材料が特定建築材料に該当するか否か(特定工事に該当するものとみなした場合にあつては、その旨)及び該当しないときは、その根拠の概要―○八解体等工事が特定工事に該当するときは、当該特定工事における特定粉じん排出等作業の開始時期〇〇※1解体等工事に係る建築物等が第16条の5第二号イからホまでに掲げるもののいずれかに該当する場合※2解体等工事に係る建築物等が第16条の5第一号ロからホまでに掲げるもののいずれかに該当する場合に限る38(3)報告の方法国が新たに整備する電子システムを通じて、報告を行う。ただし、情報通信機器を保有していないことや天災などにより電子システムの使用が困難な場合は、新様式第3の4による報告書によって行うこともできることとされている。当該電子システムは、石綿則第4条の2の規定による報告と共通のシステムであり、当該報告は、大防法に基づく報告と併せて行う。2.2.8発注者の配慮等大気汚染防止法(特定工事の発注者等の配慮等)第18条の16特定工事の発注者は、当該特定工事の元請業者に対し、施工方法、工期、工事費その他当該特定工事の請負契約に関する事項について、作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない。2前項の規定は、特定工事の元請業者が当該特定工事の全部又は一部(特定粉じん排出等作業を伴うものに限る。以下この条において同じ。)を他の者に請け負わせるとき及び当該特定工事の全部又は一部を請け負つた他の者(その請け負つた特定工事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該他の者の請負契約の後次の全ての請負契約の当事者である請負人を含む。以下「下請負人」という。)が当該特定工事の全部又は一部を更に他の者に請け負わせるときについて準用する。3特定工事の元請業者又は下請負人は、その請け負つた特定工事の全部又は一部について他の者に請け負わせるときは、当該他の者に対し、その請負に係る特定工事における特定粉じん排出等作業の方法その他環境省令で定める事項を説明しなければならない。(下請負人に対する元請業者の指導)第18条の22特定工事の元請業者は、各下請負人が当該特定工事における特定粉じん排出等作業を適切に行うよう、当該特定工事における各下請負人の施工の分担関係に応じて、各下請負人の指導に努めなければならない。大気汚染防止法施行規則(下請負人に対する説明の事項)第16条の12法第18条の16第3項に規定する環境省令で定める事項は、第10条の4第2項第二号及び第16条の4第一号ハからホまでに掲げる事項とする。【解説】(1)発注者等の配慮工事の作業内容は、発注者からの発注に左右されるところが大きい。しかしながら、発注者に作業基準の遵守義務が課されるわけではないため、発注者が作業基準を無視した発注を行った場合には、元請業者は法律と発注の内容との間の板挟みになる可能性がある。したがって、発注者には、作業が適切に遂行されるよう、発注に当たっては、除去等の方法を決定するための事前調査を含めた作業全般について、施工方法、工期、費用の面等で適切な配慮を行うことが求められる。また、特定工事が数次の請負契約によって行われるときも、その全ての下請負人が適切に作業基準を遵守できるようにするため、特定工事の元請業者が特定工事の全部又は一部(特定粉じん排出等作業を伴うものに限る。)を他の者に請け負わせるとき及び当該特定工事の全部又は一部を請け負った他の者(その請け負った特定工事が数次の請負契約によって行われるときは、当該他の者の請負契約の後次の全ての請負契約の当事者である請負人を含む。)が当該特定工事の全部又は一部を更に他の者に請け負わせるときについて準用する。なお、安衛法においても、労働者の安全と健康保護の確保の観点から、注文者の配慮義務が規定されている39(同法第3条第3項)。(2)下請負人に対する説明特定工事の元請業者又は下請負人は、その請け負った特定工事の全部又は一部について他の者に請け負わせるときは、当該他の者に対し、その請負に係る特定工事における下表の事項を説明しなければならない。「他の者に請け負わせるとき」とは、他の者と特定工事の全部又は一部について下請契約を締結する時点をいい、当該他の者が法に基づく義務を遵守する必要があることを理解した上で契約を締結する。また、「説明」の形式は特定されておらず、口頭によって行うことも文書によって行うこともできるが、請負契約の書面に記載するなど文書によって説明することが望ましい。表2.2.5下請負人に対する説明事項施行規則の根拠説明事項第10条の4第2項特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要第16条の4第一号ハ特定粉じん排出等作業の種類ニ特定粉じん排出等作業の実施の期間ホ特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積(3)下請負人に対する元請業者の指導特定工事の元請業者は工事全体の統括管理の責任を負っており、下請負人が作業基準を遵守して特定粉じん排出等作業を適切に行うためには、元請業者による指導監督が適切に行われることが重要である。そのため、特定工事の元請業者は、当該特定工事が数次の請負契約によって行われる場合はそのいずれの請負契約の下請負人に対しても、各下請負人の施工の分担関係に応じて、各下請負人の指導に努めなければならない。2.2.9作業の実施の届出大気汚染防止法(特定粉じん排出等作業の実施の届出)第18条の17特定工事のうち、特定粉じんを多量に発生し、又は飛散させる原因となる特定建築材料として政令で定めるものに係る特定粉じん排出等作業を伴うもの(以下この条及び第18条の19において「届出対象特定工事」という。)の発注者又は自主施工者(次項に規定するものを除く。)は、当該特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前までに、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。一当該届出対象特定工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名二当該届出対象特定工事の場所三当該特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における当該政令で定める特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積四当該届出対象特定工事に係る第18条の15第1項第二号ロからニまで及び第三号ロに掲げる事項2災害その他非常の事態の発生により前項に規定する特定粉じん排出等作業を緊急に行う必要がある場合における当該特定粉じん排出等作業を伴う届出対象特定工事の発注者又は自主施工者は、速やかに、同項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。3前2項の規定による届出には、当該特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の配置図その他の環境省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。40(罰則)第34条次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、3月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。一第6条第1項、第8条第1項、第17条の5第1項、第17条の7第1項、第18条の6第1項若しくは第3項、第18条の17第1項、第18条の28第1項又は第18条の30第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき二~三(略)第37条第11条若しくは第12条第3項(これらの規定を第17条の13第2項、第18条の13第2項及び第18条の36第2項において準用する場合を含む。)又は第18条の17第2項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、10万円以下の過料に処する。大気汚染防止法施行令(特定粉じんを多量に発生する等の原因となる特定建築材料)第10条の2法第18条の17第1項の政令で定める特定建築材料は、吹付け石綿並びに石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材とする。大気汚染防止法施行規則(特定粉じん排出等作業の実施の届出)第10条の4法第18条の17第1項及び第2項の規定による届出は、様式第3の5による届出書によつてしなければならない。2法第18条の17第3項の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。一特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況二特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要三特定工事の元請業者又は自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所四下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所(届出書の提出部数等)第13条法の規定による届出は、届出書の正本にその写し1通を添えてしなければならない。(中略)42以上の特定粉じん排出等作業についての法の規定による届出は、当該2以上の特定粉じん排出等作業が同一の建築物等について行われる場合又は当該2以上の特定粉じん排出等作業が同一の工場若しくは事業場において行われる場合に限り、1の届出書によつて届出をすることができる。【解説】届出対象特定工事(吹付け石綿並びに石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材に係る特定粉じん排出等作業を伴うもの)の発注者又は自主施工者に対し、その作業の内容が作業基準に適合するものであるか否かを審査するため、あらかじめ必要事項を都道府県知事に届け出させるものである。これにより、行政庁は特定粉じん排出等作業の行われる場所その他の必要な情報を把握するとともに、作業内容を審査し、特定粉じん排出等作業による大気汚染の防止を図ることとなる。「特定粉じん排出等作業の開始の日」とは、除去等に係る一連の作業の開始日であり、工事そのものの開始日ではない。具体的には、除去に先立ち作業区画の隔離、集じん・排気装置の設置等の飛散防止のための作業を開始する日を指す。また、囲い込み、封じ込め作業にあっては、特定建築材料を囲い込み又は封じ込める作業の開始の日がこれにあたる。施行規則第10条の4第2項並びに様式第3の5及びその別紙に規定する届出書に添付すべき書類については安衛法に基づく労働基準監督署長への届出書に添付される書類と概ね同一である場合は、労働基準監督署長への添付書類を届出書に添付して差し支えない。また、2以上の特定粉じん排出等作業が同一の建築物等について行われる場合も、1の届出書の正本にその写し一通を添えて届け出ることができる。例えば、同一敷地内のアパート等複数の建築物又は工作物を短期間に一斉に解体等作業を行う場合に、同一の事業場として1の届出書で足りることがある。また、届出者が法人である場合、届出名義は必ずしも本社の代表者である必要はなく、代表者の委任状を添付すること等により、事業所の長等の責任を担うことができる者が行って差し支えない。さらに、届出者の代理の者が届出書類の提出手続を行うことは差し支えない。なお、石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材(吹付け石綿を除く。)が使用されている建築物等を囲い込み、又は封じ込めにより、改造、又は補修する場合には、特定粉じん排出等作業の届出が必要であるが、安衛法に基づく労働基準監督署長への届出書は不要の場合がある。しかしながらこの場合においても、安衛法に基づく措置は必要である。表2.2.6作業の実施の届出事項法の根拠届出事項第18一当該届出対象特定工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名二条の17当該届出対象特定工事の場所三ロ特定粉じん排出等作業の種類当該特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積四第18条の15第1項第二号ハ特定粉じん排出等作業の実施の期間ニ特定粉じん排出等作業の方法第18条の15第1項第三号ロ特定粉じん排出等作業の方法が第18条の19各号に掲げる措置を当該各号に定める方法により行うものでないときは、その理由届出添付書類:特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要特定工事の元請業者又は自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所2.2.10計画変更命令大気汚染防止法(計画変更命令)第18条の18都道府県知事は、前条第1項の規定による届出(第18条の15第1項第三号ロに掲げる事項を含むものに限る。)があつた場合において、その届出に係る特定粉じん排出等作業について、次条ただし書に規定する場合に該当しないと認めるときは、その届出を受理した日から14日以内に、その届出をした者に対し、その届出に係る特定粉じん排出等作業について、同条各号に掲げる措置を当該各号に定める方法により行うことを命ずるものとする。2都道府県知事は、前項に規定する場合のほか、前条第1項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る特定粉じん排出等作業の方法が作業基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から14日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る特定粉じん排出等作業の方法に関する計画の変更を命ずることができる。4142(罰則)第33条の2次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。一(略)二第17条第3項、第18条の4、第18条の18、第18条の21又は第23条第2項の規定による命令に違反したとき【解説】法第18条の17第1項の規定による届出に係る特定粉じん排出等作業が作業基準に適合しない場合の都道府県知事の計画変更命令について規定されているものである。当該届出がされた時点で、その内容が作業基準に適合しているどうかを行政庁が確認できるものであり、基準に適合していないと認められる場合には、あらかじめ作業を開始する前に計画の変更を命じ、適正な作業を行わせることができるものである。ただし、令和2(2020)年に直接罰が創設されたことに伴い、建築物等が倒壊するおそれがあるとき等除去等の措置の対象とならない場合に該当するか否かを作業開始前に都道府県等が判断することとされており、都道府県等が該当しないと認めるときは、命令を行うこととされている。なお、災害その他非常の事態の発生により特定粉じん排出等作業を緊急に行う必要がある場合には、適用されない。2.2.11除去等の方法及び作業基準の遵守義務並びに適合命令等大気汚染防止法(特定建築材料の除去等の方法)第18条の19届出対象特定工事の元請業者若しくは下請負人又は自主施工者は、当該届出対象特定工事における第18条の17第1項の政令で定める特定建築材料に係る特定粉じん排出等作業について、次の各号のいずれかに掲げる措置(第二号に掲げる措置にあつては、建築物等を改造し、又は補修する場合に限る。以下この条において同じ。)を当該各号に定める方法により行わなければならない。ただし、建築物等が倒壊するおそれがあるときその他次の各号のいずれかに掲げる措置を当該各号に定める方法により行うことが技術上著しく困難な場合は、この限りでない。一当該特定建築材料の建築物等からの除去次に掲げる方法イ当該特定建築材料をかき落とし、切断し、又は破砕することなくそのまま建築物等から取り外す方法ロ当該特定建築材料の除去を行う場所を他の場所から隔離し、除去を行う間、当該隔離した場所において環境省令で定める集じん・排気装置を使用する方法ハロに準ずるものとして環境省令で定める方法二当該特定建築材料からの特定粉じんの飛散を防止するための処理当該特定建築材料を被覆し、又は当該特定建築材料に添加された特定粉じんに該当する物質を当該特定建築材料に固着する方法であつて環境省令で定めるもの(作業基準の遵守義務)第18条の20特定工事の元請業者若しくは下請負人又は自主施工者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業について、作業基準を遵守しなければならない。(作業基準適合命令等)第18条の21都道府県知事は、特定工事の元請業者若しくは下請負人又は自主施工者が当該特定工事における特定粉じん排出等作業について作業基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて当該特定粉じん排出等作業について作業基準に従うべきことを命じ、又は当該特定粉じん排出等作業の一時停止を命ずることができる。43(罰則)第33条の2次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。一(略)二第17条第3項、第18条の4、第18条の18、第18条の21又は第23条第2項の規定による命令に違反したとき第34条次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、3月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。一~二(略)三第18条の19の規定に違反したとき大気汚染防止法施行規則(集じん・排気装置)第16条の13法第18条の19第一号ロの環境省令で定める集じん・排気装置は、日本産業規格Z8122に定めるHEPAフィルタを付けたものとする。(隔離等の方法に準ずる方法)第16条の14法第18条の19第一号ハの環境省令で定める方法は、同号ロに規定する方法と同等以上の効果を有する方法とする。(被覆又は固着の方法)第16条の15法第18条の19第二号の環境省令で定める方法は、特定建築材料の囲い込み又は封じ込め(以下「囲い込み等」という。)を行う方法とする。ただし、吹付け石綿の囲い込み若しくは石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材(吹付け石綿を除く。以下「石綿含有断熱材等」という。)の囲い込み等(これらの建築材料の切断、破砕等を伴うものに限る。)を行う場合又は吹付け石綿の封じ込めを行う場合は、当該特定建築材料の囲い込み等を行う場所を他の場所から隔離し、囲い込み等を行う間、当該隔離した場所において、第16条の13に規定する集じん・排気装置を使用する方法とする。【解説】当該届出対象特定工事における吹付け石綿及び石綿含有断熱材等に係る特定粉じん排出等作業について行わなければならない措置及び方法は、違反した場合に多量の石綿を飛散させるおそれのあるものを規定したものであり、当該特定建築材料の除去等の作業のより詳細な方法は、作業基準において規定されている。これらは一部重複しているが、これらが遵守されていないと認められる場合に必ず法第18条の19の義務違反として対処することが求められるものではなく、従来どおり、都道府県知事は、特定工事の元請業者若しくは下請負人又は自主施工者が当該特定工事における特定粉じん排出等作業において作業基準を遵守していないと認めるときは、法第18条の21に基づき作業基準適合命令又は作業の一時停止命令を行うこともできる。(1)特定建築材料の除去吹付け石綿及び石綿含有断熱材等の建築物等からの除去の措置については、次の3つの方法により行う。①当該特定建築材料をかき落とし、切断し、又は破砕することなくそのまま建築物等から取り外す方法②当該特定建築材料の除去を行う場所を他の場所から隔離し、除去を行う間、当該隔離した場所においてJISZ8122に定めるHEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用する方法「除去を行う場所を他の場所から隔離」とは、除去を行う場所の出入口に前室を設置することにより、作業員の出入りの際にも隔離を維持できるようにすることを含む。また、「集じん・排気装置を使用する」とは、正常に稼働する集じん・排気装置を使用することをいう。44③②の方法と同等以上の効果を有する方法該当する方法として、例えば、配管に使用された保温材を除去する際に、当該作業箇所を局所的に隔離するために袋状の用具(いわゆるグローブバッグ)を使用して密封状態を保ったまま保温材を除去する方法がある。(2)特定建築材料からの特定粉じんの飛散を防止するための処理建築物等を改造し、又は補修する場合において、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等を建築物等から除去しない場合の措置として、当該特定建築材料からの特定粉じんの飛散を防止するための処理を行い、当該措置は、当該特定建築材料を被覆し、又は当該特定建築材料に添加された石綿を当該特定建築材料に固着する方法として、囲い込み等で行う。ただし、吹付け石綿の囲い込み若しくは石綿含有断熱材等の囲い込み等(これらの建築材料の切断、破砕等を伴うものに限る。)を行う場合又は吹付け石綿の封じ込めを行う場合は、作業時に石綿が飛散するおそれが大きいため、当該特定建築材料の囲い込み等を行う場所を他の場所から隔離し、囲い込み等を行う間、当該隔離した場所において、JISZ8122に定めるHEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用する。(3)特定建築材料の除去等の方法が技術上著しく困難な場合建築物等が倒壊するおそれがあるときその他法第18条の19各号のいずれかに掲げる措置を当該各号に定める方法により行うことが技術上著しく困難な場合は、当該措置を当該方法により行うことを要しない。「技術上著しく困難な場合」とは、災害等による損壊により、人が立ち入ることが危険な状態の建築物等を解体する場合、物理的に特定建築材料の除去を行う場所を他の場所から隔離することや、隔離した場所において集じん・排気装置を使用することが困難な場合等をいう。2.2.12作業の結果の報告等大気汚染防止法(特定粉じん排出等作業の結果の報告等)第18条の23特定工事の元請業者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業が完了したときは、環境省令で定めるところにより、その結果を遅滞なく当該特定工事の発注者に書面で報告するとともに、当該特定粉じん排出等作業に関する記録を作成し、当該記録及び当該書面の写しを保存しなければならない。2特定工事の自主施工者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業が完了したときは、環境省令で定めるところにより、当該特定工事における特定粉じん排出等作業に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。大気汚染防止法施行規則(特定粉じん排出等作業の結果の報告等)第16条の16法第18条の23第1項の規定による報告は、次に掲げる事項について行うものとする。一特定粉じん排出等作業が完了した年月日二特定粉じん排出等作業の実施状況の概要三第16条の4第五号に規定する確認を行つた者の氏名及び当該者が当該確認を適切に行うために必要な知識を有する者に該当することを明らかにする事項2法第18条の23第1項に規定する記録は、次の各号に掲げる事項について作成し、特定工事が終了した日から3年間、これを同項に規定する書面の写し及び第16条の4第五号に規定する確認を行つた者が当該確認を適切に行うために必要な知識を有する者に該当することを証明する書類の写しとともに保存するものとする。一第10条の4第2項第三号及び第四号並びに第16条の4第一号イからハまでに掲げる事項二特定粉じん排出等作業を実施した期間三特定粉じん排出等作業の実施状況(次に掲げる事項を含む。)イ第16条の4第五号に規定する確認をした年月日、確認の結果(確認の結果に基づいて特定建築材料の除去等の措置を講じた場合にあつては、その内容を含む。)及び確認を行つた者の氏名ロ別表第7の一の項中欄に掲げる作業並びに同表の六の項下欄イ及びハの作業を行つたときは、同表の一の項下欄ハ、ニ、ヘ及びトに規定する確認をした年月日、確認の方法、確認の結果(確認の結果に基づいて補修等の措置を講じた場合にあつては、その内容を含む。)及び確認を行つた者の氏名(特定粉じん排出等作業に関する記録)第16条の17法第18条の23第2項に規定する記録は、前条第2項各号に掲げる事項について作成し、特定工事が終了した日から3年間、これを第16条の4第五号に規定する確認を行つた者が当該確認を適切に行うために必要な知識を有する者に該当することを証明する書類の写し(同号ただし書の規定により、解体等工事の自主施工者である個人が自ら当該確認を行つた場合を除く。)とともに保存するものとする。【解説】(1)特定工事の元請業者による特定粉じん排出等作業の結果の報告特定工事の発注者への報告は、特定粉じん排出等作業が完了した時点(解体等工事に係る建築物等の特定建築材料が使用されている部分の解体、改造又は補修作業が完了した時点)で遅滞なく行うこととされており、特定粉じん排出等作業が完了する時点と工事全体が完了する時点が異なる場合には、工事全体が完了する前であっても報告する。また、電磁的方法により書面を発行して報告を行うことができる。報告事項は、特定粉じん排出等作業が完了した年月日、特定粉じん排出等作業の実施状況の概要並びに特定建築材料の除去又は囲い込み等の完了の確認を行った者の氏名及び当該者が当該確認を適切に行うために必要な知識を有する者に該当することを明らかにする事項とした。「特定粉じん排出等作業の実施状況」とは、法第18条の15第1項に基づき説明したとおりに法第18条の19及び作業基準を遵守して特定粉じん排出等作業を完了したか否か、説明と異なる対応を行った場合や異常が発生した場合はその内容等をいい、作業基準の各規定に対応した当該作業の実施状況をそれぞれ詳細に説明することまでは要しないが、必要に応じて作業の実施状況を確認できる写真等を用いて報告することが望ましい。「確認を適切に行うために必要な知識を有する者に該当することを明らかにする事項」とは、確認を行った者が登録規程に基づく講習又は安衛法に基づく石綿作業主任者技能講習を受講した講習実施機関の名称(一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者については、その旨)をいう。当該事項を記載した報告の書面は、特定工事が終了した日から3年間保存する。また、電磁的記録を使用して保存することができる。(2)特定工事の元請業者による特定粉じん排出等作業に関する記録の作成・保存特定粉じん排出等作業に関する記録は、特定工事が終了した日から3年間、特定建築材料の除去又は囲い込み等の完了の確認を行った者が当該確認を適切に行うために必要な知識を有する者に該当することを証明する書類の写しとともに、保存する。「確認を行った者が当該確認を適切に行うために必要な知識を有する者に該当することを証明する書類」とは、当該者が登録規程に基づく講習又は石綿作業主任者技能講習を受講した講習実施機関から発行された講習修了証(一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者については、当該協会から発行された登録証)をいう。また、電磁的記録を使用して保存することができる。記録事項としては、表2.2.7のとおり。「特定粉じん排出等作業の実施状況」には、作業基準に定める、集じん・排気装置の正常な稼働、負圧の状況、除去又は囲い込み等の完了及び隔離解除前の大気中への特定粉じんの排出等のおそれがないことの確認の結果等も含まれ、作業基準の各規定に対応した当該作業の実施状況がそれぞれ確認できるよう、写真、動画等を使用して記録を作成する。また、作業の途中で作業の計画に変更が生じた場合は、当該変更の内容を記録する。なお、届出対象特定工事において、届け出た事項に変更が生じた場合は、これを記録するだけでなく、届出先の都道府県等に情報共有することが望ましい。下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合、特定工事の元請業者は、下請負人が当該特定工事45の施工の分担関係に応じて作成した特定粉じん排出等作業の記録をとりまとめて法第18条の23第1項に規定する記録を作成し保存する。表2.2.7特定粉じん排出等作業に関する記録事項施行規則の根拠記録事項第16条の16三特定工事の元請業者又は自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所一第10条の4第2項四下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所第16条の4第一号第2項イ特定工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名ロ特定工事の場所ハ特定粉じん排出等作業の種類二特定粉じん排出等作業を実施した期間三イ特定粉じん排出等作業の実施状況除去又は囲い込み等の完了の確認をした年月日、確認の結果及び確認を行つた者の氏名ロ別表第7の一の項中欄に掲げる作業並びに同表の六の項下欄イ及びハの作業を行つたときは、同表の一の項下欄ハ、ニ、ヘ及びトに規定する確認をした年月日、確認の方法、確認の結果及び確認を行つた者の氏名(3)特定工事の自主施工者による特定粉じん排出等作業に関する記録の作成・保存特定工事の自主施工者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業が完了したときは、当該特定工事における特定粉じん排出等作業に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。記録事項は、特定工事の元請業者による特定粉じん排出等作業に関する記録と同一のものとし、記録の保存についても同様に、特定工事が終了した日から3年間、特定建築材料の除去又は囲い込み等の完了の確認を行った者が当該確認を適切に行うために必要な知識を有する者に該当することを証明する書類の写しとともに保存する。なお、解体等工事の自主施工者である個人(解体等工事を業として行う者を除く。)は、建築物の改造又は補修の作業であって、排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事を施工する場合のうち、当該建設工事が特定工事であるとみなす場合には、当該作業の様子を撮影して当該写真を設計図書その他の書面とともに保存するなど簡易な方法により特定工事における特定粉じん排出等作業に関する記録を作成・保存することができる。2.2.13報告及び検査大気汚染防止法(報告及び検査)第26条環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、ばい煙発生施設を設置している者、特定施設を工場若しくは事業場に設置している者、揮発性有機化合物排出施設を設置している者、一般粉じん発生施設を設置している者、特定粉じん排出者、解体等工事の発注者、元請業者、自主施工者若しくは下請負人若しくは水銀排出施設を設置している者に対し、ばい煙発生施設の状況、特定施設の事故の状況、揮発性有機化合物排出施設の状況、一般粉じん発生施設の状況、特定粉じん発生施設の状況、解体等工事に係る建築物等の状況、特定粉じん排出等作業の状況、水銀排出施設の状況その他必要な事項の報告を求め、又はその職員に、ばい煙発生施設を設置している4647者、特定施設を工場若しくは事業場に設置している者、揮発性有機化合物排出施設を設置している者、一般粉じん発生施設を設置している者若しくは特定粉じん排出者の工場若しくは事業場、解体等工事に係る建築物等、解体等工事の現場、解体等工事の元請業者、自主施工者若しくは下請負人の営業所、事務所その他の事業場若しくは水銀排出施設を設置している者の工場若しくは事業場に立ち入り、ばい煙発生施設、ばい煙処理施設、特定施設、揮発性有機化合物排出施設、一般粉じん発生施設、特定粉じん発生施設、解体等工事に係る建築物等、水銀排出施設その他の物件を検査させることができる。2前項の規定による環境大臣による報告の徴収又はその職員による立入検査は、大気の汚染により人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることを防止するため緊急の必要があると認められる場合に行うものとする。3第1項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。4第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。(罰則)第35条次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、30万円以下の罰金に処する。一~四(略)五第26条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき大気汚染防止法施行令(報告及び検査)第12条第7項環境大臣又は都道府県知事は、法第26条第1項の規定により、解体等工事の発注者に対し、法第18条の15第1項の規定による調査、特定粉じん排出等作業の方法等(同項第二号から第四号までに掲げる事項をいう。次項において同じ。)及び特定粉じん排出等作業の結果について報告を求めることができる。第12条第8項環境大臣又は都道府県知事は、法第26条第1項の規定により、解体等工事の元請業者に対し法第18条の15第1項の規定による調査、特定粉じん排出等作業の方法等及び特定粉じん排出等作業の結果について、自主施工者に対し同条第4項の規定による調査、特定粉じん排出等作業の方法等及び特定粉じん排出等作業の結果について、下請負人に対し特定粉じん排出等作業の方法等及び特定粉じん排出等作業の結果(当該解体等工事における施工の分担関係に応じた範囲に限る。)について、それぞれ報告を求め、又はその職員に、解体等工事に係る建築物等、解体等工事の現場若しくは解体等工事の元請業者、自主施工者若しくは下請負人の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、解体等工事に係る建築物等、解体等工事により生じた廃棄物その他の物、関係帳簿書類並びに特定粉じん排出等作業に使用される機械器具及び資材(特定粉じんの排出又は飛散を抑制するためのものを含む。)を検査させることができる。【解説】行政庁は、作業基準の遵守状況等について把握するため、工事の発注者、元請業者、自主施工者、下請負人に対し解体等工事に係る建築物等の状況等の報告を求め、解体等工事の施工に着手する前の建築物等、解体等工事の現場、営業所、事務所その他の事業場へ立入検査を行うことができる。2.2.14その他大気汚染防止法(国の施策)第18条の24国は、建築物等に特定建築材料が使用されているか否かを把握するために必要な情報の収集、48整理及び提供その他の特定工事等に伴う特定粉じんの排出又は飛散の抑制に関する施策の実施に努めなければならない。(地方公共団体の施策)第18条の25地方公共団体は、建築物等の所有者、管理者又は占有者に対し、特定建築材料及び建築物等に特定建築材料が使用されているか否かの把握に関する知識の普及を図るよう努めるとともに、国の施策と相まつて、当該地域の実情に応じ、特定工事等に伴う特定粉じんの排出又は飛散を抑制するよう必要な措置を講ずることに努めなければならない。(政令で定める市の長による事務の処理)第31条この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)の長が行うこととすることができる。2前項の政令で定める市の長は、この法律の施行に必要な事項で環境省令で定めるものを都道府県知事に通知しなければならない。大気汚染防止法施行令(政令で定める市の長による事務の処理)第13条法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうち、ばい煙の排出の規制、粉じんに関する規制及び水銀等の排出の規制に係る次に掲げる事務(工場に係る事務を除く。)、法第17条第2項の規定による通報の受理に関する事務、同条第3項の規定による命令に関する事務並びにこれに伴う法第26条第1項の規定による報告の徴収及び立入検査に関する事務、法第20条の規定による測定に関する事務、法第21条第1項の規定による要請及び同条第3項の規定による意見を述べることに関する事務、法第22条第1項の規定による常時監視及び同条第2項の規定による報告に関する事務並びに法第24条第1項の規定による公表に関する事務は、小樽市、室蘭市、苫小牧市、所沢市、市川市、松戸市、市原市、平塚市、藤沢市、四日市市、加古川市及び大牟田市の長(以下「政令市の長」という。)が行うこととする。この場合においては、法及びこの政令中この項前段に規定する事務に係る都道府県知事に関する規定は、政令市の長に関する規定として政令市の長に適用があるものとする。一法第6条第1項、第7条第1項、第8条第1項、第11条(法第18条の13第2項及び第18条の36第2項において準用する場合を含む。)、第12条第3項(法第18条の13第2項及び第18条の36第2項において準用する場合を含む。)、第18条第1項及び第3項、第18条の2第1項、第18条の6第1項及び第3項、第18条の7第1項、第18条の17第1項及び第2項、第18条の28第1項、第18条の29第1項並びに第18条の30第1項の規定による届出の受理に関する事務二法第9条、第9条の2、第14条第1項及び第3項、第15条第2項、第15条の2第2項、第18条の4、第18条の8、第18条の11、第18条の18、第18条の21、第18条の31並びに第18条の34第2項の規定による命令に関する事務三、四(略)五法第18条の15第6項の規定による報告の受理に関する事務六法第26条第1項の規定による報告の徴収及び立入検査(法第23条第2項の規定による権限の行使に関し必要と認められる場合における報告の徴収及び立入検査を除く。)に関する事務七~八(略)十法第28条第2項の規定による協力を求め、又は意見を述べることに関する事務2前項に規定する事務並びに法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうちばい煙の排出の規制、粉じんに関する規制及び水銀等の排出の規制に係る前項各号に掲げる事務であつて工場に係るもの並びに揮発性有機化合物の排出の規制に係る次に掲げる事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(北九州市を除く。)の長及び同法第252条の22第1項の中核市の長(以下この項において「指定都市の長等」という。)が行うこととする。この場合においては、法及びこの政令中この項前段に規定する事務に係る都道府県知事に関する規定は、指定都市の長等に関する規定として指定都市の長等に適用があるものとする。一~三(略)四法第26条第1項の規定による報告の徴収及び立入検査(法第23条第2項の規定による権限の行使に関し必要と認められる場合における報告の徴収及び立入検査を除く。)に関する事務五~七(略)八法第28条第2項の規定による協力を求め、又は意見を述べることに関する事務3前項に規定する事務並びに法第23条第1項及び第2項の規定による措置に関する事務並びに同項の規定による権限の行使に関し必要と認められる場合における法第26条第1項の規定による報告の徴収及び立入検査に関する事務は、北九州市の長が行うこととする。この場合においては、法及びこの政令中この項前段に規定する事務に係る都道府県知事に関する規定は、北九州市の長に関する規定として北九州市の長に適用があるものとする。【解説】(1)国の施策及び地方公共団体の施策国は、建築物等に特定建築材料が使用されているか否かを把握するために必要な情報の収集、整理及び提供その他の特定工事等に伴う特定粉じんの排出又は飛散の抑制に関する施策の実施に努めなければならない。地方公共団体は、建築物等の所有者、管理者又は占有者に対し、特定建築材料及び建築物等に特定建築材料が使用されているか否かの把握に関する知識の普及を図るよう努めるとともに、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、特定工事等に伴う特定粉じんの排出又は飛散を抑制するよう必要な措置を講ずることに努めなければならない。(2)事務の処理大防法における粉じんに関する規制に係る都道府県知事の権限に属する事務である、届出の受理、各種の命令に関する事務は、大防法上の政令市に委任されている。ただし、工場に係るもの(工場内の建築物等を含む。)は、相当技術的な事務の含まれる場合があることから、地方公共団体の対応能力等が考慮され、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市の長及び同法第252条の22第1項の中核市の長だけに都道府県知事の権限に属する事務が委任されている。しかし、「粉じんに関する規制に係る事務」のうち建築物等の解体等に伴う粉じんの排出等の規制に係る事務については、いずれも「工場に係る事務」に該当せず、同条に定める市の長が行うこととなる。なお、都道府県の条例により、特定粉じん排出等作業に係る届出の受理権限等が委任されている市もある。49502.3労働安全衛生法及び石綿障害予防規則ここでは、安衛法及び石綿則のうち、建築物等の解体等工事における規定について解説する。令和2(2020)年7月の改正については、令和2年8月4日付基発0804第8号厚生労働省労働基準局長通知「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について」及び令和2年10月28日基発1028第1号「石綿障害予防規則の解説について」を、令和5(2023)年1月の改正については、令和5年1月12日付基発0112第2号厚生労働省労働基準局長通知「石綿障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」を、令和5(2023)年8月の改正については、令和5年8月29日付基発0829第1号厚生労働省労働基準局長通知「石綿障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」を参照のこと。2.3.1目的労働安全衛生法(目的)第1条この法律は、労働基準法(昭和22年法律第49号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。石綿障害予防規則(事業者の責務)第1条事業者は、石綿による労働者の肺がん、中皮腫その他の健康障害を予防するため、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底その他必要な措置を講じ、もって、労働者の危険の防止の趣旨に反しない限りで、石綿にばく露される労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度を最小限度にするよう努めなければならない。2事業者は、石綿を含有する製品の使用状況等を把握し、当該製品を計画的に石綿を含有しない製品に代替するよう努めなければならない。【解説】安衛法は、職場における労働者の安全と健康の確保及び快適な職場環境の形成の促進を目的とする法律である。労働災害を防止するため、作業主任者の選任や健康障害を防止するために必要な措置、計画の届出等について規定している。石綿則は、石綿による健康障害予防対策の一層の推進のため、建築物等の解体等作業における石綿ばく露防止対策等についての基準を示した厚生労働省令である。石綿による健康障害の予防については、従来、特定化学物質等障害予防規則に定められていたが、増加する建築物等の解体等の作業における石綿による健康障害の予防対策の推進を一層図るため、平成17(2005)年7月1日より分離され、単独の規則として制定された。2.3.2石綿等の定義及び石綿則の適用範囲石綿障害予防規則(定義)第2条この省令において「石綿等」とは、労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)第6条第二十三号に規定する石綿等をいう。2この省令において「石綿分析用試料等」とは、令第6条第二十三号に規定する石綿分析用試料等をいう。(略)51労働安全衛生法施行令第6条法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。一~二十二(略)二十三石綿若しくは石綿をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)又は石綿等を試験研究のため製造する作業若しくは第16条第1項第四号イからハまでに掲げる石綿で同号の厚生労働省令で定めるもの若しくはこれらの石綿をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿分析用試料等」という。)を製造する作業【解説】安衛法及び石綿則が適用される石綿等とは、「石綿若しくは石綿をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物」のことをいう。石綿則は、すべての石綿等を取り扱う作業に適用される。建築物等の解体等作業に関しては、大防法が建築物及び工作物の解体、改造・補修について適用されるのに対し、石綿則ではこれらに加え船舶(鋼製に限る)の解体等の作業についても適用される。2.3.3事前調査及び分析調査石綿障害予防規則(事前調査及び分析調査)第3条事業者は、建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)の解体又は改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)の作業(以下「解体等の作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(それぞれ解体等の作業に係る部分に限る、以下「解体等対象建築物等」という。)について、石綿等の使用の有無を調査しなければならない。2前項の規定による調査(以下「事前調査」という。)は、解体等対象建築物等の全ての材料について次に掲げる方法により行わなければならない。一設計図書等の文書(電磁的記録を含む。以下同じ。)を確認する方法。ただし、設計図書等の文書が存在しないときはこの限りではない。二目視により確認する方法。ただし、解体等対象建築物等の構造上目視により確認することが困難な材料については、この限りではない。3前項の規定にかかわらず、解体等対象建築物等が次の各号のいずれかに該当する場合は、事前調査は、それぞれ当該各号に定める方法によることができる。一既に前項各号に掲げる方法による調査に相当する調査が行われている解体等対象建築物等当該解体等対象建築物等に係る当該相当する調査の結果の記録を確認する方法二船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(平成30年法律第61号)第4条第1項の有害物質一覧表確認証書(同条第2項の有効期間が満了する日前のものに限る。)又は同法第8条の有害物質一覧表確認証書に相当する証書(同法附則第5条第2項に規定する相当証書を含む。)の交付を受けている船舶当該船舶に係る同法第2条第6項の有害物質一覧表を確認する方法三建築物若しくは工作物の新築工事若しくは船舶(日本国内で製造されたものに限る。)の製造工事の着工日又は船舶が輸入された日(第5項第四号において「着工日等」という。)が平成18年9月1日以降である解体等対象建築物等(次号から第八号までに該当するものを除く。)当該着工日等を設計図書等の文書で確認する方法四平成18年9月1日以降に新築工事が開始された非鉄金属製造業の用に供する施設の設備(配管を含む。以下この項において同じ。)であって、平成19年10月1日以降にその接合部分にガスケットが設置さ52れたもの当該新築工事の着工日及び当該ガスケットの設置日を設計図書等の文書で確認する方法五平成18年9月1日以降に新築工事が開始された鉄鋼業の用に供する施設の設備であって、平成21年4月1日以降にその接合部分にガスケット又はグランドパッキンが設置されたもの当該新築工事の着工日及び当該ガスケット又はグランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法六平成18年9月1日以降に製造工事が開始された潜水艦であって、平成21年4月1日以降にガスケット又はグランドパッキンが設置されたもの当該製造工事の着工日及び当該ガスケット又はグランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法七平成18年9月1日以降に新築工事が開始された化学工業の用に供する施設(次号において「化学工業施設」という。)の設備であって、平成23年3月1日以降にその接合部分にグランドパッキンが設置されたもの当該新築工事の着工日及び当該グランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法八平成18年9月1日以降に新築工事が開始された化学工業施設の設備であって、平成24年3月1日以降にその接合部分にガスケットが設置されたもの当該新築工事の着工日及び当該ガスケットの設置日を設計図書等の文書で確認する方法4事業者は、事前調査のうち、建築物及び船舶に係るものについては、前項各号に規定する場合を除き、適切に当該調査を実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない。※【編注】本条第4項は、令和5年厚生労働省令第2号により次のように改正され、令和8年1月1日から施行される。4事業者は、事前調査については、前項各号に規定する場合を除き、適切に当該調査を実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない。ただし、石綿等が使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物以外の工作物の解体等の作業に係る事前調査については、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業に係るものに限る。5事業者は、事前調査を行ったにもかかわらず、当該解体等対象建築物等について石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無について、分析による調査(以下「分析調査」という。)を行わなければならない。ただし、事業者が、当該解体等対象建築物等について石綿等が使用されているものとみなして労働安全衛生法(以下「法」という。)及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずるときは、この限りでない。6事業者は、分析調査については、適切に分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない。7事業者は、事前調査又は分析調査(以下「事前調査等」という。)を行ったときは、当該事前調査等の結果に基づき、次に掲げる事項(第3項第三号から第八号までの場合においては、第一号から第四号までに掲げる事項に限る。)の記録を作成し、これを事前調査を終了した日(分析調査を行った場合にあっては、解体等の作業に係る全ての事前調査を終了した日又は分析調査を終了した日のうちいずれか遅い日)(第三号及び次項第一号において「調査終了日」という。)から3年間保存するものとする。※【編注】本条第7項は、令和5年厚生労働省令第2号により次のように改正され、令和8年1月1日から施行される。7事業者は、事前調査又は分析調査(以下「事前調査等」という。)を行ったときは、当該事前調査等の結果に基づき、第一号から第十号まで及び第十二号前段に掲げる事項(第三項第三号から第八号までの場合においては、第一号から第四号までに掲げる事項に限る。)の記録を作成し、当該記録並びに第十一号及び第十二号後段に掲げる書類を事前調査を終了した日(分析調査を行った場合にあっては、解体等の作業に係る全ての事前調査を終了した日又は分析調査を終了した日のうちいずれか遅い日)(第三号及び次項第一号において「調査終了日」という。)から三年間保存するもの53とする。一事業者の名称、住所及び電話番号二解体等の作業を行う作業場所の住所並びに工事の名称及び概要三調査終了日四着工日等(第3項第四号から第八号までに規定する方法により事前調査を行った場合にあっては、設計図書等の文書で確認した着工日及び設置日)五事前調査を行った建築物、工作物又は船舶の構造六事前調査を行った部分(分析調査を行った場合にあっては、分析のための試料を採取した場所を含む。)七事前調査の方法(分析調査を行った場合にあっては、分析調査の方法を含む。)八第六号の部分における材料ごとの石綿等の使用の有無(第5項ただし書の規定により石綿等が使用されているものとみなした場合は、その旨を含む。)及び石綿等が使用されていないと判断した材料にあっては、その判断の根拠九事前調査を行った者の氏名のうち、建築物に係るもの(第3項第三号に掲げる方法によるものを除く。)を行った者(分析調査を行った場合にあっては、当該分析調査を行った者を含む。)の氏名及び第4項の厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類(分析調査を行った場合にあっては、前項の厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類を含む。)の写し※【編注】本条第7項第9号は、令和5年厚生労働省令第2号により次のように改正され、令和8年1月1日から施行される。九事前調査を行った者の氏名十第2項第二号ただし書に規定する材料の有無及び場所※【編注】次の二号が、令和5年厚生労働省令第2号により次のように追加され、令和8年1月1日から施行される。十一第4項の事前調査を行った場合においては、当該事前調査を行った者が同項の厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類の写し十二分析調査を行った場合においては、当該分析調査を行った者の氏名及び当該者が前項の厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類の写し8事業者は、解体等の作業を行う作業場には、次の事項を、見やすい箇所に掲示するとともに、次条第1項の作業を行う作業場には、前項の規定による記録の写しを備え付けなければならない。一調査終了日二前項第六号及び第八号に規定する事項の概要9第2項第二号ただし書に規定する材料については、目視により確認することが可能となったときに、事前調査を行わなければならない。【解説】石綿則第3条第1項の「建築物」とは、全ての建築物をいい、建築物に設けるガス若しくは電気の供給、給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙又は汚水処理の設備等の建築設備を含むものである。また、「工作物」とは、建築物以外のものであって、土地、建築物又は工作物に設置されているもの又は設置されていたものの全てをいい、例えば、煙突、サイロ、鉄骨架構、上下水道管等の地下埋設物、化学プラント等、建築物内に設置されたボイラー、非常用発電設備、エレベーター、エスカレータ-等又は製造若しくは発電等に関連する反応槽、貯蔵設備、発電設備、焼却設備等及びこれらの間を接続する配管等の設備等がある。なお、建築物内に設置されたエレベーターについては、かご等は工作物であるが、昇降路の壁面は建築物であることに留意すること。事前調査は、建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)の解体又は改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)の作業を行うときに実施するが、石綿等の粉じんが発散しないことが明らかである場合は、建築物、工作物又は船舶の解体等の作業には該当せず、事前調査を行う必要はないこととしている。この事前調査を行う必要がない作業は、大防法でも同様であり、詳細は、「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について」(令和2年8月4日付基発0804第8号)や「4.3.1」を参照すること。石綿等の有無の事前調査は、第3項に該当する場合を除き、全ての材料について設計図書等の文書を確認した上で、当該文書のとおりであるかどうかを現地で目視により確認する(第2項)。「設計図書」とは、建築物、その敷地又は工作物に関する工事用の図面及び仕様書のことであり、「設計図書等」の「等」には、施工記録、維持保全記録、第8条の規定に基づく発注者からの情報が含まれる。事前調査において、調査対象材料に石綿等が使用されていないと判断する方法は、次のア又はイのいずれかの方法によること。なお、設計図書にノンアスベスト材料等、石綿等が使用されていない建材であることの記載がある場合であっても、安衛法令の適用対象となる石綿等の含有率は数次にわたり変更されているため、材料の製造当時は法令適用対象外として石綿等の使用がないと判断されていたとしても、現行の法令では適用対象となる場合もあることから、設計図書の記載のみをもって石綿等が使用されていないと判断することはできない。ア調査対象材料について、製品を特定し、その製品のメーカーによる石綿等の使用の有無に関する証明や成分情報等と照合する方法。イ調査対象材料について、製品を特定し、その製造年月日が平成18年9月1日以降(第3条第3項第四号から第八号までに掲げるガスケット又はグランドパッキンにあっては、それぞれ当該各号に掲げる日以降)であることを確認する方法。事前調査により石綿等の使用の有無が明らかとならなかった場合は、分析調査により石綿等の使用の有無を明らかにしなければならない(第5項)。ただし、事業者が、石綿等が使用されているものとみなして安衛法及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずるときは、分析調査を行わなくてもよいこととしている(第5項ただし書き)。また、第3項の規定は、過去に石綿の使用の有無に関する調査と同等の調査が行われていれば、改めて調査を行わなくてもよいこと(第一号)、製造・使用等が禁止された後に着工された建築物等については、設計図書等で着工日を確認することで事前調査を行ったこととみなすこと(第三号~第八号)としたものである。なお、事前調査が不十分なまま工事が行われる事例が認められたことから、建築物及び船舶については、必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるもの(石綿則第3条第4項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(令和2年厚生労働省告示第276号)に規定する者による事前調査の実施が義務付けられた(第4項)。なお、工作物に係る解体等工事の事前調査については、石綿等が使用されているおそれが高い工作物の解体等の作業及び塗料その他の石綿等が使用されているおそれのある材料の除去等の作業については、石綿則第3条第3項各号に規定する場合を除き、適切に当該調査を実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせることを義務付けられた。当該者に調査を行わせる義務については、令和8年(2026年)1月1日から施行されることとされているが、義務付け適用以前においても、事前調査は調査者等に行わせることが望ましい。また、石綿等の分析に関する知識や技能が十分でない者によって分析が行われている事例が認められたことから、必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定めるもの(石綿則第3条第6項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者等(令和2年厚生労働省告示第277号))に規定する者による分析調査の実施が義務付けられた(第6項)。事業者は、事前調査又は分析調査を行ったときは、当該事前調査等の結果に基づき作成した記録を3年間保存しなければならない(第7項)。1つの解体等の作業について、事前調査又は分析調査が複数回行われる場合も考えられることから、事前調査等の結果の記録の保存の起算日は、解体等の作業に係る全ての事前調査を終了した日又は分析調査を終了した日のいずれか遅い日とした。また、3年間の保存期間は、行政による事業者に対する指導において関係書類として活用すること、事業者が適切に石綿ばく露防止対策を講じる動機付けとすること等を目的とし、設定したものである。事前調査の記録の詳細は、「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について」(令和2年8月4日付基発0804第8号)や「4.3.5」を参照すること。事前調査及び分析調査の結果は、見やすい箇所に掲示するとともに、作業場に作成した事前調査等の結果54の記録の写しを備え付けなければならない(第8項。掲示については、2.3.11参照。)。事前調査等の結果の記録を作業場に備え付けることについては、いつでも記録を確認することができるようにする趣旨で規定したものであることから、解体等の作業が行われている間は、常に備え付けておく必要がある。2.3.4作業計画の作成石綿障害予防規則(作業計画)第4条事業者は、石綿等が使用されている解体等対象建築物等(前条第5項ただし書の規定により石綿等が使用されているものとみなされるものを含む。)の解体等の作業(以下「石綿使用建築物等解体等作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、作業計画を定め、かつ、当該作業計画により石綿使用建築物等解体等作業を行わなければならない。2前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。一石綿使用建築物等解体等作業の方法及び順序二石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法三石綿使用建築物等解体等作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法3事業者は、第1項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について関係労働者に周知させなければならない。【解説】石綿則第4条は、作業計画の作成について定めたものである。今回の石綿則改正により、第3条第1項の規定において、事前調査の対象となる作業を明確化したのにともない、作業計画を定めるべき作業の規定方法を見直した。事業者が解体等の作業に係る作業手順、注意事項等を記載した計画書を作成している場合において、第2項各号に掲げる事項を含むときは、別途本条に基づく作業計画を定める必要はない。また、当該計画には、周辺環境への対応、解体廃棄物の適切な処理についても含めることが望ましい。施工中に事前調査では把握していなかった石綿を含有する建材等が発見された場合には、その都度作業計画の見直しを行うこと。解体等の作業の実施に当たっては、作業環境中の石綿の濃度の測定及び評価に基づく作業環境管理を行うことが望ましい。なお、作業環境管理については、別途示す屋外作業場における作業環境管理に係る手法等に基づき行うこと。2.3.5事前調査結果の報告石綿障害予防規則(事前調査の結果等の報告)第4条の2事業者は、次のいずれかの工事を行おうとするときは、あらかじめ、電子情報処理組織(厚生労働省の使用に係る電子計算機と、この項の規定による報告を行う者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用して、次項に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。※【編注】本条第1項第三号は、令和5年厚生労働省令第2号により次のように改正され、令和8年1月1日から施行される。三工作物(第3条第4項ただし書の厚生労働大臣が定める工作物に限る。)の解体工事又は改修工事(当該工事の請負代金の額が百万円以上であるものに限る。)一建築物の解体工事(当該工事に係る部分の床面積の合計が80平方メートル以上であるものに限る。)二建築物の改修工事(当該工事の請負代金の額が100万円以上であるものに限る。)三工作物(石綿等が使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣が定めるものに限る。)の解体工事又は改修工事(当該工事の請負代金の額が100万円以上であるものに限る。)5556四(略)2前項の規定により報告しなければならない事項は、次に掲げるもの(第3条第3項第三号から第八号までの場合においては、第一号から第四号までに掲げるものに限る。)とする。一第3条第7項第一号から第四号までに掲げる事項及び労働保険番号二解体工事又は改修工事の実施期間三前項第一号に掲げる工事にあっては、当該工事の対象となる建築物(当該工事に係る部分に限る。)の床面積の合計四前項第二号又は第三号に掲げる作業にあっては、当該工事に係る請負代金の額五第3条第7項第五号、第八号及び第九号に掲げる事項の概要※【編注】本条第2項第五号は、令和5年厚生労働省令第2号により次のように改正され、令和8年1月1日から施行される。五第3条第7項第五号、第八号、第九号、第十一号及び第十二号に掲げる事項の概要六前条第1項に規定する作業を行う場合にあっては、当該作業に係る石綿作業主任者の氏名七材料ごとの切断等の作業(石綿を含有する材料に係る作業に限る。)の有無並びに当該作業における石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法及び当該作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法3第1項の規定による報告は、様式第一号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出することをもって代えることができる。4第1項各号に掲げる工事を同一の事業者が2以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを1の契約で請け負ったものとみなして、同項の規定を適用する。5第1項各号に掲げる工事の一部を請負人に請け負わせている事業者(当該仕事の一部を請け負わせる契約が2以上あるため、その者が2以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。)があるときは、当該仕事の作業の全部について、当該事業者が同項の規定による報告を行わなければならない。【解説】石綿則第4条の2は、事業者に対して、一定規模以上の建築物及び特定の工作物の解体工事及び改修工事について、石綿の使用の有無に関わらず、事前調査の結果等の所轄労働基準監督署長への報告を義務付けたものである(第1項)。建築物については、石綿等の製造等が禁止された平成18(2006)年9月1日以降に着工したものを除き、全ての建築物に石綿等が使用されている可能性が高いため、限定を設けずに一定規模以上の全ての建築物の解体工事又は改修工事を報告の対象とした。工作物については、これまでの各種調査の結果等から石綿等が使用されている可能性が高いものが特定されていることから、報告の対象とする工事は、石綿が使用されているおそれが高い工作物(石綿則第4条の2第1項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が定める物(令和2年厚生労働省告示第278号)に規定するアからタまでの工作物)とした。なお、建築物の改修工事及び工作物の解体・改修工事は、床面積に換算することが困難なものがあるため、工事の請負代金の額を基準とした(第2項)。第2項の報告事項のうち、第3条第7項第五号の建築物又は工作物の構造の概要は、鉄筋コンクリート造等の主要構造に関する情報、階数や延べ床面積等の規模に関する情報、建築物にあっては建築基準法に規定する耐火建築物又は準耐火建築物の該当の有無を簡潔に記載する。また、第3条第7項第九号の厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類の写しの概要は、事前調査等を実施した者の氏名及び講習実施機関の名称を記載する。報告の方法は、報告対象となる工事が非常に多いこと、報告を行う事業者の利便性を確保する必要があること等から、原則として厚生労働省が開発・運用する簡易な電子システムを利用して所轄労働基準監督署に報告しなければならない。このほか、工事を同一の事業者が分割契約で請け負っている場合は、これを一つの契約で請け負ったものとみな57して報告すること(第4項)、工事の一部を請負人に請け負わせている場合は、元請業者が報告を行わなければならないこととし(第5項)、その他の扱いについては「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について」(令和2年8月4日基発0804第8号)に示しているので参考とすること。2.3.6作業の届出石綿障害予防規則(作業の届出)第5条事業者は、次に掲げる作業を行うときは、あらかじめ、様式第一号の二による届書に当該作業に係る解体等対象建築物等の概要を示す図面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。一解体等対象建築物等に吹き付けられている石綿等(石綿等が使用されている仕上げ用塗り材(第6条の3において「石綿含有仕上げ塗材」という。)を除く。)の除去、封じ込め又は囲い込みの作業二解体等対象建築物等に張り付けられている石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材(耐火性能を有する被覆材をいう。)等(以下「石綿含有保温材等」という。)の除去、封じ込め又は囲い込みの作業(石綿等の粉じんを著しく発散するおそれがあるものに限る。)2前項の規定は、法第88条第3項の規定による届出をする場合にあっては、適用しない。労働安全衛生法(計画の届出等)第88条3事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事(建設業に属する事業にあつては、前項の厚生労働省令で定める仕事を除く。)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。労働安全衛生規則第90条法第88条第3項の厚生労働省令で定める仕事は、次のとおりとする。一~五(略)五の二建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。次号において同じ。)に吹き付けられている石綿等(石綿等が使用されている仕上げ用塗り材を除く。)の除去、封じ込め又は囲い込みの作業を行う仕事五の三建築物、工作物又は船舶に張り付けられている石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材(耐火性能を有する被覆材をいう。)等の除去、封じ込め又は囲い込みの作業(石綿等の粉じんを著しく発散するおそれのあるものに限る、)を行う仕事五の四(略)六・七(略)【解説】これまで届出の対象になっていた作業については、今回の石綿則改正により、法第88条第3項の規定に基づく計画届出の対象に変更となった。ただし、計画届は届出を行うべき業種が建設業及び土砂採石業に限定されており、それ以外の業種に属する事業者についても対象作業を行う場合に届出を行わせる必要があることから、石綿則上の規定を設けている。第2項は、法第88条第3項の規定に基づく建築物又は工作物の解体等の作業と、石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材等の除去作業を併せて行う場合には、二重に届出を行う必要がないこととするものであるが、同項の計画において当該除去作業に係る石綿ばく露防止のための措置の概要を記載しなければならない。582.3.7除去等に係る措置石綿障害予防規則(吹き付けられた石綿等及び石綿含有保温材等の除去等に係る措置)第6条事業者は、次の作業に労働者を従事させるときは、適切な石綿等の除去等に係る措置を講じなければならない。ただし、当該措置と同等以上の効果を有する措置を講じたときは、この限りでない。一前条第1項第一号に掲げる作業(囲い込みの作業にあっては、石綿等の切断等の作業を伴うものに限る。)二前条第1項第二号に掲げる作業(石綿含有保温材等の切断等の作業を伴うものに限る。)2前項本文の適切な石綿等の除去等に係る措置は、次に掲げるものとする。一前項各号に掲げる作業を行う作業場所(以下この項において「石綿等の除去等を行う作業場所」という。)を、それ以外の作業を行う作業場所から隔離すること。二石綿等の除去等を行う作業場所にろ過集じん方式の集じん・排気装置を設け、排気を行うこと。三石綿等の除去等を行う作業場所の出入口に前室、洗身室及び更衣室を設置すること。これらの室の設置に当たっては、石綿等の除去等を行う作業場所から労働者が退出するときに、前室、洗身室及び更衣室をこれらの順に通過するように互いに連接させること。四石綿等の除去等を行う作業場所及び前号の前室を負圧に保つこと。五第一号の規定により隔離を行った作業場所において初めて前項各号に掲げる作業を行う場合には、当該作業を開始した後速やかに、第二号のろ過集じん方式の集じん・排気装置の排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無を点検すること。六第二号のろ過集じん方式の集じん・排気装置の設置場所を変更したときその他当該集じん・排気装置に変更を加えたときは、当該集じん・排気装置の排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無を点検すること。七その日の作業を開始する前及び作業を中断したときは、第三号の前室が負圧に保たれていることを点検すること。八前三号の点検を行った場合において、異常を認めたときは、直ちに前項各号に掲げる作業を中止し、ろ過集じん方式の集じん・排気装置の補修又は増設その他の必要な措置を講ずること。3事業者は、前項第一号の規定により隔離を行ったときは、隔離を行った作業場所内の石綿等の粉じんを処理するとともに、第1項第一号に掲げる作業(石綿等の除去の作業に限る。)又は同項第二号に掲げる作業(石綿含有保温材等の除去の作業に限る。)を行った場合にあっては、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等を除去した部分を湿潤化するとともに、石綿等に関する知識を有する者が当該石綿等又は石綿含有保温材等の除去が完了したことを確認した後でなければ、隔離を解いてはならない。(石綿含有成形品の除去に係る措置)第6条の2事業者は、成形された材料であって石綿等が使用されているもの(石綿含有保温材等を除く。次項において「石綿含有成形品」という。)を建築物、工作物又は船舶から除去する作業においては、切断等以外の方法により当該作業を実施しなければならない。ただし、切断等以外の方法により当該作業を実施することが技術上困難なときは、この限りでない。2(略)3事業者は、第1項ただし書の場合において、石綿含有成形品のうち特に石綿等の粉じんが発散しやすいものとして厚生労働大臣が定めるものを切断等の方法により除去する作業を行うときは、次に掲げる措置を講じなければならない。ただし、当該措置(第一号及び第二号に掲げる措置に限る。)と同等以上の効果を有する措置を講じたときは、第一号及び第二号の措置についてはこの限りでない。一当該作業を行う作業場所を、当該作業以外の作業を行う作業場所からビニルシート等で隔離すること。59二当該作業中は、当該石綿含有成形品を常時湿潤な状態に保つこと、除じん性能を有する電動工具を使用することその他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置を講ずること。三(略)(石綿含有仕上げ塗材の電動工具による除去に係る措置)第6条の3前条第3項の規定は、事業者が建築物、工作物又は船舶の壁、柱、天井等に用いられた石綿含有仕上げ塗材を電動工具を使用して除去する作業に労働者を従事させる場合及び当該作業の一部を請負人に請け負わせる場合について準用する。(石綿等の切断等の作業を伴わない作業に係る措置)第7条事業者は、次に掲げる作業に労働者を従事させるときは、当該作業場所に当該作業に従事する労働者以外の者(第14条に規定する措置が講じられた者を除く。)が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。一第5条第1項第一号に掲げる作業(石綿等の切断等の作業を伴うものを除き、囲い込みの作業に限る。)二第5条第1項第二号に掲げる作業(石綿含有保温材等の切断等の作業を伴うものを除き、除去又は囲い込みの作業に限る。)2特定元方事業者(法第15条第1項の特定元方事業者をいう。)は、その労働者及び関係請負人(法第15条第1項の関係請負人をいう。以下この項において同じ。)の労働者の作業が、前項各号に掲げる作業と同一の場所で行われるときは、当該作業の開始前までに、関係請負人に当該作業の実施について通知するとともに、作業の時間帯の調整等必要な措置を講じなければならない。(石綿等の切断等の作業等に係る措置)第13条事業者は、次の各号のいずれかに掲げる作業に労働者を従事させるときは、石綿等を湿潤な状態のものとすること、除じん性能を有する電動工具を使用することその他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置を講じなければならない。一石綿等の切断等の作業(第6条の2第3項に規定する作業を除く。)二石綿等を塗布し、注入し、又は張り付けた物の解体等の作業(石綿使用建築物等解体等作業を含み、第6条の3に規定する作業を除く。)三粉状の石綿等を容器に入れ、又は容器から取り出す作業四粉状の石綿等を混合する作業五前各号に掲げる作業、第6条の2第3項に規定する作業又は第6条の3に規定する作業(以下「石綿等の切断等の作業等」の作業という。)において発散した石綿等の粉じんの掃除の作業2事業者は、石綿等の切断等の作業等を行う場所に、石綿等の切りくず等を入れるためのふたのある容器を備えなければならない。3(略)石綿障害予防規則第6条の2第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める物(厚生労働省告示第279号)石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)第6条の2第2項の石綿含有成形品のうち特に石綿等の粉じんが飛散しやすいものとして厚生労働大臣が定めるものは、石綿等を含有するけい酸カルシウム板第一種とする。【解説】石綿則第6条、第6条の2、第6条の3、第7条及び第13条は、石綿含有建材の除去等作業に係る必要な措置について定めたものであり、概ね大防法の作業基準と同じ内容となっている。石綿則第6条では、吹付け石綿及び石綿含有保温材等の切断等を伴う除去等作業における措置について定めている(第1項)。これらの作業を行う場合は、他の作業場所からの隔離及び前室の設置を行った上で集じん排気装置による排気を行うこと、作業開始直後及び集じん・排気装置の設置場所を変更した場合は、集じん・排気装置出口からの石綿等の粉じんの漏えいを点検すること、その日の作業開始前及び作業を中断した時は前室が負圧に保たれていることを点検すること、異常が認められた場合の作業の中止及び集じん・排気装置の補修又は増設等必要な措置を講ずることが義務付けられている(第2項)。第2項第六号は、集じん・排気装置について、設置後に足場が当たって接合部が外れた等の理由により、石綿等の粉じんが隔離の外に漏れる事例が認められたことから、集じん・排気装置に変更を加えたときは、排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無を点検しなければならないこととしたものである。隔離を伴う作業を行った場合には、作業場内の石綿等の粉じんを処理することが義務付けられており、このうち吹付け石綿及び石綿含有保温材等の切断等を伴う除去を行った場合には、除去した部分に取り残しがないことを建築物石綿含有建材調査者(建築物に係る除去作業に限る)又は石綿作業主任者が確認させた上で粉じん飛散防止処理剤を噴霧・塗布することにより湿潤化してから隔離を解く必要がある(第3項)第3項の「除去した部分を湿潤化する」とは、表面に皮膜を形成し粉じんの飛散を防止することができるような薬液等により行う必要があるものである。石綿則第6条の2第1項では、石綿含有成形品(大防法の石綿含有成形板等)の除去作業において、原則として切断等以外の方法(手ばらし)により当該作業を実施することを定めている。第1項の「切断等以外の方法により当該作業を実施することが技術上困難なとき」には、当該材料が下地材等と接着材で固定されており、切断等を行わずに除去することが困難な場合や、当該材料が大きく切断等を行わずに手作業で取り外すことが困難な場合等が含まれる。第3項では、切断等以外の方法により除去することが技術上困難な場合であって、特に石綿等の粉じんが飛散しやすいものとして厚生労働大臣が定めているけい酸カルシウム板第1種を切断等の方法により除去する場合は、当該作業を行う作業場所にビニルシート等で隔離した上で、石綿等を常時湿潤な状態に保つこと、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行わなければならないとしている。切断等以外の方法により石綿等の除去等の作業を実施することが技術上困難な場合は、当該作業を行う作業場所にビニルシート等で隔離した上で、同項第二号前段の規定により、当該石綿等を湿潤化した上で、手工具(バール、のこぎり等)により当該作業を実施する。手工具によることが技術上困難な場合で、電動工具を用いて石綿等の切断等の作業等を行う場合にあっては、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあること及び電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、同号後段の規定により、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する。やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にする。また、第3項第一号に規定する「隔離」は、負圧に保つことを求めるものではない。第3項第二号(第6条の3において準用する場合を含む。)及び第13条第1項に規定する「その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置」には、剥離剤の使用が含まれる(将来の技術の進歩により、湿潤化と同等以上の粉じんの発散を防止する新たな措置が開発された場合は、別途定めるところにより、当該措置も含まれることとされている。)。剥離剤を使用する場合は、使用する剥離剤に係る安全データシート(SDS)により、特定化学物質への該当性や、有害性区分がある物質の含有の有無を確認し、リスクアセスメント対象物が含有されている場合は、化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針(平成27年9月18日付け危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第3号)に定めるところによりリスクアセスメントを実施し、その結果に基づき、法令に定める措置を含め、適切なリスク低減措置を実施すること。この際、リスク低減措置として呼吸60用保護具を使用する場合は、原則として、防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(G-PAPR)又は給気式呼吸用保護具を使用する。第3項及び第6条の3の規定に基づく隔離の解除に当たっては、あらかじめ、HEPAフィルタ付きの真空掃除機により隔離された場所の内部の清掃を行うことが望ましい。石綿則第6条の3では、石綿含有仕上塗材を電動工具を使用して除去する作業に係る措置として、当該作業を行う作業場所にビニルシート等で隔離した上で石綿等を常時湿潤な状態に保つこと、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行わなければならないこととしたものである。石綿含有仕上塗材とは、セメント、合成樹脂等の結合材、顔料、骨材等を主原料とし、主として建築物の内外の壁又は天井を、吹付け、ローラー塗り、こて塗り等によって立体的な造形性を持つ模様に仕上げる材料としてJISA6909に定められている建築用仕上塗材のうち、石綿等が使用されているものをいう。「石綿含有仕上げ塗材を電動工具を使用して除去する作業」とは、ディスクグラインダー又はディスクサンダーを用いて石綿含有仕上塗材を除去する作業をいい、高圧水洗工法、超音波ケレン工法等により石綿含有仕上塗材を除去する作業は含まれない。電動工具を用いて除去する場合にあっては、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあること及び電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する。やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にする。石綿則第7条では、石綿等の切断等の作業を伴わない作業に係る措置を定めており、当該作業場所に当該作業に従事する労働者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつその旨を見やすい箇所に表示することを義務付けている。立入禁止の対象となる作業場所とは、作業場内において当該作業が行われている個々の作業場所をいうものであり、必ずしも壁、天井等により区画される区域までをいうものではない。石綿則第13条では、石綿等の切断等の作業等に係る措置を定めている。同条では第6条の2第3項の作業は除かれるが、第6条の2第1項の規定により、石綿等の切断等の作業等においては、原則として切断等以外の方法(手ばらし)により当該作業を実施する必要がある。切断等以外の方法により石綿等の除去等の作業を実施することが技術上困難な場合は、当該石綿等を湿潤化した上で、手工具(バール、のこぎり等)により当該作業を実施する。手工具によることが技術的に困難な場合で、電動工具を用いて石綿等の切断等の作業等を行う場合にあっては、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあること及び電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する。やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にする。第1項の「その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置」には、封じ込めの作業において固化剤を吹き付ける方法のほか、除去の作業において剥離剤を使用する方法、湿潤化が著しく困難な場合における隔離(囲い込み)等が含まれる(将来の技術の進歩により、湿潤化と同等以上の粉じんの発散を防止する新たな措置が開発された場合は、別途定めるところにより、当該措置も含まれる。)。なお、「湿潤な状態のものとする」とは、作業前に散水等により対象となる材料を一度湿潤な状態にすることだけではなく、切断面等への散水等の措置を講じながら作業を行うことにより、湿潤な状態を保つことをいう。2.3.8呼吸用保護具・作業衣石綿障害予防規則6162第14条事業者は、石綿等の切断等の作業等に労働者を従事させるときは、当該労働者に呼吸用保護具(第6条第2項第一号の規定により隔離を行った作業場所における同条第1項第一号に掲げる作業(除去の作業に限る。次項及び第35条の2第2項において「吹付石綿等除去作業」という。)に労働者を従事させるときは、防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具若しくは防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であつて防じん機能を有するもの又はこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器、酸素呼吸器若しくは送気マスク(次項及び第35条の2第2項において「電動ファン付き呼吸用保護具等」という。)に限る。)を使用させなければならない。2(略)3事業者は、石綿等の切断等の作業等に労働者を従事させるときは、当該労働者に作業衣を使用させなければならない。ただし、当該労働者に保護衣を使用させるときは、この限りでない。4(略)5労働者は、事業者から第1項及び第3項の保護具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。(呼吸用保護具)第44条事業者は、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業場又は石綿分析用試料等を製造する作業場には、石綿等の粉じんを吸入することによる労働者の健康障害を予防するため必要な呼吸用保護具を備えなければならない。(保護具の数等)第45条事業者は、前条の呼吸用保護具については、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。(保護具等の管理)第46条事業者は、第10条第2項、第14条第1項及び第2項、第35条の2第2項、第44条並びに第48条第六号(第48条の4において準用する場合を含む。)に規定する保護具等が使用された場合には、他の衣服等から隔離して保管しなければならない。2(略)3事業者及び労働者は、第1項の保護具等について、付着した物を除去した後でなければ作業場外に持ち出してはならない。ただし、廃棄のため、容器等に梱包したときは、この限りでない。4(略)【解説】事業者は、石綿等の切断等の作業等に労働者を従事させるときは、労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させなければならない(第14条)。第14条第1項の「同条第1項第一号に掲げる作業」とは、吹き付けられた石綿等を除去する作業に伴う一連の作業をいい、例えば、隔離された作業場所における、除去した石綿等を袋等に入れる作業、現場監督に係る作業等についても含まれる。なお、これらの作業を行うため事前に行う作業(足場の設置の作業等)等については含まない。呼吸用保護具は作業に応じて有効なものを選択する。電動工具(除じん性能を有する電動工具を含む。)を用いて石綿の切断等を行う場合においては、防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(S級の半面形面体であってろ過材がPS3又はPL3のものであり、かつ、呼吸用保護具の製造事業者により指定防護係数が300以上であることを証明する型式に限る。)又はそれと同等以上の指定防護係数を有する防じん機能を有する呼吸用保護具を使用すること。呼吸用保護具(面体を有するものに限る。)を適切に装着するために、令和5年5月25日付け基発0525第3号「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、63使用等について」(以下「マスク通達」という。)第1の5に定めるところにより、1年以内ごとに1回、フィットテストを行うこと。そのほか、保護具については、必要な呼吸用保護具の確保(第44条)や保護具の数(第45条)、保護具の管理(第46条)などが規定されている。2.3.9石綿作業主任者の選任石綿障害予防規則(石綿作業主任者の選任)第19条事業者は、令第6条第二十三号に掲げる作業については、石綿作業主任者技能講習を修了した者のうちから、石綿作業主任者を選任しなければならない。(石綿作業主任者の職務)第20条事業者は、石綿作業主任者に次の事項を行わせなければならない。一作業に従事する労働者が石綿等の粉じんにより汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。二局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1月を超えない期間ごとに点検すること。三保護具の使用状況を監視すること。【解説】石綿等を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)又は石綿等を試験研究のため製造する作業若しくは石綿分析用試料等を製造する作業を行う場合は、石綿作業主任者技能講習を修了した者の中から石綿作業主任者を選任しなければならない(第19条)。「石綿作業主任者を選任し」については、必ずしも単位作業室ごとに選任を要するものでなく、第20条各号に掲げる事項の遂行が可能な範囲ごとに選任し配置すれば足りる。石綿作業主任者は、従事する労働者が石綿等の粉じんにより汚染され、又はこれらを吸入しないよう、作業の方法を決定して労働者を指揮するほか、集じん・排気装置等の点検、労働者の保護具の使用状況の監視等を行う必要がある(第20条)。また、石綿作業主任者は、隔離をともなう作業を行う除去等作業において、「石綿等に関する知識を有する者」として、取り残しがないことの確認を行うことができる。2.3.10特別教育の実施石綿障害予防規則(特別の教育)第27条事業者は、石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、当該業務に関する衛生のための特別の教育を行わなければならない。一石綿の有害性二石綿等の使用状況三石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置四保護具の使用方法五前各号に掲げるもののほか、石綿等の粉じんのばく露の防止に関し必要な事項2労働安全衛生規則第37条及び第38条並びに前項に定めるもののほか、同項の特別の教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。64労働安全衛生規則(特別教育の科目の省略)第37条事業者は、法第59条第3項の特別の教育(以下「特別教育」という。)の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる。(特別教育の記録の保存)第38条事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しておかなければならない。石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程(平成17年3月31日厚生労働省告示第132号)石綿障害予防規則第27条第1項の規定による特別の教育は、学科教育により、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。科目範囲時間石綿の有害性石綿の性状石綿による疾病の病理及び症状喫煙の影響0.5時間石綿等の使用状況石綿を含有する製品の種類及び用途事前調査の方法1時間石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。)の解体等の作業の方法湿潤化の方法作業場所の隔離の方法その他石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置について必要な事項1時間保護具の使用方法保護具の種類、性能、使用方法及び管理1時間その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)、労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)及び石綿障害予防規則中の関係条項石綿等による健康障害を防止するため当該業務について必要な事項1時間【解説】事業者は、石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、当該業務に関する衛生のための特別の教育を行わなければならない(第27条)。特別教育の科目、範囲及び時間は、石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程による。2.3.11掲示石綿障害予防規則(掲示)第34条事業者は、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業場又は石綿分析用試料等を製造する作業場には、次の事項を、見やすい箇所に掲示しなければならない。一石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業場又は石綿分析用試料等を製造する作業場である旨二石綿により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状65三石綿等の取扱い上の注意事項四当該作業場においては保護具等を使用しなければならない旨及び使用すべき保護具(事前調査及び分析調査)第3条1~7(略)8事業者は、解体等の作業を行う作業場には、次の事項を、見やすい箇所に掲示するとともに、次条第1項の作業を行う作業場には、前項の規定による記録の写しを備え付けなければならない。一調査終了日二前項第六号及び第八号に規定する事項の概要【解説】石綿則第34条は、石綿等を取り扱う作業場に掲示すべき事項を定めたものである。これらは作業に従事する労働者等が見やすい箇所に掲示しなければならない。また、事前調査及び分析調査の終了日及び結果の概要についても、同様に作業に従事する労働者等が見やすい箇所に掲示すること(第3条第8項)。掲示方法については、有機溶剤中毒予防規則第24条第1項及び第2項の規定に基づき、同条第1項の規定により掲示すべき事項の内容及び掲示方法を定める告示(昭和47年労働省告示第123号)第四号に準ずる等見やすいものとすることが望ましい。これら事前調査結果及び作業内容の掲示については4.6参照。2.3.12作業の記録、保存石綿障害予防規則(作業の記録)第35条事業者は、石綿等の取扱い若しくは試験研究のための製造又は石綿分析用試料等の製造に伴い石綿等の粉じんを発散する場所において常時作業に従事する労働者について、1月を超えない期間ごとに次の事項を記録し、これを当該労働者が当該事業場において常時当該作業に従事しないこととなった日から40年間保存するものとする。一労働者の氏名二石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業又は石綿分析用試料等を製造する作業に従事した労働者にあっては、従事した作業の概要、当該作業に従事した期間、当該作業(石綿使用建築物等解体等作業に限る。)に係る事前調査(分析調査を行った場合においては事前調査及び分析調査)の結果の概要並びに次条第1項の記録の概要三石綿等の取扱い若しくは試験研究のための製造又は石綿分析用試料等の製造に伴い石綿等の粉じんを発散する場所における作業(前号の作業を除く。以下この号及び次条第1項第二号において「周辺作業」という。)に従事した労働者(以下この号及び次条第1項第二号において「周辺作業従事者」という。)にあっては、当該場所において他の労働者が従事した石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業又は石綿分析用試料等を製造する作業の概要、当該周辺作業従事者が周辺作業に従事した期間、当該場所において他の労働者が従事した石綿等を取り扱う作業(石綿使用建築物等解体等作業に限る。)に係る事前調査及び分析調査の結果の概要、次条第1項の記録の概要並びに保護具等の使用状況四石綿等の粉じんにより著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が講じた応急の措置の概要(作業計画による作業の記録)第35条の2事業者は、石綿使用建築物等解体等作業を行ったときは、当該石綿使用建築物等解体等作業に係る第4条第1項の作業計画に従って石綿使用建築物等解体等作業を行わせたことについて、写真その他実施状況を確認できる方法により記録を作成するとともに、次の事項を記録し、これらを当該石綿使用建築物等解体等作業を終了した日から3年間保存するものとする。一当該石綿使用建築物等解体等作業に従事した労働者の氏名及び当該労働者ごとの当該石綿使用建築物等解体等作業に従事した期間二周辺作業従事者の氏名及び当該周辺作業従事者ごとの周辺作業に従事した期間2事業者は、前項の記録を作成するために必要である場合は、当該記録の作成者又は石綿使用建築物等解体等作業を行う仕事の発注者の労働者(いずれも呼吸用保護具(吹付石綿等除去作業が行われている場所に当該者を立ち入らせるときは、電動ファン付き呼吸用保護具等に限る。)及び作業衣又は保護衣を着用する者に限る。)を第6条第2項第一号及び第6条の2第3項第一号(第6条の3の規定により準用する場合を含む。)の規定により隔離された作業場所に立ち入らせることができる。【解説】第35条は、石綿等を製造し、又は取り扱う作業場において、常時当該作業に従事する労働者については、その作業の記録及び事故等による汚染の概要を記録し、これを保存させておくことにより、第36条の作業環境測定の結果の記録、第37条の作業環境測定結果の評価の記録及び第41条の健康診断の結果の記録と併せて、石綿等によるばく露状況を把握し、健康管理に資することとしたものである。記録の保存期間については、石綿による疾患の潜伏期間が長期であることを踏まえ、石綿等を取り扱う作業場において当該労働者が常時当該作業に従事しないこととなった日から40年間保存するものとしている。第二号及び第三号の事前調査及び分析調査の結果の概要は、様式第一号に規定する内容と同様のものを保存すれば足り、所轄労働基準監督署に報告した事前調査結果等の結果の写しを保存することで差し支えない。第二号の「次条第1項の記録の概要」(作業の実施状況の写真等による記録の概要)は、写真等をそのまま保存する必要はなく、保護具の使用状況も含めて作業の実施状況について、文章等による簡潔な記載による記録を保存すれば足りる。第三号の周辺作業従事者に係る保護具等の使用状況は、当該周辺作業従事者の保護具等の使用状況である。第四号の「著しく汚染される事態」とは、設備の故障等により石綿等の粉じんを多量に吸入した場合等がある。また、「その概要」とは、ばく露期間、濃度等の汚染の程度、汚染により生じた健康障害等をいう。第35条の2の作業計画による作業の記録は、事前調査を適切に行わずに解体等の作業を行った事例等が認められた一方、解体工事や改修工事は工事終了後に措置が適切に実施されたかどうかを行政等が確認することは困難であるため、本条において、工事終了後においても、措置が適切に実施されたかどうかを確認することができるよう、作業計画に基づく作業について、写真その他実施状況を確認できる方法により記録し、保存しなければならないこととしている。第1項の写真その他実施状況を確認できる方法による記録は、石綿則に基づき講ずべき措置の実施状況についての記録であり、次のアからエまでに掲げるものが含まれる。ア事前調査等を行った部分及びその部分における石綿等の使用の有無の概要に関する掲示、関係者以外の立入禁止の表示、喫煙・飲食の禁止の表示及び次の(ア)から(エ)までに掲げる事項の掲示の状況が確認できる写真等による記録。(ア)石綿等を取り扱う作業場である旨(イ)石綿の人体に及ぼす作用(ウ)石綿等の取扱い上の注意事項(エ)使用すべき保護具イ隔離の状況、集じん・排気装置の設置状況、前室・洗身室・更衣室の設置状況、集じん・排気装置の排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無の点検結果、前室の負圧に関する点検結果、隔離を解く前に66除去が完了したことを確認する措置の実施状況及び当該確認を行った者の資格が確認できる写真等による記録(第6条第1項各号に掲げる作業を行う場合に限る。)。ウ作業計画に示されている作業の順序に基づいて、同計画に示されている作業の方法、石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法及び作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法のとおりに作業が行われたことが確認できる写真等による記録。なお、この記録には、第13条の規定に基づく湿潤な状態のものとする措置(第6条の2第3項又は第6条の3に規定する作業を行うときは常時湿潤な状態に保つ措置)や除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置の実施状況及び第14条の規定に基づく呼吸用保護具等の使用状況が確認できる写真等による記録が含まれること。また、同様の作業を行う場合においても、作業を行う部屋や階が変わるごとに記録する必要がある。エ除去等を行った石綿等の運搬又は貯蔵を行う際の容器又は包装、当該容器等への必要な事項の表示及び保管の状況が確認できる写真等による記録。第1項の写真その他実施状況を確認できる方法による記録に当たっては、撮影場所、撮影日時等が特定できるように記録する必要があること。また、写真その他実施状況を確認できる方法には、動画により記録する方法が含まれる。また、第2項の規定は、第6条第2項第一号の規定及び第6条の2第3項第一号(第6条の3の規定により準用する場合を含む。)の規定による隔離が行われている作業場には、当該作業に従事する者(直接作業を行う者だけでなく、作業の指揮を行う石綿作業主任者、第6条第3項の規定に基づき除去が完了したことを確認する者及び作業場の管理を行う者を含む。)以外を立ち入らせることはできないが、第8条第2項及び第35条の2第1項の規定により、第35条の2第1項の記録を作成する者及び当該記録の作成に対し配慮を行う石綿使用建築物等解体等作業を行う仕事の発注者の労働者を立ち入らせる必要がある場合が考えられることから、これらの者に限り、作業に従事する者ではなくても、呼吸用保護具の着用等の必要な措置を講じた上で、立ち入らせることができることとしたものである。2.3.13労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務における留意事項石綿障害予防規則第二節労働者が石綿等の粉じんにばく露するおそれがある建築物等における業務に係る措置第10条事業者は、その労働者を就業させる建築物若しくは船舶又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物(次項及び第5項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該吹き付けられた石綿等又は石綿含有保温材等の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならない。2事業者は、その労働者を臨時に就業させる建築物若しくは船舶又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物(第4項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させなければならない3(略)4労働者は、事業者から前項の保護具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。5法第34条の建築物貸与者は、当該建築物の貸与を受けた2以上の事業者が共用する廊下の壁等に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、第1項に規定する措置を講じなければならない。【解説】石綿則第10条は、事業者がその労働者を就業させる建築物等に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた67石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該石綿等の除去、封じ込め又は囲い込み等の措置を講じる義務について規定している(第1項)。また、事業者は、その労働者を臨時に就業させる場合には、労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させなければならず(第2項)、作業の一部を請負人に請け負わせる場合であって、当該請負人が当該場所で臨時に就業するときは、当該請負人に対し、呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用する必要がある旨を周知させなければならない(第3項)。労働者も保護具等の使用を命じられた時は、これを使用しなければならない(第4項)。「その労働者を臨時に就業させる」とは、当該建築物において通常労働者が立ち入らない場所における臨時の作業に従事させることをいい、例えば、天井裏、エレベーターの昇降路等における設備の点検、補修等の作業、掃除の作業等がある。テナント等2以上の事業者が共用する場所で吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがある場合は、建築物の貸与者が除去等の措置を講じなければならない(第5項)。石綿等が吹き付けられている又は張り付けられた石綿含有保温材等を使用したことが明らかとなった場合には、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等の損傷、劣化等により石綿等の粉じんにばく露するおそれがある旨を労働者に対し情報提供することが望ましい。2.3.14健康診断の実施等石綿障害予防規則(健康診断の実施)第40条事業者は、令第22条第1項第三号の業務(石綿等の取扱い若しくは試験研究のための製造又は石綿分析用試料等の製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に限る。)に常時従事する労働者に対し、雇入れ又は当該業務への配置替えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。一業務の経歴の調査二石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査三せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査四胸部のエックス線直接撮影による検査2事業者は、令第22条第2項の業務(石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に限る。)に常時従事させたことのある労働者で、現に使用しているものに対し、6月以内ごとに1回、定期に、前項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。3事業者は、前2項の健康診断の結果、他覚症状が認められる者、自覚症状を訴える者その他異常の疑いがある者で、医師が必要と認めるものについては、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。一作業条件の調査二胸部のエックス線直接撮影による検査の結果、異常な陰影(石綿肺による線維増殖性の変化によるものを除く。)がある場合で、医師が必要と認めるときは、特殊なエックス線撮影による検査、喀痰かくたんの細胞診又は気管支鏡検査(健康診断の結果の記録)第41条事業者は、前条各項の健康診断(法第66条第5項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「石綿健康診断」という。)の結果に基づき、石綿健康診断個人票(様式第二68号)を作成し、これを当該労働者が当該事業場において常時当該業務に従事しないこととなった日から40年間保存しなければならない。(健康診断の結果についての医師からの意見聴取)第42条石綿健康診断の結果に基づく法第66条の4の規定による医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。一石綿健康診断が行われた日(法第66条第5項ただし書の場合にあっては、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から3月以内に行うこと。二聴取した医師の意見を石綿健康診断個人票に記載すること。2事業者は、医師から、前項の意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を求められたときは、速やかに、これを提供しなければならない。(健康診断結果報告)第43条事業者は、第40条各項の健康診断(定期のものに限る。)を行ったときは、遅滞なく、石綿健康診断結果報告書(様式第三号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。【解説】建築物等の解体等工事において、石綿の粉じんを発散する場所における業務に労働者を常時従事させた場合、事業者は、当該業務に従事した労働者のうち現に在籍している者に対し、6月以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を受診させ(第40条第2項)、診断結果を当該労働者が従事しないこととなった日から40年間保存しなければならない(第41条)。(健康診断の結果の通知)第42条の2事業者は、第40条各項の健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。医師からの意見聴取は労働者の健康状況から緊急に法第66条の5第1項の措置を講ずべき必要がある場合には、できるだけ速やかに行われる必要がある(第42条)。「健康診断結果報告書」は、第40条により定期的に行った健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に遅滞なく(健康診断後概ね1ヶ月以内に)提出するものとすること(第43条)。692.4その他の関係法令2.4.1廃棄物の処理及び清掃に関する法律における規定建築物の解体等から排出される石綿含有産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物に指定された廃石綿等について、その分別、保管、収集、運搬、処分等を適正に行うため必要な処理基準等が定められている。参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)また、石綿含有廃棄物等の処理に係るマニュアルとしては、石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)(令和3年3月環境省環境再生・資源循環局令和4年11月4日一部修正)がある。2.4.2建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)における規定建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)(以下「建設リサイクル法」という。)では、特定建設資材(コンクリート、木材その他建設資材のうち、建設資材廃棄物となった場合におけるその再資源化が資源の有効な利用及び廃棄物の減量を図る上で特に必要であり、かつ、その再資源化が経済性の面において制約が著しくないと認められるもの)を用いた建築物等に係る解体工事であって、その規模が一定以上の基準のものについては、分別解体等をしなければならないとされている(建設リサイクル法第9条)。そのため、該当する建設工事の受注者は、事前に吹付け石綿その他の対象建築物等に用いられた特定建設資材に付着したもの(以下「付着物」という。)の有無の調査を行い、その調査結果に基づき分別解体等の計画を作成し、付着物の除去その他の工事着手前における特定建設資材に係る分別解体等の適正な実施を確保するための措置を講ずることが定められている(建設リサイクル法施行規則第2条第1項)。2.4.3建築基準法における規定建築基準法(昭和25年法律第201号)では、吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(以下「吹付け石綿等」という。)の建築物及び建築基準法に定める工作物への使用が禁止されている(建築基準法第28条の2)。それに伴い、吹付け石綿等が使用されている建物は既存不適格建築物注)となり、改修時等の措置が義務付けられている。(表2.4.1)また、「封じ込め」、「囲い込み」の基準が告示(平成18年9月29日国土交通省告示1173号)で明確に示されている。注)建築基準法では、既存の適法な建築物が法令の改正等により違反建築物とならないよう、新たな規定の施行時又は都市計画変更等による新たな規定の適用時に現に存する又は工事中の建築物については、新たに施行又は適用された規定のうち適合していないものについては適用を除外することとし、原則として、増改築等を実施する機会に当該規定に適合させることとしている。この新たな規定の施行又は適用により、不適合になった既存建築物を既存不適格建築物という。表2.4.1建築基準法による改修時等の措置(概要)工事等の種類措置内容対象石綿建材建築基準増改築時(増改築部分の床面積が増改築前の床面積の1/2を超える増改築時)増改築部分除去除去法増改築時(増改築部分の床面積が増改築前の床面積の1/2を超えないもの)増改築部分以外の部分除去、封じ込め、または囲い大規模修繕・模様替時レベル1石綿建材のうち、吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール込み大規模修繕・模様替部分除去大規模修繕・模様替部分以外の部分除去、封じ込め、または囲い込み703用語の定義本マニュアルの4以降では、大気汚染防止法及び石綿障害予防規則を踏まえた石綿の除去等の作業方法を解説する。大気汚染防止法と石綿障害予防規則では、同一の意味を持つ事柄について、異なる用語を使用している場合があるが、本マニュアルで使用する用語の意味は以下のとおりである。3.1関係法令の名称関係法令のマニュアルでの表記方法は以下のとおりとする。法令の内容については、「2関係法令の解説」を参照。なお、本マニュアルで示す法令の条番号は、令和8(2026)年1月時点での施行条文の番号としている。(1)大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)建築物等の解体等に伴う粉じんの排出等を規制すること等により、大気の汚染に関し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全すること等により、被害者の保護を図ることを目的とする法律。本マニュアルでは、大気汚染防止法を「大防法」、大気汚染防止法施行令を「大防法施行令」、大気汚染防止法施行規則を「大防法施行規則」という。(2)労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする法律。本マニュアルでは、労働安全衛生法を「安衛法」、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)を「安衛法施行令」、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)を「安衛法施行規則」という。(3)石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)石綿による健康障害予防対策の一層の推進のため、建築物等の解体等作業における石綿ばく露防止対策等についての基準を示した厚生労働省令。本マニュアルでは、「石綿則」という。(4)建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針(令和6年1月31日公示第25号)安衛法第28条第1項の規定に基づき公示された技術上の指針。本マニュアルでは、「石綿技術指針」という。(5)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする法律。本マニュアルでは、「廃棄物処理法」という。3.2建築材料等の定義本マニュアルで用いる建築材料、工事、実施主体の定義は以下のとおりである。(1)石綿石綿は「アスベスト」と記されることがあるが、本マニュアルでは、日本産業規格(JIS)、他のマニュアルの引用等を除き、「石綿」と表記するものとする。大防法では、石綿は「特定粉じん」の一種だが、現在特定粉じんに指定されているものは石綿のみであるため、同じ意味と考えても差し支えない。(2)建築物等「建築物」とは、全ての建築物をいい、建築物に設けるガス若しくは電気の供給、給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙又は汚物処理の設備等の建築設備を含むものをいう。「工作物」とは、「建築物」以外のものであっ71て、煙突、サイロ、鉄骨架構、上下水道管等の地下埋設物、化学プラント等、建築物内に設置されたボイラー、非常用発電設備、エレベーター、エスカレータ-等又は製造若しくは発電等に関連する反応槽、貯蔵設備、発電設備、焼却設備、煙突等及びこれらの間を接続する配管等の設備等があるものをいう。なお、建築物内に設置されたエレベーターについては、かご等は工作物であるが、昇降路の壁面は建築物である。本マニュアルでは、建築物と工作物を併せて「建築物等」という。石綿則では平成23(2011)年8月から船舶(鋼製の船舶に限る)についても規制の対象となっているが、本マニュアルでは船舶における措置については解説していない。船舶における措置については、「船舶における適切なアスベストの取り扱いに関するマニュアル(第3次改訂)(2022年2月、(一財)日本船舶技術研究協会)を参照すること。(3)石綿含有吹付け材大防法施行令の「吹付け石綿」、石綿則の「吹き付けられた石綿」を指し、具体的には、吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール、石綿含有ひる石吹付け材及び石綿含有パーライト吹付け材を指す。一般に「レベル1建材」と称されているものである。「吹付け石綿」は、吹付け施工されたすべての石綿含有建材を表す場合と石綿含有建材の具体的名称として狭義的に用いられる場合があるため、本マニュアルでは法文に関する記述部分を除き、すべて「石綿含有吹付け材」に統一するものとする。(4)石綿含有保温材等大防法施行令の「石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材」(大防法施行規則では「石綿含有断熱材等」とされている)、石綿則の「石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材(耐火性能を有する被覆材をいう。)等」を指し、石綿が使用された保温材、断熱材及び耐火被覆材のことをいう。一般に「レベル2建材」と称されているものである。本マニュアルでは法文に関する記述部分を除き、すべて「石綿含有保温材等」に統一するものとする。(5)石綿含有吹付け材等石綿含有吹付け材及び石綿含有保温材等を指す。大防法、石綿則ともに石綿含有吹付け材等の除去や囲い込み、封じ込めを行う際は、原則として都道府県等や労働基準監督署への届出が必要である。(6)石綿含有成形板等大防法施行規則の「石綿含有成形板等」、石綿則の「石綿含有成形品」を指し、石綿が使用された成形板やその他の建材等で、石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等、後述する石綿含有仕上塗材以外のものを本マニュアルでは「石綿含有成形板等」という。具体的には、石綿含有スレート板や石綿含有押出成形セメント板、石綿含有ロックウール吸音板などの成形板、ビニル床タイル、下地調整塗材等の建材のほか、ガスケットやパッキン、石綿布などの製品等も含まれる。一般に「レベル3建材」と称されているものである。(7)石綿含有仕上塗材JISA6909に定められた建築用仕上塗材(しあげぬりざい)のうち、石綿等が使用されているものであり、大防法施行規則の「石綿を含有する仕上塗材」、石綿則の「石綿含有仕上げ塗材」を、本マニュアルでは「石綿含有仕上塗材」という。建築用仕上塗材は、建築物の内外装の保護や意匠を目的とした表面仕上に幅広く用いられている左官材料であり、過去に石綿が使用されていた。なお、仕上塗材の施工時に使用される石綿含有下地調整塗材については、法令上は石綿含有成形板等に区分されるが、除去作業は石綿含有仕上塗材と合わせて実施されることから、本マニュアルでは石綿含有仕上塗材に分類されるものとして扱い、実施する石綿飛散防止措置については石綿含有仕上塗材を除去する際の措置を実施することとする。内装仕上げに用いられる石綿含有ひる石吹付け材及び石綿含有パーライト吹付け材については、大防法における「吹付け石綿」及び石綿則における「吹き付けられた石綿」に分類されることから、石綿含有仕上塗材に含まれない。(8)石綿含有建材石綿が使用された建築材料全てを指す。大防法では、「特定建築材料」、石綿則では「石綿等」とされている。具体的には、石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等、石綿含有成形板等、石綿含有仕上塗材を指す。72(9)解体、改造又は補修、改修、解体等、改修等大防法では、「建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事」(大防法第18条の15第1項)、石綿則では「建築物、工作物又は船舶の解体又は改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)の作業」(石綿則第3条)を伴う工事が規制対象となっている。このうち、解体を行う工事を指す場合、マニュアル内では「解体」又は「解体工事」という。また、大防法の「改造し、又は補修する作業」、石綿則の「改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)」にあたる工事を、マニュアル内では「改修等」又は「改修等工事」という。解体、改修の両方を合わせて「解体等」又は「解体等工事」という。なお、これらの用語を使用する場合は、石綿を使用する建築物等の解体等に限らないことに注意が必要である。(10)除去、封じ込め、囲い込み、除去等作業石綿含有建材の除去を行う場合は「除去」、封じ込めを行う場合は「封じ込め」、囲い込みを行う場合は「囲い込み」という。石綿含有建材の除去、封じ込め及び囲い込みの全て指す場合は「除去等」という。(11)発注者、自主施工者、発注者等「発注者」とは、解体等工事を発注する者をいう。大防法では「解体等工事の注文者で、他の者から請け負った解体等工事の注文者以外のもの」とされている。「自主施工者」は大防法の用語で、解体等工事を請負契約によらないで自ら施工する者をいう。本マニュアルでは、発注者と自主施工者を併せて「発注者等」という。(12)元請業者、元請業者等、下請負人、事業者発注者から直接解体等工事を請け負った者を大防法では「元請業者」といい、元請業者と自主施工者を併せて「元請業者等」という。「下請負人」は、大防法では、下請負契約により石綿含有建材の除去等作業を行う事業者を指す。なお、請け負った石綿含有建材の除去等作業が数次の請負契約によって行われるときは、全ての請負契約の当事者である請負人が下請負人となる。石綿則では、規制対象が主に「事業者」となっている。事業者は安衛法において「事業を行う者で、労働者を使用するものをいう」とされており、当該規定に該当すれば、元請業者等、下請負人のいずれの場合でも事業者となる。そのため、石綿則で事業者に適用される規制は大防法の元請業者等、下請負人のいずれにも適用されることに注意が必要である。ただし、一人親方等の労働者を使用しない者は事業者には該当しない。本マニュアル内では、元請業者のみを指す場合は「元請業者」、元請業者と自主施工者の両方を指す場合は「元請業者等」、下請負人のみを指す場合は「下請負人」、事業者を指す場合は「事業者」という。(13)作業者、労働者解体等工事や石綿の除去等作業を行う元請業者等、下請負人に所属し、実際にそれらの作業を行う者を本マニュアルでは「作業者」という。また、石綿則でいう「労働者」は、労働基準法において「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者」と規定されている。本マニュアルでは、作業者のうち労働者のみを指す場合は「労働者」という。(14)都道府県等都道府県及び大防法の特定粉じんに関する権限を有する市区等を本マニュアルでは「都道府県等」という。大防法における粉じんに関する規制に係る届出の受理、各種の命令に関する事務は、都道府県知事の権限であるが、大防法上の政令市(大防法施行令第13条第1項)に委任されている。また、都道府県の条例により、特定粉じん排出等作業に係る届出の受理権限等が委任されている市(以下「条例委任市」という。)もある。具体的には以下の環境省HPにて確認できる。【参考】解体等工事における石綿飛散防止に関する報告・届出・問い合わせ先https://www.env.go.jp/air/asbbestos/post_87/post_98.html733.3除去等作業等に関する用語ここでは主に除去等作業の方法に関する用語について、解説を行う。(1)事前調査、調査者等建築物等や船舶の解体等の前には、当該建築物等や船舶に石綿含有建材が使用されているか否かを調査する必要がある。この調査は、原則として書面による調査(書面調査)と現地で目視により確認する調査(現地での目視調査)を行う必要がある。また、事前調査で建材が石綿を含有するか否か判断できない場合は、建材の採取・分析を行って石綿含有の有無を確認する必要がある。この分析による調査を「分析調査」という。書面調査、現地での目視調査、分析調査をあわせて「事前調査」という。事前調査は、調査を適切に行うために必要な知識を有する者が実施することが必要である。詳細については4.3.4を参照すること。本マニュアルでは当該知識を有する者を「調査者等」という。(2)作業場石綿等の除去等作業を行う区域、場所は、大防法では「作業場」、石綿則では「作業場所」といわれているが、本マニュアルでは「作業場」という。下記の隔離を行う場合は、隔離する範囲となる。(3)隔離「隔離」とは他の場所からへだて離すことをいい、大防法、石綿則ともに石綿の飛散防止措置として「隔離」という用語を使用している。ただし、同じ「隔離」でも、除去等を行う建材の種類や切断等の有無によって、必要となる措置の内容は異なる。隔離を伴う飛散防止措置については、負圧化を行うものと負圧化を行わないものがあり、これらの措置はそれぞれ(9)負圧隔離養生と(10)隔離養生(負圧不要)を参照すること。本マニュアルで単に「隔離」という場合は、作業場を他の場所から分けて区画する広義の隔離(負圧隔離養生や隔離養生、グローブバックによる隔離等を含む)を示す。(4)セキュリティゾーン「セキュリティゾーン」は、作業員の出入りや、資機材及び廃棄物の搬出入に伴い石綿が外部へ漏えいすることを防ぐため、隔離空間の出入口に設置するもので、一般的には外部から作業場へ向かう方向順に、更衣室、洗身室、前室の連結した3室で構成される。大防法でいう「前室」は、本マニュアルではセキュリティゾーンという用語を用い、単に「前室」というときは3室の一つである狭義の「前室」を指す。石綿則では「前室、洗身室及び更衣室」がセキュリティゾーンに該当する。(5)施工区画作業場、セキュリティゾーンのほか、廃棄物保管場所、資機材置場等、石綿の除去等工事に直接又は間接的に関係する区画を「施工区画」という。石綿則では石綿等を取扱う作業場は関係者以外を立入禁止とすることとしており、石綿含有建材の除去等工事にあたっては、施工区画を立入禁止とする。(6)負圧化隔離空間及びセキュリティゾーンの内部の大気圧を当該隔離空間及び前室の外の大気圧よりも下げ、隔離空間及び前室の出入口から当該隔離空間及び前室の空気が外部へ漏れない状態にすることをいう。大防法、石綿則ともに「負圧に保つ」とされており、本マニュアルでは、状況に応じて「負圧化」ともいう。(7)HEPA(ヘパ)フィルタHighEfficiencyParticulateAirFilterの略。JISZ8122に定める「定格流量で粒径0.3マイクロメートルの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa(25mmH2O)以下の性能を持つエアフィルタ」をいう。集じん・排気装置や掃除機などに用いられる。(8)集じん・排気装置集じん装置と排風機(ファン)で構成される機器であり、隔離空間内に設置して隔離空間及びセキュリティゾーンを負圧化するとともに、作業で発生する石綿等の粉じんをろ過捕集し、清浄な空気を排出する。大防法及び石綿技術指針では、石綿含有吹付け材等の除去等の場合(囲い込みは切断等の作業を伴うものに限る)には(7)のHEPAフィルタ付きの集じん・排気装置を用いることとしている。集じん装置のフィル74タ部には、目詰まりを防止するための1次フィルタ、2次フィルタ及びHEPAフィルタを用いるのが一般的である。(9)負圧隔離養生大防法及び石綿則では、石綿含有吹付け材等を切断・破砕等して除去等を行う場合には、作業場の隔離、集じん・排気装置の設置、セキュリティゾーンの設置、隔離空間及びセキュリティゾーンの負圧化を行うことが義務付けられている。本マニュアルではこれらの措置を行うことを「負圧隔離養生」という。負圧隔離養生を行う際は、集じん・排気装置出口での漏えいの確認や負圧が保たれていることの確認も行うこととなる。石綿技術指針では、負圧化に耐えられるよう、負圧隔離養生に用いるシートは、「床面には厚さ0.15ミリメートル以上のシートを二重に、壁面には0.08ミリメートル以上のシートを用い、折り返し面(留め代)として30~45センチメートル程度を確保すること」としており、この時に用いるシートを「隔離シート」という。また、密閉された空間を「隔離空間」という。なお、大防法や石綿則では負圧隔離養生という用語は使用されていない。大防法では、「当該特定建築材料の除去を行う場所を他の場所から隔離すること。隔離に当たっては、作業場の出入り口に前室を設置すること。作業場及び前室を負圧に保ち、作業場及び前室の排気に日本産業規格Z8122に定めるHEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用すること。」等とされている。また、石綿則では、「石綿等の除去等を行う作業場所を、それ以外の作業を行う作業場所から隔離すること。石綿等の除去等を行う作業場所にろ過集じん方式の集じん・排気装置を設け、排気を行うこと。石綿等の除去等を行う作業場所の出入口に前室、洗身室及び更衣室を設置すること。石綿等の除去等を行う作業場所及び前号の前室を負圧に保つこと。」等とされている。(10)隔離養生(負圧不要)石綿含有成形板等のうち特に石綿の粉じんが発散しやすいもの(けい酸カルシウム板第1種)を切断等により除去する場合や、石綿含有仕上塗材を電動工具を使用して除去する場合、大防法では「周辺を事前に養生する」としているが、石綿則では、「当該作業を行う作業場所を当該作業以外の作業を行う作業場所からビニルシート等で隔離する」としている。このときの石綿則でいう隔離については、負圧化までは必要とせず、除去作業による石綿含有建材の粉じんが他の作業場所に飛散して作業員がばく露することを防ぐことを求めるものであり、大防法が求めている「養生」と同様の意味である。これらの措置のことを、本マニュアルでは「隔離養生(負圧不要)」という。隔離養生(負圧不要)では、石綿を含む粉じんや塊が作業場から周辺へ飛散・散乱することを防ぐため、室内において開口部等をプラスチックシート等で覆う措置や室外においては建築物等の外周をシートやパネルで覆う措置を実施する。隔離養生では負圧化までは必要としない。隔離養生(負圧不要)や(11)の養生に用いるシートを「養生シート」という。養生シートの材質や厚みの規定はないが、十分な厚みがあり、簡単に破れないシートを使用すること。また、養生はシート状のものだけでなく、鋼板やパネル等を用いて行うことも可能であるが、作業場から周囲に石綿を含む粉じんを飛散させないよう、ある程度の密閉性を確保する必要がある。(11)養生建築物等や設備、使用機器等の汚れ防止や破損防止等を目的として、養生シートやパネル等で建築物等や設備、使用機器、作業場の周囲等を養生することを本マニュアルでは「養生」という。養生を行う例としては以下の例がある。足場囲い養生:粉じんの飛散防止や騒音対策のため、建築物の周囲に設置した足場の外周をシートやパネルで囲う養生飛沫養生:高圧水洗工法を行う際に、噴射水等の飛沫飛散防止のためにシートを用いて行う養生床防水養生:高圧水洗工法を行う際に、汚染水の流出防止のため防水性能のあるシートを床に用いて行う養生陽圧回避養生:煙突断熱材の除去において、断熱材の崩落時に生じる下部隔離区域の気積と圧力増を一時的に回避するための養生)75(12)切断等石綿含有建材の切断や破砕等、石綿を含む粉じんが多量に発生するおそれがある作業を本マニュアルでは「切断等」という。大防法では「かき落とし、切断し、又は破砕すること」、石綿則では「切断、破砕、穿孔、研磨等」とされている。(13)原形のまま取り外し石綿含有保温材等や石綿含有成形板等を切断等することなくそのまま建築物等から取り外し、除去することを「原形のまま取り外し」という。石綿含有保温材等や石綿含有成形板等の除去等を行う際、大防法では「かき落とし、切断又は破砕以外の方法」、石綿則では「切断等以外の方法」は、原形のまま取り外すことを指す。石綿則第6条の2第1項の規定では、石綿含有成形品(大防法の石綿含有成形板等)の除去作業において、原則として切断等以外の方法(手ばらし)により当該作業を実施することを定めている。切断等以外の方法により石綿等の除去等の作業を実施することが技術上困難な場合は、当該石綿等を湿潤化した上で、手工具(バール、のこぎり等)により当該作業を実施する。手工具によることが技術上困難な場合で、電動工具を用いて石綿等の切断等の作業等を行う場合にあっては、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあること及び電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する。やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にする。(14)湿潤化石綿繊維等の飛散を抑制又は防止するため、薬液等((15)参照)で石綿含有建材を湿潤な状態にすることを指す。湿潤化に関して、石綿則では、「湿潤な状態のものとすること」と「常時湿潤な状態に保つこと」という規定がある。「湿潤な状態のものとすること」は石綿繊維等の飛散を抑制又は防止するため、石綿含有建材を一時的に湿潤なものとすることであり、「常時湿潤な状態に保つこと」は切断面への散水等の措置を講じながら作業を行うことにより、湿潤な状態を保つことである。石綿則では、石綿含有成形板等のうち特に石綿の粉じんが発散しやすいもの(けい酸カルシウム板第1種)を切断等により除去する場合や、石綿含有仕上塗材を電動工具を使用して除去する場合には、常時湿潤な状態に保つことが求められる。なお、大防法ではどの作業においても「湿潤化」という用語が使用されている。本マニュアルではいずれの場合も「湿潤化」といい、常時湿潤な状態に保つ場合は、継続的に湿潤化を行うよう記載している。なお、令和5年の石綿則の改正により、石綿等の切断等の作業に係る措置として、湿潤化の措置に限定せず、石綿等の湿潤化、除じん性能を有する電動工具を使用その他の措置のいずれかを行うことが義務付けられた。(15)薬液、薬液等薬液等は石綿の飛散を抑制・防止するために用いられる薬液や水のこと。「薬液」には粉じん飛散抑制剤と粉じん飛散防止処理剤がある。また、石綿含有仕上塗材の除去においては、剥離剤も薬液に含まれる。薬液と水をあわせて「薬液等」という。薬液等は使用状況、目的にあわせて効果のあるものを選択する必要がある。(16)粉じん飛散抑制剤石綿含有吹付け材等の内部に浸透し、石綿繊維を結合させ、除去時に粉じん飛散を抑制させるものを「粉じん飛散抑制剤」という。水に比べて、表面張力を減らし、吹付け材等が吸収しやすいものとなっている。除去工事の際の湿潤化のために使用するほか、除去作業中の浮遊粉じんの沈降促進のために空中散布する。また、除去した廃棄物の安定化処理のために使用する。(17)の粉じん飛散防止処理剤と同じものを、希釈倍率を変えて使用することが多い。76(17)粉じん飛散防止処理剤表面に被膜を形成し、粉じんの飛散を防止するためのものを「粉じん飛散防止処理剤」という。石綿含有吹付け材を除去した後の表面に吹付けて除去面からの粉じん飛散を防止するほか、隔離シートを撤去する際に付着している粉じんを固定するために噴霧する。また、隔離作業場内で使用した工具等の搬出にあたっては、付着している石綿を濡れウェス等でふき取ったのち、粉じん飛散防止処理剤を噴霧し残存する粉じんの飛散を防止する。粉じん飛散防止処理剤のうち、建築基準法第37条第2項に基づく認定を受けた石綿飛散防止剤は封じ込め処理工事の薬液にも使用される。(18)除じん性能を有する電動工具除じん性能を有する電動工具の「除じん性能を有する」には、HEPAフィルタ又はこれと同等以上の性能を有するフィルタを備えた集じん機を用いることが含まれる。使用等に当たっては、取扱説明書等に従い、適切に使用すること。(19)高性能真空掃除機HEPAフィルタ付きの真空掃除機、又は石綿繊維の捕集率がHEPAフィルタと同等の性能を有する真空掃除機のことを「高性能真空掃除機」という。使用等に当たっては、取扱説明書等に従い、適切に使用すること。(20)グローブバッグ配管の一部等を局所的に隔離するための袋状の用具を「グローブバッグ」という。グローブバッグには手を入れて作業を行う手袋の部位がある。作業箇所に取り付けて当該部分を密封した後、手袋を使って石綿の除去作業を行い、密封状態を保ったまま取り出すことが可能であるとされている。(21)廃石綿等建築物等の解体等工事から発生する石綿含有吹付け材等の除去物及び石綿含有吹付け材等の除去物が発生する解体等工事に使用した隔離シート、保護衣、呼吸用保護具・除じん性能を有する電動工具・高性能真空掃除機のフィルタ等を廃棄する場合、これらの廃材は廃棄物処理法の特別管理産業廃棄物である「廃石綿等」に該当する。処分にあたっては、管理型若しくは遮断型最終処分場での埋立処分を行う又は溶融・無害化処理を行った上で最終処分場での埋立処分を行う必要がある。また、溶融・無害化を行わずに埋立処分するにあたっては、固型化、薬剤による安定化又はこれらに準ずる措置を講じた上、耐水性の材料で二重梱包する等の措置が必要となる。(22)石綿含有産業廃棄物建築物等の解体等工事等から発生する廃棄物のうち、廃石綿等(特別管理産業廃棄物)以外のもので、石綿を0.1重量%を超えて含有する産業廃棄物を「石綿含有産業廃棄物」という。その処分にあたっては、中間処理での破砕が禁止されており、最終処分場の一定場所に埋立処分を行う必要がある。また、溶融・無害化処理を行ってもよい。(23)呼吸用保護具粉じんや有害物質等の存在下で、呼吸を保護するために着用する個人用保護具。送気マスク等給気式呼吸用保護具、国家検定の面体形及びルーズフィット形(フードをもつもの)の防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具や取替え式防じんマスクを「呼吸用保護具」という。なお、使い捨て式防じんマスクは、石綿を取扱う作業に使用してはならない。(24)保護衣全身又はその一部を粉じんや有害物質の化学的、物理的又は機械的作業から保護する個人用保護具。JIST8115:2015化学防護服の浮遊固体粉じん防護用密閉服(タイプ5)又は同等品を使用する。(25)作業衣一般環境や家庭内への二次汚染を防止することを目的に、石綿を取り扱う作業場内で専用に着用する作業衣のこと。石綿を取り扱う作業以外の作業で着用する作業衣や通勤衣と区別して使用する。材質は、表面が平滑で粉じんが付着しにくいものとし、構造は、粉じんが服内部に侵入しにくく、また、粉じんが堆積しないようにポケット数が必要最小限のものとする。77784建築物等の解体等における飛散防止対策4.1石綿飛散・ばく露防止対策の概要石綿含有建材は、大きく石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等、石綿含有成形板等、石綿含有仕上塗材に分けられる。それぞれの分類を表4.1.1に示す。表4.1.1石綿含有建材の種類建材の種類石綿含有吹付け材(レベル1)石綿含有保温材等(レベル2)石綿含有成形板等(レベル3)石綿含有仕上塗材対応石綿含有材①吹付け石綿②石綿含有吹付けロックウール(乾式)③湿式石綿吹付け材(石綿含有吹付けロックウール(湿式))④石綿含有吹付けバーミキュライト⑤石綿含有吹付けパーライト【石綿含有耐火被覆材】①耐火被覆板②けい酸カルシウム板第2種【石綿含有断熱材】①屋根用折板裏石綿断熱材②煙突用石綿断熱材【石綿含有保温材】①石綿保温材②けいそう土保温材③石綿含有けい酸カルシウム保温材④バーミキュライト保温材⑤パーライト保温材⑥不定形保温材(水練り保温材)①外壁・軒天スレートボード、スレート波板、窯業系サイディング、押出成形セメント板、けい酸カルシウム板第1種②屋根スレート波板、住宅屋根用化粧スレート③内壁・天井スレートボード、スラグせっこう板、パーライト板、パルプセメント板、けい酸カルシウム板第1種、せっこうボード、ロックウール吸音天井板、ソフト巾木④床ビニル床タイル、長尺塩ビシート、フリーアクセスフロア材⑤煙突セメント円筒⑥その他セメント管、ジョイントシート、紡織品、パッキン①建築用仕上塗材(吹付けバーミキュライト、吹付けパーライトは除く)②建築用下地調整塗材注)発じん性著しく高い高い比較的低い比較的低い具体的な使用箇所の例①建築基準法の耐火建築物(3階建以上の鉄骨構造の建築物、床面積の合計が200m2以上の鉄骨構造の建築物等)などの鉄骨、はり、柱等に、石綿とセメントの合剤を吹付けて所定の被膜を形成させ、耐火被膜用として使われている。昭和38(1963)年頃から昭和50(1975)年初頭までの建築物に多い。特に柱、エレベーター周りでは、昭和63(1988)年頃まで、石綿含有吹付け材が使用されている場合がある。②ビルの機械室、ボイラ室等の天井、壁又はビル以外の建築物(体育館、講堂、温泉の建物、工場、学校等)の天井、壁に、石綿とセメントの合剤を吹付けて所定の被膜を形成させ、吸音、結露防止(断熱用)として使われている。昭和31(1956)年頃から昭和50(1975)年初頭までの建築物が多い。①ボイラ本体及びその配管、空調ダクト等の保温材として、石綿保温材、石綿含有けい酸カルシウム保温材等を張り付けている。②建築物の柱、はり、壁等に耐火被覆材として、石綿耐火被覆板、石綿含有けい酸カルシウム板第2種を張り付けている。③断熱材として、屋根用折板裏断熱材、煙突用断熱材を使用している。①建築物の天井、壁、床等に石綿含有成形板、ビニル床タイル等を張り付けている。②屋根材として石綿スレート等を用いている。③煙突や上下水道管に石綿セメント円筒や石綿セメント管が使用されている。④ダクトや配管のつなぎ部にジョイントシート(シール材)や石綿紡織品、パッキンなどが使用されている。①建築物の外壁に仕上塗材が塗られている。②内装仕上げに仕上塗材が塗られている。③建築用仕上塗材を施工する際、建築用下地調整塗材を使用している。注)石綿を含有する建築用下地調整塗材は、法令上は石綿含有成形板等の作業基準が適用されるが、本マニュアルでは仕上塗材として区分する。除去等の作業を行う際は建材の種類や作業の内容に応じて、求められる石綿飛散防止対策が異なる。石綿含有吹付け材の除去を行う際は、切断等を伴う掻き落としによることが一般的である。一方、石綿含有保温材等を除去する場合や、石綿含有吹付け材等を囲い込み又は封じ込め処理する場合、建材の使用状況や形状に応じた多様な方法が実施されており、それぞれの方法により石綿飛散防止対策は異なってくる。また、石綿含有成形板等や石綿含有仕上塗材の除去を行う際にも、適切な飛散防止対策が求められる。そのため、本マニュアルでは、以下に状況に分けて作業時の石綿飛散防止対策を記述した。石綿含有吹付け材等の切断等を行う作業に係る石綿飛散防止対策(4.7)石綿含有保温材等の切断等を行わない除去作業に係る石綿飛散防止対策(4.8)囲い込み又は封じ込め作業に係る石綿飛散防止対策(4.9)石綿含有吹付け材等の切断等を行う作業の特殊な石綿飛散防止対策(4.10)石綿含有成形板等の除去作業に係る石綿飛散防止対策(4.11)石綿含有仕上塗材の除去作業に係る石綿飛散防止対策(4.12)また、解体等にあたりあらかじめ石綿含有建材を除去することが困難な場合(4.13)、除去等作業において隔離を行う場合の作業場内の漏えい確認(4.14)、石綿含有建材の除去等作業が適切に行われたことの確認及び作業の記録(4.15)についても解説を行っている。大防法や石綿則による作業方法は、石綿を含む粉じんの発じん性等を考慮して設定されている。この「発じん性等」は、「密度(かさ密度も含む)の軽重」、「石綿の種類」、「石綿含有率」等の因子と施工された後の劣化状況に関係する因子がある。後者の劣化については、施工時の状態(現場施工かどうか)、石綿以外の原料の種類、使用部位の環境状況(温度、湿度、気流等)等に依存している。このように、これらの因子が複雑に絡み合っているので、同じ石綿含有建材でも、当然、発じん性が異なることがある。例えば、石綿含有保温材等に該当する建材でも、石綿含有吹付け材の発じん性に相当する場合もあり、また、石綿含有成形板等に該当する建材でも、石綿含有保温材等に相当する場合もある。さらに、これらの因子以外に、建築物等の解体等における作業方法(切断等を伴うか否か等)によっても、発じん性の度合いが異なってくる。したがって、石綿の除去等作業を行う際は発じん性の目安として表4.1.1を参照しつつも、劣化状況のほか、作業方法といった因子等を十分に考慮する必要がある。表4.1.2に、石綿飛散及びばく露防止対策の概要を示す。7980表4.1.2石綿飛散及びばく露防止対策の概要(1)大防法条項石綿則条項本文記述箇所4.74.10.14.74.10.34.10.14.7石綿含有建材除去等の工法切断等による除去切断等を伴う封じ込め囲い込み建築材料の種類石綿含有吹付け材石綿含有保温材等石綿含有吹付け材・保温材等石綿含有建材除去等作業時の飛散防止方法作業場を負圧隔離養生等特殊工法(例グローブバッグの場合)1)作業場を負圧隔離養生等特殊工法(例グローブバッグの場合)1)作業場を負圧隔離養生等18条の15第1項規則16条の53条事前調査要要要要要18条の15第6項規則16条の114条の2事前調査結果の報告要要要要要18条の15第5項3条事前調査結果の備え付け要要要要要規則第16条の44条作業計画の作成要要要要要法第18条の17安衛法88条第3項石綿則5条大防法及び安衛法・石綿則の届出要要要要要18条の15第5項規則16条の9、103条事前調査結果の掲示要要要要要18条の14規則16条の4第二号15条他作業実施の掲示要要要要要-33条喫煙禁止/飲食禁止の掲示要要要要要19条作業主任者の選任要要要要要27条特別教育要要要要要14条保護具着用要要要要要7条、15条作業場への関係者以外立入禁止要要要要要18条の14規則16条の4規則別表第七6条隔離負圧隔離養生グローブバッグ負圧隔離養生グローブバッグ負圧隔離養生セキュリティゾーンの設置要-要-要負圧の確保、集じん・排気装置の設置要高性能真空掃除機による除じん要高性能真空掃除機による除じん要機器による漏えいの確認要必要に応じて要必要に応じて要負圧の確認要-要-要右欄に記載湿潤化等2)要(13条)要(13条)要(13条)要(6条ただし書き、13条)要(13条)30条清掃要要要要要6条取り残し等の確認要要要要要粉じん飛散防止処理要要要要要隔離解除のための粉じん飛散状況確認要-要-要18条の14規則6条の83条、35条、36条事前調査結果、作業内容の記録・保管要要要要要備考:「要」は法令上求められる措置を示す。1)グローブバッグは、局所的に使用されるものである。2)石綿等の湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うこと。81表4.1.2石綿飛散及びばく露防止対策の概要(2)大防法条項石綿則条項本文記述箇所4.8.14.8.24.10.24.9石綿含有建材除去等の工法切断等によらない除去切断等を伴わない封じ込め、囲い込み1)建築材料の種類石綿含有保温材等石綿含有吹付け材石綿含有保温材等配管保温材屋根用折板裏断熱材石綿含有建材除去等作業時の飛散防止方法湿潤化して原形のまま取り外し非石綿部での切断による除去断熱材を折板に付けたままの除去作業場を隔離養生(負圧不要)等18条の15第1項規則16条の53条事前調査要要要要18条の15第6項規則16条の114条の2事前調査結果の報告要要要要18条の15第5項3条事前調査結果の備え付け要要要要規則16条の44条作業計画の作成要要要要18条の17安衛法88条第3項石綿則5条大防法及び安衛法・石綿則の届出要安衛法・石綿則は要要要18条の15第5項規則16条の9、103条事前調査結果の掲示要要要要18条の14規則16条の4第二号15条他作業実施の掲示要要要要-33条喫煙禁止/飲食禁止の掲示要要要要19条作業主任者の選任要要要要27条特別教育要要要要14条保護具着用要要要要7条、15条作業場への関係者以外立入禁止要要要要18条の14規則16条の4規則別表第七6条隔離隔離養生(負圧不要)2)-隔離養生(負圧不要)2)隔離養生(負圧不要)2)セキュリティゾーンの設置----負圧の確保、集じん・排気装置の設置----機器による漏えいの確認----負圧の確認----右欄に記載湿潤化等3)要(6条ただし書き)-要(6条ただし書き)-30条清掃要-要要6条取り残し等の確認要要要要粉じん飛散防止処理要-要要隔離解除のための粉じん飛散状況確認----18条の14規則6条の83条、35条、36条事前調査結果、作業内容の記録・保管要要要要備考:「要」は法令上求められる措置を示す。1)石綿含有吹付け材の囲い込み、または石綿含有保温材等の封じ込め若しくは囲い込みの場合のみ。石綿含有吹付け材の封じ込めを行う場合は、切断等の有無に係らず作業場の負圧隔離養生等を行う。2)劣化による飛散が想定される場合は、負圧隔離養生等を行う。また、劣化により切断等によらない工法で除去等を行うことが難しい場合は、切断等による工法で除去を行う。3)石綿等の湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うこと。82表4.1.2石綿飛散及びばく露防止対策の概要(3)大防法条項石綿則条項本文記述箇所4.11石綿含有建材除去等の工法切断等によらない除去切断等による除去切断等によらない除去切断等による除去建築材料の種類石綿含有成形板等石綿含有成形板等石綿含有けい酸カルシウム板第1種石綿含有建材除去等作業時の飛散防止方法原形のまま取り外し湿潤化等原形のまま取り外し作業場を隔離養生(負圧不要)湿潤化等18条の15第1項規則16条の53条事前調査要要要要18条の15第6項規則16条の14条の2事前調査結果の報告要要要要18条の15第5項3条事前調査結果の備え付け要要要要規則第16条の44条作業計画の作成要要要要18条の17安衛法88条第3項規則第5条大防法及び安衛法・石綿則の届出不要不要不要不要18条の15第5項規則16条の9、103条事前調査結果の掲示要要要要18条の14規則16条の4第二号15条他作業実施の掲示要要要要-33条喫煙禁止/飲食禁止の掲示要要要要19条作業主任者の選任要要要要27条特別教育要要要要14条保護具着用防じんマスク又は電動ファン付防じんマスク又は電動ファン付防じんマスク又は電動ファン付電動ファン付7条、15条作業場への関係者以外立入禁止要要要要18条の14規則16条の4規則別表第七6条の2、6条の3隔離---隔離養生(負圧不要)1)規則則別表第七右欄に記載湿潤化等2)-3)要(13条第1項)-3)要(6条の2)18条の14規則16条の4規則別表第七30条清掃要要要要6条取り残し等の確認要要要要18条の14規則6条の83条、35条、36条事前調査結果、作業内容の記録・保管要要要要備考:「要」は法令上求められる措置を示す。1)湿潤化及び隔離養生(負圧不要)と同等以上の効果を有する措置を講じる場合は不要(4.12.4(3)3)を参照)2)石綿等の(常時)湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うこと。3)粉じん飛散防止のために実施することが望ましい。83表4.1.2石綿飛散及びばく露防止対策の概要(4)大防法条項石綿則条項本文記述箇所4.12石綿含有建材除去等の工法切断等による除去(電動工具は使用しない)切断等による除去(電動工具を用いて除去)建築材料の種類石綿含有仕上塗材石綿含有建材除去等作業時の飛散防止方法湿潤化作業場を隔離養生等(例高圧水洗除去)(例剥離剤併用手工具ケレン除去)(例ディスクグラインダー除去)(例集じん装置付きディスクグラインダー除去(HEPAフィルタ付き))18条の15第1項規則16条の53条事前調査要要要要18条の15第6項規則16条の114条の2事前調査結果の報告要要要要18条の15第5項3条事前調査結果の備え付け要要要要規則16条の44条作業計画の作成要要要要法18条の17安衛法88条第3項石綿則第5条大防法及び安衛法・石綿則の届出不要不要不要不要18条の15第5項規則16条の9、103条事前調査結果の掲示要要要要18条の14規則16条の4第二号15条他作業実施の掲示要要要要-33条喫煙禁止/飲食禁止の掲示要要要要19条作業主任者の選任要要要要27条特別教育要要要要14条保護具着用防じんマスク又は電動ファン付き1)防じんマスク又は電動ファン付き1)電動ファン付き電動ファン付き7条、15条作業場への関係者以外立入禁止要要要要18条の14規則16条の4規則別表第七6条の26条の3隔離--隔離養生(負圧不要)隔離養生(負圧不要)2)規則別表第七右欄に記載湿潤化等3)要(13条第1項)要(13条第1項)要(6条の3)要2)(6条の3)(飛沫防止等の養生)○4)○4)--(床防水養生)○4)---(汚染水処理)○4)---18条の14規則16条の4規則別表第七30条清掃要要要要6条取り残し等の確認要要要要18条の14規則6条の83条、35条、36条事前調査結果、作業内容の記録・保管要要要要備考:「要」は法令上求められる措置を示す。1)剥離剤工法の場合、使用する剥離剤及び工程に合わせて送気マスク等の適切な呼吸用保護具を着用する必要がある。令和2年基安化発0817第1号を参照。2)湿潤化及び隔離養生(負圧不要)と同等以上の効果を有する措置を講じる場合は不要(4.12.4(3)3)を参照)。3)石綿等の(常時)湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うこと。4)「○」は適切な石綿飛散防止対策のために実施が必要な措置を示す。844.2作業の一般的手順4.2.1石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等を切断等により除去等を行う場合【解体又は改修等における除去を行う場合】建築物/工作物事前調査結果の現場への備え付け下請負人への説明※4確認を適切に行うために必要な知識を有する者※1の調査者等又は当該作業に係る石綿作業主任者石綿含有吹付け材等の除去大防法・石綿則の石綿飛散防止措置・作業内容の掲示・作業場の負圧隔離養生(プラスチックシート等による隔離、セキュリティゾーンの設置、HEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用して排気することにより、作業場内の粉じんを処理するとともに作業場を負圧に保つ)集じん・排気装置は整備・点検したものであること・除去の開始前及び中断時に、作業場内及びセキュリティゾーンの負圧を確認するとともに、集じん・排気装置が正常に稼働することを確認する・除去する石綿含有吹付け材等を薬液等により湿潤化・除去の開始後速やかに、及び除去の開始後に集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換した場合その他必要な場合は、随時使用する集じん・排気装置の排気口から粉じんの漏えいがないことを確認する・除去後、取り残しがないこと及び計画どおり適切な飛散防止措置がとられていたことを確認する・必要な知識を有する者が取り残しの有無を確認する・除去後、石綿等の飛散を抑制するため、除去部分に粉じん飛散防止処理剤を散布する・作業場内の清掃及び集じん・排気装置による十分な換気を行い作業場内の石綿を処理し、排出又は飛散のおそれがないことを確認した後、負圧隔離養生を解く事前調査報告作業前処理除去作業事後処理:石綿含有吹付け材等を切断等により除去する作業で必要な措置図4.2.1石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等を切断等により除去する場合の一般的手順:石綿含有吹付け材等の使用がない場合でも必要な措置届出負圧隔離養生内の石綿が飛散しないことの確認掲示等による事前調査結果・作業内容の周知作業開始直後及び定期的に、集じん・排気装置の排気口から粉じんの漏えいがないことや負圧が確保されていることを確認作業場内の清掃必要な知識を有する者による取り残しがないことの確認※4除去部分への粉じん飛散防止処理剤の散布作業記録の作成、作業が適切に終了したことの確認仕上清掃※1建築物の解体等工事に係る書面及び現地での目視調査は、建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程に規定される石綿含有建材調査者等に依頼する。なお、特定工作物等の解体又は改修工事における調査者等による事前調査の義務付けは、令和8(2026)年1月1日以降に着工する工事から適用される。※2分析調査は、厚生労働大臣が認める分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者に依頼する。※3規模要件に応じて電子システムにより報告する。※石綿無し、石綿有りとみなし、新築工事の着工日が平成18(2006)年9月1日以降であっても報告必要。建築物の解体:床面積の合計80㎡以上建築物の改修:請負金額100万円以上特定工作物の解体・改修等:請負金額100万円以上負圧隔離養生(プラスチックシート等による隔離、セキュリティゾーンの設置、集じん・排気装置の設置、負圧の確保)集じん・排気装置の設置発注者による作業実施の届出(大防法)施工者による届出(安衛法・石綿則)事前調査結果及び作業方法の発注者への説明元請業者による事前調査結果の都道府県等及び労働基準監督署への報告※3事前調査(元請業者が実施)※1、2・書面調査・現地での目視調査・分析調査による判定または含有みなし集じん・排気装置の点検・確認作業場内及びセキュリティゾーンの負圧の確認負圧隔離養生解除(シート等の撤去)確認結果の記録及び終了報告の保存事前調査結果・作業内容を公衆・作業者に見やすいように掲示石綿含有吹付け材等の湿潤化発注者への終了報告事前調査結果の記録85【封じ込め、囲い込みを行う場合】建築物/工作物※3規模要件に応じて電子システムにより報告する。※石綿無し、石綿有りとみなし、新築工事の着工日が平成18(2006)年9月1日以降であっても報告必要。建築物の解体:床面積の合計80㎡以上建築物の改修等:請負金額100万円以上特定工作物の解体・改修等:請負金額100万円以上図4.2.2石綿含有吹付け材等の封じ込め・囲い込みを行う場合の一般的手順石綿含有吹付け材等の湿潤化大防法・石綿則の石綿飛散防止措置・作業内容の掲示・作業場の負圧隔離養生(プラスチックシート等による隔離、セキュリティゾーンの設置、HEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用して排気することにより、作業場内の粉じんを処理するとともに作業場を負圧に保つ)*集じん・排気装置は整備・点検したものであること・作業の開始前及び中断時に、作業場内及びセキュリティゾーンの負圧を確認するとともに、集じん・排気装置が正常に稼働することを確認する・施工する石綿含有吹付け材等を薬液等により湿潤化する・作業の開始後速やかに、及び除去の開始後に集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換した場合その他必要な場合は、随時使用する集じん・排気装置の排気口から粉じんの漏えいがないことを確認する・作業後、囲い込み又は封じ込めが適切になされていること(正しく被覆又は固着されていること)及び計画どおり適切な飛散防止措置がとられていたことを確認する・必要な知識を有する者が作業が適切になされているか確認する・作業場内の清掃及び集じん・排気装置による十分な換気を行い作業場内の石綿を処理し、排出又は飛散のおそれがないことを確認した後、隔離を解く集じん・排気装置の点検・確認作業場内及びセキュリティゾーンの負圧の確認事前調査届出作業前処理囲い込み、封じ込め作業事後処理:石綿含有吹付け材等の封じ込め・囲い込み作業で必要な措置:石綿含有吹付け材等の使用がない場合でも必要な措置報告掲示等による事前調査結果・作業内容の周知作業開始直後及び定期的に、集じん・排気装置の排気口から粉じんの漏えいがないことや負圧が確保されていることを確認※1建築物の解体等工事に係る書面及び現地での目視調査は、建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程に規定される石綿含有建材調査者等に依頼する。なお、特定工作物等の解体又は改修工事における調査者等による事前調査の義務付けは、令和8(2026)年1月1日以降に着工する工事から適用される。※2分析調査は、厚生労働大臣が認める分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者に依頼する。※4確認を適切に行うために必要な知識を有する者※1の調査者等又は当該作業に係る石綿作業主任者発注者による作業実施の届出(大防法)施工者による届出(安衛法・石綿則)元請業者による事前調査結果の都道府県等及び労働基準監督署への報告※3負圧隔離養生内の石綿が飛散しないことの確認作業場内の清掃事前調査(元請業者が実施)※1、2・書面調査・現地での目視調査・分析調査による判定または含有みなし事前調査結果及び作業方法の発注者への説明事前調査結果・作業内容を公衆・作業者に見やすいように掲示囲い込み・封じ込め作業負圧隔離養生(プラスチックシート等による隔離、セキュリティゾーンの設置、集じん・排気装置の設置、負圧の確保)集じん・排気装置の設置必要な知識を有する者による作業が適切になされていることの確認※4負圧隔離養生解除(シート等の撤去)仕上清掃作業記録の作成、作業が適切に終了したことの確認発注者への終了報告事前調査結果の現場への備え付け下請負人への説明確認結果の記録及び終了報告の保存事前調査結果の記録864.2.2石綿含有保温材等を切断等せずに除去等を行う場合【除去、囲い込みを行う場合】建築物/工作物図4.2.3保温材等を掻き落とし、切断又は破砕をせずに除去等を行う場合の一般的手順(解体・改修等における除去、囲い込み)事前調査結果・作業内容を公衆・作業者に見やすいように掲示石綿含有保温材等の除去大防法・石綿則の石綿飛散防止措置・作業内容の掲示・床面等必要な部分への隔離養生(負圧不要)・除去等を行う石綿含有保温材等を薬液等により湿潤化する・除去後、取り残しがないこと(囲い込みの場合は措置が正しくなされていること)及び計画どおり適切な飛散防止措置がとられていたことを確認する・必要な知識を有する者が取り残しがないこと、囲い込みが適切になされていたことを確認する・除去した場合は、石綿等の飛散を抑制するため、除去部分に粉じん飛散防止処理剤を散布する・作業場内の清掃等により作業場内の石綿を処理した後、隔離養生を解く事前調査届出作業前処理除去作業事後処理:石綿含有保温材等を切断等せずに除去等を行う場合に必要な措置:石綿含有保温材等の使用がない場合でも必要な措置報告事前調査結果及び作業方法の発注者への説明掲示等による事前調査結果・作業内容の周知作業場内の清掃必要な知識を有する者による取り残しがないことの確認※4除去部分への粉じん飛散防止処理剤の散布作業記録の作成、作業が適切に終了したことの確認※4確認を適切に行うために必要な知識を有する者※1の調査者等又は当該作業に係る石綿作業主任者仕上清掃除去囲い込み隔離養生(負圧不要)石綿含有保温材等の湿潤化石綿含有保温材等の囲い込み作業場内の清掃必要な知識を有する者による囲い込みが適切になされたことの確認※4※1建築物の解体等工事に係る書面及び現地での目視調査は、建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程に規定される石綿含有建材調査者等に依頼する。なお、特定工作物等の解体又は改修工事における調査者等による事前調査の義務付けは、令和8(2026)年1月1日以降に着工する工事から適用される。※2分析調査は、厚生労働大臣が認める分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者に依頼する。※3規模要件に応じて電子システムにより報告する。※石綿無し、石綿有りとみなし、新築工事の着工日が平成18(2006)年9月1日以降であっても報告必要。建築物の解体:床面積の合計80㎡以上建築物の改修等:請負金額100万円以上特定工作物の解体・改修等:請負金額100万円以上発注者による作業実施の届出(大防法)施工者による届出(安衛法・石綿則)事前調査(元請業者が実施)※1、2・書面調査・現地での目視調査・分析調査による判定または含有みなし元請業者による事前調査結果の都道府県等及び労働基準監督署への報告※3発注者への終了報告隔離養生解除(シート等の撤去)事前調査結果の現場への備え付け下請負人への説明確認結果の記録及び終了報告の保存事前調査結果の記録874.2.3石綿含有成形板等の除去を行う場合【解体・改修等における除去】建築物/工作物(必要に応じて養生)※3規模要件に応じて電子システムにより報告する。※石綿無し、石綿有りとみなし、新築工事の着工日が平成18(2006)年9月1日以降であっても報告必要。建築物の解体:床面積の合計80㎡以上建築物の改修等:請負金額100万円以上特定工作物の解体・改修等:請負金額100万円以上大防法・石綿則の石綿飛散防止措置【共通事項】・作業内容の掲示・事前調査結果の掲示・石綿含有成形板等は、原則として切断等せず原形のまま取り外す・解体の場合は、躯体等の解体に先行して撤去する・必要な知識を有する者が取り残しがないことを確認する・隔離養生(負圧不要)を伴う作業の場合は、取り残しの確認及び清掃後に隔離養生を解除する【原形のまま取り外すことが著しく困難な場合】・石綿含有けい酸カルシウム板第1種石綿含有けい酸カルシウム板第1種を切断等により除去する場合は、除去部分周辺を隔離養生(負圧不要)するとともに、除去部分の常時湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行う・その他の成形板等その他の石綿含有成形板等を切断等により除去する場合は、除去部分の湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行う推奨される措置・作業基準等で養生が求められていない作業においても、作業場所近傍に民家が隣接している場合や、隣接区画で働いている人がいる等、周辺の状況によっては必要な外周養生を行う図4.2.4石綿含有成形板等の除去を行う場合の一般的手順(解体・改修等)事前調査(元請業者が実施)※1、2・書面調査・現地での目視調査・分析調査による判定または含有みなし元請業者による事前調査結果の都道府県等及び労働基準監督署への報告※3報告事前調査結果・作業内容を公衆・作業者に見やすいように掲示成形板等の湿潤化等石綿含有成形板等の除去作業場内の清掃必要な知識を有する者による取り残しがないことの確認※4仕上清掃掲示等による事前調査結果・作業内容の周知作業前処理除去作業事後処理原形のまま取り外す切断等により除去発注者への終了報告作業記録の作成、作業が適切に終了したことの確認:石綿含有成形板等を除去する場合に必要な措置:石綿含有成形板等の使用がない場合でも必要な措置事前調査結果及び作業方法の発注者への説明事前調査(必要に応じて養生)※4確認を適切に行うために必要な知識を有する者※1の調査者等又は当該作業に係る石綿作業主任者※1建築物の解体等工事に係る書面及び現地での目視調査は、建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程に規定される石綿含有建材調査者等に依頼する。なお、特定工作物等の解体又は改修工事における調査者等による事前調査の義務付けは、令和8(2026)年1月1日以降に着工する工事から適用される。※2分析調査は、厚生労働大臣が認める分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者に依頼する。石綿含有けい酸カルシウム板第1種その他の石綿含有成形板等隔離養生(負圧不要)隔離養生・養生シートの撤去事前調査結果の現場への備え付け下請負人への説明確認結果の記録及び終了報告の保存事前調査結果の記録88隔離養生(負圧不要)4.2.4石綿含有仕上塗材の除去を行う場合【解体・改修等における除去】建築物/工作物※4確認を適切に行うために必要な知識を有する者※1の調査者等又は当該作業に係る石綿作業主任者あり図4.2.5石綿含有仕上塗材の除去を行う場合の一般的手順(解体・改修等)事前調査(元請業者が実施)※1、2・書面調査・現地での目視調査・分析調査による判定または含有みなし元請業者による事前調査結果の都道府県等及び労働基準監督署への報告※3報告事前調査結果及び作業方法の発注者への説明事前調査事前調査結果・作業内容を公衆・作業者に見やすいように掲示石綿含有仕上塗材の湿潤化等石綿含有仕上塗材の除去掲示等による事前調査結果・作業内容の周知作業前処理電動工具を用いて除去電動工具を用いずに除去作業場内の清掃発注者への終了報告作業記録の作成、作業が適切に終了したことの確認(必要に応じて養生)必要な知識を有する者による取り残しがないことの確認※4隔離養生・養生の撤去除去作業事後処理:石綿含有仕上塗材を除去する場合に必要な措置:石綿含有仕上塗材の使用がない場合でも必要な措置※3規模要件に応じて電子システムにより報告する。※石綿無し、石綿有りとみなし、新築工事の着工日が平成18(2006)年9月1日以降であっても報告必要建築物の解体:床面積の合計80㎡以上建築物の改修等:請負金額100万円以上特定工作物の解体・改修等:請負金額100万円以上※1建築物の解体等工事に係る書面及び現地での目視調査は、建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程に規定される石綿含有建材調査者等に依頼する。なお、特定工作物等の解体又は改修工事における調査者等による事前調査の義務付けは、令和8(2026)年1月1日以降に着工する工事から適用される。※2分析調査は、厚生労働大臣が認める分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者に依頼する。大防法・石綿則の石綿飛散防止措置【共通】・作業内容の掲示・事前調査結果の掲示・常に湿潤な状態とした上で除去する・解体の場合は、躯体等の解体に先行して撤去する・必要な知識を有する者が取り残しの有無を確認する・隔離養生(負圧不要)を伴う作業の場合は、取り残しの確認及び清掃後に隔離養生を解除する【電動工具を用いて除去する場合】・電動工具を用いて除去する場合は、除去部分周辺を隔離養生(負圧不要)するとともに、除去部分の常時湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行う。推奨される措置・作業基準等で養生が求められていない作業においても、作業場所近傍に民家が隣接している場合や、隣接区画で働いている人がいる等、周辺の状況によっては外周養生を行う仕上清掃事前調査結果の現場への備え付け下請負人への説明確認結果の記録及び終了報告の保存事前調査結果の記録4.3事前調査事前調査とは、建築物等の解体等工事を行う前に、当該建築物等に石綿含有建材が使用されているか否かを調査することをいう。事前調査における石綿含有建材の見落としは、解体等を行う際の石綿繊維の飛散に繋がるため、石綿飛散防止対策において事前調査は極めて重要である。事前調査の結果については、記録の作成や解体等工事現場への備え付け、発注者への説明、都道府県等及び労働基準監督署への報告が必要になる。4.3.1事前調査の対象石綿は、耐熱性、耐薬品性、熱絶縁性、吸湿性などの特性から、吹付け石綿として壁、天井、柱、はり等に使用されたほか、保温材、断熱材等に使われてきた。また、この他にも波形スレート、石綿セメント板、仕上塗材などとして屋根材、壁材、床材、天井材、内外装の仕上材等に用いられてきた。事前調査に際しては、石綿含有建材であると証明できたものだけを挙げればよいのではなく、各建材について石綿含有の有無を書面調査や現地での目視調査により確認し、石綿含有の有無が不明であれば分析により判定する、もしくは石綿ありとみなすことが必要である。事前調査は、建築物等の解体工事のほか、改修等工事も対象である。また、石綿則では船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)の解体等を行う際にも事前調査が義務付けられている。事前調査の対象は表4.3.1のとおりである。表4.3.1事前調査の対象法令大気汚染防止法解体等工事の対象建築物、工作物石綿障害予防規則建築物、工作物、船舶(鋼製の船舶に限る)工作物には、工場・事業場における製造施設や煙突だけでなく、土地に固着している構造物が含まれる(建築物よりも工作物の方が幅広い)ことに留意が必要である。工作物については、本マニュアルの他、次のようなマニュアル類を参考にして作業を行う。・農業農村整備事業等におけるアスベスト(石綿)対応マニュアル(平成18年9月:農林水産省農村振興局整備部)・水道用石綿セメント管の撤去作業等における石綿対策の手引き(平成17年8月:厚生労働省健康局水道課)また、本マニュアルでは、船舶の石綿除去方法については解説していない。船舶の石綿を除去する場合は、(一財)日本船舶技術研究協会の「船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル」等が参考となる。事前調査は大防法、石綿則のいずれにおいても原則として全ての建築物、工作物の解体等を行う際に実施することが義務付けられている。ただし、以下の作業については、建築物等の解体等には該当しないことから、事前調査を行う必要はない。(ア)除去等を行う材料が、木材、金属、石、ガラス等のみで構成されているもの、畳、電球等の石綿等が含まれていないことが明らかなものであって、手作業や電動ドライバー等の電動工具により容易に取り外すことが可能又はボルト、ナット等の固定具を取り外すことで除去又は取り外しが可能である等、当該材料の除去等を行う時に周囲の材料を損傷させるおそれのない作業。(イ)釘を打って固定する、又は刺さっている釘を抜く等、材料に、石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられる極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業。なお、電動工具等を用いて、石綿等が使用されている可能性がある壁面等に穴を開ける作業は、これには該当せず、事前調査を行う必要が89あること。(ウ)既存の塗装の上に新たに塗装を塗る作業等、現存する材料等の除去は行わず、新たな材料を追加するのみの作業。(エ)国土交通省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたaからkまでの工作物、経済産業省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたl及びmの工作物、農林水産省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたf及びnの工作物並びに防衛装備庁による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたoの船舶の解体・改修等の作業。a港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第5項第二号に規定する外郭施設及び同項第三号に規定する係留施設b河川法(昭和39年法律第67号)第3条第2項に規定する河川管理施設c砂防法(明治30年法律第29号)第1条に規定する砂防設備d地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第2条第3項に規定する地すべり防止施設及び同法第4条第1項に規定するぼた山崩壊防止区域内において都道府県知事が施工するぼた山崩壊防止工事により整備されたぼた山崩壊防止のための施設e急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第2条第2項に規定する急傾斜地崩壊防止施設f海岸法(昭和31年法律第101号)第2条第1項に規定する海岸保全施設g鉄道事業法施行規則(昭和62年運輸省令第6号)第9条に規定する鉄道線路(転てつ器及び遮音壁を除く)h軌道法施行規則(大正12年内務省令運輸省令)第9条に規定する土工(遮音壁を除く)、土留壁(遮音壁を除く)、土留擁壁(遮音壁を除く)、橋梁(遮音壁を除く)、隧道、軌道(転てつ器を除く)及び踏切(保安設備を除く)i道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路のうち道路土工、舗装、橋梁(塗装部分を除く。)、トンネル(内装化粧板を除く。)、交通安全施設及び駐車場(工作物のうち建築物に設置されているもの、石綿等が使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣及び環境大臣が告示に掲げる工作物を除く。)j航空法施行規則(昭和27年運輸省令第56号)第79条に規定する滑走路、誘導路及びエプロンk雪崩対策事業により整備された雪崩防止施設lガス事業法(昭和29年法律第51号)第2条第13項に規定するガス工作物の導管のうち地下に埋設されている部分m液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則(平成9年通商産業省令第11号)第3条に規定する供給管のうち地下に埋設されている部分n漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)第3条に規定する漁港施設のうち基本施設(外郭施設、係留施設及び水域施設)o自衛隊の使用する船舶(防熱材接着剤、諸管フランジガスケット、電線貫通部充填・シール材及びパッキンを除く)【参考】工作物・設備など例えば煙突、立体駐車場、エレベーター昇降路、ボイラ、タービン、化学プラント、焼却施設、遮音壁など、断熱、保温、吸音、結露防止、耐火などの性能が求められる工作物にも石綿含有建材が使用されている可能性がある。904.3.2事前調査の実施方法事前調査の実施方法の概略は、図4.3.1のとおりである(事前調査の詳細な手法については、付録Ⅰを参照。)。事前調査では、まず、書面調査や現地での目視調査を実施し、これらの調査で建材の石綿含有の有無が分からなかった場合は分析調査を行い、石綿含有の有無を判断する。発注者からの情報提供書面調査現地での目視調査各建材について判断石綿あり石綿なし石綿ありみなし図4.3.1事前調査の概念図(1)書面調査及び現地での目視調査書面調査及び現地での目視調査を原則として実施する。不明試料採取分析石綿あり書面調査及び現地での目視調査で石綿含有の有無が不明な場合に分析調査を行う。石綿なし書面調査及び現地での目視調査では、まず、設計図書等を確認し、書面上で石綿含有建材の使用場所等を把握する。その後、現地において設計図書と異なる点がないかを確認するとともに、建築材料に印字されている製品名や製品番号等を確認することにより使用されている建材を確認する。確認した建材は、石綿(アスベスト)含有建材データベース(以下「データベース」という。https://www.asbestosdatabase.jp/)との照合などにより石綿含有の有無を判断する。ただし、石綿(アスベスト)含有建材データベースに記載がないからといって石綿含有無しと判断してはならない。○書面調査・設計図書等による、解体等工事に係る建築物等の設置の工事に着手した日、使用されている建築材料の種類を確認・使用されている建築材料のうち石綿が使用されている可能性があるものについて、石綿(アスベスト)含有建材データベース(https://www.asbestos-database.jp/)等を使用して石綿の含有の有無を確認○現地での目視調査・解体等工事に係る建築物等において設計図書と異なる点がないか、現地で建築材料に印字されている製品名や製品番号等を網羅的に確認し、特定建築材料に該当する可能性のある建築材料を特91定する・書面調査及び現地での目視調査で石綿含有の有無が把握できず、分析調査を行う場合は、現地で当該建材を採取する事前調査は、解体等工事の作業に係る建築物等の全ての部分について行うものであり、内装仕上材の内側や下地等、外観からでは直接確認できない部分についても網羅して調査を行う必要がある。目視調査の段階で当該建築物等の構造上確認することができない箇所があった場合には、解体等工事に着手後、目視が可能となった時点で調査を行うことが必要である。事前調査では、原則として書面調査と現地での目視調査は必ず実施する。ただし、平成18(2006)年9月1日の安衛法施行令改正によって、石綿が0.1重量%を超える物については、在庫品を含め、輸入・製造・使用等が原則禁止となっていることから、解体等工事が次のイ~ホに該当することが書面調査により明らかである場合は、石綿含有建材が使用されていないことと判断し、その後の書面調査及び現地での目視調査は実施しなくとも差し支えない。イ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等(ロからホまでに掲げるものを除く。)ロ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した非鉄金属製造業の用に供する施設の設備(配管を含む。以下同じ。)であって、平成19年10月1日以後にその接合部分にガスケットを設置したものハ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した鉄鋼業の用に供する施設の設備であって、平成21年4月1日以後にその接合部分にガスケット又はグランドパッキンを設置したものニ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した化学工業の用に供する施設の設備であって、平成23年3月1日以後にその接合部分にグランドパッキンを設置したものホ平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した化学工業の用に供する施設の設備であって、平成24年3月1日以後にその接合部分にガスケットを設置したもの(2)分析調査書面調査及び現地での目視調査で石綿含有の有無が把握できない場合は、現地で当該建材を採取し、分析調査を行う。ただし、石綿含有が不明な建材を石綿含有ありとみなして飛散防止対策を行う場合は分析調査を行う必要はない。石綿含有ありとみなした場合、除去等の際は、例えば吹き付けられた材料であればクロシドライトが吹き付けられているものとみなして措置を講じる等、必要となる可能性がある措置のうち最も厳しい措置を講じなければならない。石綿含有建材であるとみなす場合、該当する建材の種類については書面による調査及び現地での目視による調査により、調査者等が確認する。特に、けい酸カルシウム板第1種と他の成形板等の区別、及びパーライト・バーミキュライトと仕上塗材の区別は適用される作業基準が異なってくるため注意が必要である。(3)事前調査時の石綿の飛散・ばく露防止事前調査は、解体等工事や石綿除去工事などの一連の工程における石綿の飛散及びばく露を最小化することを目的に行うものであり、事前調査中に石綿が大気中に飛散することや労働者が石綿にばく露することがあれば本末転倒である。そのため、事前調査では、石綿を含有する可能性がある粉じんを飛散させないこと、調査者等の粉じん吸入を防ぐことが必要となる。そのため元請業者等は、実際に調査を実施する者と以下の方法で調査を行うことを確認する。・建材に表示等されている情報の確認(裏面等の確認)は、原則、照明やコンセントなどの電気設備の取り外し等により行い、建材の取り外し等はできる限り避ける。・やむを得ず建材の取り外し等を行う際や分析調査のための試料採取の際には、呼吸用保護具の着用や湿潤化など、作業に応じて石綿則に基づく必要な措置を講じる。92【注意】天井裏の調査のときは吹付け石綿等直下天井上に堆積した石綿等の粉じんが飛散しないよう十分に留意が必要である。調査のために、点検口を開ける際には呼吸用保護具を着用するとともに、点検口裏に堆積した石綿が飛散する危険性があるので、点検口廻りを簡易的に養生する等の飛散防止対策を施す必要がある。【注意】煙突の調査のときは煙突については、当該建材が劣化し、その破片が煙突下部に落下している場合もあると考えられる。灰出口を開けるときなどこれらの石綿を含有する破片等を取り扱う場合も、石綿則の適用があり、呼吸用保護具等の措置を確実に実施するとともに、その処分に当たっては廃棄物処理法に基づく措置等が必要であることに留意し、事前調査においては石綿を含有する破片等の有無も確認する必要がある。4.3.3事前調査実施の義務を負う者大防法では、建築物等の解体等工事の元請業者又は自主施工者が、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて調査することとしている。一方、石綿則では、事業者が、建築物等の解体等の作業を行うときにあらかじめ石綿等の使用の有無を調査することとしている。ただし、事業者がそれぞれ事前調査を行うことは効率的ではない場合があるため、実際には工事の元請業者等が主体となって事前調査を行い、当該調査結果を下請負人に伝達することとなる。過去に石綿の使用状況に関する調査されている建築物等で、大防法や石綿則に基づく事前調査を行う場合は、事前調査の義務を負う元請業者等及び事業者は当該調査の結果を確認し、自らが行う工事の範囲で調査漏れの部分がないか、調査が適切な手法で行われているかを改めて確認し、調査漏れや調査内容において不明な部分があれば補完のための調査を行う必要がある。例えば、発注者から解体等の対象建築物等について、単に「石綿なし」との情報があった場合でも、事前調査の義務を負う者はその情報を鵜呑みにせず、大防法、石綿則等の関係法令に基づいて石綿含有建材の有無を精査する必要がある。過去に石綿含有建材かどうかを調査していた場合、当該結果を書面調査の1つの資料として使用することも考えられる。また、過去の調査方法が現在の大防法、石綿則の規定に従ったものであるときは、その結果を活用することも考えられる。そのため、過去に調査が行われている場合は、石綿に係る事前調査の意味を発注者に十分説明し、書面により具体的な調査範囲・内容の分かる情報を入手することが重要である。4.3.4事前調査を実施する者適切に事前調査を行うためには、石綿含有建材の使用の有無の判断を行う者は、石綿に関し一定の知見を有し、実際に調査を実施した上で的確な判断ができる者(調査者等)である必要があることから、大防法及び石綿則において、調査者等に書面調査及び現地での目視調査を行わせることが義務化されている(建築物及び船舶については令和5年10月1日以降に、工作物については令和8年1月1日以降に着工する解体等工事から適用。一般個人による事前調査は除く)。調査者等は以下の者である。<建築物(一戸建ての住宅及び共同住宅の住戸の内部※を除く。)の事前調査の調査者等>①建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程に基づく講習を修了した特定建築物石綿含有建材調査者及び一般建築物石綿含有建材調査者又はこれらの者と同等以上の能力を有すると認められる者<一戸建ての住宅及び共同住宅の住戸の内部の事前調査の調査者等>①の者②建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程に基づく講習を修了した一戸建て等石綿含有建材調査者※「一戸建ての住宅及び共同住宅の住戸の内部」は、一戸建ての住宅及び共同住宅(長屋を含む。93以下同じ。)の住戸の専有部分を指し、共同住宅の住戸の内部以外の部分(ベランダ、廊下等共用部分)及び店舗併用住宅は含まれない。<特定工作物のうち、告示第一号から第五号まで及び第七号から第十一号※までに掲げる工作物の事前調査の調査者>③工作物石綿事前調査者<特定工作物のうち、告示第六号、第十二号から第十七号※までに掲げる工作物、特定工作物以外の工作物のうち、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業の事前調査の調査者等>①の者③の者なお、工作物の事前調査を行う者の義務付けは令和8年1月1日から適用されるが、義務付け適用以前においても、事前調査は調査者等に行わせることが望ましい。※石綿等が使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣及び環境大臣が告示に掲げる工作物(特定工作物)一反応槽二加熱炉三ボイラ及び圧力容器四配管設備(建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建築設備を除く。)五焼却設備六煙突(建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く。)七貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く。)八発電設備(太陽光発電設備及び風力発電設備を除く。)九変電設備十配電設備十一送電設備(ケーブルを含む。)十二トンネルの天井板十三プラットホームの上家十四遮音壁十五軽量盛土保護パネル十六鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板十七観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物に該当するものを除く。)また、使用されている可能性がある石綿含有建材の種類が多岐に亘るような大規模建築物又は改修等を繰り返しており石綿含有建材の特定が難しい建築物については、特定建築物石綿含有建材調査者又は一定の実地経験を積んだ一般建築物石綿含有建材調査者に事前調査及び分析調査のための試料採取を行わせることが望ましい。調査者等は、発注者や元請業者等、事業者に対して、実際の現場において事前調査を行った範囲や内容について説明をする場を設けることが望ましい。石綿則においては分析調査を行う者についても要件が定められている。分析調査を行うことができる者について以下に示す。なお、分析対象となる建材の採取については、採取箇所の判断を適切に行う観点から、現地における目視調査とあわせて調査者等が行うことが望ましい。94<分析調査を行う者>④所定の学科講習及び分析の実施方法に関する厚生労働大臣の定める所定の実技講習を受講し、修了考査に合格した者又は同等以上の知識及び技能を有すると認められる者①の者と同等以上の能力を有すると認められる者は、義務付け(令和5(2023)年10月1日)の前までに一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者をいう。④の者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者は以下の者である。公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する「石綿分析技術評価事業」により認定されるAランク若しくはBランクの認定分析技術者又は定性分析に係る合格者一般社団法人日本環境測定分析協会が実施する「アスベスト偏光顕微鏡実技研修(建材定性分析エキスパートコース)」の修了者一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「建材中のアスベスト定性分析技能試験(技術者対象)合格者」一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター」一般社団法人日本繊維状物質研究協会が実施する「石綿の分析精度確保に係るクロスチェック事業」により認定される「建築物及び工作物等の建材中の石綿含有の有無及び程度を判定する分析技術」の合格者<一般個人による事前調査>解体等工事の自主施工者である個人(解体等工事を業として行う者を除く。)は、建築物の改修等の作業であって、排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事を施工する場合には、自ら事前調査を行うことができる。「排出され、又は飛散する粉じんの量が著しく少ないもののみを伴う軽微な建設工事」とは、床、壁、天井等への家具の固定のための穴開け等の特定建築材料の一部を加工する作業のみを伴うような建設工事をいう。4.3.5事前調査の記録等の作成、備え付け及び保存事前調査を行った際は、大防法及び石綿則に基づき、元請業者等及び事業者は事前調査の記録等を作成しなければならない。また、当該記録の写しを除去等の作業中に現場に備え付けるとともに、作業終了後も保存しなければならない。(1)事前調査の記録等の作成大防法及び石綿則における事前調査の記録等事項は表4.3.2のとおりである。大防法及び石綿則で別の記録を作成する必要はないが、これらの事項を網羅して作成する必要がある。記録は、作業前ないし作業中に関係者に事前調査の結果を分かりやすく示すとともに、作業後にも都道府県等や労働基準監督署による立入検査等において、調査が的確であったことが検証できるものであることが必要である。9596表4.3.2事前調査の記録等事項大防法(大防法施行規則第16条の8)石綿則(石綿則第3条第7項)解体等工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名--事業者の名称、住所及び電話番号解体等工事の場所解体等の作業を行う作業場所の住所並びに工事の名称及び概要解体等工事の名称及び概要事前調査を終了した年月日調査終了日解体等工事を行う建築物等の設置の工事に着手した年月日(使用禁止が猶予されていたガスケット等の設置日を書面で確認した場合には、それらの材料の設置年月日も含む)着工日等(使用禁止が猶予されていたガスケット等の設置日を設計図書等で確認する方法により事前調査を行った場合にあっては、設計図書等の文書で確認した着工日及び設置日)解体等工事に係る建築物等の概要事前調査を行った建築物、工作物又は船舶の構造解体等工事が建築物等を改造し、又は補修する作業を伴う建設工事に該当するときは、当該作業の対象となる建築物等の部分事前調査を行った部分(分析調査を行った場合は、分析のための試料を採取した場所を含む)分析による調査を行ったときは、当該調査を行った箇所事前調査の方法事前調査の方法(分析調査を行った場合は、分析調査の方法を含む)・調査を行ったときは、当該調査を行った者の氏名・事前調査を行った者が、環境大臣が定める者に該当することを証明する書類の写し・分析調査を行った場合は、分析調査を行った者の氏名及び所属する機関又は法人の名称事前調査のうち、建築物及び船舶に係るもの(着工日等を設計図書等の文書で確認する方法によるものを除く。)を行った者の氏名及び適切に事前調査を実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類(分析調査を行った場合にあっては、適切に分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類を含む。)の写し※上の事項は令和5年厚生労働省令第2号により、次のように改正され、令和8年1月1日から施行される。・事前調査を行った者の氏名(※改正)・事前調査を行った者が、厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類の写し(※追加)・分析調査を行ったときは、当該分析調査を行った者の氏名及び当該者が厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類の写し(※追加)解体等工事に係る建築物等部分における各建築材料が特定建築材料に該当するか否か(特定工事に該当するものとみなした場合にあっては、その旨)及びその根拠事前調査を行った部分における材料ごとの石綿等の使用の有無及び石綿等が使用されていないと判断した材料にあっては、その判断の根拠(石綿含有ありとみなした場合にはその旨を含む)-解体等対象建築物等の構造上、目視により確認することが困難な材料の有無及び場所1)工事の名称及び概要工事の概要については、工事の内容が分かる簡潔な記載でよく、工事の名称から工事の内容が分かる場合は工事の名称と同じ記載で差し支えない。2)建築物等の概要、構造建築物等の概要、構造には、鉄筋コンクリート造等の主要構造に関する情報、階数や延床面積等の規模に関する情報、建築物の場合は建築基準法に規定する耐火建築物又は準耐火建築物の該当の有無の情報を記載する。3)作業の対象となる部分、事前調査を行った部分工事が改修等工事の場合は、改修等を行う部分について事前調査を行うこととなる。記録では事前調査を行った部分を容易に特定できる方法で記録する必要があり、図面等に表示して記録することが望ましい。解体工事の場合は、工事を行う建築物、工作物、船舶の全てが対象となるため、全ての部分であることを記録すればよい。目視できない場所であって解体等工事が始まる前には調査できなかった場所があった場合については、解体等工事開始後に確実に調査がなされるよう記録を行う。なお、目視できない場所であって解体等工事が始まる前に調査できない可能性がある場所の例として、具体的には以下の部位が考えられる。表4.3.3目視できない場所であって解体等工事が始まる前に調査できない可能性がある場所の例1スラブと外壁面間の層間部(層間ふさぎ)2外壁がプレキャストコンクリート板やカーテンウォールの場合の裏側、それらを取り付けている金物(ファスナー)部3渡り廊下の建物の接合部分のエキスパンションジョイント4内装仕上材(グラスウール断熱材、天井ボード、ウレタン吹付けなど)の裏5改修等工事で石綿含有吹付け材の上に無石綿のロックウールを吹付けた場合6厨房の調理台周辺の金属板やシンクの裏側、タイル張りの下地材7バスルームのタイル張りの下地材、ユニットバスの裏側の成形板、システムキッチンの裏側4)事前調査の方法事前調査は書面調査及び現地での目視調査(必要に応じて分析調査)を行う場合や、過去の調査結果を確認する場合、書面で設置工事の着工日やグランドパッキン、ガスケットの設置日を確認する場合があるため、どのように調査したかを記録する。分析調査は、偏光顕微鏡による定性分析、位相差・分散顕微鏡及びエックス線回折装置による定性分析、エックス線回折装置による定性分析及び定量分析、偏光顕微鏡による定性分析及び定量分析のいずれの方法で実施したかを記録する。5)調査結果と判断根拠石綿含有なしと判断するためには、以下のいずれかの方法による必要がある。分析調査による方法調査対象材料について、製品を特定し、その製品のメーカーによる石綿等の使用の有無に関する証明や成分情報等と照合する方法調査対象材料について、製品を特定し、その製造年月日が平成18(2006)年9月1日以降(使用禁止が猶予されていた特定の施設で使用するガスケット又はグランドパッキンにあっては、使用禁止となった日以降)であることを確認する方法記録にはいずれの方法で判断したか、その判断根拠として使用した書類を含めて記録する。石綿含有の可能性のある建材について、石綿なしと判断した場合は、その同一と考えられる建材範囲ごとに、判断根拠が明確となるよう記録を作成する。判断根拠として使用した書類は、石綿(アスベスト)含有建材データベースのプリントアウト、メーカーの石綿無含有証明資料、分析結果の報告書、過去に実施した調査結果、ガスケット等の交換記録などを添付し、石綿含有の有無の判断が適確に実施されたことが説明・検証できるようにしておく。調査結果は、作業者へ石綿含有建材の使用箇所を的確に伝えられる形式で記録する。具体的には、石綿含有の可能性のある建材について、部屋や部位等を特定できるよう明記しつつ、石綿含有の有無の判断結果や名称を書面にとりまとめる。分析調査の結果の記録には、分析調査によって明らかとなった石綿等の種類も記録する。また、ばく露防止措置を講ずる際の参考とするために、分析調査において石綿等の含有率も測定を行っている場合は、含97有率も記録する。分析を行った場合(特に石綿なしの場合)は、その根拠を明確にするため、試料採取箇所について、写真、図面への記入、スケッチ又はこれらを組み合わせる等により、試料採取箇所が特定できるように記録を作成する。なお、平面図で表現しづらいものは書面調査で入手した断面図や詳細図等を用いたり、建材の種類別に色分けしたり、石綿無含有の範囲についても表示するなど、使用箇所が一層分かりやすく示すことが望ましい。(2)事前調査結果の写しの備え付け(1)でとりまとめた事前調査結果の記録の写しは、除去等の作業を実施している作業場に常に備え付けなければならない。作業者に石綿含有建材の有無、種類、使用場所、並びに解体等開始後に調査する場所等を確実に伝達し作業を進めるため、作業現場において、作業期間中に常に事前調査の記録の写しを保管し、作業者がいつでも確認できるようにしておく。元請業者等が工事すべての箇所を網羅した調査結果の記録を現場に保管し、関係下請負人の誰もが閲覧できる状況にしておくことも考えられるが、閲覧等の実務に支障を来す場合は各下請負人も記録を現場保管しておく。(3)記録の保存事前調査結果の記録は、作業終了後にも調査が的確であったか検証できるよう、一定期間保存する。保存期間は、大防法では解体等工事が終了した日から3年間、石綿則では全ての事前調査が終了した日から3年間としている。記録の保存は、大防法では元請業者等のみに保管義務があるが、石綿則では下請負人も含む事業者に保管義務がある。なお、発注者及び建築物等の所有者においても、石綿飛散防止対策に対し責務を有していることから、事前調査結果を保存することが望ましい。また、建築物等の改修等工事のために行った事前調査の結果は、将来的に解体等工事が行われる際に参考となる可能性があることからも、これらの情報を発注者が保存しておくことが望まれる。4.3.6事前調査結果の発注者への説明大防法では、元請業者は発注者に対して書面により事前調査の結果等を報告することが義務付けられている。事前調査を行った調査者等は、書面調査、現地での目視調査時のメモ等をもとに、事前調査の記録を作成し(みなしや分析を行った場合にはその結果を含む)、元請業者は、調査者等の作成した記録をもとにして発注者への報告内容をとりまとめ、書面で報告する(報告事項は表2.2.2を参照。)。事前調査説明書面例を以下に示す。98(元請業者が作成及び発注者に説明する場合の様式例)年月日解体等工事に係る事前調査説明書面①発注者住所氏名(法人にあっては名称及びその代表者の氏名)様②元請業者住所氏名(法人にあっては、名称及びその代表者の氏名)電話番号大気汚染防止法第18条の15第1項に基づき、解体等工事に係る石綿使用の有無に関する事前調査結果について下記のとおり説明します。③解体等工事の場所(解体等工事の名称)④解体又は改造・補修着手年月日年月日延床面積⑤解体等工事の種類m2解体改造・補修階数⑥建築物等の竣工・着工年昭和・平成階建年竣工・着工⑦建築物等の概要□建築物(□耐火□準耐火□その他((□木造□RC造□S造□その他(□その他工作物⑧事前調査を行った者及び当該者が登録規定に基づく講習を受講した講習実施機関の名称等氏名))))講習実施機関の名称(□一般□特定□一戸建て等□その他())⑨調査を終了した年月日年月日⑩調査の方法□書面□目視□分析□その他(□石綿有又は石綿みなし有(詳細は別紙1のとおり))⑪調査の結果⑫特定建築材料の有無⑬破壊しないと調査できない場所であって、解体等が始まる前に確認できなかった場所□石綿無示掲の査⑭事前調設置予定年月日設置場所年月日別紙のとおり⑮大気汚染防止法に係る作業の実施の届出の要否□要□不要備考1特定建築材料が有り、特定粉じん排出等作業に該当する場合は別紙1を添付すること。2工事中に特定建築材料を見つけた場合、再度説明すること。元請業者からこの書面の説明を受けました。⑯発注者氏名(法人にあっては名称並びに説明を受けた者の職及び氏名)年月日発注者へこの書面の説明を行いました。⑰元請業者氏名(法人にあっては名称並びに説明を行った者の職及び氏名)年月日※書面の構成等を改変する場合は、○番号の項目を記載した書面とすることが望ましい。99100別紙1特定粉じん排出(石綿除去)等作業の概要①特定粉じん排出等作業の種類大気汚染防止法施行規則別表第71の項建築物の解体作業のうち、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等を除去する作業(次項及び5の項を除く)2の項建築物の解体作業のうち、石綿含有断熱材等を除去する作業(かき落とし、切断、又は破砕以外の方法で特定建築材料を除去するもの)(5の項を除く)3の項建築物の解体等作業のうち、石綿含有仕上塗材を除去する作業(5の項を除く)4の項建築物の解体等作業のうち、石綿含有成形板等を除去する作業(1から3の項、事項を除く)5の項特定建築材料の事前除去が著しく困難な解体作業6の項建築物の改造・補修作業のうち、吹付け石綿及び石綿含有断熱材等に係る作業②特定粉じん排出等作業の実施の期間自年月日至年月日③特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料等の種類並びにその使用箇所及び使用面積1吹付け石綿(、m2)2石綿を含有する保温材(、m2)3石綿を含有する耐火被覆材(、m2)4石綿を含有する断熱材(、m2)5石綿を含有する仕上塗材(、m2)6石綿を含有する成形板等(、m2)詳細は別紙のとおり④特定粉じん排出等作業の方法除去・囲い込み・封じ込め・その他()⑤特定粉じん排出等作業の方法が法第18条の19各号に掲げる措置を当該各号に定める方法により行うものでないときは、その理由⑥特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の配置図及び付近の状況別紙のとおり⑦特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要別紙のとおり⑧作業の掲示設置予定年月日年月日設置場所別紙のとおり⑨特定工事の元請業者の現場責任者の氏名及び連絡場所電話番号⑩下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所電話番号※書面の構成等を改変する場合は、○番号の項目を記載した書面とすることが望ましい。備考1解体等工事が特定粉じん排出等作業(石綿排出等作業)に該当する場合に作成すること。2特定粉じん排出等作業(石綿排出等作業)の対象となる建築物等の配置図、付近の状況、特定粉じん排出等作業(石綿排出等作業)工程を明示した特定工事(特定排出等工事)の工程の概要については、計画している作業方法等がわかるものを添付すること(作業工程を示す日程表、図面等)。事前調査において破壊しないと調査できない場所であって解体等工事が始まる前には石綿含有建材の有無を確認できなかった場所があった場合については、解体等工事開始後に事前調査を行った者が確認する必要があること(解体等工事開始前の事前調査を実施した調査者等が望ましいが、同一の調査者等による確認ができない場合は、同等の知識を有する者(4.3.4を参照)が確認すること)、新たに石綿含有建材が発見された場合は、作業を中断し、必要な手続きを取る必要があること(例えば、吹付け石綿等が確認された場合、大防法及び石綿則による届出が必要となること)を発注者に説明する。事前調査の結果を発注者に説明した際は、説明した旨をサイン等により記録に残すことが望ましい。解体等工事が始まる前には石綿含有建材の有無を確認できなかった場所は、元請業者や事業者が記録を保管し、確認できるようになった段階で確実に調査を行う必要がある。また、事前調査の結果にかかわらず、解体等工事の元請業者及び事業者は、施工中に事前調査で判定されていない建材が見つかった場合は速やかに発注者に連絡するとともに、事前調査を行った者と同等の知識を有する者に石綿含有建材の有無を判断してもらう必要がある。4.3.7都道府県等、労働基準監督署への報告大防法及び石綿則では、令和4(2022)年4月1日から事前調査結果を都道府県等(大防法)及び労働基準監督署(石綿則)へ報告することが義務付けられた。解体等工事の元請業者等や事業者は、大防法及び石綿則に基づき事前調査後に調査結果の整理など必要な作業を行った上で速やかに(遅くとも解体等工事に着手する前に)当該調査の結果を都道府県等及び労働基準監督署に報告しなければならない。解体等工事に係る建築物等の構造上、解体等工事に着手する前に目視することができない箇所があった場合は、解体等工事に着手した後に目視が可能となった時点で調査を行い、再度報告を行う。(1)報告の対象事前調査結果の報告は、次のいずれかの解体等工事に係る事前調査について行う。建築物を解体する作業を伴う建設工事であって、当該工事(作業)の対象となる床面積の合計が80㎡以上であるもの建築物を改修する作業を伴う建設工事であって、当該工事(作業)に係る請負代金(解体等工事の自主施工者が施工するものについては、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額。材料費も含めた工事(作業)全体の請負代金の額をいい、事前調査の費用は含まないが、消費税を含む額であり、以下同じ。)の合計が100万円以上であるもの工作物(石綿等が使用されているおそれが大きいものとして厚生労働大臣及び環境大臣が定めるもの※に限る。)を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であって、当該作業の請負代金の合計が100万円以上であるもの※石綿等が使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣及び環境大臣が告示に掲げる工作物(特定工作物)一反応槽二加熱炉三ボイラ及び圧力容器四配管設備(建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建築設備を除く。)五焼却設備六煙突(建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く。)101七貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く。)八発電設備(太陽光発電設備及び風力発電設備を除く。)九変電設備十配電設備十一送電設備(ケーブルを含む。)十二トンネルの天井板十三プラットホームの上家十四遮音壁十五軽量盛土保護パネル十六鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板十七観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物に該当するものを除く。)(2)報告事項報告の事項は、表4.3.4のとおりであり、事前調査の段階では調査が困難な箇所があった場合には、当該箇所とともにその理由をあわせて報告することが望ましい。(3)報告の方法報告の方法は、報告対象となる工事が非常に多いこと、報告を行う事業者の利便性を確保する必要があること等から、原則として電子システム※を通じて、報告を行う。ただし、情報通信機器を保有していないことや天災などにより電子システムの使用が困難な場合は、大防法施行規則及び石綿則で定められた様式による報告書によって都道府県等及び労働基準監督署に報告を行うこともできる。当該電子システムは、大防法第18条の15及び石綿障害予防規則第4条の2の規定による報告の共通のシステムであり、当該報告は、大防法及び石綿則に基づく報告を併せて行うことができる。※石綿事前調査結果報告システムhttps://www.ishiwata-houkoku.mhlw.go.jp/shinsei/102103表4.3.4事前調査結果の報告事項大防法施行規則(第16条の11第2項)石綿則(第4条の2)●解体等工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名●事業者の名称、住所及び電話番号―●労働保険番号●事前調査を終了した年月日●調査終了日設計図書等に記載されている設置年月日により明らかに石綿非含有と判明せず、事前調査を行つたときは、当該調査を行つた者の氏名及び当該者が登録規定に基づく講習を受講した講習実施機関等の名称設計図書等に記載されている設置年月日により明らかに石綿非含有と判明せず、事前調査を行つたときは、当該調査を行つた者の氏名及び当該者が登録規定に基づく講習を受講した講習実施機関等の名称●解体等工事の場所●解体等の作業を行う作業場所の住所並びに工事の名称及び概要●解体等工事の名称及び概要●解体等工事に係る建築物等の設置の工事に着手した年月日●着工日等(設計図書等に記載されている設置年月日により明らかに石綿非含有と判明したガスケット又はグランドパッキンにあっては、設計図書等の文書で確認した着工日及び設置日)●建築材料を設置した年月日※解体等工事に係る建築物等の概要事前調査を行った建築物、工作物又は船舶の構造の概要分析による調査を行ったときは、当該調査を行った箇所並びに当該調査を行った者の氏名及び所属する機関又は法人の名称分析調査を実施した場合は、分析調査を実施した者及び当該者が受講した講習実施機関の名称●解体等工事の実施の期間●解体工事又は改修等工事の実施期間●建築物を解体する作業を伴う建設工事に該当するときは、作業の対象となる床面積の合計●建築物の解体工事にあっては当該工事の対象となる建築物(当該工事に係る部分に限る。)の床面積の合計建築物を改造・補修する作業を伴う建設工事又は特定の工作物を解体し、改造・補修する作業を伴う建設工事に該当するときは、作業の請負代金の合計額●建築物の改修等工事又は特定の工作物の解体等工事の作業にあっては、当該工事に係る請負代金の額解体等工事に係る建築物等の部分における建築材料の種類事前調査を行った部分における材料ごとの石綿等の使用の有無(石綿等が使用されているものとみなした場合は、その旨を含む。)及び石綿等が使用されていないと判断した材料にあっては、その判断の根拠解体等工事に係る建築物等の部分における建築材料が特定建築材料に該当するか否か(特定工事に該当するものとみなした場合にあっては、その旨)及び該当しないときは、その根拠の概要―石綿使用建築物等解体等作業を行う場合にあっては、当該作業に係る石綿作業主任者の氏名―材料ごとの切断等の作業(石綿を含有する材料に係る作業に限る。)の有無並びに当該作業における石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法及び当該作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法備考1)設計図書等に記載されている設置年月日により、明らかに石綿非含有と判明した場合は●のついた項目について報告備考2)※は、設計図書等に記載されている設置年月日により、明らかに石綿非含有と判明したガスケット又はグランドパッキンに限る。4.3.8事前調査における留意事項(1)発注者の責務等発注者は、建築物等の解体等工事に当たって、大防法や安衛法及び石綿則に則り、石綿の使用の有無の調査、解体等の作業の方法、費用又は工期等について、受注者(解体等工事を請け負う元請業者、下請負人、事業者。以下同じ。)にこれら法令の規定の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮しなければならない。大防法や石綿則では元請業者等及び事業者が事前調査の実施の義務を負っているが、これは、調査により判明した石綿含有状況に応じた費用等を元請業者等・事業者が負担するという意味ではない。解体等工事は、①事前調査を行う必要があり、②その事前調査の結果(石綿含有建材の有無等)に応じて費用・工期が大きく変わりうるという特徴がある。そのため、発注者は、石綿除去を含め、解体等工事に要する費用や工期等を適切に確保するため、解体等工事の契約前の段階で石綿含有建材の有無を調査しておくことや変更契約(精算変更契約など)により費用や工期等を確保することが重要である。事前調査においては、各部屋や各部位等で使用されている建材の種類等を網羅的に把握するため、必要な場合には建材の取り外し等も行い、壁・床・天井等の内部まで確認することが必要であり、そうした調査の結果が判明した後に費用・工期を確定させることになる。また、解体等に着手した後でなければ調査が困難な箇所があり、そうした箇所は工事中に調査し、その結果に応じて変更契約等を行うことになる。なお、発注者は、解体等工事の設計前や設計時に石綿含有建材の調査を行った場合は、当該調査結果を受注者に提供することで、受注者は当該調査に漏れがないか確認することできる。事前調査の効率化にもつながるので、発注前に調査結果が行われている場合にはその記録を提供する。さらに、発注者及び元請業者は、工期などの関係により事前調査を分割して発注したり、除去工事を複数の業者や数次にわたって請け負わせる場合などにおいては、調査漏れや取り残し等のトラブルを防ぐため、関連する業者間で事前調査結果や除去状況の情報伝達が円滑に行われるよう、以下の事項に留意する。➀発注内容の明示発注者及び元請業者は、事前調査や除去工事を発注する際の契約において、対象とする範囲(対象となる建築物の全部又は一部フロア等)を書面等により明示するとともに、実際に行った事前調査結果を書面により報告させること。また、可能な限り現場で実施者に説明させ、両者で確認を行うこと。②情報共有手続き発注者又は元請業者は、関連する業者に対して上記の報告及び確認内容を説明する。説明に当たっては報告書や書面を交付すること。③報告書の保存発注者等工事に関係する全ての者は、自ら行ったもしくは受領した事前調査結果に関する報告書を解体等工事期間中及び工事終了後3年間保存しておくこと。104105【留意点】適切な契約方法の例<ケース1>石綿含有建材の把握が行われた上で、解体等工事が別に発注されるケース工事発注前に、あらかじめ建築物の所有者・管理者等の工事発注者が委託などにより調査を行い、工事の契約後に受注者等が事前調査を行う場合<ケース2>調査と工事を一体で発注するケース事前調査と解体等工事を一体で契約するが、事前調査の結果が判明するまでは、仮契約(石綿除去等工事に必要な費用は別途)とし、事前調査の結果が判明した後に、除去等の費用を計上した本契約等とする場合発注者受注者調査を発注工事発注前の調査の情報提供事前調査工事発注前の調査(書面調査、目視調査、分析調査)解体等工事の契約(石綿除去等工事に必要な費用を計上)届出対象特定工事に該当する場合は大防法に基づき届出発注者への説明石綿則に基づき届出事前調査結果の掲示、解体等工事着手工事中の石綿含有建材の有無の調査解体等工事が始まらないと調査できない箇所がある場合発注者受注者仮工事請負契約(石綿除去等工事に必要な費用は別途)図面などの情報提供事前調査届出対象特定工事に該当する場合は大防法に基づき届出発注者への説明石綿則に基づき届出石綿除去等工事の詳細見積り本工事請負契約または精算変更契約(石綿除去等工事の適正額計上)事前調査結果の掲示、解体等工事着手工事中の石綿含有建材の有無の調査解体等工事が始まらないと調査できない箇所がある場合(2)事前調査における責任分担の明確化及び情報伝達元請業者・事業者は、事前調査が適切に行われるよう、書面調査・現地での目視調査から分析調査までの一連の過程に携わる者の間における責任分担を明確にする必要がある。例えば、①同一と考えられる材料範囲の特定(代表性の適切な判断)、②同一材料範囲のうち試料採取する箇所の選定(変動性・均一性の適切な考慮)について判断を行う者を明確にした上で調査を実施する。特に一部解体や改修等の作業については、作業の範囲に応じて調査すべき建築物の範囲が異なってくることから、調査すべき範囲を明確にするため、発注者又は施工責任者等から調査責任者等に対して作業を行う範囲が適切に伝達されるよう必要な指示・依頼等を行う。元請業者・事業者は、分析が適切に行われるよう、現地での目視調査ないし試料採取の責任者等から分析者等に対して、採取した建材の種類など、分析を行うに当たって重要な情報が伝達されるよう必要な指示・依頼等を行う。1064.4作業計画の作成4.4.1作業計画の項目石綿含有建材の除去等作業を行うにあたっては、事前調査の結果を踏まえ、作業の方法や作業工程等について作業計画を作成しなければならない。大防法では、大防法施行規則第16条の4において、特定工事の元請業者又は自主施工者が遵守すべき作業基準として、特定工事における特定粉じん排出等作業の開始前に、当該特定粉じん排出等作業の計画を作成し、当該計画に基づき作業を行うこととされている。また、石綿則第4条においても、事業者は、石綿等が使用されている解体等対象建築物等の解体等の作業を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、作業計画を定め、かつ、当該作業計画により石綿使用建築物等解体等作業を行わなければならないとされている。作業計画は、大防法や石綿則による届出が必要な場合に添付する必要があるが、届出が不要な石綿含有成形板等や石綿含有仕上塗材が使用されている建築物等の解体等の場合にも作成する必要がある。大防法及び石綿則で定められた作業計画の記載事項から、作業計画に記載すべき事項を表4.4.1に整理した。作業計画は大防法及び石綿則で作成義務が定められているが、それぞれの法令ごとに個別に作成する必要はなく、1つの作業計画を両法令における作業計画とすることも可能である。ただし、その場合は両法令の必要事項を満たす作業計画を作成する必要がある。作成した作業計画は、当該作業を行う全ての作業者に周知しなければならず、作業は作業計画に従って行わなければならない。また、大防法では作業を下請負人が実施した場合、元請業者は作業完了時に作業計画に基づき適切に作業が行われていることを確認することとしている。そのため、作業計画は現場に備え付け、手順等の見直しがあれば適宜計画を修正する必要がある。107作業計画の記載事項表4.4.1作業計画の記載事項大防法(大防法施行規則第16条の4第一号)石綿則(石綿則第4条第2項)①工事の概要特定工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名同工事の場所--②石綿含有建材除去等作業特定粉じん排出等作業の種類特定粉じん排出等作業の実施の期間--特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における石綿含有建材の種類並びにその使用箇所及び使用面積-③石綿飛散防止措置特定粉じん排出等作業の方法石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況-④工事の工程表特定粉じん排出等作業の工程を明示した建設工事の工程の概要石綿使用建築物等解体等作業の方法及び順序⑤施工体制特定工事の元請業者又は自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所-下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所-⑥安全衛生-石綿使用建築物等解体等作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法4.4.2作業計画の記載事項(1)工事の概要解体等工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名、工事の場所等を記載する。工事を実施する場所の住所又は住所がない場合は、地番を記載する。また、工事名、現場案内図等も記載することが望ましい。(2)石綿含有建材除去等作業石綿の除去等作業の種類、実施の期間、作業の対象となる建築物等の部分における石綿含有建材の種類並びにその使用箇所及び使用面積を記載する。特定粉じん排出等作業の種類については、大防法施行規則別表第7のどの作業基準が適用されるかが分かるよう、除去、囲い込み、封じ込めのいずれの作業を行うかを記載する。また、除去等に伴う負圧隔離養生、隔離養生、原形のまま取り外し等の作業の種類も記載する。これらと同等以上の効果を有する措置を講ずる場合は、その措置の内容を記載する。作業の実施期間は除去等作業の開始から終了までの予定期間を記載する。予定が変更になった場合は、記載を修正する。作業の対象となる建築物等の部分における石綿含有建材の種類並びにその使用箇所及び使用面積は、解体等を行う範囲にある石綿含有建材の種類(吹付け材、保温材、岩綿吸音板、仕上塗材等、判別で108きる範囲で詳細に記載をする)とその使用箇所、使用面積を記載する。使用箇所や使用面積については図面に記載しても差し支えない。事前調査結果の報告書等があれば添付する。(3)石綿飛散防止措置石綿の除去等作業の方法(石綿等の粉じんの発散を防止し又は抑制する方法)、石綿の除去等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況を記載する。石綿の除去等作業の方法については、具体的な作業の方法及び石綿飛散防止措置及び順序を記載する。作業者がこの方法・順序に従って作業することを踏まえ、できるだけ具体的に記載する。記載が必要な事項としては以下の事項が考えられる。【全ての作業で記載が必要な事項】施工部位、施工数量作業場、施工区画の明示(立入禁止区画の明示と立入禁止措置方法)事前調査結果、作業内容、石綿の影響等に係る掲示の内容、方法、場所作業者の入退場管理の方法除去等の方法、手順(試験施工する場合はその手順を含む)、作業手順を変更した場合のルール(作業者への周知、都道府県等・労働基準監督署への連絡(必要な場合)、計画の修正等)石綿等の粉じんの発散防止又は抑制方法周辺への粉じん飛散防止方法(湿潤化等の方法)使用機器等(薬液等を含む。)清掃の方法取り残しの有無等の確認方法(実施者、方法)記録等の体制廃棄物の処理の方法(除去された石綿の種類(廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物)、処理方法及び廃棄物発生量の見込み、廃石綿等及び石綿含有産業廃棄物の一時保管の場所と保管方法及び掲示方法、処理施設の場所と運行経路(処理ルート)産業廃棄物処理業(収集運搬と処分)の許可証、委託契約書の写しを添付)作業環境測定の方法(実施する場合)大気環境測定の方法(実施する場合)【負圧隔離養生を伴う除去等作業で記載が必要な事項】負圧隔離養生の方法(隔離シート等の設置方法、集じん・排気装置の設置方法(台数、換気能力、気流の流れの計画等))セキュリティゾーンの設置方法作業終了時及び中断時に洗身を十分に行うことができる作業方法及び順序(隔離空間における作業終了又は中断後から、休憩等の次の予定に移るまでの間に、隔離空間における作業に従事した労働者が一人一人身体に付着した石綿等を十分に洗い落とし、全員が退出することができる十分な時間が確保されていること)作業開始前の確認事項(集じん・排気装置の事前点検、負圧状況の確認)作業中の確認事項(機器の点検、集じん・排気装置のフィルタの交換頻度、負圧管理、保護具、漏えいが疑われる状況が確認された場合の対応方法)作業後の確認事項(隔離空間内の清掃の方法、隔離空間内の粉じんの処理方法、薬液等の散布方法)隔離を解除する際に、石綿繊維が大気中へ排出され、又は飛散するおそれがないことの確認方法やむを得ない事情により総繊維数濃度の測定を行わない場合はその事情を記載する109(グローブバックを使用する場合)グローブバッグの製品概要(シートの厚さ等)除去作業開始前の密閉状況の点検方法湿潤化の方法グローブバッグを外す方法、グローブバッグから工具等を持ち出す際の方法【隔離養生(負圧不要)を伴う除去等作業】隔離養生の方法石綿含有けい酸カルシウム板第1種を切断等により除去する際は、切断等以外の方法によることが技術上困難な理由及び切断等を行う箇所石綿含有仕上塗材を電動工具を使用して除去を行う際は使用する電動工具等※電動工具は、取扱説明書等に従い適切に使用することできるものであるかを確認する。(4)工事の工程表石綿除去等作業の工程を明示した建設工事の工程の概要(方法及び順序)を記載する。石綿の除去等作業を含む解体等工事全体の工程がわかるよう記載する。解体後に新規建築物等の建設を行う場合は、解体工事終了までの工程で差し支えない。また以下の仮設計画関連についても記載した方がよい。作業床(足場等)外部養生の設置方法安全通路確保の計画仮設照明の設置場所(5)施工体制解体等工事の元請業者又は自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所、下請負人が石綿の除去等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所を記載する。現場責任者の連絡場所は、連絡がとれる電話番号や通常在席している場所を記載する。また、全体の施工体制が分かるよう、体制図等も記載する。体制図には石綿作業主任者名や特別管理産業廃棄物管理責任者名、緊急時対応(連絡先、連絡ルート等)についても記載する。(6)安全衛生石綿が使用された建築物等の解体等の作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法を記載する。具体的には、労働者が使用する保護具や保護衣の種類、管理方法及び扱い方、呼吸用保護具の適正な選定及び使用方法等の管理方法を記載する。また、じん肺健康診断の実施確認や石綿健康診断の実施確認の方法についても記載する。その他、熱中症予防対策、転倒・墜落・転落・飛来・落下災害等の労働災害防止方法についても記載することが望ましい。(7)その他石綿のばく露・飛散防止の観点からみると必ずしも記載が必要とはいえないが、安全かつトラブルのない作業を行う上では検討が必要な事項であり、整理しておくことが望ましい。石綿除去会社等の選定方法各種届出、管轄の監督官庁との調整事項地方公共団体や近隣住民との協定等の有無特殊条件1104.4.3下請負人への説明大防法では、元請業者又は下請負人が、石綿の除去等作業を伴う建設工事の全部又は一部を他の者に請け負わせるときは、石綿の除去等作業の方法等を、その請け負わせる者に説明しなければならないとしている。説明が必要な事項は以下の事項である。石綿の除去等作業の方法石綿の除去等作業の工程を明示した解体等工事の工程の概要石綿の除去等作業の種類石綿の除去等作業の実施期間石綿の除去等作業の対象となる建築物等の部分における石綿含有建材の種類並びにその使用箇所及び使用面積下請負人への説明の際は、作業計画等を示して作業の内容や注意点を確認することが望ましい。1114.5作業実施等の届出4.5.1作業実施等の届出について事前調査の結果、解体等工事を行う建築物等に石綿含有吹付け材等が使用されていることが判明した場合は、大防法及び安衛法・石綿則に基づく作業実施等の届出が必要となる。大防法では、発注者等に届出の義務がある。発注者等は、大防法第18条の17に基づき、解体等工事の開始の14日前までに都道府県知事(政令等により委任されている市については、市長)に特定粉じん排出等作業の実施の届出を行わなければならない。石綿則では、事業者に届出の義務がある。事業者(建設業及び土石採取業に限る。)は、安衛法第88条第3項に基づき、除去等作業の開始の日の14日前までに労働基準監督署に計画の届出を行わなければならない。建設業及び土石採取業以外の事業者については、石綿則第5条に基づき、あらかじめ労働基準監督署長に作業の届出を行う必要がある。なお、除去等作業を数次の請負契約によって実施する場合には、元請業者等が届出を行ってよい。石綿含有吹付け材等が使用されていない場合は、石綿含有成形板等や石綿含有仕上塗材が使用されていても大防法、安衛法・石綿則の届出のいずれも不要である。ただし、作業計画の作成は必要になる。なお、令和4(2022)年4月1日以降は、一定規模の解体等工事について、石綿の有無に関わらず、大防法では都道府県知事等へ、石綿則では労働基準監督署長へ、事前調査結果等の報告が必要となった。(1)届出対象工事作業実施等の届出対象となる工事は、石綿含有吹付け材並びに石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材に係る解体等工事である。石綿含有建材の種類表4.5.1大防法と安衛法・石綿則の届出要件の整理表届出義務者大防法安衛法・石綿則発注者等事業者法令作業の種類石綿含有吹付け材石綿含有保温材等解体、改修等(封じ込め、囲い込み)○※1石綿含有成形板等石綿含有仕上塗材解体、改修等○※2×○:届出対象、×:届出対象外×※1石綿を含有する配管保温材を、非石綿部の切断により除去する場合は不要。※2建設業及び土石採取業の場合は安衛法第88条の「計画の届出」、それ以外の業種に属する事業者は石綿則第5条第1項の「作業の届出」を行う。(2)届出先大防法の特定粉じん排出等作業の実施の届出は、解体等を行う建築物等がある場所の都道府県等に行うこととなる。都道府県等によっては、保健所や地方事務所等において届出の受付を行っている場合があるほか、条例により、届出の受理権限等が政令市以外の市の長に委任されている場合もあるので、届出時に確認が必要である。なお、災害その他非常の事態の発生により特定粉じん排出等作業を緊急に行う必要がある場合については、14日前までという制限はないが、速やかに届け出る必要がある。安衛法に基づく計画届又は石綿則に基づく作業の届出は、解体等を行う建築物等がある場所の管轄労働基準監督署に届け出ることとなる。1121134.5.2届け出るべき事項大防法及び安衛法、石綿則に係る届出では、表4.5.2の事項について定められた様式に記入し、届け出る必要がある。なお、大防法においては、表4.5.2⑦の項目以外の届出事項は作業計画の項目と同じであるため、作成した作業計画を届出書の様式に記入した上、必要に応じて⑦について追記し、必要な書類を添付して届け出る。表4.5.2届出事項大防法(大防法第18条の17)安衛法、石綿則(安衛法第88条第3項、安衛法施行規則第91条第2項石綿則第5条第1項)様式第3の5に以下の事項を記載する①当該届出対象特定工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名②当該届出対象特定工事の場所③当該特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積④特定粉じん排出等作業の種類⑤特定粉じん排出等作業の実施の期間⑥特定粉じん排出等作業の方法⑦作業方法が大防法第18条の19に定められたものではない場合はその理由上記届出には、以下を記載した書類を添付する。一特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況二特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要三特定工事の元請業者又は自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所四下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所【安衛法】様式第21号に以下の書類を添付①仕事を行う場所の周囲の状況及び四隣との関係を示す図面②建設等をしようとする建設物等の概要を示す図面③工事用の機械、設備、建設物等の配置を示す図面④工法の概要を示す図面⑤労働災害を防止するための方法及び設備の概要を示す書面又は図面⑥工程表【石綿則】様式第1号の2に当該作業に係る建築物、工作物又は船舶の概要を示す図面を添付※詳細については表4.5.3参照114表4.5.3安衛法第88条第3項及び石綿則第5条第1項に基づく届出に係る添付書類等届出の様式、期日、添付書類(1)添付書類について届出書に添付すべき書類については、大防法に基づく届出書と安衛法に基づく届出書に添付される書類とが概ね同一である場合は、同じ添付書類を届出書に添付してもよい。大防法及び安衛法の添付書類の対応関係は、おおよそ以下のとおりである。表4.5.4大防法及び安衛法に規定する届出添付書類の対応関係大防法に規定する書類安衛法に規定する書類一特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況(注1)①仕事を行う場所の周囲の状況及び四隣との関係を示す図面二特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要(注2)⑥工程表(+④及び⑤の図面又は書面)※項目頭の数字については表4.5.2を引用(注1)同じもので差し支えない。(注2)特定粉じん排出等作業の工程が明示されている必要がある。なお、「④工法の概要を示す図面」や「⑤労働災害を防止するための方法及び設備の概要を示す書面又は図面」の中で工程について記載されていれば、それも該当する。計画の届出作業の届出様式安衛則関係様式第21号「建設工事計画届」石綿則関係様式第1号の2「建築物解体等作業届」記載例届出期日工事を開始する14日前まで作業を開始するまで添付書類等1.現場案内図2.仕事を行う場所の周囲の状況及び四隣との関係を示す図面3.石綿等の除去工事概要書4.事前調査結果※石綿等の種類、使用量、含有率等が明記されていること。5.当該作業に係る建設物等の概要を示す図面(平面図、立面図等)※石綿等が吹き付けられている箇所及び隔離を行う場所が明記されていること。6.工事用の機械、設備、建設物等の配置等を示す図面※負圧除じん装置、汚染除去室等の位置及び構造を明確にすること。7.石綿等の除去方法を示す図面又は書面8.労働災害を防止するための方法等※隔離のための養生方法、湿潤方法、換気計画、作業環境測定計画等を明記すること。石綿作業主任者名、特別教育実施記録呼吸用保護具、保護衣等のカタログ、高所作業となる場合には足場計画、昇降設備等墜落防止措置、夏季においては熱中症対策を明確にすること。9.工程表(工事全体工程表及び石綿除去に係る工程表)※養生、除去等の日程が明記されていること。1.現場案内図仕事を行う場所の周囲の状況及び四隣との関係を示す図面2.当該作業に係る建設物等の概要を示す図面(平面図、立面図等)※除去する石綿等の箇所及び隔離又は立入禁止措置を行う場所が明記されていること。様式第1号の2の「石綿ばく露防止のための措置の概要」についてi.吹き付けられた石綿等及び石綿含有保温材等の除去作業の作業場所の隔離(石綿則第6条)ii.石綿等の切断等の作業を伴わない作業の立入禁止措置その旨の表示(石綿則第7条)iii.除去作業及び切断等の作業での湿潤化、呼吸用保護具及び作業衣、保護衣の使用(石綿則第13条、14条)iv.特別教育の実施(石綿則第27条)等の必要な措置内容を具体的に記載。(別紙可)備考現場の状況等により上記以外に追加の図面等が必要な場合がある。【大防法に基づく届出の添付書類例】1.工事概要(例)⑴工事名称品川○○ビル模様替工事⑵工事場所東京都港区○○1丁目2番3号⑶工事期間自令和○年○月○日―至令和○年○月○日⑷工事内容品川○○ビル模様替工事内オフィスビル吹付石綿除去工事⑸元請業者(特定工事を施工する者)○○建設株式会社東京支店○○作業所東京都○区○○○丁目○番○号連絡先℡03-○○○○―○○○○現場責任者○○○○連絡先℡○○○-○○○○―○○○○⑹下請事業者石綿除去工事業者○○建設株式会社○○作業所東京都○区○○○丁目○番○号連絡先℡03-○○○○―○○○○現場責任者○○○○連絡先℡○○○-○○○○―○○○○⑺工程表別紙-1を参照⑻施工範囲図別紙-2を参照⑼石綿含有建材除去数量吹付け石綿除去工事数量石綿使用場所及び部位①1階オフィスビル②2階オフィスビル壁壁石綿使用数量(m2)316.3石綿の種類m2316.3③1、2階オフィスビル天井100m2クリソタイル合計m2―732.6m21151162.工程表(例)品川○○ビル模様替工事工程表3031123456789101112131415161718192021222324252627282930311234567891011121314151617181920212223土日月火水木金土日月火水木金土日月火水木金土日月火水木金土日月火水木金土日月火水木金土日月火水木金土日月火水木金養生他仮設足場機械室発電室電気室8月6月7月アスベスト除去工事仮設工事大教室・2階廊下通路養生詰所・事務所・4階トイレ・廊下・3階通用口養生足場材搬入足場材搬入隔離養生除去作業隔離養生撤去グラスウール貼り機械室足場解体機械室足場組立発電機室足場組立電気室足場組立発電機室足場解体隔離養生除去作業隔離養生撤去隔離養生グラスウール貼り除去作業足機材搬出復電準備仮設電気設備撤去詰所・事務所・4階トイレ・廊下・3階通用口養生クリーニング大教室・2階廊下通路養生撤去機械室・発電室・電気室クリーニング詰所・事務所・4階トイレ・廊下・3階通用口養生撤去電機室足場解体グラスウール貼り施工範囲図さらに、届出書様式の備考1等の規定により、以下の図面を添付する必要がある。・特定粉じん排出等作業の対象となる建築物の部分の見取図(主要寸法、特定建築材料使用箇所を記入)・作業場の隔離状況及び前室の設置状況を示す見取図(主要寸法、隔離された作業場の容量、集じん・排気装置の設置場所、排気口の位置を記入)※これらは、必要な事項が記載されていれば、1つの図面としてもよい。1174.6事前調査の結果及び作業内容等の掲示解体等工事の元請業者等及び事業者は、事前調査の結果及び作業内容等について、大防法及び石綿則で定められた事項を公衆及び作業に従事する労働者等が見やすい場所に掲示しなければならない。石綿に関連する掲示等は表4.6.1のとおりである。また、厚生労働省では、以下の掲示を行うことを通知している。(平成17年8月2日基安発第0802001号)①安衛法第88条3項の規定による計画の届出又は石綿則第5条の規定による作業の届出の対象となる作業を周知する掲示。②届出の対象外となる石綿除去作業を周知する掲示。③石綿を使用していない建築物の解体等の作業を周知する掲示。この他、都道府県等が独自に条例で掲示を義務付ける例もあるので確認が必要である。掲示については、解体等の作業の開始から終了まで工事期間を通して行う。なお、掲示板の設置以外に、除去等作業の着手に当って事業者は、周辺住民やテナント等、関係者に対する不安や疑念を解消するために、地元説明会の開催等を求められることがある。掲示を見た周辺住民等からの申し出があった場合、リスクコミュニケーションの観点から、事前調査の概要等を閲覧に供することが考えられる。除去等作業を円滑に実施するためには、近隣住民等関係者からの申し出に応じて、除去等作業の方法、隔離・養生方法及び具体的な作業工程の現地での説明並びに工事実施写真(石綿除去等の作業の写真や漏えい確認状況の写真等)の公開等を行うことが考えられる。リスクコミュニケーションについては、「建築物等の解体等工事における石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションガイドライン改訂版」(令和4年3月環境省)が参考になる。https://www.env.go.jp/air/asbestos/litter_ctrl/rc_guideline/index.html表4.6.1石綿に関連する掲示掲示項目大防法石綿則等事前調査の結果大防法第18条の15第5項大防法施行規則第16条の9、第16条の10石綿則第3条第8項参照箇所4.6.1作業内容等大防法第18条の14大防法施行規則第16条の4第二号平成17年8月2日基安発第0802001号作業主任者-安衛則第18条飲食喫煙禁止-石綿則第33条4.6.2石綿の有害性等-石綿則第34条立入禁止-石綿則第7条、第15条4.6.1事前調査の結果の掲示大防法と石綿則における事前調査の結果の掲示の記載事項を表4.6.2に示す。事前調査の結果の掲示は石綿含有建材の使用の有無や大防法や石綿則の届出の対象か否かに関わらず義務付けられているものであり、全ての解体等工事で掲示しなければならないことに留意する必要がある。事前調査の結果の掲示は、大防法及び石綿則で義務付けられているが、それぞれの法令に則った掲示を個別に行う必要はなく、記載事項を網羅していれば両方の掲示を兼ねることは差支えない。事前調査結果の掲示は、周辺住民及び作業者の両方が見やすい場所に掲示する。掲示の大きさはJISA3判(29.7cm×43cm)以上とするが、縦、横のどちらでも差し支えない。118表4.6.2大防法と石綿則における事前調査結果の掲示の記載事項大防法の掲示の記載事項(大防法第18条の15第5項、大防法施行規則第16条の10)石綿則の掲示の記載事項(石綿則第3条第8項)・事前調査の結果・解体等工事の元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名・事前調査を終了した年月日・解体等工事が特定工事に該当する場合は、特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類・調査終了日・事前調査を行った部分(分析調査を行った場合にあっては、分析のための試料を採取した場所を含む)の概要・事前調査を行った部分における材料ごとの石綿等の使用の有無(石綿等が使用されているものとみなした場合は、その旨を含む)及び石綿等が使用されていないと判断した材料にあっては、その判断の根拠の概要4.6.2作業内容等の掲示石綿含有建材の除去等作業を行う際は、作業方法等の必要事項を表示した掲示板の設置が必要である。作業内容等の掲示の記載事項を表4.6.3に示す。作業内容等の掲示についても、大防法及び石綿則等に分けて掲示を行う必要はなく、記載事項を網羅していればそれぞれの法令の掲示を兼ねることは差支えない。掲示は、周辺住民及び作業者の両方が見やすい場所に掲示する。掲示の大きさはJISA3判以上とするが、縦、横のどちらでも差し支えない。表4.6.3作業内容等の掲示の記載事項石綿則等の掲示の記載事項(安衛法第18条石綿則第7条、15条、33条、34条平成17年8月2日基安発第0802001号)大防法の掲示の記載事項(大防法施行規則第16条の4第二号)・特定工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名・届出対象特定工事に該当する場合にあっては、届出年月日及び届出先・特定粉じん排出等作業の実施期間及び方法・特定工事の元請業者又は自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所・関係者以外の立入禁止・石綿作業主任者・喫煙・飲食の禁止・石綿等を取り扱う作業場である旨・石綿の人体に及ぼす作用・石綿等の取扱い上の注意事項・使用すべき保護具・石綿のばく露防止対策等の実施内容(届出あり、届出なし、石綿なし)4.6.3掲示の様式例事前調査の結果及び作業内容等の掲示の様式例を図4.6.1~図4.6.3に示す。掲載した様式例は、事前調査の結果と作業内容を1つの掲示にまとめている例であるが、それぞれを個別に掲示することもできる。掲示の大きさはJISA3判以上(縦、横のどちらでも可)であるが、記載内容が多い場合は掲示の大きさを大きくする等、字が小さく読みづらくならないよう配慮すること。また、様式例では、石綿則による「関係者以外の立入禁止」、「喫煙・飲食の禁止」、「石綿等を取り扱う作業場である旨」、「石綿の人体に及ぼす作用」、「石綿等の取扱い上の注意事項」、「使用すべき保護具」、の内容は含まれていないため、別途掲示を行うこと。119120建築物等の解体等の作業に関するお知らせ本工事は、石綿障害予防規則第4条の2及び大気汚染防止法第18条の15第6項の規定による事前調査結果の報告注1)、労働安全衛生法第88条第3項(労働安全衛生規則第90条第五号の二、第五号の三)の規定による計画の届出及び大気汚染防止法第18条の17第1項の規定による作業実施の届出を行っております。石綿障害予防規則第3条第8項及び大気汚染防止法第18条の15第5項及び同法施行規則第16条の4第二号の規定により、解体等の作業及び建築物の特定粉じん排出等作業について以下のとおり、お知らせします。事業場の名称:○○○○解体工事作業所届出先及び届出年月日東京○○労働基準監督署令和○○年○○月○○日発注者または自主施工者東京都・道・府・県○○市・区令和○○年○○月○○日氏名又は名称(法人にあっては代表者の氏名)調査終了年月日令和○○年○○月○○日○○不動産(株)代表取締役社長○○○○看板表示日令和○○年○○月○○日住所解体等工事期間令和○○年○○月○○日~令和○○年○○月○○日東京都○○区○-○石綿除去(特定粉じん排出)作業等の作業期間令和○○年○○月○○日~令和○○年○○月○○日調査方法の概要(調査箇所)元請業者(工事の施工者かつ調査者)【調査方法】書面調査、現地調査、分析調査【調査箇所】建築物全体(1階~4階)※改修等の場合は、改修等を実施するために調査した箇所を記載する。(例)1階機械室(改修等工事対象場所)氏名又は名称(法人にあっては代表者の氏名)○○建設株式会社代表取締役社長○○○○調査結果の概要(部分と石綿含有建材(特定建築材料)の種類、判断根拠)住所【石綿含有あり】1階機械室吹付け石綿クリソタイル1階機械室保温材(石綿含有とみなし)エレベーターシャフト吹付け石綿クリソタイル【石綿含有なし】○数字は右下欄の「その他の事項」を参照1~4階トイレ内PS保温材③1~4階床:ビニル床タイル③、天井:フレキシブルボード④その他の建材④⑤東京都○○区○-○現場責任者氏名○○○○連絡場所TEL03-×××-××××○○○○を石綿作業主任者に選任しています。調査を行った者(分析等の実施者)氏名又は名称及び住所石綿除去等作業(特定粉じん排出等作業)の方法事前調査・試料採取を実施した者①特定建築物石綿含有建材調査者○○環境(株)氏名○○○○登録番号○○○○住所:東京都○○区○○-○○分析を実施した者②○○環境分析センター氏名○○○○登録番号○○○○住所:埼玉県○○市○○-○○石綿含有建材(特定建築材料)の処理方法除去・囲い込み・封じ込め・その他集じん・排気装置機種・型式・設置数・機種:集じん・排気装置・型式:○○○-2000・設置数:○台排気能力(㎡/min)○○m3/min(1時間あたりの換気回数4回以上)使用するフィルタの種類及びその集じん効果(%)HEPAフィルタ・補修効率:99.97%・粒子径:0.3μm使用する資材及びその種類・湿潤用薬液:○○○○・固化用薬液:○○○○・隔離用シート(厚さ:床○mm、その他○mm)・接着テープ等その他事項調査結果の概要に示す「石綿含有なし」に記載された〇数字は、以下の判断根拠を表す①目視②設計図書③分析④材料製造者による証明⑤材料の製造年月日その他の石綿(特定粉じん)の排出又は飛散の抑制方法(例)・吹付け層に薬液を含浸する等により表層面を被覆する封じ込め工法注2)(例)・板状材料で完全に覆うことにより密閉する囲い込み工法注2)備考:その他の条例等の届出年月日○○区建築物の解体工事等に関する要綱(令和○○年○月○日届出)注1)工事に係る部分の床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事、請負金額100万円以上の建築物の改修等工事等の場合注2)封じ込め工法や囲い込み工法を行う場合の記載例図4.6.1石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等の除去等を含む作業(届出対象)記入例※掲示サイズは(横420mm以上、縦297mm以上)121建築物等の解体等の作業に関するお知らせ本工事は、石綿障害予防規則第4条の2及び大気汚染防止法第18条の15第6項の規定による事前調査結果の報告を行っております。注)石綿障害予防規則第3条第8項及び大気汚染防止法第18条の15第5項及び同法施行規則第16条の4第二号の規定により、解体等の作業及び建築物の特定粉じん排出等作業について以下のとおり、お知らせします。事業場の名称:○○○○解体工事作業所調査終了年月日令和○○年○○月○○日発注者または自主施工者氏名又は名称(法人にあっては代表者の氏名)看板表示日令和○○年○○月○○日○○○○開発(株)代表取締役社長○○○○住所解体等工事期間令和○○年○○月○○日~令和○○年○○月○○日東京都○○区○-○石綿除去(特定粉じん排出)作業等の作業期間令和○○年○○月○○日~令和○○年○○月○○日調査方法の概要(調査箇所)元請業者(工事の施工者かつ調査者)【調査方法】書面調査、現地調査、分析調査【調査箇所】建築物全体(1階~3階)氏名又は名称(法人にあっては代表者の氏名)○○建設株式会社代表取締役社長○○○○調査結果の概要(部分と石綿含有建材(特定建築材料)の種類、判断根拠)住所【石綿含有あり】外壁石綿含有仕上塗材クリソタイル1階軒天石綿含有けい酸カルシウム板第1種クリソタイル2階事務室・会議室A床ビニル床タイルクリソタイル2階給湯室天井フレキシブルボードクリソタイル【石綿含有なし】○数字は右下欄の「その他の事項」を参照1階倉庫吹付けロックウール③1~3階床:ビニル床シート⑤、壁:けい酸カルシウム板第1種:④天井:岩綿吸音板③その他の建材④⑤東京都○○区○-○現場責任者氏名○○○○連絡場所TEL03-×××-××××○○○○を石綿作業主任者に選任しています。調査を行った者(分析等の実施者)氏名又は名称及び住所事前調査・試料採取を実施した者①一般建築物石綿含有建材調査者○○環境(株)氏名○○○○登録番号○○○○住所:東京都○○区○○-○○分析を実施した者②○○環境分析センター氏名○○○○登録番号○○○○住所:埼玉県○○市○○-○○石綿除去等作業(特定粉じん排出等作業)の方法石綿含有建材(特定建築材料)の処理方法除去・その他特定粉じんの排出又は飛散の抑制方法石綿含有成形板等(例)フレキシブルボードは原形のまま取り外す。ビニル床タイルは湿潤化しながらバール等で除去を行う。石綿含有けい酸カルシウム板第1種は作業場を養生シートで養生(隔離)し、湿潤化しながらバール等で除去を行う。石綿含有仕上塗材(例)剥離剤併用手工具ケレン工法。外周を養生シートで養生(隔離)し、除去を行う。使用する資材及びその種類・湿潤用薬液:○○○○・剥離剤:○○○○・養生用シート(厚さ:○mm)・接着テープ等その他事項調査結果の概要に示す「石綿含有なし」に記載された○数字は、以下の判断根拠を表す①目視②設計図書③分析④材料製造者による証明⑤材料の製造年月日備考:その他の条例等の届出年月日○○区建築物の解体工事等に関する要綱(令和○○年○月○日届出)注)工事に係る部分の床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事、請負金額100万円以上の建築物の改修等工事等の場合図4.6.2石綿含有成形板等、石綿含有仕上塗材の除去等作業(届出非対象)記入例※掲示サイズは(横420mm以上、縦297mm以上)122建築物等の解体等の作業に関するお知らせ本工事は、石綿障害予防規則第4条の2及び大気汚染防止法第18条の15第6項の規定による事前調査結果の報告を行っております。注)大気汚染防止法、労働安全衛生法、石綿障害予防規則及び条例等に基づく調査結果をお知らせします。事業場の名称:○○○○解体工事作業所調査終了年月日令和○○年○月○日元請業者(解体等工事の施工者かつ調査者)看板表示日令和○○年○月○日氏名又は名称(法人にあっては代表者の氏名)解体等工事期間:令和○○年○月○日~令和○○年○月○日○○建設株式会社代表取締役社長○○○○調査方法の概要(調査箇所)【調査方法】書面調査、現地調査、分析調査※建物の着工日で石綿含有なしを判断した場合は、書面調査のみとなる【調査箇所】建築物全体(1階~3階)住所東京都○○区○-○現場責任者氏名○○○○連絡場所TEL03-×××-××××調査結果の概要(部分と石綿含有建材(特定建築材料)の種類、判断根拠)石綿は使用されていませんでした。(特定工事に該当しません)【石綿含有なし】○数字は右下欄の「その他の事項」を参照1~3階床:ビニル床タイル③ビニル床シート③、天井:岩綿吸音板③、けい酸カルシウム板第1種③、壁:スレートボード⑤外壁仕上塗材③※建築物の着工日で石綿含有なしを判断した場合の例建築物の着工日が2006年9月1日以降⑤調査を行った者(分析等の実施者)氏名又は名称及び住所事前調査・試料採取を実施した者①日本アスベスト調査診断協会登録者氏名○○○○会員番号○○○○住所:東京都○○区○○-○○分析を実施した者②○○環境分析センター代表取締役社長○○○○氏名○○○○登録番号○○○○住所:埼玉県○○市○○-○○その他事項調査結果の概要に示す「石綿含有なし」に記載された○数字は、以下の判断根拠を表す①目視②設計図書③分析④材料製造者による証明⑤材料の製造年月日注)工事に係る部分の床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事、請負金額100万円以上の建築物の改修等工事等の場合図4.6.3石綿使用なし記入例※掲示サイズは(横420mm以上、縦297mm以上)1234.7石綿含有吹付け材等の切断等を行う作業に係る石綿飛散防止対策4.7.1除去作業手順石綿含有吹付け材等を切断等により除去を行う場合は、作業場全体を負圧隔離養生して作業を行う必要がある。一般的な作業の手順を図4.7.1に示す。図4.7.1石綿含有吹付け材等の切断等を行う作業の手順〔準備作業〕負圧隔離養生保護衣又は専用の作業衣・呼吸用保護具③粉じん飛散抑制剤吹付け機械の設置取り残しがないことの確認集じん・排気装置の点検・確認作業場内及びセキュリティゾーンの負圧確認その他の養生壁部の養生(プラスチックシート等厚0.08mm以1枚)床の養生(プラスチックシート等厚0.15mm以2枚重ね)天井仕上材、下地材の撤去(天井上に石綿が堆積している場合がある。その場合は撤去した材料を清掃し、粉じん飛散防止処理剤を散布する。)湿潤化、二重袋詰め負圧隔離養生内部の空気中石綿濃度の確認保護衣・呼吸用保護具②4.7.2除去作業の準備作業における留意事項(1)施工区画の設定1)施工区画の目的石綿含有吹付け材等を切断等して除去する作業を行うときは、除去を行う場所(作業場)を他の場所から隔離しなければならない。しかし、直接除去を行う場所を隔離するだけでは、石綿繊維へのばく露を防止する措置としては不十分な場合もある。例えば、日中等に事務所ビルや工場又は学校の教室を使用しながら順次除去作業を行う場合、作業場の隔離の外側にさらに区画(以下「施工区画」という。)を設置し、第三者から作業場を隔てることが行われる。施工区画を設置する目的は、第三者が作業場に立ち入ることを物理的に確実に遮断することで、除去作業に対する安心感を醸成するとともに、作業者の休憩場所や作業に使用する資機材のストックヤードもしくは廃棄物の保管場所等を確保するためである。2)施工区画の計画第三者の人数、通行量、第三者が立ち入る場所と作業場との距離、除去作業の工程・工期に応じて、区画の範囲、使用資材、組立方法等の施工区画の計画を行う。計画に際して建築主、建築物管理者、テナント利用者、周辺住民等近隣関係者のニーズに配慮することも必要である。3)施工区画の組立て方法建築工事で使用する仮設間仕切方法を状況に応じて工夫する。既製バリケードフェンスの利用、単管や型枠支保工用鋼管サポートを下地に使用し、ブルーシートや不透明な防炎シート又はベニヤを張る方法、仮囲い用の万能鋼板の使用、さらには軽量鉄骨下地を組み立て、プラスターボードを張る本設と同程度の仕様とする方法がある。【参考】施工区画の実施事例(ⅰ)テナントが日中居室を使用する場所で行う除去作業の施工区画例(図4.7.2、4.7.3)作業日が不連続で数週間に及ぶような場合、施工区画とテナントの使用エリアを区画して、資機材のストックヤードや保管場所を確保する。床面から天井仕上面まで本設間仕切壁と同一仕様の、壁軽鉄下地にプラスターボードを張った仮設間仕切壁を組み立てて区画する。除去作業を行う場所は狭い範囲を別途負圧隔離養生して実施する。施工区画への出入りは仮設間仕切壁に設けた仮設扉を使用し、工事をしない期間は扉を施錠閉鎖する。図4.7.2テナントビルの施工区画(内部側)図4.7.3テナントビルの施工区画(外部側、仮設扉)124(ⅱ)駐車場を使用しながら行う除去作業の施工区画例(図4.7.4、4.7.5、4.7.6)例えば、駐車場ビルの各階を2分割して施工区画とする。施工区画毎に順次除去作業を進め、施工区画以外は駐車場の使用を可能とする。施工区画の内部に負圧隔離養生した作業場を設置する。車路は昇降用2車線のうち、1車線を閉鎖して1車線を交互に使用し、走路として使用した1車線の上部に吊足場を設置し、吊足場上を負圧隔離養生して除去作業を実施する。施工区画は単管に防炎シートもしくはメッシュシート張りとし、その内側にプラスチックシート等を使用して作業場の負圧隔離養生を実施する。図4.7.5同上施工区画の内部側図4.7.4駐車場ビルにおける施工区画図(車路の両側及び上部吊足場が施工区画)図4.7.6同上施工区画(内部側、右外側が車路)(ⅲ)学校の教室で行う除去作業の場合の廊下と作業場の間の小規模の施工区画例(図4.7.7、4.7.8)学校の教室内の石綿含有吹付け材の囲い込み工事を教室毎に順次仕上げながら移動するような工事では、工事中の教室への侵入を防止するため、作業場出入口となる教室出入口(引違扉)の外部に施工区画を設置し、仮設出入口を二重に設けて、作業場と廊下を遮断する。なお、学校においては、石綿対策工事の内容等について、教職員、保護者や児童生徒や教職員等に対しても十分説明を行うとともに、工事内容によっては、児童生徒等の在校時には作業を行わない等、児童生徒等の安全対策を最優先にして、万全を期する必要がある。図4.7.7教室前廊下の施工区画(外部側)図4.7.8同左施工区画(内部)125(2)作業場の負圧隔離養生1)負圧隔離養生の目的負圧隔離養生の目的は、除去作業に伴い発生する石綿繊維の作業場外部への飛散・漏えいを防止し、除去作業に従事する作業員等工事関係者以外の立入を遮断することである。2)負圧隔離養生の成立負圧隔離養生は、作業場をプラスチックシート等を用いて作業場所を密閉状態にすること、かつ集じん・排気装置を用いて作業場内を作業場外に対して負圧にすることによって成り立つ。隔離シートが破損したり、又は作業場内が負圧でなくなれば、作業場内の石綿が外部へ漏えいする危険が高まる。除去作業開始前には、石綿作業主任者や現場責任者の立会いのもと、設備ダクト貫通部や集じん・排気装置の排気ダクトと壁面プラスチックシート等との取り合い部等外部への漏えい危惧箇所を中心に、隔離措置が適切になされているかを、集じん・排気装置を稼働させ、触診、スモークテスター等で点検・確認する。3)負圧隔離養生の方法作業場の負圧隔離養生は、プラスチックシート等を用いる方法が一般的である(図4.7.9~4.7.14)。負圧隔離養生に使用するプラスチックシート等は、破損防止のため、十分な強度を有するものを使用する。シートの厚さは、壁面に使用する場合0.08mm以上、床に使用する場合0.15mm以上のものを2枚重ねとする(図4.7.9~4.7.10)。現場責任者が石綿除去作業の施工状況を適宜把握するため、プラスチックシート等は透明なものを使用するか適所にのぞき窓を設けるなどが望ましい。作業場内への立ち入りは一般的には作業者に限られるため、現場責任者が作業の状況を把握することは難しい。透明なプラスチックシート等を用いれば隔離外部からでも比較的容易に作業状況を確認できるため、作業の施工管理・安全管理上好ましい。負圧隔離養生は、外部への石綿の飛散を防止するため、後述するセキュリティゾーンへの出入口以外の扉、窓、換気口、空調吹出口等の石綿を外部へ飛散させるおそれのある個所はすべて目張りをして、室内を密閉する(図4.7.14)。具体的な負圧隔離養生の方法については、「既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説2018」(一般財団法人日本建築センター)等を参考に行う。なお、隔離空間での作業を迅速かつ正確に行い、外部への石綿等の粉じんの漏えいの危険性を低減するとともに吹き付けられた石綿等の除去等の漏れを防ぐため、隔離空間の内部では建材等の表面の状態が確認できる程度以上の照度を確保する。プラスチックシート等厚さ0.08mm以上(1重)プラスチックシート等厚さ0.15mm以上(2重)床面図4.7.9壁面の負圧隔離養生例126シールする30~45cm折返す床面は、厚さ0.15mmのプラスチックシート等で端まで覆って、壁にそって30~45cm折返し、接着テープで留める。他の壁面にも同じように留めて、隅にポケットが出来るようにする。そのポケットを平らにして一方の壁面に押しつけテープで留める。このような袋部の部分は、すべて粉じんが溜まらないように壁に留めておく。図4.7.10床面の負圧隔離養生例図4.7.11床面の負圧隔離養生例(2重張り)図4.7.12壁面の負圧隔離養生例(作業場内側)図4.7.13壁面の負圧隔離養生例(作業場内側負圧化のため内側へはらんでいる)図4.7.14窓、換気口の負圧隔離養生例1274)負圧隔離養生の計画負圧隔離養生の措置を行う際は、建築物の構造上外部に通じる隙間がないかどうか目視、設計図書等により事前に確認し、外部に石綿が漏えいすることのないよう確実な措置を講じる必要がある。作業場の負圧隔離養生範囲が広いほど、作業終了後の片付け、清掃範囲が広がるため、粉じんの飛散範囲が広がり、外部への飛散のおそれも高まる。また、負圧隔離養生の範囲が広がると作業場内の負圧の維持管理、汚染空気の集じん排気が困難になることから、負圧隔離養生の範囲は一般的には、除去対象建材の範囲や作業性の許す限り、狭い方がよい。また、一つの隔離空間内での除去が長期間にわたることは負圧隔離養生の維持等の観点から望ましくないことから、可能な限り作業時間を最小限にするよう負圧隔離養生を行う。設備機械室等、他の場所から独立した室内における天井面や壁面等を対象とした除去作業を行う場合は、当該室内全体を負圧隔離養生する。広い面積を有する室内の天井面等の除去作業を行う場合は、作業に適した広さに作業場を分割して、負圧隔離養生を実施する。分割の基準は、工事行程、負圧隔離養生の容易さ、足場等仮設設備の組立範囲、作業者等や資機材・廃棄物の移動といった作業動線等を考慮して計画する。例えば、工事工程に配慮した場合、夜間工事等1日毎に区切って作業を行わなければならないときは、1日の作業量で負圧隔離養生範囲を設定する。テナントビルにおいて、テナントが入居しながら除去作業を行う場合は、テナントスペースの広さ、業務内容に伴う家具備品等の移動範囲、養生範囲等を考慮した負圧隔離養生範囲を設定する。テナントの移転や移動の手順にも配慮する。石綿含有吹付け材のあるスラブ下の天井板を除去するに当たっては、当該天井板に堆積した石綿等の粉じんの飛散を防止するため、天井板の除去の前に、負圧隔離養生をする。また、石綿含有吹付け材等の近傍の照明等附属設備を除去するに当たっては、石綿等に接触して石綿等の粉じんを飛散させるおそれがあるため、当該設備の除去の前に、負圧隔離養生をする。5)建築物外部への飛散防止措置(外部に面する開口部を隔離する場合)建築物外壁に接して負圧隔離養生を行う場合、ガラス窓があれば、窓を封鎖し、外壁や窓面の内側を養生して除去作業を行うとよい。ところが直接外部に面して開放された開口部を負圧隔離養生する場合、例えば自走式の立体駐車場のように、建築物外壁の開口部が外気に開放されかつ大きい場合は、通常の負圧隔離養生では風圧によって破損し、石綿が飛散するおそれがある。このような場合、建築物外周に足場を組み立て、防音パネルや防炎シート、メッシュシートで養生する方法、開口部を防炎シートやメッシュシートで封鎖する方法等を実施し、さらに内部の作業場は別途負圧隔離養生を行うとよい。ただし、可能な限り、外光を内部に取り入れるよう素材を選択し、組立て方法を工夫すると作業環境が向上する。図4.7.15~4.7.22及び図4.7.23~4.7.25に、石綿含有吹付け材の除去を伴う、立体駐車場建屋の解体工事における飛散防止措置の事例を2例示す。前者は立体駐車場建屋の解体に先行して石綿含有吹付け材を除去する工事であり、解体のための仮設設備(防音パネルを取り付けた外部足場)を設置している。後者は立体駐車場を使用しながら耐火被覆として用いた石綿含有吹付け材を除去し、その後に吹付けロックウール耐火被覆を吹き付ける工事の例である。128129図4.7.17建屋周囲に設置した、通常の解体工事で使用する防音パネル(枠組足場に取付け、内部の石綿除去工事を視覚的にも遮断)図4.7.15外壁の飛散防止措置模式図(開口部を防炎シートで塞ぎ、手すりにベニヤ板を張ったシートの内部側に隔離用プラスチックシート等を張る)図4.7.16外壁の飛散防措置模式図(開口部を防炎シートで塞ぎ頭部と脚部及び高さに応じて中間部を固定)図4.7.21隔離用プラスチックシート等の頭部固定方法(下り壁コンクリートにガムテープでシートを貼付け)図4.7.22開口部の負圧隔離養生(防炎シートの内側をプラスチックシート等で養生)図4.7.20防炎シートの固定詳細(左:足元。単管にベースジャッキを挿入。右:頭部。単管に根太受け金物を挿入)図4.7.19外壁開口部の飛散防止措置(開口部全面に防炎シートを張った)図4.7.18外壁開口部の飛散防止養生(既存手すりを活用し、防炎シートとベニヤ板を使用して負圧隔離養生の破損を防止)図4.7.23外壁の飛散防止措置例(外部側にメッシュシート張り、内部側に隔離用プラスチックシート等張り)図4.7.25外壁の飛散防止措置詳細(隔離用プラスチックシート等足元固定方法)6)作業場内部に残る設備等の石綿繊維の付着防止養生作業場内に固定され移動することができない機械設備(エアコン等空調機械、制御盤類、照明器具等)、什器備品類等がある場合、石綿が付着しないようプラスチックシート等で覆う。なお、作業中に作業者が接触すること等により、プラスチックシート等を破損するおそれのある角部は、あらかじめクッション材(ウェス、エアキャップ等の養生材)を用いて覆う等の対策をする。移動可能な家具、事務机、事務用機械等は、原則として作業場外へ搬出する。また、熱を発散する機器類は発散面を部分的に開放し熱を逃がす等の工夫が必要である。エレベーター機械等稼働している機械等は、原則として停止させて除去作業を行うが、やむを得ない場合には、強度を有する仮設機材を用いて除去作業中の接触及び付着防止の養生を行う(図4.7.26)。図4.7.24外壁の隔離例(ガラスの手前をプラスチックシート等で隔離)図4.7.26作業場内部の養生例(エレベーター機械:接触防止用に布板敷き、発生熱を放散させる小窓を設置)130(3)セキュリティゾーンの設置1)機能、構成負圧隔離養生では、作業場の出入口にセキュリティゾーンを設置する。セキュリティゾーンとは、作業者の出入り、資機材及び廃棄物の搬出入に伴い、石綿が外部へ漏えいすることを防ぐために設置するもので、外部から作業場へ向う方向順に、更衣室(作業用の衣服等と通勤用の衣服等とを区別しておくことができるもの)、洗身室(エアシャワーを備えたもの)、前室の3室からなる(図4.7.27)。セキュリティゾーンはこれらを連結して設置する。また、全ての部屋の出入口には覆いをつける。以上(1以上(2(汚染空気吸込)入口図4.7.27セキュリティゾーン及び除去設備の配置概念図図4.7.28セキュリティゾーン外観分離型エアシャワー片吹き分割分解型エアシャワー図4.7.29エアシャワー例1312)隔離空間を屋外に設置する場合の注意事項隔離空間を外部に面して設置する場合、強風の影響を受け、前室からの吹込み、吹き戻しや、養生シートの押し出し等が生じ、最悪の場合、隔離作業場内から石綿等の粉じんが漏えいするおそれがある。セキュリティゾーンを屋外に設置する場合、セキュリティゾーンと作業場の隔離空間との取合い部の隙間やセキュリティゾーンの出入り口から強風が吹き込み、吹き戻しにより作業場内の石綿を外部へ飛散させることがある(図4.7.30)。ドアとセキュリティルームの隙間から風が吹き込む作業場内風石綿繊維風屋外作業場内隔離う作業場内作業場内石綿繊維石綿繊維風隙間から風屋外風石綿繊維風図4.7.30隙間からの風の侵入や強風の吹き戻しによる石綿の飛散事例(断面図①は隙間から風が入った場合の石綿飛散と吹き込み防止のシート囲いの例示を併記)132風が強い場合は、セキュリティゾーンの周囲をベニヤ板やシート類で囲い、セキュリティゾーンに強風が直接吹き込まない構造とする。さらに、セキュリティゾーン出入り口にファスナー付きプラスチックシートを設置し、ファスナーの調整で内部差圧を調整する(図4.7.31)。集じん・排気装置は、通常の計算式から求められる台数(内部の空気を1時間に4回以上換気できる台数)以上を設置すること。作業開始前及び作業中は、差圧が-2~-5Paになるように、外部の風の状況にあわせファスナー付きプラスチックシートのファスナーを調整したり、集じん・排気装置の稼働台数を調整する。ただし、強風時に上記の調整等で隔離空間内の負圧が確保出来ない場合には、作業を中止すること。図4.7.31中・低層建築物等の解体等を行う場合の例煙突解体時は、煙突頂部付近で特に風圧の影響を受けやすいため、沿岸部や山間地等の風の影響を受けやすい地域では、隔離シートの外側を垂直ネットで補強する等の対策(図4.7.32参照)を必要に応じて行うこと。また、強風対策としては、図4.7.33のように仮設防音パネルを利用することも有効である。ただし、防音パネルを使用する際は、内部の照度を確保する必要から採光用防音パネルを適所に使用することが必要となる。なお、負圧隔離養生を補強した場合でも、台風等の異常気象により一時的に工事を中断する際は、万が一、負圧隔離養生が破損しても石綿等の粉じんが飛散漏えいしないよう、煙突開口部の養生(図4.7.34参照)を適切に行う。煙突内の石綿除去時には、煙突下部の作業室内の集じん・排気装置を稼働して煙突内の負圧を確保してから煙突開口部の養生をとりはずす。煙突では、ドラフト現象による上昇気流が発生することや、詰まっていた除去物がまとめて落下することで下向きの風の流れ(ずい伴流)が発生し、排出口から石綿等の粉じんが押し出されることがあるため、石綿等の粉じんの飛散、漏えいが生じないよう、セキュリティゾーンの出入口を含めた隔離空間を密閉することが重要となる。また、集じん・排気装置は通常の計算から求められる台数(内部の空気を1時間に4回以上換気できる台数)以上を設置する。133図4.7.33防音パネル/採光防音パネル施工例図4.7.32垂直ネットによる煙突頂部養生例図4.7.34煙突開口部養生例1343)セキュリティゾーンの外に設ける洗浄設備セキュリティゾーンを備えた隔離措置を設置した作業場以外の場所で、負圧隔離養生を要しない石綿含有成形板等を取り扱う作業を作業者が行っている場合は、当該作業者は、当該セキュリティゾーンに設置された洗身室内の洗浄設備及び更衣室を使用することは適切ではない。当該作業者には、セキュリティゾーン内に設けた洗浄設備とは別に、洗眼、洗身又はうがいの設備、更衣設備及び洗濯設備を施工区画内の別の場所に設ける必要がある。(4)集じん・排気装置の設置及び作業場の負圧化1)集じん・排気装置の役割集じん・排気装置は、集じん装置と排風機(ファン)で構成され(図4.7.36)、一般的に大きな粒子による目詰まりを防止するための1次フィルタ、2次フィルタ及び微細粒子除去のためのHEPAフィルタの3層のフィルタが組み込まれている。ろ過した空気を外部へ排気することにより作業場内を負圧に維持するとともに、汚染空気の漏えいを防止し、セキュリティゾーンを経由して外部の新鮮空気を作業場内へ送るための装置である。エアー2次フィルタHEPAフィルタエアーファン1次フィルタ図4.7.35集じん・排気装置の例①設置台数図4.7.36集じん・排気装置の構造図集じん・排気装置の能力は、隔離空間の内部の空気を1時間に4回以上換気できるよう台数を決定する。なお、排気ダクトが長い場合、曲がりが多い場合、排気ダクトの材質等による圧力損失を考慮して排気能力を設定し、適切な風量が確保されるよう設置台数を算定する必要がある。隔離空間内は、-2~-5Paの負圧とすることを目安とし、これが確保できるような能力の集じん・排気装置を設置する。必要台数※≧作業場の気積(床面積×高さ)(㎥)/(60分÷4回)集じん・排気装置1台当りの排気能力(㎥/分)※小数点以下切上げ135②設置場所集じん・排気装置は、負圧隔離養生された作業場内に設置する場合と、負圧隔離養生壁ライン上に設置する場合、負圧隔離養生された作業場外に設置する場合がある。作業場内に設置する場合、運転作動状況の確認やプレフィルタ等のメンテナンス・取替を隔離空間内部から行える、作業終了時のHEPAフィルタ交換時に石綿が外部へ飛散しないという利点がある。ただし、集じん・排気装置の本体やキャスターに除去した石綿繊維が付着する可能性があるため、適切に集じん・排気装置の養生や清掃を行い、装置への石綿繊維の付着及び隔離外部への石綿繊維の持ち出しを防ぐ必要がある。負圧隔離養生壁ライン上に集じん・排気装置を設置する場合は、集じん・排気装置本体の先端部(一次フィルタ側)のみを作業場の外部から隔離空間内に入れて設置する(図4.7.37参照)。集じん・排気装置の移動ができないため、吹き溜まり等の集じんは、集じん・排気装置の吸引口にマニホールド(角丸カバー)を取付けワイヤー入りのビニルダクトを接続し、粉じん発生場所へ移動しながら集じんする。負圧隔離養生の壁ライン上に集じん・排気装置を設置する場合、作業開始・終了時のON-OFF操作を作業場外から行うことができること、ケーシングの隙間等からの石綿の吸い込みを防げること、石綿や粉じん飛散抑制剤・粉じん飛散防止処理剤による本体やキャスターの汚れを防げることという利点がある。また、集じん・排気装置の吸込口が作業場内にあるため、プレフィルタ等のメンテナンスや取替は作業場内で行うことができる。ただし、ワイヤー入りダクトを伸ばすことによる風量低下、集じん・排気装置下部の狭隘部を漏れのないように養生する必要があることに注意が必要である。作業場外に設置する場合、集じん・排気装置の吸引口にマニホールド(角丸カバー)を取付けワイヤー入りのビニルダクトを接続し、隔離空間内にダクトを接続して集じんする。作業場外への設置は、作業場が極めて狭く、装置を設置するスペースを確保できない場合に対応できること、作業開始・終了時のON-OFF操作を作業場外から行うことができること、ケーシングの隙間等からの石綿の吸い込みを防げること、石綿や粉じん飛散抑制剤・粉じん飛散防止処理剤による本体やキャスターの汚れを防ぐことといった利点がある。ただし、ワイヤー入りダクトを伸ばすことによる風量低下に注意が必要である。また、フィルタの交換は負圧隔離養生された作業場内で行う必要があるため、作業手順を事前に計画しておく必要がある。作業場内作業場外図4.7.37集じん・排気装置を負圧隔離養生の壁ライン上に設置した例136③設置位置一般に外部の新鮮空気はセキュリティゾーンを通して取り入れられる。集じん・排気装置の設置場所又は接続したダクトの吸引口の位置は新鮮空気の気流が作業場内全体を通過して装置に吸引されるよう、できるだけセキュリティゾーンの対角位置に設置する。マイクロマノメーターの負圧値を重点的に考えるため、意図的にセキュリティゾーン近傍に集じん・排気装置を設置している場合があるが、それでは空気がセキュリティゾーンと集じん・排気装置間でショートカットするため、結果的に作業場内全体の負圧が確保されないばかりか、隔離空間内に発生した石綿含有粉じんを吸引・ろ過することもできない。作業場の形状等から空気の溜まりが生じるおそれがある場合は、集じん・排気装置を追加するか、吸気ダクトを用いて溜まり部分の空気を吸気する等の措置を講じることが必要となる。セキュリティゾーンの出入り口から集じん・排気装置の吸入口に向かう作業場内の気流の流れが均一であり、集じん・排気装置の位置が適切であるか、スモークテスター等を用い、以下の場所等について気流の流れを確認する。・セキュリティゾーン前室への出入り口付近・作業場内で集じん・排気装置からもっとも距離のある場所(スラブ下近辺等足場上の場所を含む。)・作業場内の四隅等の入隅の場所で気流の滞留しやすい場所この際、スモークマシンを使用すると、隔離空間全体の気流の流れを可視化して確認することができる。確認の結果、気流が滞留する場所があった場合は、集じん・排気装置の位置の変更や増設、サーキュレーターを使用する等、空気が適切に流れるよう対策を行う。④集じん・排気装置の設置事例(ⅰ)窓が数箇所ある作業場の場合扉の位置にセキュリティゾーンを設置し、この位置から最長距離の対角線上の窓に集じん・排気装置を設置する。他の窓は密閉する(図4.7.38)。(ⅱ)窓、扉が一方向にある作業場の場合セキュリティゾーンの設置位置から最長距離の位置に集じん・排気装置を設置し、排気ダクトを接続して外部へ排気する(図4.7.39)。(ⅲ)数箇所の窓を待つ広い作業場の場合集じん・排気装置を必要な台数設置する。設置場所はセキュリティゾーンから最長距離の位置とし、気流の滞留個所が生じないよう分散させて配置する。負圧が大きい場合は、補助空気取入口を設ける。補助空気取入口は既存の開口部(換気用ガラリ、窓等)があれば、それを活用する。開口部には逆止弁付きの逆流防止ダンパーを使用する、又は、開口部の寸法より大きなプラスチックシート等を準備して、開口部の作業場側を覆うようにして合わせ、プラスチックシート等の上部をテープ等で留めて垂らす。補助空気取入口の大きさは、集じん・排気装置を運転させ、作業場内の負圧の状態を確認した上、必要に応じて調整すること。この際、補助空気取入口から粉じんが外部へ飛散しないよう留意する(図4.7.40)。137②①図4.7.38集じん・排気装置の設置位置(ⅰ)②②①セキュリティゾーンセキュリティゾーン図4.7.39集じん・排気装置の設置位置(ⅱ)①セキュリティゾーン(引用:”GuidanceforControllingAsbestos-ContainingMaterialinBuilding”(June’85)、EPA)図4.7.40集じん・排気装置の設置位置(ⅲ)2)集じん・排気装置の取扱い集じん・排気装置の不備又は不適切な使用により、石綿が捕集されずに飛散する事故が見受けられる。集じん・排気装置に起因する漏えいの原因として以下の事象が想定される。ア集じん・排気装置本体の隙間の存在イフィルタの装着忘れウフィルタの装着不備(取り付け部への異物の挟み込み、フィルタの締め付け等固定の不備、フィルタと函体の間の隙間の存在等)集じん・排気装置の1台ごとに点検整備記録及びフィルタ交換記録を整備し、記録は集じん・排気装置に備え付けておくことが望ましい。集じん・排気装置の整備点検表の例を表4.7.1に、設置時点検・フィルタ交換点検表の例を表4.7.2に示す。138139表4.7.1集じん・排気装置整備点検表の例へこみ、歪み変形、破損の確認本体接合部、コーキング及びパッキンの状態HEPAフィルタ取り付け板のへこみ、歪み変形、破損の確認前回交換年月日HEPAフィルタの装着具合HEPA総使用時間アワーメーター等で確認h作業場搬入前清掃搬入前1次、2次フィルタ交換スイッチ等の状態スイッチを入り状態にする異常な騒音、振動が無い事ランプ等の点灯・消灯状態に異常がないことモーター絶縁抵抗値絶縁抵抗値が十分に高い事電源ケーブル等破損等が無い事破損状況機械作動時、差圧計動作状況を確認の動作確認機械作動時の電流値機械作動時、風量の規定の風量が出ているかどうか平均確認確認㎥※判定結果記入例「可」「不可」による記載。本体内部清掃、フィルタの交換は「未了」「完了」による記載。是正箇所は「不可」・「未了」の場合の対処の結果を記載。記録の保存。その他点検本体内部の清掃フィルタの交換HEPAフィルタ実施日年月日風量点検HEPAフィルタの破損等粉じんの漏洩がないこと判定煙が吸い込まれたり、吹き飛ばされたりしない事接合部の締付けボルト、ナット等の欠落及び緩みの有無をスパナ等を用いて調べる接合部の締付けボルト、ナット等の欠落及び緩みが無い事絶縁抵抗計を用いて巻線と接地端子との間の絶縁抵抗値を測定するろ材の性能を低下させるような目詰まり、破損、劣化、湿り等が無い事目視にて、ろ材等の目詰まり、破損、劣化、湿り等していないか確認デジタル粉じん計、パーティクルカウンター等を用いて計数し漏洩がないか確認する。本体内部点検結果点検責任者是正項目是正箇所特記事項目視にて、取付金具等で確実に装着しているか確認取付金具等の破損、欠落又は片締めが無い事総使用時間が500時間を超えている時は新しい物に交換熱線式風速計等を使用し排気口の風速を測り、風量を計算する。(開口面積×平均風速=風量)電流計を用いて作動時の電流値を測定する電流値が規定値の範囲内である事目視にて、電源ケーブル等電気配線を確認する目視にて、差圧計の動作及び値の確認㊞電気系点検S/NNo実施者㊞装置本体漏洩点検目視及び隙間ゲージ等で、破損、劣化等を確認する破損、劣化が無い事機器を作動させ、スモークテスター等を用いて流入又は漏出の有無を確認する。煙が吸い込まれたり、吹き飛ばされたりしない事ビス等の緩みの確認本体外部機器を作動させ、スモークテスター等を用いて流入又は漏出の有無を確認する点検項目点検方法判定基準住所TEL/FAX型式メーカー社名TEL実施日年月日会社名集じん・排気装置整備点検表番号表4.7.2集じん・排気装置設置時点検・フィルタ交換点検表の例集じん・排気装置設置時点検・フィルタ交換点検表現場名型式メーカーS/NNo本体社名TEL点検項目本体外観設置場所一次フィルタ日付設置時装置を稼働させスモークテスタ等を用いて白煙の流入がないか確認する。所定の場所に設置されているか吸気口を塞ぐものが置かれていないか所定の場所に取り付けられているか稼働時(1回/日に実施)(1回/日に実施)(1回/日に実施)(1回/日に実施)交換時刻番号会社名住所TEL/FAX現場搬入日(設置日)現場搬出日設置時年年月月日日時時時時時時時時時時時時時時時時時時時時時時時時時時時時所定の場所に取り付けられているかフィルタ類その他点検是正項目備考現場責任者二次フィルタHEPAフィルタマイクロマノメーターアワーメーター作動時電流値電源コード作動時の騒音排気ダクト吸気ダクト所定の場所に取り付けられているか取付金具等の緩みを確認するデジタル粉じん計、パーティクルカウンター等を用いて装置排気口で計数し漏洩がないか確認する。正常に稼働しているか。正常に稼働しているか。異常がないか。電源コードの状況確認する異常音がしていないか。ダクト状態の確認ダクト状態の確認点検実施者是正箇所㊞※点検結果記入例「可」「不可」による記載。是正箇所は「不可」の場合の対処の結果を記載。記録の保存。(1回/日に実施)交換時刻稼働時刻合計稼働時間HEPA総使用時間(1回/日に実施)(1回/日に実施)(1回/日に実施)(1回/日に実施)(1回/日に実施)(1回/日に実施)(1回/日に実施)時時時時時時時時時時時時時時開始時刻終了時刻時時時時時時時時時時時時時時特記事項点検責任者㊞140①使用前の整備点検集じん・排気装置は、使用前に整備点検を行う。点検方法は以下のとおりである。【パーティクルカウンターによる集じん・排気装置の点検方法例】(1)集じん・排気装置に接続されたビニルダクトの接続口から150cm程度(接続口直径×5)の位置に測定孔を設置し、排気風速を考慮してダクト内の排気を直接又は導電性シリコンチューブ配管によって取り込み、パーティクルカウンターを接続する。吸気側はHEPAフィルタ面中央から25cm程度離れたところに設置する(図4.7.41)。(2)集じん・排気装置吸気側のパーティクルカウンターで0.3μmの粉じん個数を1分間計測する。集じん・排気装置を稼働させ、排気側のパーティクルカウンターで0.3μmの粉じん個数を1分間計測する。5回計測し各々の平均値を求め、0.3μmの捕集効率を下記の計算式で求める。集じん・排気装置の捕集効率(%)=(吸気側計数値-排気側計数値/吸気側計数値)×100(3)捕集効率の値がHEPAフィルタの捕集効率99.97%を下回った場合、本体等の漏えいテストの記録を再度確認するとともに、HEPAフィルタの設置等が確実になされているか確認する。(4)パーティクルカウンター1台で計測する場合は吸気側計測後速やかに排気側の計測をして、捕集効率を求める。排気側パーティクルカウンター集じん・排気装置15cm25cm排気ダクト(Φ30cm)吸気側パーティクルカウンター150cm図4.7.41パーティクルカウンターによる測定位置【スモークテスターによる集じん・排気装置の点検方法例】集じん・排気装置で漏れの発生しやすい箇所として、HEPAフィルタ周辺部分の他に、集じん・排気装置に取り引けられたコントロールパネルの接合部、スイッチ等の取り付け部、電源コード取り付け部、ダクト接続口、装置本体各部のネジ又はリベット止め部分、本体下部のキャスター取り付け部等があげられる。スモークテスターを使用し、目視で煙の吸い込みがないか確認をする。煙の吸い込みが確認された箇所があればコーキング処理等を施し、漏えい防止対策を講じる(図4.7.42及び4.7.43)。141(1)吸気口を一時的にふさぎスモークテスターで漏れを確認する。HEPAフィルタ取り付け面HEPAフィルタ取り付け面の隙間から煙が吸い込まれていく図4.7.42スモークテスターによる漏れの確認(2)装置のメンテナンス時に、フレームと本体の接合部の隙間をコーキング処理する。図4.7.43フレームと本体の接合部の隙間のコーキング場所の事例②搬入使用する集じん・排気装置は、集じん・排気装置に添付されている整備点検表(表4.7.1)により必要な点検及び漏えいテストが行われていることが確認されたものを使用する。集じん・排気装置は、運搬搬入時に装置本体の形状が変わらないように丁重に取り扱う。レンタル業者の装置を使用するときは、あらかじめレンタル業者によって装置が確実に粉じん等を捕集することが証明されたものを使用する。他の除去作業で使用済みの集じん・排気装置を作業場へ搬入するときは、吸入口と排気口を密封養生し、集じん・排気装置全体を梱包材で養生して搬入し、石綿の飛散及び装置の損傷を防止する。搬入した集じん・排気装置は作業場まで運搬した後、梱包を解く。搬入・設置時に装置本体の形状が変わらないように丁寧に取り扱う。③稼働開始前点検集じん・排気装置を稼働させる前に、集じん・排気装置1台ごとに備え付けた、点検整備記録及びフィルタ交換記録(表4.7.2)を確認するとともに、集じん・排気装置本体の隙間の存在、フィルタの装着忘れ、フィルタの装着不備等を確認する。点検整備記録に基づき漏えいテストの実施の確認をするとともに、フィルタ交換記録に基づきフィルタの交換状況を確認する。集じん・排気装置の作業開始前点検方法は4)を参照する。集じん・排気装置を作業場内に設置した場合、装置に石綿が付着しないよう、あらかじめ養生用プラスチックシート等で装置を覆う。1423)吸引ダクト及び排気ダクトの取付け・配置集じん・排気装置を作業場内に設置する時は、通常、吸引ダクトは不要である。集じん・排気装置を負圧隔離養生ライン上に設置する場合や外部へ設置する場合は吸引ダクトが必要となる。吸引ダクトの先端位置はセキュリティゾーンの出入り口から最長距離となるように設置するが、配管距離が長くなるほど集じん・排気装置の排気能力が低下するため注意する。吸引ダクトは型崩れのしない剛性の高い、蛇腹式の風管が使用されることが多い。吸引ダクトは石綿が付着するため使い捨てとする。排気ダクトは通常、先端位置を外気と接する建築物外部とするが、その位置を十分検討して必要な長さを準備する。排気ダクトの先端の近くに、除去した解体廃材が放置され、排気に煽られて解体廃材に付着した石綿が屋外へ飛散した事例があったため、解体廃材は適切に管理するとともに、排気ダクトの位置についても注意する(図4.7.44)。排気ダクトはプラスチック製もしくはアルミニウム製の既製品が使用されることが多い。プラスチック製ダクトを用いる場合、集じん・排気装置稼働時に排気口先端のバタツキを落ち着かせるためという理由で縛りこむことは行ってはならない。吸引量が激減するため、必要な排気量が確保できなくなる。この場合は先端部のみアルミ製ダクトを使用する。また、ビニルダクトは曲り部分で断面欠損を生じるので、アルミ製ダクトで補強する(図4.7.46)。ダクトをひもでつり下げて支えると当該部分から折れ曲がって吸引風量が低下し、十分な排気ができない場合があるので、支えはアルミダクト等の幅広の環状の支え等を使用して、折れ曲がらないようにする。ダクトが隔離シートを貫通する個所は、汚染空気が作業場外へ漏えいしないよう、貫通孔周りを密封する(図4.7.47)。作業が複数日に亘って連続して行われる場合で、やむを得ず当該作業日の作業終了後、集じん・排気装置を停止する場合は、ビニルダクトの排気口の外部からの風等の空気の流れの影響により周辺の粉じんがダクト内部に吹き込まれたり、風が作業室内に逆流し、作業室内が加圧される可能性があるため、排気口の先端部分をプラスチックシート等で塞いでおく。屋外集じん・排気装置石綿が飛散排気口排気ダクト作業場内石綿廃棄物屋外集じん・排気装置の吹出口からの排気に煽られ、解体廃材に付着した石綿が屋外に飛散した前室図4.7.44集じん・排気装置からの排気による石綿繊維の飛散事例図4.7.45集じん・排気装置への排気ダクトの取付け143(×)(○)ビニルダクトの曲がり部分に環状の支え(アルミ製ダクト)をビニルダクトに重ねて使用した例(×)(○)ビニルダクトの先端部分を環状の支え(アルミ製ダクト)を重ねて使用した例図4.7.46排気ダクトの例4)設置時の点検手順図4.7.47排気ダクトと隔離の取合い(隙間を完全に封鎖)集じん・排気装置を設置した際は、以下の手順で点検を行う。点検結果は、設置時の点検記録(表4.7.3)に記録する。【第1ステップ】1.作業場内に集じん・排気装置を設置後、集じん・排気装置の排気口から2~3m程度の長さのビニルダクトを接続し、ビニルダクトの排気口側の先端を60cm程度のアルミ製のダクトの中に通して、ビニルダクトの先端を5~10㎝程度アルミ製のダクトの外側に折り返して養生テープ等で固定する。※1※1集じん・排気装置からのビニルダクト取り付け時に隔離シートに排気ダクト貫通用パネルを組み込んで使用すると便利である。2.アルミ製ダクトの先端から集じん・排気装置方向に40cm程度の位置で、導電性のシリコンチューブ配管※2等によって吸引ポンプ内蔵の粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)又はパーティクルカウンター※3に連結するか、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)又はパーティクルカウンターを直接ダクト内に挿入してダクト内の排気の粉じん濃度を測定する。※2静電気による粉じんの付着を防ぐためのチューブ※3設置時の点検にはスモークテスターの煙を使用するため、繊維状粒子自動測定器(リアルタイムファイバーモニター)(F1-K、FM7400-AD等)は使用できないので注意すること。3.集じん・排気装置を停止した状態で10分間粉じん濃度の測定を実施し、粉じん濃度を確認する。この状態の濃度を「初期濃度」とする。4.粉じん濃度測定を継続した状態で集じん・排気装置を稼働させ、稼働後10分後の濃度を読み取り、3.の初期濃度からの粉じん濃度の減衰状況を確認する。5.正常な状態であれば、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)やパーティクルカウンターの粉じん濃度は減衰し、安定した状態を示す。1446.この安定した状態の濃度を「漏えい確認用基準濃度」とする(周囲の風等の影響により排気ダクト内に吹き込みがある場合はわずかな濃度を示す場合があるが、開始直後の濃度からの減衰が確認され、安定した状態であればよい)。7.粉じん濃度の減衰が認められない場合には、集じん・排気装置のHEPAフィルタの破損や取り付け部分のねじ等の緩みが考えられるので、スモークテスター等で点検・確認し、該当箇所を特定し、必要な措置を実施した後、改めて粉じん濃度の減衰状況を確認する。8.漏えい箇所が特定できない場合や、必要な措置を実施しても改善されない場合はこの集じん・排気装置は使用できないと判断する。図4.7.48HEPAフィルタ面図4.7.49HEPAフィルタ周辺部分初期濃度図4.7.50排気風管のアルミダクトの中へ直接粉じん相対濃度計を設置する場合漏えい確認用基準濃度図4.7.51デジタル粉じん計(LD-5)測定結果145初期濃度漏えい確認用基準濃度図4.7.52パーティクルカウンター(GT-521)測定結果※手持ち式のパーティクルカウンターを使用する場合は、スモークテスターの煙の粒径及びHEPAフィルタの捕集効率を考慮して0.3μmの粒子数を確認すること。【第2ステップ】9.粉じん濃度の減衰状況が正常であると判断された場合は、スモークテスター等で集じん・排気装置の吸引口及び装置周辺部分、集じん・排気装置に取り付けられたコントロールパネルの接合部、スイッチ等の取り付け部、電源コード取り付け部分、ダクト接続口部分、装置本体各部のネジ又はリベット止め部分、本体下部のキャスター取り付け部分等に順次スモークテスターの煙を吹き付け、その時の粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)やパーティクルカウンターの濃度の上昇がないか否かを確認する(図4.7.53~4.7.56)。10.粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)やパーティクルカウンターの濃度が減衰した「漏えい確認用基準濃度」の状態のまま安定しているか、周囲の風等の影響によりわずかな濃度上昇を示すものの、スモークテスターの煙の吹き付けに対応した粉じん濃度の上昇を示さないことが確認されば、当該集じん・排気装置は使用可能な正常な状態であると判断される。11.「漏えい確認用基準濃度」に対して粉じん濃度の上昇が見られ、「初期濃度」を超えた場合には、改めてスモークテスターの煙を漏えい箇所と考えられる部分に吹き付け、漏えい箇所を特定する。12.特定された漏えい箇所を養生テープ、コーキング剤等により補修した後、スモークテスターの煙を補修箇所に吹き付け、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)やパーティクルカウンターによる粉じん濃度の上昇を示さないことが確認されれば、当該集じん・排気装置は使用可能な正常な状態になったと判断する。13.漏えい箇所が発見・確認できない場合は、この集じん・排気装置は使用してはならない。※作業室内で集じん・排気装置を移動させた場合にはスモークテスターを使用して、【ステップ1】、【ステップ2】の点検を実施し、漏えい有無の再チェックを必ず実施すること。146147図4.7.53コントロールパネルの接合部スイッチ等の取り付け部図4.7.56キャスター取り付け部図4.7.54スイッチ等の取り付け部電源コード取り付け部図4.7.55電源コード取り付け部ダクト接続口148表4.7.3集じん・排気装置設置時点検記録表例【集じん・排気装置設置時の点検記録】○点検日:年月日()○点検実施者氏名:○使用機器の名称・形式粉じん計測機器:スモークテスター:【第1ステップ】○初期濃度:○漏えい確認用基準濃度:①HEPAフィルタ漏えい有り・漏えい無し②HEPAフィルタの取り付け部周辺漏えい有り・漏えい無し○第1ステップの評価漏えい無し・要補修○要補修の場合の補修箇所:○補修後の評価漏えい無し・不合格【第2ステップでの点検箇所】①コントロールパネルの接合部漏えい有り・漏えい無し②スイッチ等の取り付け部漏えい有り・漏えい無し③電源コード取り付け部漏えい有り・漏えい無し④ダクト接続口漏えい有り・漏えい無し⑤装置本体各部のネジまたはリベット止め部分漏えい有り・漏えい無し⑥本体下部のキャスター取り付け部漏えい有り・漏えい無し○第2ステップの評価漏えい無し・要補修○要補修の場合の補修箇所:○補修後の評価漏えい無し・不合格【総合評価結果】当該集じん・排気装置の使用は(可:不可)と判断される。(5)集じん・排気装置以外の使用機材の準備1)脚立、可搬式作業台、移動式足場、固定足場、高所作業車階高の高さに応じて、脚立、可搬式作業台(「立馬」等)(図4.7.57)、移動式足場(キャスタ付ステージ等)、ローリングタワー、枠組足場等の固定式足場、もしくは高所作業車等の使用を必要とする場合がある。脚立の単独使用は極力避け、可搬式作業台を使用するか、脚立足場として安衛則に則った使用をする。除去作業は上向き姿勢の作業となるため、できる限り、足下の安定した、広い作業床を用意することが基本である。枠組足場を利用して全面ステージを組み立てる場合もある。可搬式作業台、移動式足場やローリングタワーの場合は、床面の隔離シートの上に設置することも可能であるが、隔離シートを破損しないよう、脚部の養生等の工夫が必要である。ローリングタワーや特に固定式足場を設置する場合は、足場の作業床上を隔離する方法もある。特に全面的にステージを組み立てる場合は、隔離範囲を縮小するためにもステージの作業床の上部を隔離する方法が良い。設備機器や資材の残置された工場や倉庫等の場合等、又は除去作業中も使用を止めることのできない通路等、足場を組み立てることができない場合もある。この場合、除去を行う石綿含有吹付け材等の下部、残置された資機材や使用を行うスペースの上部に吊足場を設置し、吊足場の上部を作業場として隔離する方法を採用することもある。仮設機材を隔離空間内部で使用する場合、仮設機材に石綿が付着するため、隔離空間内部で作業終了後の清掃を入念に行うことで、外部への拡散や第三者へのばく露を防止する。作業性や安全性に支障のない程度に事前に養生を行うことが望ましい。なお、足場の組み立て・解体作業にあたっては、足場の一部変更やブレース等の一部部材の取外し時も含め、足場組み立て等作業従事者特別教育を受講していることが必要である。図4.7.57可搬式作業台の例2)除去用工具石綿含有吹付け材や石綿含有保温材を掻き落しにより除去する場合、主に以下に示す手工具(図4.7.58)や手持ち電動工具が用いられる。石綿含有吹付け材の除去には超高圧水を使用するウォータ-ジェット工法(図4.7.59)が用いられることもある。使用等に当たっては、取扱説明書等に従い、適切に使用すること(以下、工具や装置関係について同じ)。・ヘラ、皮スキ、ケレン棒、カッターナイフ、ワイヤブラシ、ディスクカップブラシ、電動スクレーパ等石綿含有断熱材、耐火被覆材を掻き落し、切断又は破砕により除去する場合は、以下の手工具や手持ち電動工具が用いられる・ヘラ、皮スキ、ケレン棒、ワイヤブラシ、バール、とび口、大ハンマ、ハンマ斫用ハンマドリル、電動スクレーパ、ディスクグラインダー149図4.7.58除去作業用の手工具の例図4.7.59ウォータージェット工法の例3)粉じん飛散抑制剤、粉じん飛散防止処理剤吹付け機械(エアレススプレイヤ)圧力をかけて薬液を押し出す構造のエアレススプレイヤ注)は、石綿含有吹付け材除去の際の除去面及び作業場内空間への粉じん飛散抑制剤の散布に使用する。また、除去した下地面、プラスチック袋に詰める廃石綿等、隔離シートや封じ込め面に石綿繊維を固定するため、粉じん飛散防止処理剤を散布するときに使用する。水の噴霧に用いられることもある。方式は、ダイヤフラム式とプランジャー式がある(図4.7.60)。エアスプレイヤで作業すると、エアの圧力によって石綿が飛散し、かえって環境を汚染する可能性が高い。注)元来は塗装用機械。塗装の場合、塗料を高圧ポンプで加圧し、ホースを介して塗装ガンに取り付けたエアレスノズルから噴射させる霧にして塗装する。4)散水設備水を使用する散水設備には、適切なノズルを備えたシャワー、スプレー等がある。また、ノズルを回転させて広範囲に散水するスプリンクラー、さらに広範囲な作業場の散水には、散水車を使用することがある。散水を行う場合は、多量の水を使用するため排水の適切な処理が必要である。5)高性能真空掃除機石綿除去等の作業時あるいは作業終了時等の清掃には、高性能真空掃除機を用いる(図4.7.61)。使用に当たっては、取扱説明書等に従い適切に使用するとともに、フィルタの交換等適切なメンテナンスを定期的に行う必要がある。なお、高性能真空掃除機のHEPAフィルタ等のフィルタ交換及び掃除機内のダストを回収する作業は、隔離空間内で行わなければならない。図4.7.60エアレススプレイヤ図4.7.61高性能真空掃除機150(6)準備作業時におけるその他の留意事項隔離の不備に起因して石綿含有吹付け材等の石綿が作業場外へ飛散する事故事例もあるため、特に次の事項に注意して事前調査を行うとともに、作業計画を策定し、適切な隔離状態を確保する。1)天井仕上材の裏に石綿が堆積している場合天井裏の鉄骨部に石綿含有吹付け材が施工されている場合、天井仕上材の裏面に石綿が堆積しているおそれがあることから、負圧隔離養生をした上で、高性能真空掃除機で清掃を行いながら天井仕上材の撤去を行う。2)本設空調設備が稼動している場合負圧隔離養生を行う場合、建築物の空調(ダクトによる空調方式)及び換気は停止することが基本となる。ただし、建築物の改修等工事を行う場合、本設の空調設備が稼動したまま作業を行うことがある。この場合、除去工事中、作業場内の空調吸込口から汚染空気を他室等へ拡散させてしまうおそれもあるため、建築物管理者と調整し、除去作業中は吸込口を密封すると共に、作業場エリアの空調の運転を個別に停止させることができるのであれば、停止させる。3)隔離作業に伴い除去対象建材が破損するおそれのある場合隔離を設置する際、足場材等の資機材が除去対象建材に接触して破損させることもある。破損した除去対象建材が隔離の外部に落下して放置されている例も見受けられる。破損した除去対象建材は残らず取り除き、高性能真空掃除機を使用して入念に清掃する。4)設備ダクト、配管等が壁を貫通している場合(図4.7.62)防火・防煙区画(外壁・内壁)等においては、外壁の室内側に石綿含有吹付け材が吹付けられていたり、設備配管やダクトが外部へ貫通している箇所の、貫通孔の配管等の周りに吹付け材が充填され、外部に露出している場合がある。また、使用していない貫通孔がそのまま吹付け材で充填され、外部に露出している場合もある。室内側から確認できないこともあるので、外部側からも確認し、除去作業前に、外部側よりシートやシーリング材等で養生する。作業場内の外壁、内壁、天井、床を貫通する設備配管、ダクト等の周囲に隙間が存在しないことを確認する。隙間は必ず両側から確認する。隙間がある場合は、プラスチックシート等で養生するかシーリング材等で充填して密閉する。隔離に先立ち、床層間区画や竪穴区画からの風の流入・流出を確認する。風が流入又は流出するようであれば、粉じんが漏えいするおそれがあるので、風の流入・流出を防ぐ措置を講じる必要がある。石綿が飛散外部と隔離されていないため、内部から石綿が漏えい。作業場内ダクト・配管等図4.7.62設備ダクト、配管等が壁を貫通している場合の注意事項5)石綿含有吹付け材等(の下地材)の裏側が外部とつながっている場合(図4.7.63)石綿含有吹付け材等を下地材である天井材や内壁下地材とともに除去する場合、天井裏や内壁裏が外部につながっていないか確認する。外部と裏側がつながっている場合、天井材や内壁材を外したとき、外部へ石綿が飛散する。除去作業開始前に、外部へつながる開口部や隙間を養生する。151図4.7.63石綿含有吹付け材等の裏側が外部とつながっている場合の注意事項6)金属製葺屋根の折板や面戸の周囲に隙間がある場合(図4.7.64)折板葺屋根の場合、屋根と外壁の取り合い部に隙間があることもあるが、内部からは石綿含有吹付け材もしくは折板裏に貼り付けられた断熱材があるため、確認できないことも多い。外部側からも調査を行い、隙間を除去作業開始前にシーリング材等で充填する。石綿が飛散石綿作業場内折板隔離シート能性屋外図4.7.64折板や面戸の周囲に隙間がある場合の注意事項7)プラスチックシート等を使用して作業場の下部で水平隔離を行う場合(図4.7.65)天井面の石綿含有吹付け材を除去したとき、その重量で、プラスチックシート等が破損し、負圧隔離養生の外へ飛散する可能性がある。除去した石綿含有吹付け材が隔離シートの上に落下するおそれのある場合には、隔離シートの下部に足場板等を敷き並べて補強する。天井梁隔離シート②隔離シートが剥離外部石綿が飛散④飛散2階③吹付材が落下作業場内ブロック壁図4.7.65プラスチックシート等を用いて作業場の下部で水平隔離を行う場合の注意事項1528)建築物の外部で隔離を行い、外装材に係る石綿含有吹付け材を除去する場合((例)建築物の外装カーテンウォール裏面の石綿含有吹付け材を、建築物外部から外装カーテンウォールを解体しながら除去する場合など)建築物の外部に負圧隔離養生を設置する場合、除去材料の取り付け高さによっては、作業を外部足場の上で行うことになる。この場合、外部足場の外側に負圧隔離養生を設置する必要があるが、以下の技術的課題を有する。・多数の鋼製部材から構成される足場に沿って、隙間無く負圧隔離養生を設置しなければならない。・第三者に対する防護設備である(施工区画となる)防炎シート、防音パネルや仮囲等を、負圧隔離養生を行う外部足場に取り付けなければならない。・ビル風等による風圧、解体した建材との接触、解体用工具(ガス溶断設備、ディスクグラインダー等の電動工具等)の出す火花等により、負圧隔離養生が破損、破壊するおそれがあり、その対策を行わなければならない。外部に設置した負圧隔離養生が破損すると、石綿が直接外部に流出することになり、第三者へのばく露など直接影響を及ぼす。従って、次の事項について、事前に十分検討し計画を行う必要がある。・足場に設置する隔離の組立方法、特に第三者防護設備の取付方法との関係、外装材の解体手順及び石綿含有吹付け材の除去作業手順、隔離が風圧や解体材料、解体工具等との接触により破壊、破損しない方法や補強方法、又は隔離を破損させない作業方法や解体材料の集積方法や・搬出手順の検討が必要である。・隔離空間を隅々まで十分負圧に維持する方法・手段について、事前に計画しておくことが大切である。・解体材料、除去材料に対する湿潤化を徹底するための湿潤方法の検討と実施が重要である。9)工場、倉庫等の露出している石綿含有吹付け材の除去作業を行う場合、作業の障害となる機材を作業場外に搬出するときの配慮仕上げ材がなく石綿含有吹付け材が露出している石綿除去作業に当って、作業の障害となるロッカーや机を場外に搬出する場合や設備配管等を事前撤去しなければならない場合は、これらの機材に石綿が付着又は堆積しているおそれがあるため、あらかじめ高性能真空掃除機で清掃するか濡れ雑巾等で丁寧にふき取り、場外に搬出する。4.7.3除去作業における留意事項(1)セキュリティゾーンの使用方法除去作業の休憩時や一日の作業終了時など、例えば、保護衣に石綿繊維の付着している作業者が作業場の外に出る時や、作業場内部で使用した資機材や梱包した廃棄物を作業場外へ搬出する時には、セキュリティゾーンの各室を適切に使用しなければならない。1)作業者の入退場時隔離空間への入退室に当たっては、隔離空間の出入口の覆いを開閉する時間を最小限にとどめる。また、中断した作業を再開する際に集じん・排気装置の電源を入れるために入室する時は、内部が負圧となっていないため、中断した作業の再開時に作業場内を負圧にしてから作業員が入室できるように、集じん・排気装置の稼動スイッチは作業場外に設置するなど、特に注意する。作業場からの退場時には、前室で備付の高性能真空掃除機を使用して保護衣等に付着した石綿を吸い取った後、保護衣等を脱衣し廃棄専用のプラスチック袋に入れる(廃棄専用のプラスチック袋に二重梱包し、特別管理産業廃棄物として処分する)。また、保護シューズカバーを外した後の安全靴に石綿が付着したまま外部に持ち出さないよう、靴拭きマットを置いて拭きとるか、高性能真空掃除機を使用して吸い取る。次に呼吸用保護具を着用したまま洗身室へ移動し、エアシャワー(又は温水シャワー)で全身を回転させながら30秒以上洗身し、素肌や衣類、呼吸用保護具に付着している石綿を十分払い落とした後、更衣室へ移動して呼吸用保護具を取り外す。複数の作業者が退場する休憩時間前や作業終了時等でも、それぞれの作業者がこれらを行うのに十分な時間を確保できるような作業計画を定めておく。153図4.7.66セキュリティゾーン使用方法模式図(入場時)図4.7.67セキュリティゾーン使用方法模式図(退出時)2)石綿を含有する廃棄物の搬出時除去により生じた廃石綿等は、作業場内で一重目の専用袋に入れ、密封後、前室へ持ち込み、袋の表面に付着している石綿を、高性能真空掃除機で吸い取るか、濡れ雑巾等で拭き取った後、二重目の透明袋に入れて密封し、洗身室側の受け手に渡す。洗身室でさらにエアシャワーを当て、更衣室を通って保管場所へ搬出する(図4.7.68)。セキュリティゾーン外部(隔離外部)一次保管場所へ図4.7.68セキュリティゾーン使用方法模式図(廃棄物搬出時)154(2)作業場の隔離及び負圧状態、集じん・排気装置の稼働状況の確認1)集じん・排気装置の稼働期間集じん・排気装置を稼働させる期間は、基本的には4.7.1の作業の手順のとおり、除去作業開始前から負圧隔離養生を解除する前までであるが、除去作業の内容、作業場の状況等に応じて、隔離空間の設置を開始する前から、隔離撤去・袋詰めが完了するまで、稼働させることが望ましい。除去作業中に負圧を常時維持するためには、除去作業の開始(粉じん飛散抑制剤の散布作業を含む。)から除去作業の終了(清掃後の除去面、隔離シートへの粉じん飛散防止処理剤の散布作業を含む。)までの間は、作業を行っていない時間帯も含めて、原則として集じん・排気装置を継続して稼働させる。しかし、除去作業が複数日にわたる場合で、夜間の運転に伴う近隣への騒音や負圧に伴う隔離シートの脱落防止策として、やむを得ず集じん・排気装置を停止させる場合は、作業場内の清掃作業や廃棄物の袋詰め及び保管場所への移動を行い、粉じん飛散抑制剤の空中散布による浮遊石綿の沈降を促進させた上で、故障等やむを得ない場合を除き集じん・排気装置を90分以上運転して石綿繊維を集じん排気し、作業場外の空気と置換させた後、外気と同等になったかを粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)で確認する。また、集じん・排気装置を停止させた後に排気出口をビニル等で塞ぐ。2)負圧状態の確認集じん・排気装置を稼動させた後は、以下のタイミングで適切な負圧が常時確保されていることを確認する。ア)除去を行う日の除去の開始前イ)除去の作業を中断したときア)については、石綿の除去作業が複数日にわたって行われる場合は、作業の初日だけではなく毎日実施する必要がある。イ)については、石綿の除去作業が複数日にわたって行われる場合は、最終日を除く日の作業が終了したときも作業を中断したと同様とみなし、負圧の状況を確認する必要がある。中断時の点検は、作業を中断して、作業者が前室から退出した時点で行う。このほか、除去作業中は定期的又は連続的に負圧が確保されていることを点検し、記録しておく。負圧状態の確認は、スモークテスターやスモークマシン又はマイクロマノメーター(精密微差圧計)等で行う。マイクロマノメーターを用いる場合、作業場内の差圧は-2~-5Paが目安となる。また、隔離シートの作業場内側へのはらみ具合(図4.7.13参照)やセキュリティゾーンの仕切りカーテンの方向でも確認できる。隔離シートの破損の有無、負圧隔離養生と周囲の建築物部材との取り合い部の隙間の有無、作業場部分の隔離とセキュリティゾーンの取り合い部の隙間の有無、隔離シートの接続部の隙間の有無、排気ダクト等隔離シートを貫通する部分の隙間の有無、集じん・排気装置と吸引ダクト若しくは排気ダクトの取り付け部の不具合等は、目視及び触診で確認するとともに、当該部分にスモークテスター等の煙をあてて確認する。不具合があれば、作業を中止し是正した後、関係者で確認した上で再開する。セキュリティゾーンについては、マイクロマノメーターによる測定のほかに、スモークテスターや吹流し等により隔離空間に外気が流入していることを確認する。除去作業中、エントランスホールの出入り口の扉の開閉やエレベーターの稼働によって、負圧隔離養生された作業場内の汚染空気が隔離空間の外部に引かれることもあるので、事前に確認する。負圧状態の確認の方法は、4.14.3及び4.14.4を参照する。3)集じん・排気装置からの漏えいの確認除去作業の実施にあたっては、以下のタイミングで集じん・排気装置から石綿繊維が漏えいしていないことを確認する。ア)初めて除去を行う日の、除去開始直後イ)除去開始後に集じん・排気装置の場所を変更したときウ)除去開始後に集じん・排気装置のフィルタを交換したときエ)その他、必要がある場合155集じん・排気装置の排気口からの漏えいの確認の具体的な方法は、4.14.5を参照すること。これらの確認は、集じん・排気装置の取扱い及び石綿による健康障害の防止に関して、知識及び経験を有する者が行わなければならない。4)集じん・排気装置の保守点検、フィルタの交換集じん・排気装置は定期的に保守点検を行い、定期的にフィルタの交換を行う必要がある。交換基準は、集じん・排気装置のフィルタの種類に応じて異なるため、使用する製品の仕様書等に定められた交換基準に従う。一般的な目安として、1次フィルタは1日3~4回、2次フィルタは1日に1回、HEPAフィルタは1次及び2次フィルタを取り替えても目詰まりを起こす可能性のある場合(500時間程度と言われている。)に交換する。集じん・排気装置に差圧計が取り付けられているものは、差圧計が示す圧力損失が一定値を超えた時を目途に交換を行う。その際、フィルタ及びパッキンが適切に取り付けられていることを目視により確認する。作業場でフィルタを交換する場合、原則として作業場の隔離空間内部で交換する。HEPAフィルタの交換は、除去作業中の排気ダクトを接続した状態で行うのではなく、除去終了後、作業場内の石綿繊維の処理が完了してから行うことを原則とする。やむを得ず、除去作業中にHEPAフィルタを交換せざるを得ない場合は、排気ダクトを密封した上、他の集じん・排気装置を稼働させ、作業場内の負圧を確保しつつ交換する。HEPAフィルタ周りは汚染空気が漏えいする可能性が高いため、フィルタと本体の間を粘着テープを用いて密閉して、漏えいを防止することも有効な場合がある。保守点検、フィルタ交換等を実施した場合には、実施事項及びその結果、日時並びに実施者を記録する。集じん・排気装置の設置時点検・フィルタ交換点検表の例は表4.7.2を参照する。保守点検は、集じん・排気装置の取扱い及び石綿による健康障害の防止に関して、知識及び経験を有する者が行う。(3)除去する石綿含有吹付け材等の湿潤化除去作業に取りかかる前に、石綿含有吹付け材等を薬液等により湿潤化する。石綿含有吹付け材や保温材等の浸透性のある建築材料の湿潤化は、通常は、粉じん飛散抑制剤を噴霧することにより行う(図4.7.69)。粉じん飛散抑制剤の噴霧を行う場合、除去作業中の発じんを少なくするためには、除去対象建材の除去量に応じた薬液等の使用量を予め計画し、それに則った作業場での適切な量を噴霧する等の管理を行う。使用する粉じん飛散抑制剤の含浸時間を取扱説明書等で確認し、試験吹きを行って含浸状態や内部へ十分浸透する時間を確認の上、浸透を待って作業を開始する。含浸状態は含水検知器等を用いて確認する方法もある。除去作業中、薬液等の浸透度合いが悪いなどの原因で、発じん量が増加した場合は、改めて湿潤化を行う。破砕等に伴う作業において発じん量が多い場合は、破砕等の作業と湿潤化作業を同時に併行して行う。また、必要に応じて粉じん飛散抑制剤の空中散布を行い、浮遊している粉じんの沈降を促進させる。なお、粉じん飛散抑制剤の空中散布を行った場合、除去面に空気中の石綿が再度付着し、固着することがある(図4.7.70)。石綿が再付着した場合はスクレーバーカッター等で残さず除去を行う必要がある。また、除去した石綿が除去面に再付着しないよう、水や界面活性剤(クロシドライトやアモサイトなどは疎水性であり、水をはじく傾向があるため、界面活性剤を用いる)で作業中の空中散布を行うことも考えられる。156図4.7.69粉じん飛散抑制剤の散布による湿潤化(4)石綿含有吹付け材等の除去図4.7.70再付着した石綿の例除去対象建材を湿潤化した後、除去作業に取りかかる(図4.7.71)。作業台や足場上で作業を行うときは、仮設の作業床が平滑で安定していることを確認し、作業時には体のバランスを崩さないよう、無理な姿勢での作業は行わない。除去に際し、やむを得ず建材に力を加える時は、体の体勢や足元の位置を確認した後に行う。高所では必ず墜落制止用器具(安全帯)を使用する。作業場所や体の位置を変える時など移動する時は、必ず先に足元の安全を確認する。耐火被覆材をディスクグラインダー等の電動工具を用いて切断等を行う場合は、切断作業に伴う発じん量は非常に多い。局所集じん装置付きディスクグラインダーの使用や、1名が切断を行いながら他の者が高性能真空掃除機で集じんするなど、共同作業で行うことが望ましい。サンドブラスト機による除去作業は粉じんの発散量が多いうえ、作業場所を加圧させるものであることから石綿の除去作業には使用しない。除去対象建材を除去後、必要に応じてワイヤブラシ等の研磨用具を使用して下地に付着している残存材を擦り落とす(図4.7.72)。このような作業では、発じん量が多いため、粉じん飛散抑制剤を空気中に散布するとともに負圧状態に留意し、必要に応じて集じん・排気装置のフィルタ交換を行う。除去作業終了後、除去面に石綿が残っていないか目視で再度確認し、取り残しがないよう除去する。図4.7.71手工具(ヘラ)を使用した石綿含有吹付け材の除去作業(ブラッシング)図4.7.72ワイヤブラシを用いた擦り落とし作業157(5)除去後の粉じん飛散防止措置除去した下地面へ粉じん飛散防止処理剤を散布し、目視では確認できない、残存しているかもしれない石綿含有吹付け材等を念のため下地面へ固着させ、飛散を防止する(図4.7.73)。石綿含有吹付け材等を十分除去できていない状態で不透明な粉じん飛散防止処理剤を散布すると、取り残しの確認に支障をきたすため、粉じん飛散防止処理剤は無色透明なものを使用する、又は確認を適切に行うために必要な知識を有する者(4.15.1参照)が取り残しがないことを確認した後で散布を行う。図4.7.73除去した後の下地面への粉じん飛散防止処理剤の散布(6)除去した廃棄物の梱包と作業場からの搬出、保管除去された石綿含有吹付け材や石綿含有保温材等の廃棄物は廃石綿等として、廃棄物処理法及び地方公共団体の定める条例等の規制に基づき、適正に処理をする。廃石綿等は、特別管理産業廃棄物となるため、特別管理産業廃棄物管理責任者を選任しなければならない。除去した廃石綿等は、粉じん飛散抑制剤等により安定化処理又はセメント等による固型化を行った後、作業場内で廃棄専用プラスチック袋に詰め(図4.7.74)、袋内に空気を残さないよう密封する。廃棄専用プラスチック袋は実寸0.15mm以上の厚みをもつプラスチック袋とし、廃石綿等が入っていること及び取扱い注意事項が表示されているものを使用する。廃棄専用袋には外側に多量の石綿が付着しているため、セキュリティゾーンの前室で廃棄専用袋の外側を高性能真空掃除機で吸い取るか濡れ雑巾等で拭き取り、前室又は洗身室で二重目の廃棄専用袋(透明でもよい)に収納し、空気を残さないようバインダー等で密封する(図4.7.77)。除去した石綿廃棄物のみならず、養生材や資材等作業場内で使用し、廃棄するものは全て同様に二重梱包して、同様の処理を行うことが必要となる。廃棄専用袋はセキュリティゾーンを通して搬出し、保管場所に集積する。作業当日除去した廃棄物は、当日中にすべて袋詰めして保管場所に集積し、作業場内には放置しない(図4.7.78)。保管場所は一定の場所に設定し、他の廃棄物との混同を防止するため、仕切りや囲いを設ける。又は仮囲いで囲われた保管場所を設置し、保管場所の出入り口は施錠することが望ましい。また、出入り口の側に特別管理産業廃棄物の保管場所であることや保管場所の管理者の情報等を示す掲示を行う。なお、汚水や汚泥が発生した場合は、環境汚染を生ずることのないよう適正に処理する。図4.7.74廃棄専用袋の例158図4.7.75除去した石綿廃棄物の袋詰め(一重目)図4.7.77二重目の袋詰め(透明ポリ袋)図4.7.76袋詰めした石綿廃棄物への紛じん飛散防止処理剤を散布図4.7.78除去した石綿廃棄物の保管(7)毎日の作業終了前清掃、汚染空気の集じん排気及び新鮮空気への置換毎日の作業終了前に、可搬式作業台や足場上に堆積した石綿繊維等を払い落とし、作業場内の床面を清掃する。廃棄物はすべて袋詰めを行い、保管場所へ集積する。除去した廃棄物を作業場内に放置してはならない。清掃完了後、隔離シート面へ粉じん飛散防止処理剤を散布する。除去作業に伴い、作業場内の浮遊粉じんが多い場合は、粉じん飛散抑制剤を空中に散布して、浮遊粉じんの沈降を促進させる。集じん・排気装置は、隔離内部の負圧を維持し作業場内の空気を漏えいさせないため、作業期間中は1日の作業終了後も停止させずに運転を続けることが原則となる。外部への騒音等の配慮から、石綿含有吹付け材等の除去等の作業を一時中断し、集じん・排気装置を停止させるに当たっては、空中に浮遊する石綿等の粉じんが隔離空間から外部へ漏えいしないよう、故障等やむを得ない場合を除き、同装置を作業中断後90分以上稼働させ集じんを行う。なお、集じん・排気装置を停止させる際には、作業場外の空気と外気と同等の状況になったかをデジタル粉じん計等で確認する。集じん・排気装置の停止等作業場内の作業終了後、作業場内への出入り口(セキュリティゾーン出入り口)をふさぐ等の措置を行う。1594.7.4除去作業の事後処理における留意事項除去作業が全て完了し、作業設備を撤収させる時の要点は以下のとおりである。隔離を解除する前の清掃、作業場内の石綿繊維の除去の確認、及び隔離撤去後の清掃の徹底が重要である。(1)作業場内の清掃1)足場上、設備機器、什器備品等残置物の養生面の清掃清掃は高い場所から低い場所の順に行う。天井面の照明器具、設備配管、設備機器・盤類、又は什器備品等残置物等の養生面に付着した塵埃や廃棄物塊を払い落とす。2)仮設機材の清掃脚立、可搬式作業台、移動式足場、固定足場等の上の残材や、養生面に付着した塵埃や廃棄物塊を取り除き、清掃する。3)床面の清掃最後に床面の清掃を行う。石綿廃棄物を残らず清掃し、袋詰めする。(2)検査清掃後、最終検査を行う。除去面を確認し、取り残した除去対象建材がないか、くまなく確認し、取りこぼしがあれば、飛散させないよう丁寧に除去を行う。また、必要に応じて写真等で記録に残すことも重要である。改修等工事でどうしても除去できない部分については記録に残す。検査は、石綿等に関する知識を有する者が行う必要がある。検査の詳細については、4.15を参照すること。なお、除去工事業者は、隔離を解除した後に、除去工事の完成の報告及びその後の関係者間での認識の齟齬がないよう、発注者、元請業者、事前を行った調査者等、解体業者等の関係者に対して、実際の現場において除去を行った範囲や内容について説明する場を設けることが望ましい。(3)除去面、隔離シート及び養生シート面への粉じん飛散防止処理剤の散布検査終了後、除去面、隔離シート及び養生シート面へ粉じん飛散防止処理剤を散布する(図4.7.79)。必要に応じて粉じん飛散抑制剤を空気中へ散布して、石綿を沈降させる。図4.7.79隔離シートへの粉じん飛散防止処理剤の散布160(4)使用工具、資機材の搬出使用した工具、資機材(電動工具、HEPAフィルタ付き真空掃除機及びフィルタを含む。)を搬出する。脚立や作業台、移動式足場等、隔離の撤去に使用しない仮設機材は搬出のため、折りたたむか解体する。前室で、付着した粉じんを高性能真空掃除機で取り除くか、濡れ雑巾等で丁寧に拭き取り、石綿を完全に除去する、又は、石綿の付着した部材を交換する。作業場所、前室といった点検修理を行う場所の設備及び作業者の装備は、隔離、負圧、湿潤化、個人用保護具の着用等、外部環境への粉じん漏出防止対策及び個人ばく露防止対策を充たすことが必須である。また、フィルタ等で、付着した石綿の除去が困難な物は、廃棄物処理法及び地方公共団体の定める条例等に基づき、廃棄物として適正に処理をする。(5)空気の集じん・排気及び新鮮空気への置換負圧隔離養生を解除する前には、解除により大気中への石綿の排出等のおそれがないことを確認する必要がある。「大気中への石綿繊維の排出等のおそれがないことを確認」とは、清掃、作業場内の空気中に浮遊している石綿の集じん等を行った上で、位相差顕微鏡法等による総繊維数濃度の測定等を行うことをいう。作業終了後、隔離空間内に浮遊している石綿等の粉じんを十分に処理することが必要であるため、粉じん飛散防止処理剤等の空中散布により粉じんの沈降を促進させること、及び集じん・排気装置の稼働により粉じんを吸引ろ過することにより、粉じんの処理を行う。集じん・排気装置による粉じん処理の際、隔離シートへの粉じん飛散防止処理剤の再散布や、サーキュレーターを併用すること、集じん・排気装置の排気容量を増やす(換気回数を増やす)ことにより、粉じん処理の効率を高めることができる。これらの措置を講じた後、隔離作業場内の総繊維数濃度の測定を行い、外部の一般環境と同程度の総繊維数濃度になっていることを確認したうえで、隔離を解除することが基本となる。この場合の総繊維数濃度測定は、原則として位相差顕微鏡法で実施するが、繊維状粒子自動測定器の活用も可能である。この場合は、浮遊している粉じん飛散防止処理剤が測定結果又は測定機器に悪影響を及ぼさないように、粉じん飛散防止処理剤等が十分沈降した後で測定することが必要となる。隔離解除前の測定の詳細については、4.15.4を参照すること。(6)集じん・排気装置の清掃除去作業終了後に集じん・排気装置を搬出する場合、集じん・排気装置を停止させた後、隔離を解除する前に1次及び2次フィルタを取り外して廃棄処分を行い(二重袋詰め)、集じん・排気装置の内部を高性能真空掃除機を用いて清掃する。付着した粉じんを濡れ雑巾等で丁寧に拭き取り、石綿を完全に除去するか、石綿の付着した部材を交換する。清掃後、新しい1次及び2次フィルタを装着する。HEPAフィルタの交換時期が近い場合には、この時点で交換する。除去作業終了後の点検整備は隔離空間の内部で行うことが望ましい。新しいフィルタに交換した後、目視で装置の破損がないか確認すると共に、スモークテスター等を用いてフィルタ面以外からの吸い込みがないか確認する。確認項目は点検整備記録に記録すると共にフィルタの交換はフィルタ交換記録に記録する。点検整備記録及びフィルタ交換記録を集じん・排気装置に備え付け、次回作業の準備とする。作業場所、前室といった点検修理を行う場所の設備及び作業者の装備は、隔離、負圧、湿潤化、個人用保護具の着用等、外部環境への粉じん漏出防止対策及び個人ばく露防止対策を充たすことが必須である。また、フィルタ等に付着した石綿の除去が困難な物は、廃棄物処理法及び地方公共団体の定める条例等に基づき、廃棄物として適正に処理をする。集じん・排気装置の清掃、フィルタの交換、漏えい確認等機器点検及び記録作成後に吸入口及び排気口を密封し、装置の損傷を防止するため函体全体を梱包材で養生して搬出する。自社の資材置き場等で隔離場所を用意でき、集じん・排気装置を持ち帰った上で清掃、フィルタの交換等を行161うことができる場合は、作業場内で集じん・排気装置を停止させた後、速やかに吸入口及び排気口を密封し、梱包材で本体を養生して搬出する。外部で点検修理を行う場合は、負圧環境下の隔離された作業場内又は汚染除去室で個人用保護具、作業工具等と同様の手順で汚染を除去した後、0.15mm以上のプラスチックシート等で二重に梱包し、点検修理を行う場所に原則として自社便で輸送する。点検修理を行う場所の設備及び作業者の装備は、隔離、負圧、湿潤化、個人用保護具の着用等、外部環境への粉じん漏出防止対策及び個人ばく露防止対策を充たすことが必須である。除去作業終了後の集じん・排気装置の清掃点検の手順は以下のとおりである。○除去作業終了後①取り残し確認後、除去面、隔離シートに粉じん飛散防止処理剤を散布。②粉じん飛散抑制剤の空中散布により、作業場内を湿潤化、粉じんの沈降を促進させる。③集じん・排気装置による浮遊粉じんの処理。①除去面への散布②隔離シートへの散布③集じん・排気装置による除じん図4.7.80除去作業終了後の集じん・排気装置の清掃点検の手順○排気ダクトの取り外し①スイッチオフ及びコンセント引き抜き。②集じん・排気装置から排気ダクトの取り外し。③取り外した排気ダクトは塞いでおく。④集じん・排気装置の排気口をプラスチックシート等で封鎖。集じん・排気装置の排気口をプラスチックシート等で封鎖図4.7.81排気ダクトの取り外し○フィルタの取り外し・廃棄①1次フィルタ、2次フィルタは、それぞれ粉じん飛散抑制剤・粉じん飛散防止処理剤を散布して取り外す。②プラスチック袋に入れ、密封する。③さらにプラスチック袋二重梱包のうえ、「廃石綿等」として処分。1次フィルタ2次フィルタ図4.7.82フィルタの取り外し・廃棄フィルタの廃棄162④HEPAフィルタの周辺部を高性能真空掃除機又は濡れウエス等で十分に清掃する。図4.7.83HEPAフィルタ等の清掃⑤HEPAフィルタの交換を行わない場合は、HEPAフィルタの傷や留め付けの緩み等を点検する。図4.7.84HEPAフィルタの留め付の緩み点検⑥HEPAフィルタを交換する場合は、取り外して粉じん飛散抑制剤・粉じん飛散防止処理剤を散布した後、プラスチック袋等により二重梱包のうえ、廃石綿等として処分する。⑦このとき、留め付け部廻りの隙間がないことを確認する。図4.7.85HEPAフィルタの交換○フィルタの取り付け①新しいHEPAフィルタを装着し、緩みや隙間が生じないようにしっかりと留め付ける。HEPAフィルタのJIS規格を確認する。図4.7.86フィルタの取り付け②HEPAフィルタの装着後装置を稼働させ、スモークテスターを用いて側面からの吸い込みがないかを確認する。必要に応じて、HEPAフィルタ面をシート等で塞いだうえ、スモークテスターでの吸い込みを確認する。図4.7.87スモークテスターによる確認163③スモークテスターでの確認で異常がなければ、新しい1次フィルタ、2次フィルタを装着する。図4.7.881次、2次フィルタの装着○梱包・搬出①吸気口に破れ防止用の防護板を取り付け、プラスチックシート等で密封した後、搬出する。②その際、装置底部やキャスターは水や濡れウエス等でふき取り清掃する。○点検表の記録・保存図4.7.89梱包・搬出①点検表やフィルタ交換記録等を作成し、装置に付け保存。(7)隔離シート及び養生シートの撤去図4.7.90点検表の記録・保存負圧隔離養生に使用したプラスチックシート等の撤去も清掃同様、高い場所から低い場所へ、天井面、壁面、床面の順序で進める(図4.7.91)。稼動中の機器類の養生撤去はいったん稼動を停止させて行う。撤去したプラスチックシート等は石綿含有吹付け材等の廃棄物と同様、二重袋詰めを行い、密封して保管場所へ運搬する。撤去したプラスチックシート等も廃石綿等として取り扱う。1)天井面、壁面の隔離シートの撤去隔離シートは粉じんの付着している面を上に、両端から中央に向かって折り畳む。2)設備機器、什器備品等残置物の養生シートの撤去天井面、壁面の隔離シート等の撤去に合わせて、撤去する。図4.7.91隔離シートの撤去1643)移動式足場、固定足場、ステージ等資機材の解体、搬出足場等作業床上の養生を撤去し、付着した粉じんを落とさないよう丁寧に折り畳む。足場等を解体する前に当該足場等に付着物が残っていないか確認し、付着物がある場合は高性能真空掃除機、濡れ雑巾等で丁寧に拭き取り、石綿を完全に除去する。解体した仮設機材は床面の隔離シート上に直接置かない。作業場外(床面の養生の外)へ運搬する時は、床面の隔離シートの内外で資機材を共同作業者の間で受け渡して運搬する(作業場外の床面を石綿で汚染させないため)。足場の解体にあたっては、4.7.2(5)に示したように、該当する特別教育を受講した者が行わなくてはならない。4)床面の隔離シートの撤去最後に床面の隔離シートを撤去する。撤去の際は、足裏に石綿が付着していないことを確認し、隔離シートの上に乗らないよう、周囲から中央へ折り畳む。隔離シートを撤去した後の床面を、石綿や薬液を付着させて汚さないよう注意する。(8)最終(仕上)清掃床面隔離の撤去及びセキュリティゾーンの解体後、最後に行う。作業場周辺を含めて、床面、窓台、機械設備、什器備品等石綿の飛散しているおそれのある箇所を高性能真空掃除機を使用して清掃する(図4.7.92)。広範囲の除去作業を工区に分割して負圧隔離養生を行い、除去作業を行う場合、除去作業終了後次の工区の作業に移る際、作業終了工区の仕上清掃が不十分であると石綿が残るおそれがある。工区に分割して連続作業を行う場合は、特に作業終了工区の仕上清掃の時間を確保して確実に清掃を行う。図4.7.92高性能真空掃除機を用いた作業場内の仕上清掃1654.8石綿含有保温材等の切断等を行わない除去作業に係る石綿飛散防止対策石綿含有保温材等を切断等しないで除去する場合は、次により石綿飛散防止対策を行う。4.8.1成形された配管保温材等を原形のまま取り外す作業成形された配管保温材等を原形のまま取り外す場合には、石綿飛散の程度が比較的低いことから、隔離養生(負圧不要)、散水等による湿潤化による石綿の飛散防止措置を行い、下記手順で除去する。なお、劣化し石綿飛散のおそれがある場合には、石綿含有吹付け材等の切断等による除去と同等の措置を講じる。作業の例を図4.8.2~図4.8.4に示す。(1)除去作業手順【事前準備】【準備工事】【除去】工事計画・要領書の作成・届出必要機器・資材の準備・調達事前調査結果の掲示除去工事実施の掲示事前清掃隔離養生(負圧不要)粉じん飛散抑制剤を散布・浸透呼吸【石綿処理】取り残しあり原形のまま取り外し【取り残し確認】取り残しがないことの確認除去面に粉じん飛散防止処理剤散布用保護具専用の作業衣又は保護衣【清掃】【記録】隔離養生の撤去最終清掃作業記録図4.8.1成形された配管保温材等を原形のまま取り外す場合の作業手順(2)留意事項①公衆・労働者の見やすい場所に事前調査結果の概要の掲示を行う。②公衆の見やすい場所に工事実施の掲示を行う。③隔離養生は、天井裏や壁の内壁裏に隙間が無いことを確認し、壁貫通部等の開口部がある場合は隙間をあらかじめプラスチックシート等で養生し、密閉する。窓、換気口、空調吹出口等は目張りし、出入口はプラスチックシート等を垂らす措置を講じる。作業後効率的に石綿繊維を収集するため、床もプラスチックシート等で養生する。また、除去に伴い石綿繊維の飛散が想定される場合は、壁も養生する。④湿潤化は、薬液等を使用し、粉じん飛散の程度に応じて適量散布する。⑤取り外した特定建築材料は直ちにプラスチック袋又はプラスチックシート等により梱包する。埋立処分するにあたっては、粉じん飛散防止処理剤等の薬剤による安定化の上、プラスチック袋等による二重梱包しなければならない。⑥万一、石綿含有保温材等が欠けたり、破損等したりした場合には、直ちにそれらをプラスチック袋に梱包するとともに、高性能真空掃除機により清掃する。166⑦養生の撤去に当たっては、シート等を十分に清掃する。また、石綿の付着が考えられる場合には、必要に応じて粉じん飛散抑制剤又は粉じん飛散防止処理剤を散布した上、二重梱包し、除去した特定建築材料とともに廃石綿等として処理する。⑧作業前に、通勤着を専用の作業衣に着替え、石綿則に定められている呼吸用保護具を使用する。フロー中の呼吸用保護具の○数字の標記は表4.8.1に示す保護具の区分を示している(以下同じ)。表4.8.1呼吸用保護具の区分区分区分①呼吸用保護具の種類面体形及びルーズフィット形(フードをもつもの)の電動ファン付き呼吸用保護具(粒子捕集効率99.97%以上(PL3又はPS3)、漏れ率0.1%以下(S級)、大風量形)複合式エアラインマスク(プレッシャデマンド形)送気マスク(プレッシャデマンド形エアラインマスク、一定流量形エアラインマスク、電動送風機形ホースマスク)自給式呼吸器(空気呼吸器、圧縮酸素形循環式呼吸器)区分②全面形面体を有する取替え式防じんマスク(粒子捕集効率99.9%以上、RS3又はRL3)区分③半面形面体を有する取替え式防じんマスク(粒子捕集効率99.9%以上、RS3又はRL3)区分④取替え式防じんマスク(粒子捕集効率95.0%以上、RS2又はRL2)図4.8.2保温材被覆撤去図4.8.3保温材の湿潤化→取り外し図4.8.4プラスチック袋詰1671684.8.2非石綿含有部での切断による除去建築物の設備配管では、直管部分がグラスウール保温材で、曲がり部分にのみ石綿含有保温材が使用されていることが多い。本工法はそのような場合に適用できる方法である。除去作業手順を図4.8.5に示す。(1)除去手順図4.8.5非石綿含有部での切断による除去作業手順(2)留意事項直接石綿含有保温材に触れるわけではないので、石綿繊維の飛散のおそれがない場合には、大防法の届出は不要とされている。ただし、石綿則では、作業の届出その他必要な措置の実施が必要である。また、大防法でも都道府県等によっては届出が必要とされているところもあるので事前に確認が必要である。切断最終清掃【事前準備】専用の作業衣又は保護衣呼吸用保護具【準備工事】【清掃】【除去】【石綿処理】【記録】図4.8.6配管保温材の除去図4.8.7除去した石綿含有保温材付配管を梱包し、廃石綿等として処理した例(廃棄にあたっては石綿を含む廃棄物が入っていること及び取扱い注意事項を表示する。)切断石綿含有部4.9封じ込め又は囲い込み作業に係る石綿飛散防止対策建築物の解体時には、原則として解体に先立ち、石綿含有建材を除去する必要がある。しかし、建築物の改造・補修の場合にあっては、除去の他、封じ込め又は囲い込みを選択することができる。建築基準法では、石綿含有吹付け材のうち吹付け石綿及び石綿含有吹付けロックウールについて、増改築時には原則としてこれらを除去することが義務付けられている。ただし、増改築部分の床面積が増改築前の床面積の1/2を超えない増改築時には増改築部分以外の部分について、大規模修繕・模様替時には大規模修繕・模様替部分以外の部分について、封じ込めや囲い込みの措置を行うことが認められている。封じ込め工法及び囲い込み工法では、石綿含有建材を当該建築物から除去することにはならないため、措置後も適切に管理を行い、建築物の解体時には除去を行う必要があることに留意が必要である。4.9.1封じ込め工法既存の石綿含有建材をそのまま残し、吹付け層へ薬液の含浸もしくは造膜材の散布等を施すことにより、吹付け層の表層部又は全層を完全に被覆又は固着・固定化して、粉じんが使用空間内ヘ飛散しないようにする工法である。この工法は、主に、吹付け石綿、石綿を含有する吹付けロックウール、屋根用折板石綿含有断熱材に対して適用される。封じ込め工事を行う際は、大防法及び石綿則に基づく届出が必要となる。封じ込め工法の留意点は以下のとおりである。①処理後も石綿含有建材が残るため、処理後の維持保全が必要である。②石綿含有建材の劣化、損傷の程度が大きい場合は実施が困難である。③下地との接着性が全面的に不良な場合は実施が困難である。④建築物解体時等に、石綿含有建材の除去が必要である。⑤処理後も建築物の使用、利用者等が傷付けたりすることのないよう配慮が必要となる。⑥使用部位に応じて、粉じん飛散防止処理剤の防耐火等の検討が必要となる。⑦天井懐内にある配管やダクト裏等の封じ込め工法が難しい箇所がある場合は、完全な措置ができない。⑧建築物等を使用しながら施工となる場合があるので、設置された家具や機器あるいは機械類等の養生が必要となる。4.9.2囲い込み工法既存の石綿含有建材はそのまま残し、これらが使用空間に露出しないよう、板状材料等で完全に覆うことによって完全に密閉し、粉じんの飛散防止、損傷防止等を図る工法である。石綿含有吹付け材、及び石綿含有保温材等に対して適用可能である。囲い込み工事を行う際は、大防法及び石綿則に基づく届出が必要となる。ただし、石綿含有建材に接触せず、振動等による石綿の飛散のおそれなしに作業を行うことができる場合は、大防法の届出は不要である。その場合も、作業内容について都道府県等に事前に相談し、届出の要否について意見を求めることが望ましい。相談は作業場所の状況がわかる写真、工事図面(詳細図等)、作業計画図面(仮設計画図等)等の工事資料を適宜用いて行うことが望ましい。作業上、石綿含有建材に接触するおそれのない、囲い込み作業の事例として図4.9.1~4.9.2のような場合がある。天井やスラブ下等のような水平面のみでなく、壁や柱等の垂直面においても類似の工法を採用することができる。作業上の注意として、作業上、石綿含有建材に接触するおそれのない一定の距離を置き、身体が接触しないよう慎重に下地材を取り付け、囲い込みのための仕上げ材を留め付ける。169囲い込み工法の留意点は以下のとおりである。①施工後も石綿含有建材が残るため、施工後の維持保全が必要である。②劣化、損傷の程度が著しい部分がある場合や下地との付着が不十分な箇所がある場合は、事前に補修が必要である。③定期的な点検が必要であり、点検用の開口が必要となる。ただし、点検口には隙間ができないような措置が必要である。④建築物解体時等に、石綿含有建材の除去が必要である。⑤使用部位に応じて、囲い込み材料の防耐火等の検討が必要となる。⑥室内、天井高等が滅少する場合が多い。⑦場合により他の内装等に手を入れる必要が生じる。⑧囲い込み材の貫通するダクト、配管等の周辺処理(隙間が生じないこと)に留意する必要がある。⑨施工時に接触や振動等により石綿が飛散するおそれがある場合には、あらかじめ粉じん飛散防止処理剤による処理が必要な場合がある。石綿含有建材に接触するおそれのない囲い込み作業の事例①既存の設備の配管・ラック・ダクトの下地の吊材と干渉しないようにスラブ下から300mm付近で天井を設け、石綿を囲い込む。軽量鉄骨はスラブ下から吊らず、梁側にアンカーを打って梁~梁間に渡して下地を作る。1Fスラブ△新設天井面大梁軽量鉄骨小梁化粧石膏ボード大梁天井吹付け材(石綿)ダクト・ラック等設備配管吊材(下地)▽天井施工用足場図4.9.1石綿含有建材に接触するおそれのない囲い込み作業の事例①170②天井囲い込みにより隠れてしまう火災報知器・照明・ガス検知器等の器具と幹線は、新設する天井の下部に露出で新設し、古い器具や配管は残置する。旧器具・幹線は埋め殺し(石綿で触れられないので)新設幹線(露出)新設器具天井吹付け材(石綿)③ラックやダクト又は天井の位置とスラブとの間が極端に狭い部分は、化粧石膏ボードではなく、プラスターボード又はプリントボード等の長尺材を使用する(化粧石膏ボードでない部分が生じる)。天井吹付け材(石綿)▽天井施工用足場ケーブルラック・ダクト等赤線のようなラック・ダクト上でのボードのビス留め等が困難な部分は長物(プラスターボード又はプリントボード)にて納める。(▲はビス留め位置を示す)図4.9.2石綿含有建材に接触するおそれのない囲い込み作業の事例②4.9.3封じ込め、囲い込みを行う際の注意事項封じ込め、囲い込みによる石綿飛散防止を図る上では、以下のような注意が必要である。①封じ込め工法及び囲い込み工法は、既存の石綿含有建材(石綿含有吹付け材、又は保温材等)の劣化や損傷が少ない場合に適用することが原則である。特に、封じ込めの場合には、施工時の脱落や施工後封じ込め材による重量増から全体が脱落する等のおそれがあることから、事前に十分な付着強度を確認しておくことが重要となる。②封じ込め・囲い込み工事の施工箇所については、施工後も継続した定期点検が必要であるとともに、建築基準法第12条に基づく報告書への記載が必要である。このため、封じ込め・囲い込み工事はもとより、除去工事中にやむを得ない事情により除去しきれず封じ込めあるいは囲い込みを実施した箇所について、施工業者は工事発注者に報告しなければならない。③吹付け石綿及び石綿を含有する吹付けロックウールに対する封じ込め工法及び囲い込み工法の標準的な工事仕様に関しては、(一財)日本建築センター発行の「既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説(2018)」が参考となる。④石綿含有吹付け材等の封じ込め又は囲い込みを行う際に、これらの建材の切断等を伴う場合は、除去と同様の負圧隔離養生等を行う必要がある。負圧隔離養生等の方法は4.7を参照すること。⑤建築基準法においては、吹付け石綿及び石綿を0.1重量%を超えて含有している吹付けロックウールが使用禁止とされ、現状でそれらを使用している建築物は「既存不適格」の扱いとなっている。そのため、新171172たな「建築」行為を行う場合には、それらを除去することが基本となる。しかし、「床面積の1/2以下の増改築」及び、「大規模な修繕」、「大規模な模様替え」の場合には、当該部分以外は、封じ込め・囲い込みを行えばよいとされている。それに伴い、該当する封じ込め・囲い込みの基準が告示されている。【参考】封じ込め・囲い込みの基準(国交省告示1173号、平成18年9月29日)建築基準法施行令第137条の4の3第三号の規定に基づき、建築材料から石綿を飛散させるおそれがないものとして石綿が添加された建築材料を被覆し又は添加された石綿を建築材料に固着する措置について国土交通大臣が定める基準は、建築基準法第28条の2第一号及び第二号に適合しない建築材料であって、人が活動することが想定される空間に露出しているもの(以下「対象建築材料」という。)に対して、次の各号のいずれかに掲げる措置を講じるものとする。一)次のイからヘに適合する方法により対象建築材料を囲い込む措置イ対象建築材料を板状の材料であって次のいずれにも該当するもので囲い込むこと。⑴石綿を透過させないものであること。⑵通常の状態における衝撃及び劣化に耐えられるものであること。ロイの囲い込みに用いる材料相互又は当該材料と建築物の部分が接する部分から対象建築材料に添加された石綿が飛散しないように密着されていること。ハ維持保全のための点検口を設けること。ニ対象建築材料に劣化又は損傷の程度が著しい部分がある場合にあっては、当該部分から石綿が飛散しないよう必要な補修を行うこと。ホ対象建築材料と下地との付着が不十分な場合にあっては、当該部分に十分な付着が確保されるよう必要な補修を行うこと。ヘ結露水、腐食、振動、衝撃等により、対象建築材料の劣化が進行しないよう必要な措置を講じること。二)次のイからニに適合する方法により対象建築材料に添加された石綿を封じ込める措置イ対象建築材料に建築基準法第37条第2項に基づく認定を受けた石綿飛散防止剤(以下単に「石綿飛散防止剤」という。)を均等に吹付け又は含浸させること。ロ石綿飛散防止剤を吹き付け又は含浸させた対象建築材料は、通常の使用状態における衝撃及び劣化に耐えられるものであること。ハ対象建築材料に石綿飛散防止剤を吹き付け又は含浸させることによって当該対象建築材料の撤去を困難にしないものであること。ニ第一号ニからヘまでに適合すること。(以下略)4.10石綿含有保温材等の切断等を行う作業の特殊な石綿飛散防止対策石綿含有保温材等の切断等を伴う除去をする時の特殊な石綿飛散防止対策としては、局所隔離の一種であるグローブバッグを使用して除去する方法、屋根折板を裏張り断熱材をつけたまま除去する方法がある。4.10.1グローブバッグを使用する方法(1)除去作業手順【事前準備】【準備工事】【除去】工事計画・要領書の作成・届出事前調査結果の掲示処理工事実施の表示事前清掃グローブバッグの装着粉じん飛散抑制剤を散布・浸透取り残しあり除去【取り残し確認】取り残しがないことの確認除去面に粉じん飛散防止処理剤散布【清掃】【石綿処理】【記録】呼吸用保護具専用の作業衣又は保護衣(2)措置事項最終清掃施工記録・作業員の記録完了図4.10.1グローブバッグを使用する場合の除去作業手順①グローブバッグにより、石綿含有吹付け材又は石綿含有保温材等の除去作業を行おうとする箇所を覆い、密閉すること。②グローブバッグは以下の製品を使用すること。シートの厚さが0.15mm以上で十分な強度を有するもの接着面が容易にはがれないもの除去を行う範囲に対し、十分な大きさがあるもの③除去作業を開始する前に、スモークテスト注)又はそれと同等の方法で密閉の状況を点検し、漏れがあった場合はふさぐこと。④石綿含有吹付け材又は石綿含有保温材等を除去する前に、これらの材料を湿潤な状態のものとすること。⑤除去作業が終了した後、密閉を解く前に、石綿含有吹付け材又は石綿含有保温材等を除去した部分を湿潤化すること。⑥除去作業が終了した後、グローブバッグを取り外すときは、あらかじめ内部の空気を高性能真空掃除機を用いて排気すること。⑦グローブバッグから工具等を持ち出すときは、あらかじめ付着した物を除去し、又は梱包すること。⑧使用したグローブバッグは廃棄し、再利用しないこと。注)特にグローブバッグを狭隘なところで使用する際には、発煙時に発生する煙に塩化水素等の有害物質が含有していないか等、安全性を十分に確認する必要がある。173(3)留意事項①公衆・労働者に見やすい場所に事前調査結果の掲示を行う。②公衆に見やすい場所に工事実施の掲示を行う。③グローブバッグで作業を行おうとする箇所を覆い密閉する前にあらかじめケレン棒、カッター等の工具をグローブバッグの中に入れておく(図4.10.1イラストの(1)及び(2))。④湿潤化の際は、専用穴から湿潤化のための噴霧用の管を挿入して粉じん飛散抑制剤を散布し、除去対象建材に浸透させる(図4.10.1イラストの(3))。⑤除去作業はカッター等で切断し、ケレン棒、金ブラシにより剥離・除去する。⑥保温材等の除去後、除去面をよく清掃する。⑦取り残しがないことを確認した後、専用穴から噴霧用の管を挿入し、除去面に粉じん飛散防止処理剤を散布する(図4.10.1イラストの(3))。⑧配管等の直下部で、粘着テープ等により袋を閉じ、高性能真空掃除機で内部空気を排気した後、配管等の上部をカッターで切り、グローブバッグを取り外す(図4.10.1イラストの(4))。⑨取り外したグローブバッグは、廃棄物専用袋に入れ(これで二重梱包となる)保管し、特別管理産業廃棄物である「廃石綿等」として処分する。湿潤化のために除去前に粉じん飛散抑制剤を含浸させることが、埋立処分基準である「薬剤による安定化」に該当するが、必要に応じてグローブバッグを密封する前に再度飛散抑制剤を散布する。⑩万一、グローブバッグの脱落等が生じた場合は、粉じん飛散防止処理剤又は水等で素早く湿潤化するとともに高性能真空掃除機で十分に清掃する。図4.10.1グローブバッグの例174(4)グローブバッグを使用する方法の事例①石綿含有保温材が使用されている屋外蒸気配管を吊り下ろすため、配管を切断し、切断部分の保温材を除去する際にグローブバッグを使用した事例(切断部分以外の配管は石綿が飛散しないよう養生して吊り下ろし、密閉養生内で石綿含有保温材を除去)図4.10.2掲示の状況図4.10.4切断箇所の保温材除去と養生図4.10.6吊り下ろした配管内の保温材の除去作業図4.10.3切断箇所へのグローブバッグ取付図4.10.5配管の吊り下ろし図4.10.7袋詰め175176②蒸気配管保温材を原形のまま解体できず、全体を密閉養生することも困難なため、グローブバッグ工法により石綿含有建材を除去した事例図4.10.11除去完了図4.10.12作業完了図4.10.10石綿除去作業中2図4.10.8グローブバッグ取付作業中図4.10.9石綿除去作業中11774.10.2屋根用折板の裏張り断熱材を付けたまま除去する方法(1)除去作業手順足場架設床・壁養生撤去新設折板屋根茸き替え呼吸用保護具○1~○3専用の作業衣又は保護衣呼吸用保護具○1~○3保護衣折板屋根撤去粉じん飛散防止処理剤散布撤去後の折板屋根シート養生・梱包・吊り降ろし事前清掃リニューアル工事処理工事実施の掲示プレス機等による減容化負圧隔離解除と同等の措置を実施隔離内部の空気中石綿濃度の確認又は施工後1.5時間以上の換気呼吸用保護具○1~○3専用の作業衣又は保護衣図4.10.13屋根折板を裏張り断熱材を付けたまま除去する場合の作業手順の例呼吸用保護具①フード付き保護衣(2)留意事項①公衆・労働者の見やすい場所に事前調査の掲示を行う。②公衆の見やすい場所に工事実施の掲示を行う③本工法は、屋根用折板を石綿含有断熱材を付けたまま除去する方法であり、作業は、ア.室内側の粉じん飛散防止処理剤散布イ.屋根上の取外し作業ウ.地上部での産廃処理・搬出のための作業とに分かれ、各作業に応じた粉じん飛散防止対策を講じることが必要となる。④本工法は、(一財)日本建築センターが実施している審査証明事業による審査証明を受けている工法である。本工法は、特殊工法の1つであり、折板に裏張りされた石綿含有断熱材を4.7に記述した通常の方法において、屋内側から隔離をし、集じん・排気等の措置を講じた上で、除去することも当然あり得る。この場合、断熱材がハゼに挟み込まれている場合があり、その場合は、屋内からの除去のみでは断熱材を全て除去することができないので注意が必要である。本工法の作業手順は以下のとおり。〈室内作業〉・室内側を床・壁養生の上、粉じん飛散防止処理剤を断熱材面に散布する。・断熱材の劣化の程度によっては、粉じん飛散防止処理剤の散布に伴い粉じん飛散が生じるため、必要に応じて隔離・集じん排気・セキュリティゾーンが必要となる。〈屋根上作業〉・屋根上では、ハゼ起こしの上、断熱材を付けたまま折板を1枚ずつ取り外す。・折板が長尺の為、切断が必要とされる場合は、負圧状態の中であらかじめ切断部を10~15cm程度の巾で除去を行い、粉じん飛散防止処理剤を散布後、切断する。・取り外した折板は、プラスチックシートで梱包の上、クレーンで吊り下ろす。〈地上部での作業〉※吊り下ろした断熱材付きの折板は、次のいずれかの方法で処理する。・ガスでの溶断は、負圧隔離養生内(集じん排気を実施)で切断し、ドラム缶・専用BOX・二重袋及び梱包の上、特別管理産業廃棄物として溶融処理する。(A法)・切断機による切断は、局所集じん排気装置付きで切断し、ドラム缶・専用BOX・二重袋及び梱包の上、特別管理産業廃棄物として溶融処理する。(B法)・分離処理については、負圧隔離養生内(集じん排気を実施)で断熱材を掻き落とし、石綿は特別管理産業廃棄物として処理、折板は、粉じん飛散防止処理剤を散布し、スクラップ処理する。(C法)室内作業、屋根上作業、地上部での作業の各作業に応じて、呼吸用保護具、保護衣又は専用作業衣を使用する。⑤室内作業の粉じん飛散防止処理剤散布作業において、断熱材の劣化が著しいとき、及び地上作業において行う断熱材除去作業は、隔離、集じん・排気装置の設置等の措置を講じて、呼吸用保護具・保護衣をレベル1に対応したものを使用する。・その他の作業においては、呼吸用保護具は区分①~③及び専用の作業衣を使用することができる。178図4.10.14全景図4.10.16吊り下ろした折板を局所排気装置付切断機で切断するための切断ブース図4.10.15折板をプラスチックシートで梱包後、クレーンで吊り下ろしたところ4.10.3石綿含有煙突用断熱材を除去する方法図4.10.17折板をはがしているところ煙突に内張りされている石綿含有煙突用断熱材を事前に除去するためには、負圧隔離養生の措置を講じたうえで、切断等して除去する。内径が60cmを超える煙突であれば、ゴンドラに乗りながら人力で除去することが可能な場合がある。また、独立煙突の場合には、煙突を切断しながら躯体と一緒に断熱材を除去する方法もある。しかし、最近では、先行して機械的に掻き落とす工法や高圧水を用いて掻き落とす工法等が開発され普及してきており、その一部は、(一財)日本建築センターの建築技術審査証明を取得している。そのため、躯体打ち込みの煙突、独立煙突問わず、煙突断熱材の除去はこれらの方法が主流となってきている。なお、これらの工法は、装置的にそれぞれ特徴を持っているものであるが、原理的には4.7に示す「除去作業手順」に準じたものである。しかし、煙突という特殊な形状から隔離作業場内で上昇気流が生じやすいため、負圧管理には十分な配慮が必要となる。煙突解体時には、屋外に隔離空間が必要となる場合が多く見受けられる。屋外に隔離空間を設置する場合の注意事項は、4.7.2(3)2)「屋外に設置する場合の注意事項」を参照すること。1794.11石綿含有成形板等の除去作業に係る石綿飛散防止対策石綿含有成形板等は、セメント等とともに成形された石綿含有建材で、耐熱性、耐久性などの優れた特性を持つため、建築物の屋根、外壁、内壁、天井、床などの材料として幅広く使われている。石綿がセメントやけい酸カルシウム等により固化されているため、通常の使用状態においては石綿繊維が飛散することは少ないが、切断や破砕作業により石綿繊維が飛散する。表4.11.1石綿含有成形板等の建築物における主な施工部位の例使用部位外壁・軒天石綿含有建築材料の種類スレートボード、スレート波板、窯業系サイディング、押出成形セメント板、けい酸カルシウム板第1種屋根内壁・天井スレート波板、住宅屋根用化粧スレートスレートボード、スラグせっこう板、パーライト板、パルプセメント板、けい酸カルシウム板第1種、せっこうボード、壁紙、ロックウール吸音天井板、巾木床煙突ビニル床タイル、長尺塩ビシート、フリーアクセスフロア材セメント円筒ダクト、配管ジョイントシート、紡織品(含浸品含む)、パッキン表4.11.2石綿含有成形板等の工作物における主な施工部位の例使用工作物水道管等石綿含有材料の種類石綿セメント管(上下水道管、温泉管)鉄道石綿含有スレートボード(駅舎壁、遮音板等)石綿含有スレート波板(駅舎屋根等)トンネル(道路)石綿含有スレートボード石綿含有押出成形セメント板プラント・ボイラー石綿含有ジョイントシート(シール材)石綿紡織品(グランドパッキン、断熱材等)4.11.1石綿含有成形板等の除去における飛散及び漏えい防止の考え方石綿含有成形板等(石綿含有成形板及び工作物に使われている石綿含有建材・製品)は、建築物等の解体等工事時の石綿除去等作業において、適切な飛散防止措置が行われない場合には、作業現場周辺の大気中に石綿が飛散するおそれがあることから、令和2(2020)年5月の大防法の改正(令和3(2021)年4月施行)により特定建築材料に加えられ、同法に基づく周辺環境への石綿飛散防止対策が義務付けられた。また、令和2(2020)年7月の石綿則の改正においても同様に石綿含有成形板等の除去に係る措置が定められ、令和2(2020)年10月に施行された。その他廃棄物処理法等による石綿の飛散防止対策を遵守する必要がある。石綿含有成形板等に係る具体的な措置としては、建築物等の解体等時には石綿含有建材の有無を調べる事前調査において石綿含有成形板等についても網羅的に行い、発注者に書面で事前調査結果の報告を行う。石綿を0.1重量%超えて含有する場合は、石綿含有成形板等として除去を行い、廃棄物処理法及び地方公共団体の定める条例等の規制に基づき、石綿含有廃棄物として適正に処理する必要がある。石綿含有成形板等の解体等工事における大防法による作業に係る規制基準として、作業計画書の作成、各種掲示・表示、作業状況の記録・保存、作業完了の確認、作業の種類ごとの基準の遵守、事業発注者への説明等がある。なお、大防法第18条の17及び石綿則第5条に基づく作業の実施の届出は不要であるが、都道府県等によっては条例等に基づき届出が必要な場合があるため、作業に際しては事前の確認が必要である。また石綿則による作業に係る規制事項として、作業計画書の作成及び作業者への周知、立入禁止、石綿作180181業主任者の選任、保護具の使用、各種掲示・表示(一部は安衛則、通達)、計画された作業手順の遵守、記録の作成・保存等があり、作業者は全員が石綿特別教育(石綿使用建築物等解体等業務特別教育)を受講している必要がある。また、立入禁止措置については、作業場を離れる時や帰宅する時においても作業場へ関係者以外が立ち入らないように封鎖をする。表4.11.3石綿含有成形板等の解体等工事における大防法・石綿則・廃棄物処理法の規制項目大防法条項石綿則条項解体等に伴う除去石綿含有けい酸カルシウム板第1種その他の石綿含有成形板等原形のまま取り外し切断等原形のまま取り外し切断等事前調査の実施18条の15第1項(規則16条の5)3条要要要要作業計画の作成18条の14(規則16条の4第一号)4条要要要要作業、計画の届出――届出対象外届出対象外届出対象外届出対象外事前調査結果の報告18条の15第6項(規則16条の11)4条の2要要要要事前調査結果掲示18条の15第5項(規則16条の9、10)3条要要要要その他掲示18条の14(規則16条の4第二号)15条他要要要要隔離養生(負圧不要)18条の14(規則別表第7の4)6条の2-要--立入禁止措置―15条要要要要湿潤化等※118条の14(規則別表第7の4)6条の2、13条-※2要-※2要清掃18条の14(規則別表第7)30条要要要要完了確認18条の14(規則16条の4第四号、五号)―要要要要石綿作業主任者―19条要要要要石綿特別教育―27条要要要要呼吸用保護具―14条防じんマスク又は電動ファン付電動ファン付防じんマスク又は電動ファン付防じんマスク又は電動ファン付保護衣等―14条専用の作業衣又は保護衣フード付き保護衣専用の作業衣又は保護衣専用の作業衣又は保護衣作業記録18条の14(規則6条の8)35条要※3(3年保存、概要は40年)要※3(3年保存、概要は40年)要※3(3年保存、概要は40年)要※3(3年保存、概要は40年)廃棄物―廃棄物処理法石綿含有廃棄物として処理石綿含有廃棄物として処理石綿含有廃棄物として処理石綿含有廃棄物として処理備考:「要」は法令上求められる措置を示す。※1石綿等の湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うこと※2粉じん飛散防止のために実施することが望ましい。※3下請負人による作業の記録は、工事が終了するまで保存(大防法施行規則第16条の4第三号)4.11.2大防法及び石綿則における石綿含有成形板等の除去に係る措置石綿含有成形板等の除去作業においては、大防法における作業基準の遵守及び石綿則による除去に係る措置が求められている(表4.11.4)。石綿含有成形板等を除去する際は、原則として切断等を行わず、原形のまま取り外す必要がある。原形のまま取り外すとは、ボルトや釘等を撤去し、手作業で取り外すことである。ただし、現場の状況等により原形のまま取り外すことが技術上困難で、切断等を伴う除去を行う場合は、湿潤化を行った上で手工具(バール、のこぎり等)により除去を行う。手工具によることが技術的に困難な場合で、電動工具を用いて石綿等の切断等の作業等を行う場合にあっては、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあること及び電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する。やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にする。この場合の湿潤化は、作業前に散水等により対象となる材料を一度湿潤な状態にすることだけではなく、切断面等への散水等の措置を講じながら作業を行うことにより、湿潤な状態を保つ必要がある。現場の状況等により、湿潤化を行うことが著しく困難な場合は、十分な集じん性能を有する電動工具を使用することや隔離養生(負圧不要)を行うことにより、飛散防止措置を実施すること。石綿含有成形板等のうち、けい酸カルシウム板第1種については、他の石綿含有成形板等に比べ破砕時の石綿繊維の飛散性が高いことが確認されていることから、切断等を伴う作業においては隔離養生(負圧不要)に加えて、建材を常時湿潤な状態に保つこと、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置(剥離剤の使用を含む)のいずれかの措置の実施が求められる。けい酸カルシウム板は第1種と第2種の2種類に分類され、主にかさ比重(内部に空隙をもつ固体の比重)によって分けられている。石綿を含有する、けい酸カルシウム板第1種は石綿含有成形板等に、けい酸カルシウム板第2種は石綿含有保温材等に区分されるため、適用される作業基準が異なることに注意が必要である。・石綿含有けい酸カルシウム板第1種:比較的薄くて重く(厚4mm~12mm)、一般建築物の天井材、壁材として使用されている。外装では、軒天井材とその関連部材、準防火地域での軒裏などに使用されている。・石綿含有けい酸カルシウム板第2種:分厚くて軽く(厚12mm~70mm)鉄骨の耐火被覆材として、主に柱・梁、壁、天井に使用されている。板状で、素材のままの使用法のほか、パネルの表面材、化粧板の基材として用いられている。182183表4.11.4大防法及び石綿則における石綿含有成形板等の除去に係る措置大防法(大防法施行規則別表第7の四の項)石綿則(石綿則第6条の2、第13条)石綿含有けい酸カルシウム板第1種次に掲げる事項を遵守して建材を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置※を講ずること。切断等することなくそのまま取り外すこと。上記の方法により除去することが技術上著しく困難なとき又は一部除去の場合など改造・補修作業の性質上適さないときは除去する部分の周辺を事前に隔離養生(負圧不要)するとともに、除去する建材を薬液等により湿潤化すること※。除去後、作業場内の石綿を清掃すること。隔離養生(負圧不要)をした場合は、隔離養生内の清掃と石綿の処理を行うこと。切断等以外の方法で除去しなければならない。切断等以外の方法により除去することが技術上困難な場合は、作業場所を当該作業以外の作業を行う作業場所からプラスチックシート等で隔離養生(負圧不要)するとともに、建材を常時湿潤な状態に保つこと、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行わなければならない。上記以外の石綿含有成形板等次に掲げる事項を遵守して建材を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置※を講ずること。切断等することなくそのまま取り外すこと。上記の方法により除去することが技術上著しく困難なとき又は一部除去の場合など改造・補修作業の性質上適さないときは除去する建材を薬液等により湿潤化すること※。除去後、作業場内の石綿を清掃すること。養生をした場合は、養生内の清掃と石綿の処理を行うこと。切断等以外の方法で除去しなければならない。切断等により除去する場合は、湿潤な状態のものとすること、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行わなければならない。※「除去する建材を薬液等により湿潤化すること」については、「除じん性能を有する電動工具を使用すること」を「これと同等以上の効果を有する措置」として取り扱って差し支えない。1844.11.3石綿含有成形板等の除去作業手順石綿含有成形板等を原形のまま取り外して除去する場合の作業手順を図4.11.1に示す。また、飛散性が比較的高い石綿含有成形板(けい酸カルシウム板第1種)を切断等により除去する場合の作業手順を図4.11.2に、その他の石綿含有成形板等を切断等により除去する場合の作業手順を図4.11.3に示す。なお、都道府県等や労働監督基準監督署への届出等も含めた全体の流れは4.3.3を参照すること。○石綿含有成形板等(けい酸カルシウム板第1種を含む)を原形のまま取り外して除去する場合の作業手順図4.11.1石綿含有成形板等(けい酸カルシウム板第1種を含む)を原形のまま取り外して除去する場合の作業手順取り残し等の確認最終清掃施工記録作業員の作業記録完了取り残しあり取替え式防じんマスク(RS2又はRL2)専門の作業衣又は保護衣目視により確認185○飛散性が比較的高い石綿含有成形板(けい酸カルシウム板第1種)を切断等により除去する場合の作業手順図4.11.2飛散性が比較的高い石綿含有成形板(けい酸カルシウム板第1種)を切断等により除去する場合の作業手順取り残し等の確認施工記録作業員の作業記録完了最終清掃電動ファン付きと同等以上の呼吸用保護具フード付き保護衣※石綿等の常時湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うこと。186○その他の石綿含有成形板等を切断等により除去する場合の作業手順図4.11.3その他の石綿含有成形板等を切断等により除去する場合の作業手順取り残し等の確認施工記録作業員の作業記録完了最終清掃電動ファン付き又は取替え式防じんマスク(RS3又はRL3)専門の作業衣又は保護衣(1)作業計画の作成事前調査の結果、石綿含有成形板等が確認された場合には、大防法や安衛法・石綿則に基づく届出は不要であるが、作業計画を作成する必要がある(表4.11.3参照)。作業計画の作成については、4.4「作業計画の作成」を参照すること。なお、都道府県等によっては、条例等に基づき届出が必要な場合があるため、作業に際しては都道府県等における取組の確認が必要である。また、除去方法の選択にあたっては、石綿繊維の発生の少ない工法を採用することが重要である。新築・改修等時の施工方法や建築物の構造が分かると、粉じんの発生を抑える作業手順を検討する際に参考になる。建築物の解体にあたり、石綿含有成形板等は事前に除去し、他の建設工事に伴い発生する産業廃棄物と混合しないよう計画する。都道府県等の条例、要綱等により必要ある場合は、作業計画の届出や事前の説明会等を実施する。(2)隔離養生(負圧不要)石綿含有けい酸カルシウム板第1種を切断等により除去する場合は、隔離養生(負圧不要)を行う必要がある。また、石綿含有けい酸カルシウム板第1種を切断等により除去する場合以外でも、建物が隣接している場合等、周辺の状況に応じて養生を行うことが望ましい。(3)湿潤化等による石綿の飛散防止措置石綿含有建材を切断等して除去する場合、粉じんの発生や飛散抑制のために石綿等の(常時)湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行う必要がある。計画策定時は、湿潤化により極度に悪影響を受ける周辺機器や居室等が隣接していないか調査し、それらの対策を盛り込んだ計画とする。(4)廃棄物の処理除去した石綿含有成形板等は、廃棄物処理法に従い、石綿含有廃棄物として適切に保管・運搬・処分を行う(詳細は「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」参照)。排出事業者は、石綿含有産業廃棄物の飛散を防止するため、石綿含有産業廃棄物が運搬されるまでの間、次の措置を講ずる。(1)荷重により変形又は破断しないよう整然と積み重ねる。(2)飛散しないようシート掛けする、梱包する等の対策を講ずる。また、石綿含有けい酸カルシウム板第1種が切断・破砕されて廃棄物となったもの、除去時に用具又は器具等に付着した石綿含有廃棄物等は、石綿含有廃棄物の中でも収集・運搬等の処理の過程における石綿の飛散性が比較的高いと考えられるため、基準で求める飛散及び流出の防止の措置として、フレキシブルコンテナや十分な強度を有するプラスチック袋等に梱包して廃棄物の露出がないようにすることが必要である。(5)清掃作業場所において破損した石綿含有成形板等は丁寧にビニル袋に集める。隔離養生(負圧不要)を行った場合、隔離養生の解除にあたっては、あらかじめ、高性能真空掃除機により隔離空間の内部の清掃を行う。細かいものは高性能真空掃除機にて清掃する。1874.11.4石綿含有成形板等の除去作業における留意事項(1)非破砕の原則石綿含有成形板等は、種類・形状も多様で一部を除き見掛け密度が概ね0.5g/cm3以上の硬い材料がほとんどであり、通常そのままの状態では石綿繊維が飛散するものではない。しかし、切断や破砕により石綿等の粉じんが発散することから、出来る限り切断や破砕等を行わないよう、原形のまま取り外すことが原則である。一方、石綿含有成形板等を原形のまま取り外すことが技術上著しく困難な場合は、湿潤化等(※1))や隔離養生(負圧不要)(※2)を行いながら除去を行う必要がある。技術上著しく困難な場合とは、石綿含有成形板等や固定具が劣化している場合、当該材料が下地材等と接着材で固定されており、切断等を行わずに除去することが困難な場合や、当該材料が大きく切断等を行わずに手作業で取り外すことが困難な場合等、物理的に困難な場合や除去する石綿含有成形板等や作業場の状況等によって切断等せざるを得ない場合をいう。原形のまま取り外すことが困難な場合は、湿潤化を行った上で手工具(バール、のこぎり等)により除去を行う。手工具によることが技術的に困難であり、電動工具による石綿等の切断等を行う場合は、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあることや電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する必要がある。なお、やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、安衛則第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にする必要がある。また、剥離剤を使用する場合は、使用する剥離剤に係るSDS(安全データシート)により、特定化学物質への該当性や、有害性区分がある物質の含有の有無を確認し、防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(G-PAPG)又は給気式呼吸用保護具を使用する等による必要なばく露防止措置を行う必要があること。なお、原形のまま取り外す場合においても、取り外しに当たって建材の大きな割れや破損による石綿繊維の飛散が想定される場合は、必要に応じて湿潤化や隔離養生(負圧不要)、局所集じん機の使用等の措置を講ずることが望ましい。原形のまま取り外した材料は、切断や破砕は行わず、原形のまま運搬し廃棄する。除去時にやむを得ず切断等をした場合も、それ以上の切断等は行わず、そのまま運搬し、廃棄する。(※1)石綿等の(常時)湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うこと。(※2)石綿含有けい酸カルシウム板第1種を切断等により除去する場合は、湿潤化等(※1)に加えて隔離養生(負圧不要)が必要となる。188189表4.11.5石綿含有成形板等の除去に係る措置除去方法範囲石綿の飛散防止措置原形のまま取り外す除去(1)固定具等を取り外して石綿含有成形板等を除去する場合①建材を固定しているボルト、木ねじ、釘、ビス等をスパナ、ドライバー(電動工具を含む)、バール等を使用して取り外す方法②固定具が劣化している場合は、固定具をガス溶断等により取り外す方法(2)母材又は下地材と一部接着している場合①母材又は下地材から剥がさず、母材又は下地材と一緒に除去する方法②ソフト巾木やビニル床シート等、柔軟性のある材料を破損せずに除去する方法(建材が劣化しており破損が考えられる場合は除く)(3)その他①建材自体をそのまま取りはずして除去する方法(石綿セメント円筒等の引き上げ等、手作業で困難な場合は重機による引き上げも含む。)・必要に応じて湿潤化等を実施やむを得ず破砕等を伴う除去(1)石綿含有成形板等や固定具が劣化しており、取り外しには破損を伴う場合(2)石綿含有成形板等の大きさ、重量、施工箇所等によって取り外しが物理的に困難な場合(3)その他、安全上の理由等から原形のまま取り外すことが困難な場合・湿潤化等を実施・石綿含有けい酸カルシウム板第1種の場合、隔離養生(負圧不要)(2)湿潤化等による石綿の飛散防止措置やむを得ず石綿含有成形板等の切断等が必要な場合は、石綿等の粉じんを発散させないよう、石綿等の湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行う。湿潤化は、粉じん飛散の程度に応じて、エアレススプレイヤ等(図4.11.4)により、石綿含有成形板等の湿潤状況を確認しながら、切断面又は破断面あるいはせん孔箇所等の適切な箇所へ適量散水等を行う。板表面への事前の散水等だけでは、切断等に伴う切断面や破断面からの石綿繊維対策対策としては十分でないので、作業中も切断面・破断面への散水等の措置を行いながら作業を行う(図4.11.5)。ただし、屋根材においては散水等を行うことで作業者の足元が滑りやすくなり転倒・転落するおそれがあるため多量の水・薬液による湿潤化は避け、留め付け部分だけを湿潤化し飛散防止を図るなどの対応が必要である。また、電動工具による石綿等の切断等を行う場合は、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあることや電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する必要がある。なお、やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、安衛則第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にする必要があること。除じん性能を有する電動工具の「除じん性能を有する」には、HEPAフィルタ又はこれと同等以上の性能を有するフィルタを備えた集じん機を用いることが含まれる。なお、除じん性能を有する電動工具の使用に当たっては、正しく使用されなければ石綿等の粉じんの発散低減効果が発揮されないため、取扱説明書等に従い、適切に使用するとともに、フィルタの交換等適切なメンテナンスを定期的に行う必要がある。また、石綿等が付着した電動工具の持ち出しを防ぐため、石綿則第13条第2項で規定する容器の備え付け及び同令第32条の2第1項に規定する付着した石綿の除去等の措置を行う。また、剥離剤を使用する場合は、使用する剥離剤に係るSDS(安全データシート)により、特定化学物質への該当性や、有害性区分がある物質の含有の有無を確認し、防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(G-PAPR)又は給気式呼吸用保護具を使用する等による必要なばく露防止措置を行う必要があること。図4.11.4噴霧器の例図4.11.5湿潤化の例(作業内容に応じて立入禁止措置や掲示を行うこと)(3)飛散性が比較的高い石綿含有成形板等(けい酸カルシウム板第1種)を切断等する際の隔離養生石綿含有けい酸カルシウム板第1種は、その他の石綿含有成形板等と同様、原則として、建材を損傷しないよう原形のまま取り外すが、やむを得ず切断等して除去する際は、その他の石綿含有成形板等とは異なり、石綿等の湿潤化等の実施に加えて周辺の隔離養生(負圧不要)が義務付けられている(湿潤化等を行う場合の留意事項は上記(2)参照)。隔離養生(負圧不要)とは、石綿繊維の飛散や周辺で作業している作業者へのばく露を防ぐため、作業場の周囲及び上下をプラスチックシート等、防炎シート、防音シート、防音パネル等で囲うことである。当該隔離養生による飛散防止措置では、セキュリティゾーンの設置や集じん・排気装置の設置による負圧化までは必要ない。屋内で隔離養生(負圧不要)を行う場合は、天井裏や壁の内壁裏に隙間が無いことを確認し、壁貫通部等の開口部がある場合は隙間をあらかじめプラスチックシート等で養生する。窓、換気口、空調吹出口等の開口部は目張りし、出入口はプラスチックシート等を垂らして飛散を防止する。床面も除去した建材の破片回収等のため、プラスチックシート等で養生を行う。また、汚れ防止等のため、壁面についてもプラスチックシート等で養生することが望ましい。屋外で隔離養生(負圧不要)を行う場合、建物側及び上下は通気性のないシート(プラスチックシート等)を使用し、外周側は除去等のために設置した足場に通気性がないパネル(防音パネル等)又は通気性のないシートを使用する。シート又はパネル間の処理については、目張りまでは求めるものではない(図4.11.6)。出入口はプラスチックシート等を垂らす。なお、隔離養生(負圧不要)に使用した防炎シートや防音シート、防音パネル等は、高性能真空掃除機等により付着した粉じんを除去したのち、再度使用することも可能である。190【屋外での隔離養生(負圧不要)の参考例】【スレート、鋼板葺の場合】プラスチックシート等の上から角材を屋根に打付けて固定。(①、②)【瓦の場合】プラスチックシート等をガムテープ等で瓦に固定。石綿含有けい酸カルシウム板飛散防止用メッシュシート(⑥)石綿飛散防止用防炎・防音シート等(⑥)石綿飛散防止用プラスチックシート等ガムテープ等で固定プラスチックシート等【足場端部】足場の端部は、足場と外壁の間を塞ぐ必要がある。下屋の端部でシート等を外壁にあて、上から角材を打付けて固定し、シートの反対側を足場の防炎・防音シート等と繋ぐ。(③、④)シート立ち上げガムテープ等で固定石綿含有けい酸カルシウム板プラスチックシート等(⑤)※図は断面のイメージを示したものであり、手前や奥も同じように囲う。③外壁とシートを角材で固定。シートの反対側は足場のシート等と繋ぐ。④下屋の端部での隔離養生の外観。飛散防止用メッシュシート(⑥)石綿飛散防止用防炎・防音シート等(⑥)石綿飛散防止用プラスチックシート等(①、②)ガムテープ等で固定シート立ち上げガムテープ等で固定①屋根にシート掛けし、上から角材で押さえ釘で固定する。②固定部を拡大。⑤床部シート養生の設置(通気性がない素材)※奥や手前の端も確実に囲う。⑥外周は防炎・防音シート等(通気性がない素材)で囲う。図4.11.6石綿含有けい酸カルシウム板第1種(軒天)を切断等して除去する際の隔離養生(負圧不要)の参考例※隔離養生(負圧不要)に使用する養生シートは、簡単に破れないよう十分な厚みのあるシート使用すること(4)その他の石綿含有成形板等を除去する際の養生石綿含有成形板等の除去においては石綿繊維を発生させないことが原則であるが、発生した場合でも作業場所の外部に飛散させないために、関係者以外の者の入場を制限する必要があり、大量に粉じんが発生することが想定される場合は、作業場所の周囲を養生することが望ましい。また、周囲の養生を実施する場合、作業後の清掃を適切に行うため、地面をプラスチックシート等で床養生しておくことが望ましい。石綿含有成形板等をやむを得ず切断等して除去する場合は、石綿等の湿潤化等が必要である(湿潤化等を行う場合の留意事項は上記(2)参照)。建物が近接している場合等、周辺の状況によっては、外周を防炎シート、防音シート、防音パネル等で養生す191る他、HEPAフィルタ付き局所集じん装置の使用といった飛散防止措置を行うことが望ましい。解体等工事では、同じ建材でも養生の範囲及び方法が違ってくるため、現場の状況に応じた養生の実施が必要である。例えば、石綿含有ビニル床タイルを除去する場合、解体時では全フロアが工事エリアであるため、外壁開口部や内部竪穴区画の開口部を養生すれば、撤去の際に発生する粉じんが外部に漏れたり、第三者が吸引するような事態は発生しない。一方、改修時にはフロアの一部だけが工事エリアになる場合があるため、開口部養生だけではなく、工事エリアに隣接する区画への粉じん飛散防止対策を施す必要がある。なお、養生を行うような発じんの多い作業場所については、作業が終了し、養生を解く前等には、高性能真空掃除機等により、丁寧に粉じんの清掃を行う。周囲の養生を実施する場合、作業後の清掃を適切に行うため、床養生をしておくことが望ましい。以下に実施が望ましい養生の例を示す。・屋根又は外壁の解体等工事の養生の例工事現場の近隣への粉じんの飛散を防ぐため解体建物の周囲を防炎シート、防音シート、防音パネル等で囲う。特に周辺環境に影響を及ぼすおそれのある場所では、建物等の高さより若干高い位置まで囲う。また、破片、粉じんを効率的に回収し廃棄するため、養生内の作業場にブルーシート等を敷き詰める。・内装の解体等工事の養生の例出入口、窓等の開口部をテープで目貼りし、外部への漏えいを防ぐ。また、破片や粉じんを効率的に回収し廃棄するため、養生内の作業場にプラスチックシート等を敷き詰める。(5)石綿含有成形板等の除去作業の例石綿含有成形板等は、耐熱性や耐久性が要求される場所で屋根・外壁・内壁・天井・床などの部位の材料として使われている。石綿がセメントやけい酸カルシウム等により固化されているため、通常の使用状態においては、石綿繊維が飛散することは少ないが、切断や破砕作業により石綿繊維が飛散することから、出来る限り切断や破砕等を行なわない様に、手作業で原形のまま解体することが原則である。一方、石綿含有成形板等が著しく劣化していたり、地震等により破損等していたりする場合など、原形のまま取り外すことが困難な場合であり、油圧破砕機や電動丸鋸又はドリル等の機械工具を使用する場合は、十分に湿潤化すると共に、必要に応じて養生の設置及び高性能真空掃除機により粉じんを吸引することが必要である。なお、電動工具を用いて石綿等の切断等を行う場合、原則として除じん性能を有する電動工具を使用するとともに、呼吸用保護具については、電動ファン付き呼吸用保護具(漏れ率に係る性能区分がS級であり、ろ過材の性能区分がPS3又はPL3のものであり、かつ、呼吸用保護具の製造事業者により指定防護係数が300以上であることを証明する型式に限る。)又はこれと同等以上の指定防護係数を有する呼吸用保護具を使用すること。マスク通達第1の5に定めるところにより、1年以内ごとに1回、フィットテストを行うこと。また、電動工具を用いない場合において、呼吸用保護具は表6.1.2の区分①~③(電動ファン付き呼吸用保護具又はこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器、酸素呼吸器もしくは送気マスク又は取替え式防じんマスク(RS3又はRL3))を使用する必要があることに留意する。(注意事項)・作業前に、専用の作業衣に着替え、石綿則に定められている呼吸用保護具を使用する。・石綿含有成形板等の廃棄物は、作業区域内の保管場所に集積する。一箇所に高く積み重ねないようにし、高所での作業では作業進捗にあわせて地上に降ろす。・高所からの移動は、揚重機等を使用するなどし、石綿含有成形板等を高所から投下してはならない。・作業終了時には石綿含有成形板等と他の建材が混ざらないように、取り外した石綿含有成形板等は丁寧にプラスチック袋又はシートにより梱包する。192・養生の撤去にあたっては、シート等を十分に清掃する。石綿繊維の付着が考えられる仮設足場材等には、汚れをぬれ雑巾等により取り除いた後、場外へ持ち出す。1)石綿含有スレート波板(外装材)の取外し作業の例石綿含有スレート波板の接合部分及び固定部分の建材が工具等によりできるだけ破損、破壊されないように、フックボルト、釘等を除去又は切断し、建材全体が破断、損傷しないように丁寧に取り外すことにより撤去する(図4.11.7)。原形のまま手作業で取り外す除去作業は発じん性は低いが、劣化損傷した石綿含有スレート波板をやむを得ず発じん機械工具により切断等を行う場合は、石綿繊維が飛散・漏えいしないように外部足場をパネル、シート等によりできるだけ隙間のないように塞ぎ、発生する粉じんを高性能真空掃除機で吸引しながら行う等の措置を講じる。破断や破損しやすい接合部分及び固定部分周辺は、湿潤な状態にしておくことが望ましい。やむをえず切断や破砕を伴う場合は粉じん飛散の程度に応じて適量の散水等を行う。図4.11.7機械工具による切断例屋根スレート止め金物切断屋根スレート取外し壁金物取外し壁石綿含有成形板取外し図4.11.8高所作業車を使用し屋根スレートを除去した例1931942)石綿含有住宅屋根用化粧スレート等(外装材)の取り外し作業の例石綿含有住宅屋根用化粧スレート等の除去に先立ち、後付された外部設備、笠木、樋、金属類、コーナー材等を除去する等、施工時と逆の手順で行う。シーリング材等が施工されている場合は、先行して縦・横目地部のシーリング材をカッター等で切断し、除去する。タイル張り仕上げの裏打ち材として使用されている箇所等で分離することが困難な場合は、できるだけ破損させないで除去するが、やむを得ず切断等を行う場合は、石綿繊維の飛散防止として外部足場にパネル、シート等によりできるだけ隙間のないように塞ぎ、発生する粉じんを高性能真空掃除機で吸引しながら行う(図4.11.9)。手工具湿潤化固定部分の取外し※取外し※粉じん回収(高性能真空掃除機)集積※※2m以上の高所の作業では、原則、フルハーネス型墜落制止用器具をつけることが義務付けられているため、留意すること(5m以下の場合は胴ベルト型(一本吊り)を使用することもできる。)図4.11.9石綿含有住宅屋根用化粧スレートの除去状況3)石綿含有押出成形セメント板(ECP)取外し作業の例石綿含有押出成形セメント板の取外しは、原則、他の建材の取外しに先がけて行う。原則として手ばらしとし、やむを得ず油圧式圧砕機等により破壊しなければならない場合は、石綿の発じん防止と飛散養生を行う。【縦張り工法】縦張り工法の場合、上部から取付金物であるZクリップを外し、外部足場側で、手で支えながらECPを傾け、吊り上げ治具を付けてから下部のZクリップをゆるめ、引き上げた後に静かに地上におろす。出典:押出成形セメント板協会石綿含有押出成形セメント板の解体等工事における石綿対策図4.11.10石綿含有押出成形セメント板(ECP)取外し作業のイメージ図【縦張り工法】【横張り工法】横張り工法の場合、吊り上げ治具を先に付け、4ケ所のZクリップのポルトを外してECPを引き上げた後に静かに地上におろします。出典:押出成形セメント板協会石綿含有押出成形セメント板の解体等工事における石綿対策図4.11.11石綿含有押出成形セメント板(ECP)取外し作業のイメージ図【横張り工法】1954)石綿含有ビニル床タイルの除去作業の例石綿含有ビニル床タイルは、建築物の床面及び階段によく使用されており、接着剤等で固定されているため、剥がし作業では粉じんの出ないよう、バール、ケレン棒、電動ケレン(ペッカー)等で剥がす。当該建材は、切断等することなくそのまま取り外すことができないため、既存建築物の窓・ドア等の開口部を先にテープで目張り養生をし、飛散防止に努める。また、当該除去作業は、全体の作業手順において、はじめの方(目張り養生ができる期間)に実施することが望ましい。石綿含有ビニル床タイル面の湿潤化については、転倒災害等の防止の観点から、事前に計画し慎重に行う必要がある。剥がした石綿含有ビニル床タイルの小口や破断面等を湿潤化した後、養生シート等で梱包し、石綿含有産業廃棄物として、他の産業廃棄物とは区別して、保管する。作業場内の清掃は高性能真空掃除機を使って行う。作業場内で使用した作業衣、工具等は、濡れ雑巾で丁寧に拭き取り、又は高性能真空掃除機で清掃した後、場外へ持ち出す。5)石綿セメント管の除去図4.11.12石綿含有ビニル床タイルの除去例水道管や雨水・汚水排水管、温泉等の排水管として利用されている石綿セメント管の撤去工事は、切断を避け継手部で取外すことを基本とする。やむを得ず、石綿セメント管を切断、破砕を行う場合は、散水等により湿潤化し、外周に飛散防止のシート養生を行ったうえで作業する。撤去した石綿セメント管は、シート等で梱包し、石綿含有産業廃棄物として他の産業廃棄物と区別して保管し、切断等による切りくず等から粉じんの飛散のおそれがある場合には湿潤化の上、シート等で梱包するか、ふたのある容器に入れる等の措置を行う。図4.11.13石綿セメント管の除去水道用石綿セメント管の撤去作業等における石綿対策の手引き参照https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/watersupply/topics_bukyoku_kenkou_suido_topics_sekimen.html1966)石綿を含有したパッキン等のシール材等の取外し方法①石綿を含有したパッキン等のシール材等の取外し配管等のつなぎ目に用いられる石綿を含有したパッキン等のシール材等(以下「シール材等」という。)の取外しについては、原則として湿潤化し、破損、破断しないようにする。固着が進んだ配管等のシール材等については、十分に湿潤化させ、グローブバッグ等により部分隔離するなどの方法で除去する。≪シール材等の取り外し作業≫1.シール材等の取外し作業においても、石綿則の規定である、石綿作業主任者の選任、石綿取扱いに関する掲示、喫煙・飲食禁止の表示、呼吸用保護具の着用、湿潤化、作業の記録、石綿健康診断等が適用されるので注意する。2.シール材等は、設置時期、使用状態(配管内に流れる液体等の流体、温度、圧力)等により劣化状態が異なり、取り外す箇所数にも関係してくるので、この状況を調査した上で、作業の計画を立てることが重要である。基本は、湿潤化による飛散防止と呼吸用保護具の着装による作業者のばく露防止措置となるが、場合によっては、集じん・排気装置の利用やグローブバッグによる部分隔離の措置が必要になることもあるので留意する。3.湿潤に使用する薬剤は水でもよいが、可能であれば、粉じん飛散抑制剤を用いて、発生する石綿繊維の発じんを抑制した方がよい。4.電動サンダーによる除去は、原則禁止であるが、除去対象の建材の劣化が著しく、固着したシール材など、配管のフランジ等から容易にとりはずすことができず、やむをえず、電動サンダー掛けで除去せざるを得ない場合は、作業区域を設定し、その区域を隔離する必要がある。また、労働者には隔離空間の内部で石綿等の除去等の作業を行う際に着用する呼吸用保護具及び保護衣等と同様のものを着用させる必要がある。なお、電動サンダー掛けの場合、事前に該当部位を直接湿潤な状態にすることは適切ではない。これは『船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル(第3次改訂)((財)日本船舶技術協会、2022年2月)』の参考資料5.のアスベスト飛散性実験報告書((社)日本作業環境測定協会)に記載されているが、湿潤化しない場合に比べて石綿繊維の飛散量が増加しているという実験結果に基づくものである。よって、隔離区域内において、電動サンダー掛けを行っている個所からすこし離れた位置で粉じん飛散抑制剤を散布し、石綿繊維濃度低減を図る必要がある。197≪シール材等を含む様々な石綿製品≫5.上記のシール材等を含め、石綿セメント管、ひも状石綿布、石綿含有ガスケット(ジョイントシート)、石綿紡織品(グランドパッキン)等シール材を含む様々な石綿製品についても当然石綿則の適用がある。図4.11.14様々な石綿製品198②ひも状石綿布、石綿含有ガスケット(ジョイントシート)、石綿紡織品(グランドパッキン)の除去ひも状石綿布、石綿含有ガスケット(ジョイントシート)、石綿紡織品(グランドパッキン)等(以下「石綿含有工業製品等」という。)は、耐火、耐薬品性能が要求される部位に使用されており、そのままの状態では飛散のおそれはないが、切断や掻き落とし等による作業では石綿が飛散する。このような作業を行う場合は、当該石綿含有工業製品等を湿潤化し、強度のあるシート等で飛散防止の養生を行い、できる限り手工具で石綿含有工業製品等を除去する(図4.11.15~4.11.17)。また、配管やダクト等の接合部の金物に挟み込まれている部分を残して切断する方法もあり、この場合は全体をプラスチックシートで梱包し、石綿含有廃棄物として処理する。【参考】施工例等ⅰ)配管やダクトのジョイント部分の石綿含有パッキンをそのまま処分する例電炉等で溶融無害化処理図4.11.15配管やダクトのジョイント部分の石綿含有パッキンをそのまま処分する例ⅱ)石綿含有パッキンを掻き落とし処分する方法図4.11.16除去隔離エリア図4.11.17掻き落とし除去作業の例199ⅲ)防油提のひも状石綿布の除去施工例防油提等の配管部に下記のような要領でひも状石綿布が施工されている。配管のひも状石綿布の施工方法は、スリーブ管があり隙間を埋めている場合と、直接コンクリートに打ち込み施工した場合とがある。この場合は、石綿布をそのままにしてコンクリートと配管を切断しシート等で飛散防止養生し、直接処分する。又は、除去隔離空間内でひも状石綿布を除去する。石綿等小口径配管貫通部の保護措置消防法危険物関係通達による(昭和52年11月14日)図4.11.18防油提のひも状石綿布の除去施工例ⅳ)配管用シートパッキン交換例トレー等で下部養生トレー等で下部養生図4.11.19防油提のひも状石綿布の除去施工例ⅴ)配管用シートパッキン解体・撤去例現場に設置した隔離空間内又は中間処理施設内に設置された隔離空間内でパッキン除去図4.11.20配管用シートパッキン解体・撤去例ⅵ)マンホール他のフランジ部のひも状の石綿含有パッキンが劣化し、原型を保つ状態で除去が困難な場合この場合は、湿潤化をして下部はトレー等で養生を行い、高性能真空掃除機で吸引しながら、スクレーパー等でフランジ部のパッキンを掻き落とす。除去したパッキンはプラスチック袋等に梱包し石綿含有廃棄物として処分する。2004.11.5除去作業の事後処理における留意事項(1)清掃、その他の処理取り外した材料は原則として湿潤化する。原形のまま取り外した材料は、原則として切断や破砕は行わず、原形のまま取り扱う。除去時にやむを得ず切断等をした場合も、それ以上の切断等は行わない。粉砕された石綿含有成形板等は飛散させないよう湿らせたおが屑等とともにはき集める。粉じんの飛散が多い場合は、エアレススプレイヤや噴霧器により水又は薬液を散布することが望ましく、その後、高性能真空掃除機にて清掃を行う。防音シートや防音パネルに付着した石綿を含む汚れを、濡れ雑巾や高性能真空掃除機にて十分に取り除いたあと、場外へ搬出する(図4.11.21)。作業床(足場)等の仮設機材についても、濡れ雑巾や高性能真空掃除機等で十分に粉じん等の汚れを取り除いたあと解体し、場外へ持ち出す。図4.11.21清掃高性能真空掃除機使用例(2)廃棄物の保管・運搬・処理場外へ運搬するまで現場に保管する場合は一定の保管場所を定め、他の産業廃棄物と分別して保管し、シート等で覆う等飛散防止の措置を行う(図4.11.22)。また、保管場所には、石綿含有廃棄物保管所であることの表示を行うこと。運搬車両は荷台全体をシート等で覆い、粉じんの飛散を防止するとともに、石綿等が入っていること及びその取り扱い上の注意事項の表示を下記に示すテープ等で行う。運搬の際にプラスチック袋が破損した場合には湿潤化する等飛散防止策を講じながら、新しい袋で梱包する。石綿含有けい酸カルシウム板第1種が切断・破砕されて廃棄物となったもの、除去時に用具又は器具等に付着した石綿含有廃棄物等については、フレキシブルコンテナや十分な強度を有するプラスチック袋等に梱包して廃棄物の露出がないようにすることが必要となる。図4.11.22石綿含有廃棄物の保管例201≪石綿含有廃棄物処理時の留意事項≫石綿則第32条第1項及び第2項の基づき、建築物等から除去した石綿等については、その後の運搬、貯蔵等の際に、石綿繊維が発散するおそれがないよう、堅固な容器を使用し、又は確実な包装を行い、個々の容器又は包装等の見やすい箇所に石綿等が入っていること及びその取扱い上の注意事項を表示しなければならない。また、その保管は、石綿則第32条第3項に基づき、一定の場所を定めておかなければならない。《平成29年6月9日基安化発0609第1号》貯蔵(保管)時には大きな包装にまとめている場合であっても、運搬時に大きな包装から取り出し、小分けの包装により運ぶのであれば、貯蔵から運搬まで一貫して他の廃棄物と区分できるよう、小分けの包装ごとに表示が必要である。なお、石綿等が入っていること及びその取り扱い上の注意事項の表示については、下図のような表示用の専用テープが市販されている。その他、廃棄物の保管や処理については廃棄物処理関係法令の規定も遵守する必要がある。図4.11.23石綿含有廃棄物表示テープ(日本建設業連合会推奨)例えばシステム天井の天井板をそのまま外したこと等により石綿繊維の発散のおそれのないものについては、平成17年3月18日付け基発第0318003号の「塊状であって、そのままの状態では発じんのおそれのないもの」に該当し、上記で述べた包装の必要はないが、保管にあたっては、場所を定めて保管する必要がある。除去した石綿含有成形板等を廃棄する際は、廃材を出来るだけ破砕することなく原形に近い大きさで運搬できるよう、十分な大きさのフレキシブルコンテナバッグや車両を用意する。《平成24年10月25日基安化発1025第3号》なお、成形板の定型の大きさ(1間×2間)のものをそのまま梱包できるよう、図のような1m×2m~3mの大きさのフレコンが市販されている。図4.11.241m×2m~3mの大きさのフレコンの例2024.12石綿含有仕上塗材の除去作業に係る石綿飛散防止対策建築用仕上塗材は、建築物の内外装仕上に用いられており、数十ミクロン程度の厚さの塗料とは異なり、数ミリ単位の仕上げ厚さを形成する塗装材料又は左官材料である。吹付け、こて塗り、ローラー塗りなどの施工方法によって、立体的な造形性を持つ模様に仕上げられることから、塗膜のひび割れや施工時のダレを防止するために、主材の中にクリソタイル、アモサイト、トレモライトが少量意図的に添加材として使用されていた時期がある。日本建築仕上材工業会会員会社が過去に販売した石綿含有仕上塗材の概要を表4.12.1に示す。表4.12.1に掲載されている軽量塗材は、吹付けパーライト及び吹付けバーミキュライトと通称されるもので、屋内の天井等に施工されている。これらは、「吹付け石綿」と整理され、除去に際し必要となる飛散防止措置も「吹付け石綿」に係る措置が必要となる。また、表4.12.1に掲載されていない可とう形改修塗材は、石綿を含有していない。可とう形改修塗材は、複層塗材の改修等用材料としてJIS化された材料であり、経年劣化した複層仕上塗材は可とう形改修塗材で既に改修等されているケースが多い。その場合、既存の複層仕上塗材の表層に石綿を含有していない可とう形改修塗材が施工されていることになる。したがって、可とう形改修塗材層のみを更に改修等する場合は、石綿等を除去する作業には該当しない。しかし、建築物の解体等工事を実施する場合は、既存の複層仕上塗材中の石綿の有無を確認する必要がある。石綿含有仕上塗材の主材中に含まれる石綿繊維は合成樹脂やセメントなどの結合材によって固められており、仕上塗材自体は塗膜が健全な状態では石綿が発散するおそれはない。しかし、石綿含有仕上塗材の除去に当たっては、これを破断せずに除去することが困難であるため、除去方法によっては含有する石綿が飛散するおそれがある。一方で、石綿含有仕上塗材の除去は、石綿の飛散レベルが著しく高い吹付け石綿や石綿含有耐火被覆材等の除去と比較すると、建材自体の発じん性、石綿の含有量、除去工法などが異なる。したがって剥離剤を使用した除去等、石綿を飛散させない適切な工法、養生などの措置を選択することにより、石綿の飛散を防止できる。仕上塗材のテクスチャーと層構成の例は、図4.12.1のとおりである。石綿含有の可能性があるのは、仕上塗材の主材及び下地調整塗材であり、その他の構成部分に石綿は含有されていない。下地調整塗材は、仕上塗材を施工する前処理としてコンクリート躯体の不陸部分等を平たんにする目的で塗付けられる材料であり、必ずしも全面に塗付けられていないことに注意が必要である。仕上塗材及び下地調整塗材に石綿が含まれるか否かを分析する場合は、それぞれの材料について石綿の有無を判別することが基本である。また、仕上塗材の改修等では上塗材の塗替えのみの場合、主材の劣化部分を除去する場合等があり、前者の場合は石綿除去に該当しないが、後者の場合は主材中の石綿の有無を判別する必要がある。また、場合によってはドライアウト等が原因となり、下地調整塗材と仕上塗材が一緒に剥離する劣化も起こる。したがって、改修等の場合の分析用試料の採取にあたっては、仕上塗材の劣化状態及び改修等工事の内容を理解した上で適切に計画する必要がある。公営住宅等で多用されるマスチック塗材や外壁用塗膜防水材にも石綿が含有している可能性がある。また、外壁用塗膜防水材はJISA6021(建築用塗膜防水材)の中で規格化されているため、「石綿含有成形板等」の作業基準が適用されるが、その除去は石綿含有仕上塗材の除去と同様の手法で実施されることから、石綿飛散防止措置については石綿含有仕上塗材に係る措置を実施すること。203塗材の種類(括弧内は通称)表4.12.1日本建築仕上材工業会会員会社が過去に販売した石綿含有仕上塗材の概要石綿含有量(%)販売期間薄塗材C(セメントリシン)薄塗材E(樹脂リシン)1981~19880.41979~19870.1~0.9外装薄塗材S(溶剤リシン)1976~19880.9可とう形外装薄塗材E(弾性リシン)1973~19931.5防水形外装薄塗材E(単層弾性)1979~19880.1~0.2内装薄塗材Si(シリカリシン)内装薄塗材E(じゅらく)1978~19870.11972~19880.2~0.9内装薄塗材W(京壁・じゅらく)1970~19870.4~0.9建築用仕上塗材複層塗材C(セメント系吹付けタイル)1970~19850.2複層塗材CE(セメント系吹付けタイル)1973~19990.1~0.5複層塗材E(アクリル系吹付けタイル)1970~19990.1~5.0複層塗材Si(シリカ系吹付けタイル)1975~19990.3~1.0複層塗材RE(水系エポキシタイル)1970~19990.1~3.0複層塗材RS(溶剤系エポキシタイル)1976~19880.1~3.2防水形複層塗材E(複層弾性)厚塗材C(セメントスタッコ)1974~19960.1~4.61975~19990.1~3.2厚塗材E(樹脂スタッコ)軽量塗材(吹付けパーライト注1))1975~19880.41965~19920.4~24.4建築用下地調整下地調整塗材C(セメント系フィラー)1970~20050.1~6.2塗材注2)下地調整塗材E(樹脂系フィラー)1982~19870.5出典:日本建築仕上材工業会ウェブサイトhttp://www.nsk-web.org/asubesuto/asubesuto_2.html#d注1)石綿含有吹付けパーライトは「吹付け石綿」に該当する。注2)建築用下地調整塗材は、本マニュアルでは仕上塗材として区分するが、法令上は石綿含有成形板等の作業基準が適用される。204【薄付け仕上塗材:砂壁状模様の例】解体の場合改修等の場合【厚付け仕上塗材(上塗材なし):吹放し模様の例】解体の場合改修等の場合【複層仕上塗材:凸部処理模様の例】場合改修等の場合解体の図4.12.1建築用仕上塗材のテクスチャー及び層構成の例2054.12.1石綿含有仕上塗材の除去における石綿飛散防止の考え方石綿含有仕上塗材の除去等作業については、令和2(2020)年5月の大気汚染防止法の改正により施工方法にかかわらず規制対象とされるとともに、作業基準が設けられ、仕上塗材特有の周辺環境への石綿飛散防止方法が示された。なお、石綿則においては従前から規制対象であったが、令和2(2020)年7月の石綿則の改正において、施工方法にかかわらず「吹付けられている石綿等」から除かれることとなり、仕上塗材の除去に係る措置が定められた。その他廃棄物処理法等による石綿の飛散防止対策を遵守する必要がある。石綿含有仕上塗材に係る具体的な措置としては、建築物等の解体等工事時には石綿有無の事前調査の実施及び都道府県等や労働基準監督署へ事前調査結果の報告を行い、石綿を0.1重量%超えて含有する場合は、建築物等の解体等工事時に石綿含有仕上塗材として除去を行い、廃棄物処理法に基づいて石綿含有廃棄物として処理する必要がある。石綿含有仕上塗材の解体等工事に係る大防法の規制には、作業計画の作成、各種掲示・表示、作業状況の記録・保存、作業完了の確認、作業の種類ごとの基準の遵守、事業発注者への説明等がある。なお、大防法第18条の17や石綿則第5条に基づく作業の実施の届出、安衛法第88条第3項の計画の届出は不要であるが、地方公共団体によっては条例等に基づき届出が必要な場合があるため、作業に際しては地方公共団体における取組み(条例等)の確認が必要である。また石綿則による作業の規制事項として、作業計画の作成及び作業者への周知、除去等に係る措置、石綿作業主任者の選任、保護具の使用、各種掲示・表示(一部は安衛則、通達)、除去に係る措置の遵守、記録の保存等があり、作業者は全員が石綿特別教育(石綿使用建築物等解体等業務特別教育)を受講している必要がある。また、立入禁止措置については、作業場を離れる時や帰宅する時においても作業場へ関係者以外が立ち入らないように封鎖をする。なお、上塗り作業等、現存する材料等の除去を行わない場合は、大防法及び石綿則の規制対象とならない。206207表4.12.2石綿含有仕上塗材の解体等工事における大防法・石綿則・廃掃法の規制項目大防法条項石綿則条項除去電動工具を使用しない電動工具を使用する事前調査の実施18条の15第1項(規則16条の5)3条要要作業計画の作成18条の14(規則16条の4第一号)4条要要作業、計画の届出――届出対象外届出対象外事前調査結果の報告18条の15第6項(規則16条の11)4条の2要要事前調査結果の掲示18条の15第5項3条要要その他掲示18条の14(規則16条の4第二号)15条他要要隔離養生(負圧不要)18条の14(規則別表第7の3)6条の3-※1要立入禁止措置―15条要要湿潤化等※218条の14(規則別表第7の3)6条の3、13条第1項要要清掃18条の14(規則別表第7)30条要要完了確認18条の14(規則16条の4第四号、五号)―要要石綿作業主任者―19条要要石綿特別教育―27条要要呼吸用保護具―14条防じんマスク又は電動ファン付き※3電動ファン付き保護衣等―14条専用の作業衣又は保護衣フード付き保護衣作業記録※418条の14(規則16条の8)35条要※4(3年保存、概要は40年)要※4(3年保存、概要は40年)廃棄物―廃掃法石綿含有廃棄物として処理石綿含有廃棄物として処理備考:「要」は法令上求められる措置を示す。※1粉じん飛散防止のために実施することが望ましい。※2石綿等の湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うこと※3剥離剤工法の場合、使用する剥離剤及び工程に合わせて送気マスク等の適切な呼吸用保護具を着用する必要がある。令和2年基安化発0817第1号を参照。※4下請負人による作業の記録は、工事が終了するまで保存(大防法施行規則第16条の4第三号)。4.12.2大防法及び石綿則における石綿含有仕上塗材の除去に係る措置石綿含有仕上塗材の除去作業については、大防法及び石綿則により石綿飛散防止措置等の措置が求められている(表4.12.3)。石綿含有仕上塗材の除去を行う際は、建材を湿潤な状態のものとすること、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置(剥離剤の使用を含む。)のいずれかの措置を行うことが求められる。この場合の湿潤化は、作業前に散水等により対象となる材料を一度湿潤な状態にすることだけではなく、切断面等への散水等の措置を講じるなど、作業中においても湿潤な状態を保つ必要がある。現場の状況等により、湿潤化を行うことが著しく困難な場合は、HEPAフィルタ付きの十分な集じん性能を有する電動工具を使用することや隔離養生(負圧不要)を行うことにより、飛散防止措置を実施すること。さらに、電気グラインダー等の電動工具を用いて石綿含有仕上塗材を除去する作業においては、隔離養生(負圧不要)に加えて、建材を常時湿潤な状態に保つこと、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置(剥離剤の使用を含む。)のいずれかの措置の実施が求められる。隔離養生(負圧不要)は、電動工具を用いて除去する工法が、石綿含有仕上塗材の特性上、高圧水洗工法や剥離剤工法に比べ十分な湿潤状態を保持できないため、破片や粉じん等が周辺へ飛び散るリスクを抑えるための措置である。なお、ここでいう電気グラインダー等の電動工具とは、ディスクグラインダー又はディスクサンダー(以下「電気グラインダー等」という。)を指し、高圧水洗工法や超音波ケレン工法は電動工具を使用する除去には含まれない。また、電動工具を使用する場合であっても、十分な集じん機能を有する集じん装置を使用する場合は、当該措置を湿潤化及び隔離養生(負圧不要)と同等以上の効果を有する措置と判断し、隔離養生を行わないことも可能である。高圧水洗工法、超音波ケレン工法等を用いる場合についても、各作業現場の状況に応じて湿潤化に加えて隔離養生(負圧不要)を行うことが望ましい。表4.12.3大防法及び石綿則における石綿含有仕上塗材の除去に係る措置大防法(大防法施行規則別表第7の3の項)石綿則(石綿則第13条、第6条の3)次に掲げる事項を遵守して建材を除去するか、又はこれと同等以上の効果を有する措置※を講ずること。除去する建材を薬液等により湿潤化すること。電気グラインダーその他の電動工具を用いて建材を除去するときは、除去を行う部分を事前に隔離養生(負圧不要)するとともに、除去する建材を薬液等により湿潤化すること※。除去後、作業場内の石綿を清掃すること。隔離養生(負圧不要)をした場合は、当該隔離養生を解くに当たって隔離養生内の清掃その他の石綿の処理を行うこと。石綿等を塗布し、注入し、又は貼り付けたものの解体等の作業(電動工具による除去は除く)を行う時は、石綿等を湿潤な状態のものとすること、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行わなければならない。電動工具を使用して除去する場合はビニルシート等で隔離養生(負圧不要)するとともに、建材を常時湿潤な状態に保つこと、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行わなければならない。※「除去する建材を薬液等により湿潤化すること」については、「除じん性能を有する電動工具を使用すること」を「これと同等以上の効果を有する措置」として取り扱って差し支えない。208図4.12.2集じん式電気グラインダー4.12.3石綿含有仕上塗材の除去作業手順平成28年4月に国立研究開発法人建築研究所及び日本建築仕上材工業会が作成した「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針」(以下「仕上塗材技術指針」という。)では、仕上塗材の処理工法として15種類の工法が挙げられている(それぞれの工法の詳細は仕上塗材技術指針を参照。)。①水洗い工法②手工具ケレン工法③集じん装置併用手工具ケレン工法④高圧水洗工法(15MPa以下、30~50MPa程度)⑤集じん装置付き高圧水洗工法(15MPa以下、30~50MPa程度)⑥超高圧水洗工法(100MPa以上)⑦集じん装置付き超高圧水洗工法(100MPa以上)⑧超音波ケレン工法(HEPAフィルター付き掃除機併用含む)⑨剥離剤併用手工具ケレン工法⑩剥離剤併用高圧水洗工法(30~50MPa程度)⑪剥離剤併用超高圧水洗工法(100MPa以上)⑫剥離剤併用超音波ケレン工法⑬ディスクグラインダーケレン工法⑭集じん装置付きディスクグラインダーケレン工法⑮その他(上記の工法と同等以上の効果を有する工法)手順は工法によって変わるため、ここでは高圧水洗工法(④~⑦)、剥離剤を用いる工法(⑨~⑫)、電気グラインダー等を使用する工法(⑬、⑭)の3種類の工法について、手順を示す。なお、都道府県等や労働監督基準署への報告等も含めた全体の流れは4.2.4を参照すること。209210○高圧水洗工法の作業手順図4.12.3高圧水洗工法の手順確保吸引装置の排気はHEPAフィルタを通して排出(超)高圧ポンプ等除去装置:(超)高圧ポンプ、吸引装置(専用車両含む)排水処理装置:排水沈殿ろ過槽、汚泥貯留槽取り残しの確認除去した塗材及び水は回収して固液分離施工記録作業員の作業記録完了最終清掃水はろ過して排水電動ファン付き又は取替え式防じんマスク(RS3又はRL3)専門の作業衣又は保護衣211○剥離剤を用いる工法の作業手順図4.12.4剥離剤を用いる工法の手順確保噴霧装置は吹付け施工する場合に設置取り残しの確認(負圧不要)集施工記録作業員の作業記録最終清掃完了適切な呼吸用保護具※を使用専用の作業衣又は保護衣、保護手袋を着用212○電気グラインダー等※1を使用する工法の作業手順図4.12.5電気グラインダー等を使用する工法の手順確保(負圧不要)※1電動工具による石綿等の切断等を行う場合は、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあることや電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する。やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、安衛則第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にすること。(負圧不要)取り残しの確認施工記録作業員の作業記録最終清掃完了電動ファン付き(PS3又はPL3)と同等以上の呼吸用保護具の使用フード付きの保護衣、保護手袋を着用※2除じん性能を有する電動工具の使用を行う場合、常時湿潤化の措置は不要。4.12.4石綿含有仕上塗材の除去作業における留意事項(1)処理工法の選定処理工法の選定においては、以下に留意すること。①可能な限り粉じんの発生しない、又はより発生量の少ない工法を選定する。②狭小部、入隅部、出隅部など(平面部でない部分をいい、窓や柱型、軒先部分がある)工法によっては除去できない部位がある。例えばディスクグラインダーを用いる場合は、刃が当てられない入隅部などは除去できない。この場合、他の工法(高圧水洗工法や超音波ケレン工法等)を併用して除去を行う必要がある。複数の工法を併用する場合、適切な粉じん飛散防止措置が実施されるよう十分留意すること。③集合住宅等において外壁の改修等工事を行う際、基本的に当該建築物に住民が居住した状態で改修等工事が行われる事例が多い。このような居住等している建築物の改修等工事は、居住空間に粉じん等が漏れないよう養生を実施する、集じん装置付きの工具を使用する等石綿の飛散防止措置の実施において十分に配慮する必要がある。なお、これらの留意点は石綿飛散防止の観点からであり、石綿含有仕上塗材の改修等工事にあたっては、既存の石綿含有仕上塗材層の部分除去を適切に行うことが非常に重要である。例えば、剥離剤を利用して既存の石綿含有仕上塗材を除去した場合に、残存する剥離剤が新しく施工する仕上塗材に悪影響を及ぼす場合がある。また、残存する剥離剤を揮散させるためには一定期間が必要になる。したがって、仕上塗材の改修等の場合は、改修材料・工法の内容を把握して改修等工事に悪影響を与えないよう配慮することが重要である。(2)作業計画の作成事前調査の結果、石綿含有仕上塗材が確認された場合には、大防法や石綿則に基づく届出は不要であるが、作業計画を作成する必要がある(表4.12.2参照)。作業計画の作成については、4.4「作業計画の作成」を参照すること。なお、都道府県等によっては、条例等に基づき届出が必要な場合があるため、作業に際しては都道府県等における取組の確認が必要である。(3)飛散防止措置について1)湿潤化等処理工法ごとの湿潤化の留意点は以下のとおりである。なお、湿潤化が著しく困難な場合は、十分な集じん機能を有する局所集じん装置を使用して除去を行う等により、石綿等の粉じんの飛散を防止する措置を講じる。①高圧水洗工法水による湿潤化と仕上塗材の除去が一体的に行われる工法である。ただし、排出される水を回収し、廃水処理を行う必要がある。また、高圧作業に対する安全上の配慮を行うこと。②剥離剤を用いる工法剥離剤を用いることにより、作業基準で求められる湿潤化等を実施していると考えられる。③電動工具を使用する工法電動工具による石綿等の切断等を行う場合は、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあることや電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する必要がある。なお、やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、安衛則第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り213水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にする必要があること。除じん性能を有する電動工具の「除じん性能を有する」とは、HEPAフィルタ又はこれと同等以上の性能を有するフィルタを備えた集じん機を用いることが含まれる。なお、除じん性能を有する電動工具の使用に当たっては、正しく使用されなければ石綿等の粉じんの発散低減効果が発揮されないため、取扱説明書等に従い、適切に使用するとともに、フィルタの交換等適切なメンテナンスを定期的に行う必要がある。また、石綿等が付着した電動工具の持ち出しを防ぐため、石綿則第13条第2項で規定する容器の備え付け及び同令第32条の2第1項に規定する付着した石綿の除去等の措置を行う。④下地調整塗材を除去する際の湿潤化石綿を含有する下地調整塗材※を除去する場合は、湿潤化を行う必要がある。湿潤化の実施方法は上記①~③と同様である。※石綿を含有する下地調整塗材は、石綿含有成形板等に区分される。原形のまま取り外すことは困難であるため、湿潤化が必要となる。2)隔離養生について(電気グラインダー等を使用する工法)電気グラインダー等を使用して除去を行う場合は、常時湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置に加えて隔離養生(負圧不要)の措置が必要となる。隔離養生(負圧不要)の方法は、石綿含有けい酸カルシウム板第1種の切断等による除去を行う際の隔離養生(負圧不要)と同様であり、石綿繊維の飛散や周辺で作業している作業者へのばく露を防ぐため、作業場の周囲及び上下をビニルシート、防炎シート、防音シート、防音パネル等で囲うことである。隔離養生では、セキュリティゾーンの設置や集じん・排気装置の設置による負圧化までは必要ない。屋内で隔離養生(負圧不要)を行う場合は、天井裏や内壁裏に隙間が無いことを確認し、壁貫通部等の開口部がある場合は隙間をあらかじめプラスチックシート等で養生する。窓、換気口、空調吹出口等の開口部は目張りし、出入口はプラスチックシート等を垂らして飛散を防止する。床面も除去した建材の破片回収等のため、プラスチックシート等で養生を行う。また、汚れ防止等のため、壁面についてもプラスチックシート等で養生することが望ましい。屋外で隔離養生(負圧不要)を行う場合は、建物側及び上下は通気性のないシート(プラスチックシート等)を使用し、外周側は除去等のために設置した足場に通気性のないパネル(防音パネル等)又は通気性のないシートを使用する。シート又はパネル間の処理については、目張りまでは求めるものではない。出入口はプラスチックシート等を垂らして飛散を防止する。また、屋内外において、狭所のみに施工された石綿含有仕上塗材を除去する場合等は、グローブバッグを用いて隔離養生を行うことも可能である。グローブバックを用いる際の措置方法は、4.10.1を参照。なお、隔離養生(負圧不要)に使用した防炎シートや防音シート、防音パネル等は、高性能真空掃除機等で清掃をしたのち、再度使用することも可能である。3)湿潤化及び隔離養生と同等以上の効果を有する措置集じん装置付きの工具を使用する工法については、十分な集じん機能を有する集じん装置を使用する場合は湿潤化及び隔離養生(負圧不要)と同等以上の効果を有する措置と判断しうる工法と考えられる。十分な集じん機能を有することを判断するための要件としては少なくとも以下を全て満たした上で、湿潤化及び隔離養生(負圧不要)と同等以上の粉じん飛散防止効果があることを個々の現場ごとに示す必要がある。✓集じん装置を備えたカバー付きの工具であること✓集じん装置はHEPAフィルタを有し、集じんした石綿等が作業空間その他外部環境に漏出しないこと✓当該集じん装置付き工具の集じん性能として、作業中の作業場所の総繊維濃度が0.15本/cm3(作業環境の石綿管理濃度)を下回ることが示されていること214事業者は上記要件に合致する工具であることの説明が行えるよう、工具の性能等を証明するデータ等を整理して記録を作業中保持し、作業後も除去作業の記録として3年間保存しておくことが必要である。なお、作業場所の総繊維濃度に関する要件は、個別の機器ごとではなく、同能力の型式ごとに実験データ等から判断して差し支えない。また、湿潤化及び隔離養生(負圧不要)と同等以上の効果を有する措置として、石綿含有吹付け材等を除去する場合に実施する負圧隔離養生の措置を採用することも可能である。4)その他の措置について電動工具を使用しない場合の作業においても、建物が隣接している場合等周辺の状況によっては外周を防炎シート、防音シート、防音パネル等で養生するといった飛散防止措置を実施することが望ましい。(4)廃棄物の処理除去した石綿含有仕上塗材は、廃棄物処理法及び地方公共団体の定める条例等の規制に基づき、石綿含有廃棄物として適切に保管・運搬・処分を行う(詳細は「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」参照)。排出事業者は、石綿含有産業廃棄物の飛散を防止するため、石綿含有産業廃棄物が運搬されるまでの間、次の措置を講ずる。(1)荷重により変形又は破断しないよう整然と積み重ねる。(2)飛散しないようシート掛けする、梱包する等の対策を講ずる。石綿含有仕上塗材が廃棄物となったものは、石綿含有廃棄物の中でも石綿の飛散性が比較的高いおそれがあることから、基準で求める飛散防止のために必要な措置として、確実な梱包を行うことが必要である。さらに、廃棄物の性状が粉状又は汚泥状であるため、袋の破損等が起こると廃棄物が流出する蓋然性が高いものであることから、確実な梱包として、排出時に耐水性のプラスチック袋等により二重で梱包を行うこと。また、梱包の前に固型化、薬剤による安定化等の措置を講ずることが望ましい。また、除去時に用具又は器具等に付着した石綿含有廃棄物等については、十分な強度を有するプラスチック袋等に梱包して廃棄物の露出がないようにすることが必要となる。(5)処理工法ごとの留意事項1)高圧水洗工法水を使って除去するため、未処理の廃水が作業場外へ流出・地下浸透しないようすべて回収し、適切に処理した上で放流する必要がある。回収した廃水は、凝集剤などを用いて泥分を沈殿させ、上澄み水はろ過後下水道等に放流する。沈殿物は、吸収剤などを用いて吸着させるか、セメントにより固化して、石綿含有廃棄物として廃棄物処理する。廃水処理の事例については、仕上塗材技術指針の巻末の付録の付5.及び付6.を参照。周囲への水の飛散による汚染を防ぐため、周囲の養生を実施することが望ましい。また、廃水を全量回収するため、床面は防水シートで養生し、シートの端部を立ち上げる等して廃水の流出を防止する(図4.12.6)。集じん装置付き超高圧水洗工法は、作業場所からの飛散というより、吸引バキューム排出口及び排水処理装置からの飛散に注意を要する。吸引バキュームの排出口の先にHEPAフィルタ付き集じん・排気装置を設置する等により飛散防止を図る(図4.12.7)。廃水処理装置のノッチタンク等から除去した石綿含有仕上塗材等を廃棄物として取り出す際の、タンク周辺にこぼれる廃水に含まれる石綿の飛散防止対策(床にこぼれた廃水の水分が蒸発することに伴う飛散)として、廃水処理装置全体を周囲が養生された空間内に設置し、こぼれた廃水は適切に処理する。215防水シート設置例周囲への飛沫飛散防止養生例(内部)防水シート立ち上げ部例周囲への飛沫飛散防止養生例(外部)図4.12.6防水シートの設置、飛沫飛散防止養生例HEPAフィルタ付き集じん・排気装置排気吸引バキューム車周囲の養生(プラスチックシート等)ノッチタンク等※凝集沈殿、pH調整等脱水汚泥は固形化等を実施吸引装置原水固液分離その他処理※処理水循環使用又は放流防水堤廃水処理設備(例)図4.12.7高圧水洗工法における排気処理及び廃水処理(イメージ図)2162)剥離剤を用いる工法仕上塗材の種類によっては、剥離剤の剥離効果が期待できない場合がある。一般的に、無機系材料が結合材となっている仕上塗材を剥離剤によって軟化させることは難しい。そのため、剥離剤を用いる工法を選択する場合は、必ず事前に試験施工を実施して次のことを確認する。✓剥離剤の有効性(仕上塗材等の構成層(上塗材、主材)のどの部分を軟化して完全に除去できるか)✓剥離剤の使用量、除去開始までのオープンタイム(周辺温度によって異なる。また、揮発を防ぐ目的で剥離剤塗付壁面にシートをかぶせることは有効である。)✓有機溶剤中毒等のおそれ(換気、防毒マスク着用の検討)✓臭気の影響✓作業性など剥離剤併用手工具ケレン工法の場合、剥離剤を塗布後の放置時間を間違えると、表層だけ剥離し、結果としてケレンで掻き落とす際に石綿含有層の湿潤化が不十分になることに注意が必要。建築物の壁面改修等で既存の石綿含有仕上塗材が除去されずに、何層にも上塗りされている事例がある。このような場合は、完全に軟化することが困難な場合があるので注意が必要。除去後に微細な凹凸下地等に軟化した仕上塗材が残らないように注意が必要。剥離剤を使用するにあたっては、ジクロロメタン等の有害性の高い化学物質を使用しないよう、剥離剤の選択にも十分留意する必要がある。詳細は下記「(7)粉じん・有機溶剤のばく露防止措置」を参照。3)電動工具を使用する工法電動工具による石綿等の切断等を行う場合は、石綿等を湿潤な状態にした場合においても高濃度の粉じんが発散するおそれがあることや電動工具を使用中に散水等を行うことによる感電のおそれがあることから、原則として除じん性能を有する電動工具を使用する必要がある。やむを得ず除じん性能を有していない電動工具を使用する場合は、安衛則第333条に規定する漏電による感電の防止措置を講じた上で、電動工具に可能な限り水が直接かからないように留意しつつ切断面等に水を噴霧することにより石綿等を常時湿潤な状態にする必要がある。集じん装置付きディスクグラインダーケレン工法等の電動工具を使用する工法は、長時間の作業や広い範囲の除去作業を行っていると作業者への負荷が大きくなるため、適切な施工を担保する上で注意が必要である。一般的に使用される集じん装置は、集じんダストの容量が3~5Lになると一杯になるため、定期的に掃除機内のダストを取り除く作業が発生する。そのため、集じんダストを回収するため周囲と隔離(隔離養生等)されたエリアを現場で確保する等の飛散防止対策を行う。(6)解体作業を伴う石綿含有仕上塗材の除去石綿含有仕上塗材の除去作業においては、建築物等の解体に当たりあらかじめ仕上塗材を除去することが著しく困難な場合等に、解体作業と合わせて除去を行う場合がある。たとえば躯体間の隙間が30cm以下であり養生の足場を組むことが困難な状態では、石綿含有仕上塗材を除去するための作業スペースを確保することが困難となる。このような状況下では、石綿含有仕上塗材を母材に付着させたまま外部壁面を解体し、解体後に母材から石綿含有仕上塗材を除去する工法も考えられる。ただし、このような場合においては、解体作業時及び母材から石綿含有仕上塗材を除去する作業時にも、それぞれ石綿飛散防止にかかる作業基準を遵守する必要がある。また、解体後に母材から石綿含有仕上塗材を除去することが著しく困難である場合は、母材と一体に廃棄することも考えられるが、その場合は混合廃棄物として、母材と石綿含有仕上塗材それぞれの種類の廃棄物の処理基217準を遵守する必要があることに留意する。【母材ごと解体する工法の事例】壁ごとカッター等で壁面を切断し、現場内で母材から石綿含有仕上塗材を除去又は、母材ごと廃棄する。実施にあたっては十分な作業床面積の確保が必要な点に留意が必要。壁ごとカッター等で壁面を切断する際及び、母材から石綿含有仕上塗材を除去する際にはその工法に応じて作業基準で求められる飛散防止措置を実施すること。なお、例えば崩壊しかけた建築物を解体する作業等、作業基準を遵守することが可能な状態ではない場合は、4.13「解体等にあたりあらかじめ石綿等を除去することが困難な場合」を参照すること。(7)粉じん・有機溶剤のばく露防止措置作業の難易度や選択した除去工法に応じて、必要な作業員の呼吸用保護具、保護衣などを使用する。剥離剤工法の場合、石綿だけでなく有機溶剤のばく露防止措置を行う必要がある。剥離剤に用いられている溶剤としては、ジクロロメタン等、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)や有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)による規制の対象となっている物質のほか、ベンジルアルコール等指定外の有害物質が含まれていることがあり、これまでに火災や中毒、化学やけどなどの事案が発生している。なお、ジクロロメタンを1%以上含有した剥離剤を使用する際は、特定化学物質障害予防規則に基づき特定化学物質作業主任者の選任等の対応が必要となる。剥離剤の選定にあたってはSDS(安全データシート)に記載されている事項を確認し、必要なばく露防止措置を行うこと。また、剥離剤を使用する作業における労働災害防止については、「剥離剤を使用した塗材の剥離作業における労働災害防止について(令和2年8月17日付け基安化発0817第1号、最終改正令和4年5月18日付け基安化発0518第1号)」が参考になる。化学物質を含有する剥離剤等を使用する場合は、4.12.6に示す安全衛生対策にも留意する。(8)除去後の確認作業石綿含有仕上塗材を除去した場合は、除去面を目視により確認し、取り残しの無いことを確認する。石綿含有仕上塗材の取り残し例については付録Ⅱを参照。改修等工事の場合は既存の石綿含有仕上塗材を完全に除去するとは限らない。その場合は、既存の石綿含有仕上塗材が下層に残存していることがわかるように記録を残す必要がある。既存仕上塗材層に石綿が含有されている場合は、解体時に除去する必要がある。4.12.5除去作業の事後処理における留意事項(1)清掃、その他の処理・清掃は、高性能真空掃除機にて行う。隔離養生(負圧不要)を行った場合は、エアレススプレイヤにより飛散防止処理剤等を散布することが望ましく、その後高性能真空掃除機にて清掃を行う。・プラスチックシート等についた石綿は、石綿含有廃棄物として廃棄する。・仮設機材は濡れ雑巾や高性能真空掃除機等で十分に粉じんの汚れを取り除いたあと解体し、持ち出す。・また、付着した石綿の除去が困難な物は、廃棄物処理法及び地方公共団体の定める条例等に基づき、適正に処理をする。(2)廃棄物の保管・運搬・処理石綿含有仕上塗材を除去した廃棄物は、石綿含有廃棄物として処分する。前項の水処理により沈殿した泥分も同様となる。また、隔離養生(負圧不要)したプラスチックシート等も石綿含有廃棄物が付着した廃棄物と218して同様に扱われる必要がある。石綿含有仕上塗材を除去した廃棄物は、石綿含有廃棄物の中でも石綿の飛散性が比較的高いおそれがあることから、保管・運搬の際には確実な梱包を行う必要がある。さらに廃棄物の性状が粉状又は泥状であり、袋の破損等が起こると廃棄物が流出する蓋然性が高いため、確実な梱包として十分な強度を有する耐水性のプラスチック袋で二重梱包する。また、乾燥により飛散性が増すことを防ぐため、梱包の前に粉じん飛散防止処理剤等の薬剤により安定化等の措置を講ずることが望ましい。場外へ運搬するまで施工区画内に保管する場合は一定の廃棄物保管場所を定め、他の産業廃棄物と区分して保管し、上記に示した梱包等による飛散防止の措置を行う。また、保管場所には、石綿含有廃棄物の保管場所であることの表示を行う。運搬車両は荷台全体をシート等で覆い、粉じんの飛散を防止するとともに、石綿等が入っていること及びその取り扱い上の注意事項の表示を4.11.5(2)に示すテープ等で行う。石綿含有仕上塗材が廃棄物となったものは二重梱包のまま運搬する。また、除去時に用具又は器具等に付着した石綿含有廃棄物については、十分な強度を有するプラスチック袋等に梱包して廃棄物の露出がないようにすることが必要となる。4.12.6その他の安全衛生対策その他の安全衛生対策として以下の点にも留意して作業を行う。(1)特定化学物質障害予防規則や安衛法に基づくリスクアセスメント等関係法令を遵守するなど、化学物質である剥離剤等による健康障害や危険を防止する。①化学物質リスクアセスメントの実施②リスク低減措置の作業員への周知③リスクアセスメントの結果及び安全情報シート(SDS)の作業場等への掲示もしくは備え付け(2)平成23年5月23日付け基安安発0523第1号「高圧洗浄作業における安全対策マニュアル」に示す内容にも留意し、高圧洗浄作業における危険を防止する。2194.13解体等にあたりあらかじめ石綿等を除去することが困難な場合地震等の災害により、建築物等が被災を受けた場合、応急危険度判定により立入禁止等の措置が講じられる場合がある。また、場合によっては、建築物等の解体を余儀なくされる。このように建築物等の一部が崩壊したり、傾いたりして、人が立ち入ることが危険な状態の建築物等を解体する場合等は、あらかじめ石綿含有建材を除去することが著しく困難なケースが存在する。このような場合は、大防法施行規則別表第7の五の項「作業が建築物等を解体する作業のうち、あらかじめ特定建築材料を除去することが著しく困難な作業」の下欄に掲げる措置(その建築物に散水するか、それと同等以上の効果のある措置)を講じることとする。具体的な措置としては、石綿の飛散を防止するための薬液等を散布し、建築物等の周辺をシートで覆い解体を行うこと等が考えられる。除去等作業が大防法施行規則別表第7の五の項に該当するか否かについては、災害時に限らず規則別表第7の一から四の項の下欄に掲げる作業基準を遵守することが可能な状態の建築物等かどうかを踏まえ、都道府県等が個別に判断する必要がある。よって、当該規定への該当が疑われる場合、作業実施の届出等において事前に都道府県等に該当の可否について確認する必要がある。なお、災害時における石綿の飛散防止対策全般については「災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル(第3版)令和5年4月」を参照すること。2204.14隔離を行う場合の作業場内の漏えい確認4.14.1漏えい確認用の機器の概要(1)パーティクルカウンターパーティクルカウンターは、空気中にある埃や微粒子などを計数する測定器である(図4.14.1)。微粒子からの光の散乱の強さを測り、その粒子の大きさに比例した光強度を電気信号として取り出すことで測定を行う。主な使用用途は、半導体のクリーンルームや製薬工場、食品工場並びに病院の手術室等の汚染源を特定するための機器として使用されている。一般的に濃度範囲は0~7,000万個/m3までである。クリーンルーム内の清浄度指標はISO14644-1で定められており、0.1μmの1m3当たりの個数を基準とし、ISOクラス1~ISOクラス9で分類される。半導体工場はISO1~ISO3に該当し、粒径を0.3μmとした場合、1,020個/m3以下(ISOクラス4)になるように管理されている。また、管理粒径を0.5μmとした場合、352個/m3以下(ISOクラス4)になるように管理されている。この方法で、集じん・排気装置の排気口内部の測定場所で簡易に粒子数を確認することができる。集じん・排気装置のHEPAフィルタを通過した排気中には粉じん粒子が殆ど含まれないが、フィルタの破損や、集じん・排気装置本体のビス等の緩み、歪みによる隙間、HEPAフィルタと本体の間のパッキンの劣化等による漏えいがあった場合には粉じん粒子数が増加し、短時間で漏えいの有無の判断が可能であり、異常が確認された場合には、速やかに現場へ情報をフィードバックすることにより作業を中断し、原因を確かめ、補修し、飛散拡大を防ぐことが出来る。測定は作業中、集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換した場合その他必要がある場合に随時実施するが、リアルタイムの連続測定を行うことが望ましい。具体的な操作方法、点検等については、パーティクルカウンターの取扱説明書に基づき行うとともに、定期的にメーカーで校正を受けた機器を使用することが望ましい。図4.14.1パーティクルカウンターの例(2)粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)粉じん相対濃度計は繊維状粒子のみを測定する機器ではないため、「繊維状粒子」と「非繊維状粒子」が空気中に存在する場合、その両方をカウントする。例えば集じん・排気装置の排気口の漏えいを確認する場合、もし漏えいがある場合は「繊維状粒子」と「非繊維状粒子」の両方が漏えいすると考えられるため、解体等工事の影響がない場所より多くカウントした場合は漏えいがあると判断できる。また、集じん・排気装置の排気口の内部で測定した場合は、作業開始前に確認した粉じんカウント数に対して、粉じんカウント数が増加した場合には、集じん・排気装置から漏えいを的確に把握することが可能である。異常が確認された場合には、速やかに現場へ情報をフィードバックすることにより作業を中断し、原因を確かめ、補修し、飛散拡大を防ぐことができる。粉じん相対濃度計の概観と構造図の例を図4.14.2、図4.14.3にそれぞれ示す。なお、集じん・排気装置の排気口の内部で測定する場合には、吸引ポンプ内蔵の粉じん相対濃度計を使用する。測定は作業中、集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換221した場合その他必要がある場合に随時実施するが、リアルタイムの連続測定機能に設定して測定を行うことが望ましい。具体的な操作方法、点検等については、粉じん相対濃度計の取扱説明書に基づき行うとともに、労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令(昭和47年労働省令第44号)第19条の24の4により登録を受けた者による校正を定期的に受けた機器を使用することが望ましい。図4.14.2吸引ポンプ内蔵の粉じん相対濃度計の例①採気口②散乱板③発光部④受光部⑤フィルタ⑥吸引ポンプ図4.14.3粉じん相対濃度計の構造の例(3)繊維状粒子自動測定器(リアルタイムファイバーモニター)繊維状粒子自動測定器は、位相差顕微鏡法(以下「PCM法」という。)とは基本的に異なる原理に基づく測定器であるが、現在市販されているいずれの測定器もその測定値は標準アスベスト繊維で校正されており、長さ5μm以上、幅3μm未満、アスペクト比3以上の総繊維数濃度をリアルタイム連続測定・記録が可能である。石綿除去作業場からの石綿の漏えい確認のために実施されるセキュリティゾーンの前と集じん・排気装置の排気口の出口付近での測定の場合、PCM法による測定ではリアルタイムの対応が不可能であるが、繊維状粒子自動測定器による測定では瞬時に漏えいを感知することが可能であり、設定した管理目標を超えた場合には警報音や警告表示による把握が容易に行え、石綿除去作業場の漏えい確認に適した方法である。集じん・排気装置の排気口内部で測定した場合は、作業開始前の一般環境大気中の総繊維数に対して、排気口内部の総繊維数が増加した場合には、集じん・排気装置からの漏えいを的確に把握することが可能であり、異常が確認された場合には、速やかに現場へ情報をフィードバックすることにより作業を中断し、原因を確かめ、補修し、飛散拡大を防ぐことが出来る。測定は作業中、集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換した場合その他必要がある場合に随時実施するが、リアルタイムの連続測定を行うことが望ましい。現在、我が国で市販されている繊維状粒子自動測定器の外観を図4.14.4に示す。具体的な操作方法、点検等については、各繊維状粒子自動測定器の取扱説明書に基づき行うとともに、メーカーで定期的に校正を受けた機器を使用する。図4.14.4繊維状粒子自動計測器の例(1)222図4.14.4繊維状粒子自動計測器の例(2)(4)マイクロマノメーター(精密微差圧計)マイクロマノメーター(精密微差圧計)とは、集じん・排気装置が適切に稼働し隔離空間の内部の負圧状態が適切に維持されているかを測定する装置であり、自動記録装置付きが望ましい(差圧は-2~-5Pa)。適切なマイクロマノメーターとして、0.1Paまでの表示があるものを選定する。取り扱いは説明書に従い、現場に対応したマニュアル(設置方法、管理方法や使用方法等)を作成し、作業者に周知徹底すること。特に、機器校正の頻度や現場での0(ゼロ)点調整を適切に行うこと。マイクロマノメーターの設置場所は、直射日光のあたる場所を避け、できる限り温度変化の少ない場所及び気流に影響されない場所に設置すること。作業場内・場外の測定用チューブの開口端の高さの違いが圧力に影響を与えるため、開口端と機器本体が極力同じ高さとなるように設置することが重要である。なお、精密機器であるため、使用しない場合の保管管理にあたっても取扱説明書に従い、また、メーカー等に依頼し定期的な校正を行うこと。(5)スモークテスター等図4.14.5マイクロマノメーター(精密微差圧計)例スモークテスターは、隔離空間の内部の負圧下での空気の流れや適切な負圧隔離養生が行われていることを確認するため使用する。使用するスモークテスターは白煙量が多いもので、集じん・排気装置への腐食の影響がないもの(塩化第二スズを使用していないもの)が望ましい。また、より広範囲の隔離空間の漏えいを確認するため、多量に白煙を発するスモークマシンを使用することもある。図4.14.6スモークテスター例図4.14.7スモークマシン例2234.14.2漏えい確認の頻度負圧隔離養生を行う際の隔離空間内からの漏えい確認は、作業開始前及び休憩時に行う。また、集じん・排気装置はフィルタの交換を行った際や装置を移動した際に隙間ができ、漏えいが起きる可能性があるため、それらの際にも漏えいがないことの確認を行う。(表4.14.1参照)これらの確認の結果は、記録し、作業完了後も保存しておく必要がある。表4.14.1漏えい確認の頻度漏えい確認確認の時期作業日の作業開始前備考除去等作業を行う日は、毎日作業開始前に確認する。隔離空間内からの漏えいがないことの確認(負圧の確認)作業中休憩時定期的に確認するとともに、作業を中断して作業者がセキュリティゾーンから退出した時点で確認する。異常時異常に対する原因確認、対策をした後も確認を行う。初日作業開始前除去等作業を行う初日の作業開始前に、全ての集じん・排気装置が適切に稼働することを確認する。各作業日の作業開始直後除去等作業を行う日は、毎日作業開始直後に稼働している全ての集じん・排気装置出口で確認を行う。集じん・排気装置からの漏えいがないことの確認※集じん・排気装置の移動時集じん・排気装置を移動させた際や集じん・排気装置に接触する等して衝撃を与えた際に、その集じん・排気装置出口で確認を行う。作業中集じん・排気装置のフィルタを交換した直後集じん・排気装置のフィルタ(一次又は二次フィルタ)を交換した際に、その集じん・排気装置出口で確認を行う。一次フィルタは3~4回/日程度、二次フィルタは1回/日程度交換する。異常時異常に対する原因確認、対策をした後も確認を行う。※表の点検頻度に係らず、作業中の漏えい確認は、石綿除去作業開始から作業終了までの間、漏えい確認用の機器を設置しておき、連続的に測定することが望ましい。2244.14.3スモークテスター等による漏えい確認除去等作業を行う日は、毎日、作業開始前にスモークテスターやスモークマシンを使用して隔離空間内部の負圧下での空気の流れや適切な隔離が行われていること、集じん・排気装置の排気用ダクトの接続部分の気流の漏れについて確認する。空気が滞留する場所がある場合は、サーキュレーターの設置や集じん・排気装置の設置位置・台数の見直しを行い、適切に集じん・排気が行われるようにした上で作業を再開する。鉄骨造の場合には様々な隙間があり得るので、隔離された作業場内全体が負圧になっていたとしても局所的に空気が漏えいしている可能性があるため、集じん・排気装置稼働後、入り隅部を重点に作業場内からの空気漏えいの有無を確認する(図4.14.8参照)。また、作業中も定期的にセキュリティゾーンの入口の気流方向を確認することが重要である(図4.14.9参照)。図4.14.8スモークマシンを使用した空気の流れの確認(集じん・排気装置設置時)セキュリティゾーンの入口の気流方向の確認4.14.4セキュリティゾーン出入り口の漏えい確認セキュリティゾーンの入口での漏えい確認は、次のいずれかの方法により行う。①セキュリティゾーンの更衣室内に設置したマイクロマノメーター(精密微差圧計)が示す数値により、負圧が保持されているか否かを定期的に確認し、記録する。差圧は、-2~-5Paを目安とする。マイクロマノメーターは、直射日光のあたる場所を避け、できる限り温度変化の少ない場所及び気流に影響されない場所に設置する。作業場内・場外の測定用チューブの開口端の高さの違いが圧力に影響を与えるため、開口端と機器本体が極力同じ高さとなるように設置することが重要である。②隔離外部からスモークテスターや吹流し等により、更衣室入口の気流が除去作業室方向に流れているか否かを定期的に確認し、記録する(図4.14.10~図4.14.13)。図4.14.10スモークテスターによる確認図4.14.11吹き流しによる確認225226作業場の差圧とセキュリティゾーン入口の風向①吹き流しの状況スモークテスターの状況セキュリティゾーン入口の風速(m/s)差圧(Pa)更衣室前室作業室内―(換気OFF)-0.3-0.3-0.20.33-0.6-1.0-1.0作業場の差圧とセキュリティゾーン入口の風向②吹き流しの状況スモークテスターの状況セキュリティゾーン入口の風速(m/s)差圧(Pa)更衣室前室作業室内0.51-1.0-1.8-2.00.54-1.0-2.4-3.0図4.14.12作業場の差圧とセキュリティゾーン入口の風向との関係例(1)227作業場の差圧とセキュリティゾーン入口の風向③吹き流しの状況スモークテスターの状況セキュリティゾーン入口の風速(m/s)差圧(Pa)更衣室前室作業室内0.64-1.2-3.1-4.00.82-1.8-4.0-5.0作業場の差圧とセキュリティゾーン入口の風向④吹き流しの状況スモークテスターの状況セキュリティゾーン入口の風速(m/s)差圧(Pa)更衣室前室作業室内1.34-2.9-5.1-6.0図4.14.13作業場の差圧とセキュリティゾーン入口の風向との関係例(2)4.14.5集じん・排気装置の排気口での漏えい確認4.7.2の集じん・排気装置の設置時の点検で「使用可能」と判断された集じん・排気装置の作業中の排気口での漏えい確認は、4.7.2と同様の位置でダクト内の排気を直接、又は導電性のシリコンチューブ配管等によりパーティクルカウンター、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)、繊維状粒子自動測定器(リアルタイムファイバーモニター)のいずれかの測定器に連結して粉じん濃度又は総繊維数濃度を測定し、漏えい確認用基準濃度及び初期濃度と比較することにより行う。排気口が高層部の窓等に設置されている場合は、接続した排気用ビニルダクトの排気口の先端から40cm程度の位置に設けたサンプリング孔※に排気風速を考慮して作成した測定用等速吸引ノズルを設置し、ダクト内の排気を導電性シリコンチューブ配管によりパーティクルカウンター、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)、繊維状粒子自動測定器(リアルタイムファイバーモニター)のいずれかの測定器に連結して測定することが望ましい。※ビニルダクトを保護し、排気風速を安定させるため、排気口の先端から60cm程度上流側までアルミ製のダクトを重ね、40cm程度の位置にサンプリング孔を設ける。なお、排気ダクト貫通パネルを使用することにより、ダクトの貫通部の漏えいを防止することができる(図4.14.14)。チューブ配管を使用した場合の排気ダクトの測定例を図4.14.15に、ダクト内の排気を直接測定する場合の測定例を図4.14.16に、等速吸引ノズルを使用した場合の排気ダクト内の測定例を図4.14.17に、排気ダクト内の測定時に警告灯を設置した例を図4.14.18に示す。図4.14.14排気ダクト貫通パネル例図4.14.15チューブ配管を使用した場合の排気ダクトの測定例228図4.14.16ダクト内の排気を直接測定する場合の測定例貫通パネルの排気側に等速吸引ノズルを設置図4.14.17等速吸引ノズルを使用した場合の排気ダクト内の測定例図4.14.18排気ダクト内の測定時に警告灯を設置した例229【参考】排気ダクト内からPCM法のサンプルを採取する必要がある場合は、B型フィルタホルダーを使用して、導電性のシリコンチューブをアルミダクト内に配管したサンプリング例B型ホルダー図4.14.19排気ダクト内からのPCM法サンプル採取例【集じん・排気装置の作業中の具体的な漏えい確認方法】①4.7.2の集じん・排気装置の設置時の点検で、設定された「初期濃度※」(集じん・排気装置稼働前に示している濃度)及び「漏えい確認用基準濃度」(集じん・排気装置稼働後に示している濃度)を確認する。※繊維状粒子自動測定器(リアルタイムファイバーモニター)の場合の「初期濃度」は、作業開始前に当該作業の影響を受けない一般環境大気中で30分間の測定を実施して表示された濃度とし、「漏えい確認用基準濃度」は0(ゼロ)f/Lとする。②警報音や警告表示、警告灯の点灯可能な測定機器を使用する場合は、「漏えい確認用基準濃度」を基準値として設定する。③作業開始直後にパーティクルカウンター、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)、繊維状粒子自動測定器(リアルタイムファイバーモニター)のいずれかの測定器で10分間継続して濃度を測定し、「漏えい確認用基準濃度」に対して濃度の上昇が見られないかを確認する。その後、作業終了までの間に定期的に確認を行う。④点検の結果は点検記録に記入し、保管する。(表4.14.2)⑤異常が確認された場合の対応は、4.14.6を参照。230231表4.14.2集じん・排気装置設置の作業中の点検記録表例【集じん・排気装置設置の作業中の点検記録】○点検日:年月日()○点検実施者氏名:○使用機器の名称・型式粉じん計測機器:スモークテスター:繊維状粒子自動計測器(リアルタイムファイバーモニター):○初期濃度:○漏えい確認用基準濃度:○点検時間①時分漏えい有り・漏えい無し②時分漏えい有り・漏えい無し③時分漏えい有り・漏えい無し④時分漏えい有り・漏えい無し⑤時分漏えい有り・漏えい無し⑥時分漏えい有り・漏えい無し⑦時分漏えい有り・漏えい無し⑧時分漏えい有り・漏えい無し○漏えい有りの場合の処置内容及び確認者(具体的に)確認者の氏名:4.14.6異常時の対応について作業中は非意図的な漏えいが生ずる可能性があるため、異常を確認した際は速やかに作業の停止及び原因の調査・対策を行うことが重要である。異常を認めたときは、直ちに石綿等の除去等の作業を中止し、ろ過集じん方式の集じん・排気装置の補修、フィルタの装着の不具合の修繕、集じん・排気装置の交換、セキュリティゾーンの出入口以外の空気の漏えい箇所の密閉等、異常の原因を改善するための措置など、必要な措置を行い、異常が解消される必要がある。これら異常が解消され、集じん・排気装置が正常に稼働し、排気口からの石綿等の漏えいがなくセキュリティゾーンが負圧に保たれる状態に復帰するまでの間、作業を中止する必要がある。作業中の漏えい確認において、集じん・排気装置出口の粉じん濃度の上昇や隔離空間内外の差圧の減少等の異常が見られた場合、直ちに作業を中断し、異常の原因を調査する。原因を解消した後、再度作業開始前と同様の点検を行い、集じん・排気装置出口の粉じん濃度が低下していることや負圧が確保されていること等を確認した上で作業を再開する。異常の内容、原因及び対策方法については記録を作成し、保管しておく。集じん・排気装置の排気口から石綿等の粉じんが漏えいしていることが確認された場合には、関係労働者にその旨を知らせるとともに、当該漏えいにより石綿等にばく露した労働者については、石綿則第35条第4項に基づく記録が必要となる。また、その漏えいが甚大であった場合は、関係行政機関等に通報し、必要な指示を仰ぐ必要がある。【集じん・排気装置の測定で異常があった場合の対応】①測定された粉じん濃度や総繊維数濃度が「漏えい確認用基準濃度」に対して濃度の上昇が見られ、「初期濃度」を超えた場合や、警報音や警告表示、警告灯の点灯があった場合は、集じん・排気装置及び排気系統に漏えいの可能性があると判断されるため、直ちに当該除去等作業場の石綿作業主任者あるいは現場責任者に連絡し、測定値を確認した後、作業を一旦停止する。また、直ちにスモークテスターの煙を漏えい箇所と考えられる部分に吹き付け漏えい箇所を確認・特定する。なお、当該測定が外部の測定機関で実施されている場合は、測定者は漏えいが確認された場合には直ちに当該除去等作業場の石綿作業主任者又は現場責任者にその旨連絡すること。②漏えい箇所が特定され、補修等の対策が実施された後、スモークテスターの煙を補修箇所に吹きかけ、パーティクルカウンター又は粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)のいずれかの測定器で測定し、漏えいが認められないことを確認後、除去作業を再開する。作業中の漏えい確認は、集じん・排気装置を使用する場所を変更した場合、集じん・排気装置に付けたフィルタを交換した場合その他必要がある場合に随時行うこととされているが、石綿除去作業開始から作業終了までの間、パーティクルカウンターや粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)、繊維状粒子自動測定器(リアルタイムファイバーモニター)を設置しておき、連続的に測定・確認することが望ましい。2324.15石綿含有建材の除去等作業が適切に行われたことの確認及び作業の記録解体等工事の元請業者及び自主施工者(以下「元請業者等」という。)は、石綿含有建材の除去等作業を行う際、作業完了前に除去等作業が適切に行われたことの確認を行わなければならない。除去等作業が適切に行われたことの確認は、①除去等作業において、作業計画どおりの飛散・ばく露防止措置がとられていたこと、②除去作業終了後に除去面に石綿の取り残しがないか(封じ込め又は囲い込みを行う場合は、適切な飛散防止措置がとられていること)、その他作業区域内へ破片の飛散や堆積粉じんがないかについて行う。大防法では、元請業者等の責務として、①及び②の確認終了後、確認したことを証明する記録を作成し、①と②の記録とともに特定工事終了後3年間保存する義務がある(元請業者の場合は、発注者に完了結果を書面で報告する必要があり、その書面の写しもあわせて保存する)。また、石綿則においても、事業者は作業計画に従って解体等作業を行わせたことについて写真その他実施状況を確認できる方法により記録し、当該石綿使用建築物等解体等作業を終了した日から3年間保存することとしている。本項では①の確認のために必要な記録、①及び②の確認内容のほか、確認したことを証明する記録の作成方法、発注者への報告事項や報告時期について解説する。4.15.1作業が適切に行われたことの確認の流れ除去等作業が適切に行われたことの確認の流れを図4.15.1に示す。計画どおり適切な飛散・ばく露防止措置がとられていたことの確認は、除去等作業によって周辺への石綿の飛散や作業者のばく露がないことを確認するため、解体等工事の責任者である元請業者等が行う。計画どおり適切な飛散・ばく露防止措置がとられていたことの確認のためには、作業計画の分担に応じて飛散・ばく露防止措置の内容等を記録しておく必要がある。日々の作業の記録は、当該作業の実施者が行い、解体等工事の終了まで保存しなければならない。解体等工事の元請業者等は、除去等作業の前・中・後において、適宜、日々の作業の記録の確認や現場の巡回により作業の状況を把握し、計画どおり適切な飛散・ばく露防止措置がとられていたことの確認を行う。除去等作業終了後、除去等作業の記録、確認を適切に行うために必要な石綿等に関する知識を有する者が行った石綿の取り残しがないことの確認結果を確認し、確認したことを証明する記録を作成してとりまとめる。石綿等に関する知識を有する者は以下の者である。・調査者等・除去等工事に係る石綿作業主任者解体等工事の元請業者等は、確認の結果を遅滞なく発注者に書面で報告するとともに、3年間保存しなければならない。保存にあたっては、発注者に報告した書面の写しも併せて保存する。これらの記録・確認の流れについて、参考として、石綿含有吹付け材等を切断等により除去する作業における記録・確認の例を図4.15.2に、石綿含有吹付け材の切断等を行わない作業における記録・確認の例を図4.15.3に示した。233234図4.15.1除去等作業が適切に行われたことの確認の流れ(除去等作業が下請負契約でなされる場合)※自主施工者に該当する一般個人が行う日曜大工などの軽微な改修等工事については、自ら確認を行うことができる。異常時等随時報告報告報告確認適宜確認確認報告報告確認を依頼【元請業者】除去等作業前・中・後の確認(4.15.2)除去等作業結果のとりまとめ【下請負人】作業計画に基づき作業を実施し、日々の作業を記録(4.15.2)作業の記録を元請業者に報告作業の記録は特定工事終了まで保存(大防法)自主点検記録は3年間保存、作業の概要や労働者の健康管理のための記録は40年間保存(石綿則)除去等作業後取り残しがなく飛散・ばく露するおそれがないことを確認(隔離作業の場合は隔離を解く前に確認:4.15.4)・除去等作業が適切に行われたことの確認の記録を作成し、発注者に報告(4.15.5)・記録(発注者に報告した書面の写しを含む)は3年間保存※労働者の健康管理のための記録は40年間保存(石綿則)【発注者】【確認を適切に行うために必要な知識を有する者※】(4.15.3)部位ごとに目視により取り残しがないことを確認除去等作業前掲示や必要な資機材等が正しく準備されているか、作業従事者が特別教育を受講しているか確認除去等作業中作業が適切に行われているか、下請負人が作成する日々の作業の記録等から適宜確認235●石綿含有吹付け材の切断等を行う作業における記録・確認の例<確認><作業等><記録>除去作業中元請業者が確認元請業者が適宜確認作業内容、事前調査結果等の掲示作業場の隔離、セキュリティゾーンの設置集じん・排気装置の設置除去作業前集じん・排気装置の点検・確認作業場内及びセキュリティゾーンの負圧確認掲示板の設置状況、記載事項特別教育の受講者名簿過去の受講記録特別教育隔離の実施状況、セキュリティゾーンの設置状況使用する集じん・排気装置の点検記録、設置状況集じん・排気装置出口の粉じん濃度測定結果隔離、負圧の確認遠景近景石綿含有建材の湿潤化集じん・排気装置の排気口から粉じんの漏えいがないことを定期的に確認石綿粉じんの処理・清掃作業者の入退出時の際等、隔離、作業場内及びセキュリティゾーンの負圧を定期的に確認石綿含有建材の除去使用器具等の付着物の除去又は梱包従事者の記録湿潤化に用いた薬液等、散布状況除去作業の方法、範囲、状況保護具等の着用状況隔離、負圧の確認集じん・排気装置出口の粉じん濃度測定結果集じん・排気装置のフィルタ交換等の状況除去された石綿の梱包・保管状況退出時の付着物の除去廃棄のための梱包の状況作業従事者の記録周辺作業従事者の記録除去前除去後必要な知識を有する者に依頼元請業者が確認除去作業後元請業者が確認取り残しがないことの確認使用した薬液等散布状況飛散のおそれがないことの確認結果発注者へ報告したことの記録を作成確認したことを証明する記録を作成作業場内の清掃状況清掃後:基本的に1回記録する事項:日々記録する事項:写真により記録する事項(最低限必要なもの)図4.15.2石綿含有吹付け材の切断等を行う作業における記録・確認の例確認を適切に行うために必要な知識を有する者による石綿の取り残しの有無の確認負圧隔離養生の解除発注者への報告除去部分・その他露出面への粉じん飛散防止処理剤(透明色)の散布石綿粉じん等の飛散のおそれがないことの確認作業場内の仕上清掃236●石綿含有保温材等の切断等を行わない作業における記録・確認の例<確認><作業等><記録>除去作業中元請業者が確認元請業者が適宜確認作業内容、事前調査結果等の掲示周辺の養生除去作業前掲示板の設置状況、記載事項特別教育の受講者名簿過去の受講記録特別教育養生の実施状況遠景近景石綿含有建材の湿潤化石綿粉じんの処理・清掃石綿含有建材の除去使用器具等の付着物の除去又は梱包従事者の記録湿潤化に用いた薬液等、散布状況除去作業の方法、範囲、状況保護具等の着用状況除去された石綿の梱包・保管状況付着物の除去廃棄のための梱包の状況作業従事者の記録周辺作業従事者の記録除去前除去後必要な知識を有する者に依頼元請業者が確認除去作業後元請業者が確認取り残しがないことの確認使用した薬液等散布状況発注者へ報告したことの記録を作成確認したことを証明する記録を作成作業場内の清掃状況清掃後:基本的に1回記録する事項:日々記録する事項:写真により記録する事項(最低限必要なもの)図4.15.3石綿含有保温材等の切断等を行わない作業における記録・確認の例確認を適切に行うために必要な知識を有する者による石綿の取り残しの有無の確認養生の解除発注者への報告除去部分への粉じん飛散防止処理剤の散布作業場内の仕上清掃2374.15.2作業の記録、確認及び記録の保存(1)作業の記録除去等作業の実施者は、作業計画の分担に応じて飛散及びばく露防止措置の内容等を記録しておく必要がある。日々の作業の記録は、当該作業の実施者(主に下請負人)が行い、元請事業者等は当該記録等から計画通り適切な飛散及びばく露防止措置がとられていることの確認を行う。解体等工事の終了後に保存する記録は、元請事業者等及び事業者がそれぞれ必要な項目を取りまとめ、保存する。作業の記録の実施者、記録事項及び保存期間は表4.15.1のとおりである。表4.15.1作業の記録の対象者、記録事項及び保存期間大防法による記録事項石綿則による記録事項●法第18条の14、施行規則第16条の4第三号・記録の実施者:元請業者、自主施工者及び下請負人・保存期間:工事終了後まで保存・記録事項✓特定粉じん排出等作業の実施状況(石綿含有吹付け材の切断等を伴う除去、封じ込め、囲い込み、石綿含有断熱材等の切断等を伴う除去及び封じ込めを行う場合は確認年月日、確認の方法、確認の結果及び確認者の氏名を含む)●石綿則第35条の2第1項・記録の実施者:全ての事業者・保存期間:工事終了後3年間・記録事項✓作業計画に従って石綿使用建築物等解体等作業を行わせたことについて、写真その他実施状況を確認できる方法により記録する✓当該石綿使用建築物等解体等作業に従事した労働者の氏名及び当該労働者ごとの当該石綿使用建築物等解体等作業に従事した期間✓周辺作業従事者※の氏名及び当該周辺作業従事者ごとの周辺作業に従事した期間※石綿の除去等作業を行っている場所において、他の作業に従事していた者●法第18条の23第2項、施行規則第16条の16・記録の実施者:元請業者又は自主施工者・保存期間:工事終了後3年間・記録事項✓特定工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名✓特定工事の元請業者又は自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所✓下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名✓特定工事の場所✓特定粉じん排出等作業の種類及び実施した期間✓特定粉じん排出等作業の実施状況(次に掲げる事項を含む。)➢元請業者等が、当該特定工事における特定建築材料の除去等の完了後に、除去等が完了したことの確認を適切に行うために必要な知識を有する者に当該確認を目視により行わせた年月日、確認の結果(確認の結果に基づいて補修等の措置を講じた場合は、その内容を含む。)及び確認を行った者の氏名➢石綿含有吹付け材等の切断等を伴う作業を行った場合は、負圧の状況の確認、集じん・排気装置の正常な稼働の確認(作業の開始前及び中断時並びに始めて作業を行う日の開始後)及び隔離を解く前の特定粉じんが大気中へ排出され、又は飛散するおそれがないことの確認をした年月日、確認の方法、確認の結果(確認の結果に基づいて補修等の措置を講じた場合は、その内容を含む。)及び確認した者の氏名●石綿則第35条・記録の実施者:全ての事業者・保存期間:従事者が当該作業に従事しなくなった時から40年間・記録事項(直接石綿の除去等の作業を行った者及び周辺作業従事者が対象)✓労働者の氏名✓従事した作業の概要(周辺作業従事者は他の者が従事した石綿の除去等作業の概要)✓作業に従事した期間✓作業に係る事前調査(分析調査を行った場合においては事前調査及び分析調査)の結果の概要✓上欄の記録の概要✓保護具等の使用状況(周辺作業従事者のみ)✓石綿等の粉じんにより著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が講じた応急の措置の概要具体的な記録事項や記録時期は、対象となる石綿含有建材と作業の方法により異なる。参考例として石綿含有吹付け材の切断等を行う作業における記録事項の例を表4.15.2~4.15.4に示す。作業の実施者は、これらの表を参考に除去作業の開始前、作業中、作業後のそれぞれの工程において、適宜確認に必要な記録を行う。記録事項は、作業の方法を踏まえて適宜加除する。なお、参考例は当該表を記録者自身又は確認者がチェック表として活用することも考慮し、確認欄を設けている。写真による記録については、撮影場所、撮影日時等が特定できるように記録する必要がある。また、写真その他実施状況を確認できる方法には、動画により記録する方法が含まれる。下請負人が作業を実施した場合は、除去等作業終了後、速やかに作業の記録を元請業者等に報告する。(2)作業が適切に行われたことの確認解体等工事の元請業者等や事業者は、除去等作業の前・中・後において、適宜、(1)の日々の作業の記録の確認や現場の巡回により作業の状況を把握し、計画どおり適切な飛散・ばく露防止措置がとられていたことの確認を行い、その結果を記録する。(3)記録の保存記録の保存期間は表4.15.1に示すとおりである。なお、これらの記録の保存は、電子データで保存することも可能である。238239表4.15.2石綿含有吹付け材の切断等を行う作業における記録事項の例(除去作業前)作業時期項目確認欄記録事項記録の時期記録の趣旨除去作業前1.掲示□掲示板(近景・遠景)作業実施の掲示、事前調査結果の掲示、関係者以外立入禁止の表示、石綿の人体に及ぼす作用・取り扱い上の注意事項・使用すべき保護具等の掲示掲示板の設置時~除去作業日の除去開始前・作業実施の掲示や事前調査結果の掲示は、周辺住民や作業者が、当該除去等作業の内容を把握するためのツールである。・関係者以外立入禁止の表示等は、石綿則に基づき表示・掲示が必要なものであり作業現場の見やすい箇所、作業者が見やすい箇所に表示・掲示する必要がある。・掲示板の内容が大防法・石綿則に規定する内容を満たしており(近景)、公衆や作業者の見やすい位置に設置されている(遠景)ことを示すために記録する。・写真による記録が必要。2.特別教育□特別教育の受講者名簿又は過去の受講記録入所時・適切な除去等作業の実施にあたり、除去等作業を行う者全員が、石綿の有害性、石綿等の使用状況等の特別教育を受けていることを示すために記録する。・3年間の記録の保存義務(安衛則)3.作業場の隔離、セキュリティゾーンの設置□隔離の実施状況、セキュリティゾーンの設置状況隔離、セキュリティゾーンの設置時・計画どおりの隔離措置がなされ、石綿等の粉じんがセキュリティゾーン(更衣室、洗身室、前室の3室)の設置により作業場外部へ飛散することの防止及び除去作業に従事する作業者等工事関係者以外の者の立入を遮断できていることを示すために記録する。・写真による記録が必要。4.集じん・排気装置の設置□【集じん・排気装置の設置】装置の型式、設置日時、設置者氏名、設置状況、適正稼働確認の方法、確認結果集じん・排気装置の設置時・HEPAフィルタを付けた集じん・排気装置が設置時に事前点検されており、粉じん濃度等の結果から正常に稼働することを示すために記録する。・作業場内の空気の溜まりや排気ダクトの圧力損失等がなく、適切に設置されていることを示すために記録する。・集じん・排気装置の型式や換気回数はパンフレット等、設置状況は写真や図面、適正稼働確認の結果は点検記録簿の写しがあるとよい。5.集じん・排気装置の点検、作業場及びセキュリティゾーンの負圧保持□【集じん・排気装置の適正稼働確認】確認日時、確認方法、確認結果、確認者氏名【作業場及びセキュリティゾーンの負圧】確認日時、確認方法、確認結果、確認者氏名除去作業日の除去開始前【集じん・排気装置の適正稼働確認】・設置時同様、除去作業日毎の除去開始前に集じん排気装置が適正稼働していたことを確認するために記録する。【作業場及びセキュリティゾーンの負圧】・除去作業日の除去開始前に作業場及びセキュリティゾーンの負圧が確保されていたことを確認するために記録する。・点検記録表があるとよい。確認年月日:年月日確認者:(所属)(氏名)240表4.15.3石綿含有吹付け材の切断等を行う作業における記録事項の例(除去作業中)作業時期項目確認欄記録事項記録の時期記録の趣旨除去作業中1.石綿含有建材の湿潤化□湿潤化に用いた薬液名、薬液の散布状況除去作業日ごと・粉じん飛散抑制剤が用途に対して適切に使用されていることを示すために記録する。・作業場所ごとに薬液名や散布状況が分かるものが必要。2.石綿含有建材の除去□除去作業の方法、作業範囲、状況除去作業日ごと・大気中への飛散や作業者へのばく露を防止するための措置がとられ、除去等作業が適切に行われていることを示すために除去等作業の方法、範囲、状況等の概要を記録する。・作業計画書の図面のほか、作業場所ごとに除去前後の写真、除去作業中の写真などが必要。3.作業場及びセキュリティゾーンの負圧保持□【作業場及びセキュリティゾーンの負圧】確認日時、確認方法、確認結果、確認者氏名除去作業日ごとに数回(入退出時等)・作業者の入退出時に負圧不備により石綿が飛散する事例があることから、除去等作業中においても、作業者の休憩時等の出入の際に正常に稼働していることを示すために適宜記録する。・点検記録表での記録が望ましい。4.集じん・排気装置の点検□□□【集じん・排気装置排出口の粉じん濃度】確認日時、確認方法、確認結果、確認者氏名【集じん・排気装置の運転時間】稼働していた時間【フィルタ交換等のメンテナンス記録】実施日時、実施内容、実施者氏名除去作業日ごとに数回(メンテナンスの記録は実施時、稼働時間は作業終了時)・除去等作業中においても、集じん・排気装置が正常に稼働していたことを示すために適宜(例えば作業の中断前後)記録する。・フィルタ交換等、メンテナンスが正しく行われていることを示すために記録する。(一般的には、1次フィルタは3~4回/日程度、2次フィルタは1回/日程度、HEPAフィルタは1次、2次フィルタを取り替えても目詰まりをおこす可能性のある場合(500時間程度)に交換する)・点検記録表での記録が望ましい。5.石綿粉じんの処理□除去された石綿の梱包及び保管状況、当該梱包への表示除去作業日ごと・除去した石綿を放置せずに、適切に表示、梱包、保管していたことを示すために記録する。・写真による記録が必要。6.使用器具等の付着物の除去又は梱包□使用した器具や保護具等を持ち出す際の付着物の除去の状況又はこれらを廃棄する場合の梱包の状況除去作業日ごと・石綿が付着したままの使用器具、保護具等を作業場外に持ち出すことは、石綿等の粉じんの飛散につながるおそれがあることから、使用器具、保護具等を作業場外に持ち出す際に付着物が除去されていたこと又は梱包されていたことを示すために記録する。・写真があると分かりやすい。7.保護具等の着用状況□保護具(呼吸用保護具、保護衣)の着用状況除去作業日ごと・作業者の石綿ばく露を防止するため、除去対象及び工法により指定された保護衣等の着用が必要であることから、除去等作業者が適切な保護衣、呼吸用保護具等を正しく用いていたことを示すために記録する。・写真による記録が必要なほか、資材表や点検記録があると分かりやすい。8.従事者の記録□除去等作業従事者及び周辺作業従事者の氏名、従事日時、従事した作業除去作業日ごと・石綿に関する健康被害は、長時間経過した後に発生することから、石綿等の取扱い作業に従事した者、周辺作業に従事した者の従事期間を示すために記録しておく必要がある。・40年間保存(石綿則)確認年月日:年月日確認者:(所属)(氏名)表4.15.4石綿含有吹付け材の切断等を行う作業における記録事項の例(除去作業後)作業時期項目確認欄記録事項記録の時期1.石綿の取り残しの有無□除去対象の石綿が適切に処理されたことの確認隔離解除前記録の趣旨・石綿を取り残したまま隔離を解除すると作業場外へ飛散するおそれがあるため、確実に除去されていることを確認し、記録する。4.15.3参照・取り残し確認の措置の実施状況及び当該確認を行った者の資格が確認できるものについて、写真等による記録が必要。□散布した薬液名、散布状況隔離解除前除去作業後2.除去部分への粉じん飛散防止処理剤の散布3.石綿粉じんの飛散のおそれがないことの確認□隔離内の石綿粉じん等の飛散のおそれがないことの確認日時、確認方法、確認結果、確認の実施者氏名、隔離空間内の清掃の状況隔離解除前・粉じん飛散防止処理剤(固化剤)が用途に対して適切に使用されていることを示すために記録する。・薬液名や散布状況が分かるものが必要。・何らかの方法で隔離解除の際に、隔離空間内に石綿等の粉じんがないことの確認を行ったことを示すため記録する。・確認結果報告書や清掃後の写真などが必要。4.作業場内の仕上清掃□作業場所の床又は地面等の清掃状況仕上清掃時・石綿が残留したまま以降の作業を進めることは石綿の飛散につながるおそれがあるため、作業場所の床や地面等が清掃されてたことを示すために記録する。・仕上清掃後の写真などが必要。確認年月日:年月日確認者:(所属)(氏名)2414.15.3石綿の取り残しがないこと等の確認方法石綿の除去作業において作業場内に石綿の取り残し等石綿が残存していたり、囲い込みや封じ込めの措置が正しくなされていない状態で隔離を解除すると、石綿が飛散するおそれがあるため、石綿の取り残しがないか(封じ込め・囲い込みの場合はこれらの措置が正しくなされているか)の確認を行う(以下「石綿の取り残しがないこと等の確認」という。)必要がある。石綿の取り残しがないこと等を確認するには、事前調査の際に確認した石綿含有建材が作業場から除去されているか否かの確認が必要であるため、建築物石綿含有建材調査者等(4.3.4参照)や当該施工に関わった石綿作業主任者等、確認を適切に行うために必要な知識を有する者に確認を依頼しなければならない。負圧隔離養生や隔離養生(負圧不要)が必要な作業においては、石綿の取り残しがないこと等の確認はそれらの解除・撤去前に実施する必要がある。(1)石綿の取り残しがないこと等の確認を行う者に提供する情報解体等工事の元請業者等は、石綿の取り残しがないことの確認を行う者に対し、事前調査等結果、作業計画及び作業記録を提示する必要がある。要求に応じて、部位ごとの建材リスト等を提供すること。また、施工上やむを得ず取り切れない範囲や、躯体等の解体開始後でないと石綿の有無が確認できず、除去を行っていない部分がある場合には、その旨を確実に伝える。(2)石綿の取り残しがないこと等の確認・記録の手順石綿の取り残しがないこと等の確認を行う者は、元請業者等から提供された事前調査結果、作業計画、作業記録、その他の伝達事項の突き合わせを行い、検査対象となる部位及び建材について整理する。その後、作業場で直接目視により石綿の取り残しがないこと等を確認し、その結果を記録する。作業を実施した石綿作業主任者が確認を実施する場合は、作業計画で除去等を行うこととしていた範囲全てについて、適切に除去等が行われていることを確認する。除去作業では、取り付け部分の母材や下地に石綿含有建材が残留せずに全て除去されていることを確認する。特に、入隅部や作業者の手が届きにくい箇所については、入念に確認すること。また、周辺の柱や梁の隙間等への落綿の有無や、除去部分に粉じん飛散防止処理剤が散布されているかについても確認を行う。煙突の断熱材等、直接目視できない箇所についてはCCDカメラなどを活用する。取り残しがないことの確認の前に粉じん飛散防止処理剤を散布すると、取り残しがあった場合の除去が困難になること、透明でない粉じん飛散防止処理剤を用いると確認に支障をきたすことから、除去面への粉じん飛散防止処理剤の散布は取り残しがないことの確認を行ったあとで行うことが望ましい。取り残しがないことの確認を行う前に粉じん飛散防止処理剤の散布を行う場合は、無色透明なものを使用する。封じ込めや囲い込みでは、施工記録をもとに、大防法の作業基準及び平成18年9月29日国土交通省告示1173号に従い措置が正しくなされているかの確認を行う。確認した結果は、写真や書面に記録し元請業者に報告する。取り切れていない部分や確認できなかった範囲がある場合には、適切に措置を行うよう、申し送り事項として報告書に記載しておく。なお、確認時に取り切れていない部分や確認できなかった範囲についても、除去等作業後においては、取り残しがないことを再度確認する必要がある。石綿の取り残しがないこと等を確認する上での確認事項を、表4.15.5に示す。242確認の範囲表4.15.5石綿の取り残しがないこと等を確認する上での確認事項確認事項解体等工事着手前に事前調査等を行った範囲における措置が適切であるかの確認・事前調査等で石綿含有建材と判定された建材に対して措置されているか(除去のほか、囲い込みや封じ込めの施工状況を含む。)【除去の場合】・吹付けされていた部分、取り付け部分に石綿が残留していないか(施工上やむを得ず取り切れない範囲については、解体工事実施時適切に措置を行うよう記録を残す。)・周辺の柱や梁等の隙間等に石綿が残留・落綿していないか・除去部分に粉じん飛散防止処理剤が散布されている場合は、無色透明のものが使用されているか【囲い込み・封じ込め】・石綿含有建材全てに対して囲い込み・封じ込めの措置が正しく実施されているか【共通】・清掃が実施されているか(除去部分周辺に石綿粉じん等が散乱していないか)解体等工事着手前に事前調査等で確認できなかった範囲における措置の確認・解体工事の着手後、除去等作業開始前に石綿含有建材の有無を確認しているか例)構造上解体してみないと確認できない部分(消火栓ボックスの裏側など)・除去等作業開始後に確認された石綿含有建材への措置が適切に実施されているか(確認・留意事項は上記と同様)・石綿の取り残しがないことを確認する者は、事前調査等結果及び除去開始後に追加で事前調査を行った範囲の調査結果をそれぞれ把握した上で取り残しがないことを確認すること。(3)石綿の取り残しがないことの確認の留意点1)除去面への再付着石綿含有吹付け材を除去した際、除去した面に作業で発生した石綿粉じんが付着し、噴霧した粉じん飛散抑制剤によって固まる場合がある。取り残しの確認を行う際は、これらの再付着した石綿がないことを確認し、石綿が残っている場合は除去を行う。粉じん飛散抑制剤により固まっている場合は、スクレーパカッターを使用して剥ぎ取る。図4.15.4除去面に再付着し残っている石綿の例図4.15.5再付着した石綿の除去2432442)ペースト状の石綿の取り残し石綿含有吹付け材を除去前に湿潤化し、皮スキ等の工具で除去した時、湿潤した石綿の一部がペースト状になりコンクリート表面に固化する場合がある。取り残しの確認を行う際は、コンクリート表面に石綿の取り残しがないことを確認し、石綿が残っている場合は除去を行う。ペースト状に固化したものは非常に硬く、一般の皮スキでは滑って除去できず、ワイヤーブラシでも除去できないため、スクレーパカッターや特殊たわしを用いて除去を行う。3)取り残し事例石綿含有建材の取り残し事例を付録Ⅱに整理した。取り残しの確認を行う者は、付録Ⅱの事例を参考として取り残しがないことの確認を行うこと。図4.15.6コンクリート梁の下端に石綿が残っている例図4.15.7梁の下の石綿の除去(スクレーパカッター)図4.15.8コンクリート壁面に残った石綿の除去(スクレーパカッター)図4.15.9コンクリート壁面に残った石綿の除去(特殊たわし)図4.15.10取り残しの除去の確認(4)封じ込めや囲い込みが正しくなされているかの確認における留意事項封じ込めや囲い込みが正しくなされているかの確認における留意事項を以下に示す。なお、封じ込めや囲い込み工事における留意事項や維持保全計画等については、(一社)日本建築センターの既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説2018が参考となる。1)封じ込め封じ込めが正しくなされているかの確認では、以下について特に留意すること。①対象建材に劣化や損傷の程度が著しい部分がないこと②対象建材と下地との接着が不十分な部分がないこと③使用した石綿飛散防止剤が建築基準法第37条第2項に基づく認定を受けているものであること④③の石綿飛散防止剤が均等に吹付け又は含浸されていること⑤措置がなされた対象建材が、通常の使用状態における衝撃及び劣化に耐えられるものであること⑥④の措置が建材の撤去を困難にしていないこと⑦結露水、腐食、振動、衝撃等により、対象建材の劣化が進行しないような措置が講じられていること2)囲い込み囲い込みが正しくなされているかの確認では、以下について特に留意すること。①対象建材に劣化や損傷の程度が著しい部分がないこと②対象建材と下地との接着が不十分な部分がないこと③対象建材を囲い込む板等の材料は石綿を透過させないものであること④対象建材を囲い込む板等の材料は通常の使用状態における衝撃及び劣化に耐えられるものであること⑤囲い込みに用いる材料相互又は当該材料と建築物の部分が接する部分から石綿が飛散しないよう密着されていること⑥維持保全のための点検口が設けられていること⑦結露水、腐食、振動、衝撃等により、対象建材の劣化が進行しないような措置が講じられていること2454.15.4負圧隔離養生作業場内の石綿粉じんが飛散するおそれがないことの確認負圧隔離養生した作業場内では、作業に伴い多量の石綿粉じんが発生している可能性があるため、負圧隔離養生を解く前にこれらが十分に作業場内の空気中から取り除かれ、負圧隔離養生を解いた際には場内の石綿粉じんが一般大気中への飛散のおそれがないことを確認する必要がある。一般大気中への飛散のおそれがないことの確認は、集じん・排気装置の稼働及び清掃等により負圧隔離養生内の石綿粉じんの処理を行った後、総繊維数濃度の測定を行い、外部の一般環境と同程度の総繊維数濃度になっていることを確認することにより行う。(1)負圧隔離養生作業場内の石綿粉じんが飛散するおそれがないことの確認負圧隔離養生作業場内の石綿粉じんが飛散するおそれがないことの確認は、石綿含有建材を除去した下地や骨材に粉じん飛散防止処理剤を散布した後、場内の清掃を行った上で集じん・排気装置を90分以上稼働し、総繊維数濃度が十分低下したと考えられる時点で実施する。総繊維数濃度の測定は、基本的に集じん・排気装置を稼働させた状態で、集じん・排気装置の吸入口付近において位相差顕微鏡法(PCM法)により行うが、繊維状粒子自動計測器による計測を活用することも可能である。なお、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)の活用については、国において必要な知見の収集に努め、活用の可否について引き続き検討する必要がある。外部の一般環境と同程度の総繊維数濃度になっているかの確認は、作業場内の総繊維数濃度と、解体等工事着手前の作業現場もしくは負圧隔離養生外において測定した総繊維数濃度を比較して行う。比較に当たっては、負圧隔離養生外の粉じん飛散状況を十分に確認すること。また、近年の環境省のモニタリング結果から、一般大気環境中の総繊維数濃度は概ね1本/L以下であることから、外部の一般環境の総繊維数濃度について、1本/Lを目安とすることも可能である。1)位相差顕微鏡法による確認位相差顕微鏡法での測定は、「アスベストモニタリングマニュアル(第4.2版)」(令和4年3月環境省水・大気環境局大気環境課)(以下「モニタリングマニュアル」という。)に準拠して行う。ただし、負圧隔離養生解除のための測定では、測定条件について、総繊維数濃度を最低1本/Lまで計れるよう設定することとする。そのため、測定にあたっては必ずしもモニタリングマニュアルと同じサンプリング時間は必要ない。総繊維数濃度の計算式は以下のとおりである。測定条件は、上記式で繊維が1本確認されたと仮定した場合の総繊維数濃度が1本/L以下となるよう設定する。参考として、測定条件を「総繊維数を最低1本/L」まで計れるよう設定する際の、サンプリング時間と計数視野数の例を以下に示す。246事例1)直径47mm・有効径35mmのフィルタを使用して、毎分10Lでサンプリングを実施し、位相差顕微鏡の計数視野の直径(アイピースグレイティクルの直径)が0.3mmで計数分析を行う場合、①サンプリング時間を30分とし、計数視野数を50視野とする。②サンプリング時間を15分とし、計数視野数を100視野とする。①、②で仮に繊維が1本確認された場合の総繊維数濃度は0.90本/L事例2)直径25mm・有効径22mmのフィルタを使用して、毎分5Lでサンプリングを実施し、位相差顕微鏡の計数視野の直径(アイピースグレイティクルの直径)が0.3mmで計数分析を行う場合、①サンプリング時間を30分とし、計数視野数を50視野とする。②サンプリング時間を15分とし、計数視野数を100視野とする。①、②で仮に繊維が1本確認された場合の総繊維数濃度は0.71本/L作業場内での測定は、粉じん飛散防止処理剤が固着して測定に影響を受けないよう、散布後十分に時間が経過した後に行う。集じん・排気装置を稼働させ空気を攪拌した状態で、隔離空間内の空気が集まる集じん・排気装置の吸気口付近(ただし、ろ紙捕集するための面速を確保するため、吸気口から1~1.5m程度離れた地点)で室内空気を採取する。集じん・排気装置を複数台数使用している場合は、基本的にそれぞれの吸気口付近で測定することとするが、各装置の影響範囲を考慮して適切に測定数及び測定位置を設定してもよい。サーキュレーターを使用して隔離空間内部の空気を拡散させ均質化を図ることにより、測定点数の省略化を図ることも可能である。測定点数の省略を検討する際には、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)等を使用して濃度分布に差がないことを確認し、確認結果を記録すること。天井が高い隔離空間では、上下で濃度分布が異なることがあるため、濃度分布の確認において留意すること。2)繊維状粒子自動測定器による測定繊維状粒子自動測定器による測定を行う場合は、測定条件について総繊維数濃度を最小濃度1本/Lまで計れるように設定することを目安として測定を行う。事前に解体等工事着手前の作業場内又は負圧隔離養生外で濃度の確認を行う際には、総繊維数を最小濃度1本/Lが確保できるだけのサンプリング時間を設定して確認を行う必要がある。参考として、繊維状粒子自動測定器の機種ごとの最小濃度1本/Lが確保できるサンプリング時間の設定例とその際の最小濃度を以下に示す注)。注)繊維状粒子自動測定器の機種ごとの詳細な仕様については、「アスベストモニタリングマニュアル(第4.2版)」(令和4年3月環境省水・大気環境局大気環境課)を参照すること。ア)A社:FM-7400ADを使用する場合①サンプリング時間60分で最小濃度0.8f/L(総繊維数濃度)②サンプリング時間120分で最小濃度0.4f/L(総繊維数濃度)イ)B社:F-1又はF-1Kを使用する場合①サンプリング時間60分で最小濃度0.7f/L(総繊維数濃度)②サンプリング時間120分で最小濃度0.3f/L(総繊維数濃度)ウ)C社:FNM-MEを使用する場合①サンプリング時間120分で最小濃度0.8f/L(総繊維数濃度)エ)D社:DAECOMを使用する場合①サンプリング時間30分で最小濃度0.5f/L(総繊維数濃度)②サンプリング時間60分で最小濃度0.25f/L(総繊維数濃度)247作業場内での測定は、測定部に粉じん飛散防止処理剤が固着するおそれがあるため、散布後十分に時間が経過した後に行う。集じん・排気装置を稼働させ空気を攪拌した状態で、隔離空間内の空気が集まる集じん・排気装置の吸気口付近(1~1.5m程度離れた地点)で行う。測定値が十分低下して安定したことを測定値の推移から確認し、安定した測定値が、工事着手前の作業場内又は負圧隔離養生外の総繊維数濃度と比較して同程度の濃度であることを確認する(図4.15.11、図4.15.12参照)。事例①90分以上集じん・排気装置を稼働して繊維数濃度を十分に低下させる測定値の推移から十分低下したことを確認※1解体等工事前の作業場、又は負圧隔離養生の外の濃度解体等工事前の作業場、又は負圧隔離養生の外の濃度の同程度であることを確認※2集じん・排気装置停止隔離を解除図4.15.11繊維状粒子自動測定器の判断の参考イメージ事例①事例②90分以上集じん・排気装置を稼働して十分に繊維数濃度を低下させる濃度が低下しないため、粉じん飛散防止処理剤を再散布解体等工事前の作業場、又は負圧隔離養生の外の濃度測定器への固着等を防ぐため測定を一旦停止解体等工事前の作業場、又は負圧隔離養生の外の濃度の同程度であることを確認※2測定値の推移から十分低下したことを確認※1集じん・排気装置停止隔離を解除図4.15.12繊維状粒子自動測定器の判断の参考イメージ事例②※1総繊維数濃度が十分低下したことの確認は、機器等の誤差を踏まえた上で、測定値の推移及び低減傾向が落ち着いた測定値と解体等工事前の作業場、又は負圧隔離養生の外における測定値の比較で判断する。※2使用する繊維状粒子自動測定器によって時間あたりの最小濃度が異なるが、最小濃度は1本/L以下(総繊維数濃度)を目安として、必要な時間測定を行う。2483)負圧隔離養生内の石綿粉じんが十分に低減しなかった場合の措置負圧隔離養生内の石綿粉じんが十分に低減せず、総繊維数濃度が外部の一般環境と同程度にならなかった場合は、原因の確認を行い、再度粉じん飛散防止処理剤を散布する又は、換気回数を多くする、サーキュレーターを使用する等の処理の効率を高める措置を行い、再度測定を実施する。原因の確認は、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)やスモークテスターを使用してエアだまりが起きていないか、セキュリティゾーンの出入り口外において総繊維数濃度が高くなっていないか確認する。エアだまりがあった場合は、場内に設置されている不要な機器等を移動させる、サーキュレーターを設置して排出を促進させる、換気回数を多くする等の処理の効率を高める措置を行う。また、周辺の工事や作業等の影響により、負圧隔離養生外の総繊維数濃度が高い場合は、その影響により負圧隔離養生内の総繊維数濃度が低下しないことも考えられる。その場合は負圧隔離養生の漏れがないことを確認するとともに、総繊維数濃度の低い空気の取り入れを検討する。総繊維数濃度の低い空気の取り入れ方法は、外気の吸入ダクトを設置する、又はセキュリティゾーンの前室に逆止弁付きの取り入れ口を設置する方法等がある。(2)やむを得ない事情により負圧隔離養生の解除の前に総繊維数濃度測定を実施できない場合やむを得ない事情により負圧隔離養生の解除の前に総繊維数濃度測定を実施できない場合は、以下の①~②の措置を実施し、負圧隔離養生を解除する。やむを得ない事情とは、公共交通機関に係る工事であることから作業時間が夜間に限られる等、外部要因により制限された発注条件に基づく工期等の事情が考えられる。なお、発注者は大防法第18条の16第1項及び第2項並びに石綿則第9条に基づき、作業基準の遵守及び労働者の安全に配慮し、隔離解除前の測定等の措置が実施できるよう発注条件や費用の配慮が必要であることに十分留意すること。やむを得ない事情がある場合、その事情を作業実施の届出に記載する必要がある。【やむを得ない事情に該当すると考えられる事例】・バスターミナル通路天井の吸音用の石綿含有吹付けロックウールの除去作業時間が最終バスから始発バスまでの時間しか確保できない・地下鉄のトンネル内及びトンネル換気口の吹付け石綿等の除去作業時間が終電から始発までの時間しか確保できない負圧隔離養生の解除前に実施する措置①集じん・排気装置を原則として90分以上連続して稼働させる。除去対象の石綿がアモサイト・クロシドライト等の角閃石族石綿の場合にはクリソタイルよりも沈降速度が遅いため、集じん・排気装置の連続稼働時間を長くする。②粉じん飛散抑制剤を十分に空中噴霧する、換気回数を多くする、サーキュレーターを併用する等の措置を行い石綿粉じんの処理の効率を高めるといった手法を実施する。(注意すべき事項)①で示した連続稼働時間は一定の目安であり、全ての場合において負圧隔離養生内の石綿繊維数濃度が十分に低下したことを担保するものではないことから、以下の点に注意する。➢集じん・排気装置の稼働時間の設定については、個々の事情を加味しつつ可能な範囲でなるべく長時間の稼働時間を確保すること➢除去対象の石綿がアモサイト・クロシドライト等の角閃石族石綿を含むことにより、集じん・排気装置の連続稼働時間を長くする場合の稼働時間の目安は180分以上とする249繊維状粒子自動測定器によって、負圧隔離養生内の総繊維数濃度が十分に低下したことを確認することにより、集じん・排気装置の連続稼働時間を目安の時間より短くできる場合も想定される。4.15.5発注者への報告大防法では、解体等工事の元請業者は、除去等作業が終了したときはその結果を遅滞なく発注者に書面で報告しなければならないこととしている。また、発注者に報告した書面の写しも保存する必要がある。(1)発注者への除去等作業の結果報告解体等工事の元請業者は、作業結果に関する書面を作成して発注者に報告する。発注者への報告事項を表4.15.6に、報告様式例を図4.15.13に示す。なお、除去等作業が長期間にわたる場合は、除去等作業の工区ごと等(例えば特定粉じん排出等作業の実施届出ごと)に適宜報告することが望ましい。表4.15.6発注者への報告事項報告項目特定粉じん排出等作業の概要報告事項・対象建築物の名称及び所在地・元請業者(法人名及び代表者氏名)・除去等作業を行った者(下請負の場合は下請負人)・作業の概要石綿含有建材の取り残しがないことの確認・確認年月日・確認結果・確認者の氏名・確認者が登録規定に基づく講習又は石綿作業主任者技能講習を受講した講習実施機関の名称等特定粉じん排出等作業の完了・完了年月日申し送り事項・異常時の対応・計画と異なる対応を行った場合はその措置内容を報告(2)記録の保存大防法では、解体等工事の元請業者は、発注者に報告した書面の写しを作業結果の記録とあわせて特定工事終了後3年間保存する。250特定粉じん排出等作業完了報告書年(発注者)月(元請業者)法人名代表者氏名日様ご依頼のありました特定粉じん排出等作業について完了したので、大気汚染防止法第18条の23に基づき報告いたします。1.特定粉じん排出等作業の概要・対象建築物の名称及び所在地※対象建築物の名称(個人宅の場合は○○様住宅)及び所在地住所を記入する。・除去等作業を行った者※元請業者が行った場合は「報告者と同じ」と記入、下請負人が行った場合は氏名(法人の場合は法人名及び代表者氏名)を記入する。・作業の概要※作業の実施期間、特定粉じん排出等作業の種類、特定建築材料の種類、使用箇所、使用面積、除去方法等、作業計画に記載した内容と実際に行った内容について簡潔に記入、別紙に記入してもよい。2.石綿含有建材の取り残しがないこと等の確認・確認年月日※石綿含有建材の取り残しがないこと等を確認した年月日を記入する(複数日の場合は期間を記入)。・確認者の氏名※確認を行った者の氏名(法人に所属している場合は氏名のほか法人名)を記入する。・確認者が登録規定に基づく講習又は石綿作業主任者技能講習を受講した講習実施機関の名称等※受講した講習実施機関の名称(一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者についてはその旨)を記入する。3.特定粉じん排出等作業の完了・完了年月日※特定粉じん排出等作業が完了した年月日を記入する。4.申し送り事項・異常時の対応※異常があった場合の対応を記入する。・計画と異なる対応を行った場合はその措置内容※計画と異なる対応を行った場合はその措置内容を記入する。この書面の説明を受けました。発注者氏名(法人にあっては名称及びその代表者の氏名)年月日図4.15.13発注者への報告様式2515隔離空間全体からの漏えい確認のための石綿濃度の測定等5.1隔離空間全体からの漏えい確認のための石綿濃度の測定空気中の石綿濃度の測定は、施工事業者の自主的な取組として、石綿飛散防止対策の効果を自ら点検し、その改善を図っていくという意味で有意義である。測定を行う場合には、作業場の隔離状況、集じん・排気装置の性能等を点検するとともに、施工区画内の石綿飛散状況を把握するため、以下のような場所、及び時期において実施することが有効である。①セキュリティゾーンの入口及び施工区画の外周(除去作業中)②作業場内(特に隔離シート撤去前)また、周辺環境への配慮の観点から、隣地との境界付近における環境濃度を測定することが望ましい。なお、測定方法については、作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)、JISK3850-1「空気中の繊維状粒子測定方法」、環境省のアスベストモニタリングマニュアル(第4.2版)(令和4年3月環境省水・大気環境局大気環境課)(以下「モニタリングマニュアル」という。)等を参照されたい。漏えい監視のほか、漏えいが生じたときは、直ちに漏えい箇所周辺を立ち入り禁止にする等、関係作業者及び第三者が石綿にばく露することを回避するため必要な緊急措置を講じる必要がある。このため、作業計画には漏えい時の必要な措置として、上記漏えい監視の手順のほか、緊急措置の内容を明記し、あらかじめ作業者に周知しておくこと。参考として表5.1.1に関係省庁や民間団体が示している石綿濃度の測定方法を示した。表5.1.1関係省庁や民間団体が示している石綿濃度の測定方法環境省厚生労働省種類アスベストモニタリングマニュアル(第4.2版)平成元年12月27日告示第93号(一財)日本建築センターJISK3850-1空気中の繊維状粒子測定方法作業環境測定法対象環境大気中の測定・発生源の周辺地域・バックグラウンド地域大気汚染防止法に基づく測定・アスベスト取扱い事業場の敷地境界既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説2018空気中に浮遊している繊維状粒子を測定労働安全衛生法に基づく測定・アスベスト取扱い作業場測定高さ、位置地上1.5~2.0m風向を考慮し2~4点敷地境界線の東西南北及び最大発じん源と思われる場所の近傍単位作業場所内の高さ50~150cmの位置(A測定、B測定)室内環境等低濃度レベルにおける測定建築物内の高さ50~150cmの位置目的に応じて設定するフィルタ直径47mm吸引速度・採取時間10L/分×240分連続3日間10L/分×240分47mm、25mm1L/分×15分計数対象繊維5L/分×120分1L/分×5分5L/分×120分10L/分×240分長さ5μm以上、幅(直径)3μm未満で長さと幅の比(アスペクト比)が3:1以上顕微鏡位相差顕微鏡、電子顕微鏡位相差顕微鏡位相差顕微鏡、生物顕微鏡(クリソタイルを対象)位相差顕微鏡、走査電子顕微鏡基準―10本/L(石綿(クリソタイル)繊維数濃度)管理濃度0.15本/cm3(150本/L)(総繊維数濃度)周辺一般環境大気との比較―2525.2敷地境界(施工区画境界)等における大気濃度測定方法の例5.2.1目的建築物の解体等現場において、予期せぬ箇所から石綿の飛散が確認された事例もあることから、建築物の解体等作業による敷地境界等での石綿の飛散状況を確認し、その結果、石綿の飛散が確認された場合には、その原因を迅速に特定し、対策を講じることにより、一般大気環境への石綿の飛散を防止する。5.2.2測定箇所測定はモニタリングマニュアルに定めた方法により実施する。モニタリングマニュアルでは、作業場から一般大気環境への石綿飛散の影響を確認する場合の測定は、作業場が含まれる敷地の境界とすることが基本となるが、敷地が広く、作業場の直近で多数の人の通行がある場合等については、敷地境界の内側の施工区画境界を敷地境界とみなして測定する。測定箇所は、敷地境界等における石綿濃度の実態を適切に把握するため、作業が実施される施設(排出源)からできる限り等距離で、排出源から遮る障害物の少ない箇所を選定することを原則とする。測定箇所数は、排出源をはさんで主風向の風上・風下の2箇所と主風向に垂直な2箇所の計4箇所とする。また、高層部で作業を実施する現場や隣地で解体等が行われ、その影響を受ける可能性がある現場等では、現場の状況に応じて測定箇所を選定する。図5.2.1施工区画周辺の測定箇所イメージ図5.2.3試料採取時期石綿の飛散を防止するため隔離された作業場内において、石綿の除去作業を開始した直後の作業中に試料採取を行うこと。なお、この場合においても、石綿の除去作業が長期に及ぶ場合は、作業の進行や時間の経過、外気の影響等により隔離に不具合が生じることが考えられ、その監視のため、定期的な測定を行うことが望ましい。5.2.4試料採取条件○測定箇所:敷地境界又は施工区画境界○試料採取時期:作業開始直後○試料採取時間:120分○フィルタ直径:47mm○吸引空気量(吸引速度×時間):1200L(10L/分×120分)○検出下限値:0.11本/L(有効径35mm、100視野計測の場合)※なお、フィルタ径については、室内環境の測定に用いられる25mmとし、吸引速度を5L/分で120分の試料採取としてもよい。2535.2.5分析方法位相差顕微鏡法で計数した総繊維数濃度が1本/Lを超えた場合、電子顕微鏡法で計測し、石綿繊維数濃度を求める。しかし、解体等現場においては、様々な作業が実施されていることから、総繊維数濃度で1本/Lを超えることは十分考えられ、総繊維数濃度が1本/Lを超えた全てのケースにおいて、電子顕微鏡での計測を実施することが困難な場合もあり、その場合は、モニタリングマニュアルに掲載されている解体現場等における迅速な測定法(分析走査電子顕微鏡法、位相差/偏光顕微鏡法、蛍光顕微鏡法)の使用も考えられる。5.2.6評価方法近年の環境省のモニタリング結果から、一般大気環境中の総繊維数濃度は概ね1本/L以下であることから、石綿繊維数濃度も1本/L以下である。このため、漏えい監視の観点からの目安は、石綿繊維数濃度1本/Lとすることが適当である。2545.3総繊維数濃度及び石綿繊維数濃度測定の概要石綿繊維濃度を測定する方法には、形態観察から特定の繊維状粒子を計測し総繊維数濃度として測定する位相差顕微鏡法と、石綿繊維だけを特定し石綿繊維数濃度を求める位相差/偏光顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、位相差/蛍光顕微鏡法、位相差/ラマン顕微鏡法、電子顕微鏡法等が開発されている。漏えい監視の観点から、これらの測定法の概要を記載する。5.3.1位相差顕微鏡法による総繊維数濃度の測定位相差顕微鏡法による総繊維数濃度の測定は、ろ過材として白色メンブランフィルタを使用して対象空気を吸引ろ過し、サンプリング後のフィルタを透明化処理して、位相差顕微鏡により長さ5μm以上、幅3μm未満、アスペクト比3以上の繊維状粒子数を計数する方法(PCM法)で行われる。PCM法による総繊維数濃度測定方法は、目的に応じて測定点の選定や使用するろ過材(フィルタ)のサイズや吸引流量、測定時間が異なっている。関係省庁が定めているアスベストの測定方法は表5.1.1を参照すること。関係省庁によりPCM法によって測定された濃度の表現が異なっているので、注意が必要である。以下に示す濃度は、いずれもPCM法によって測定された総繊維数濃度のことである。ただし、これらの測定方法は定量下限を示している場合と検出下限を示している場合があり、算出方法が異なるので注意が必要である。・厚生労働省の作業環境測定基準及び作業環境評価基準・・・・・石綿濃度・環境省アスベストモニタリングマニュアル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・総繊維数濃度・JISK3850-1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・総繊維数濃度アスベストの種類を特定した濃度として表現する場合には、PCM法以外の方法、例えば位相差/偏光顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、位相差/蛍光顕微鏡法、位相差/ラマン顕微鏡法、分析電子顕微鏡法(走査型、透過型)によってアスベスト繊維を特定した上でその濃度が表現される。具体的な名称として、例えばクリソタイル濃度やクリソタイル繊維数濃度と表現される。5.3.2位相差/偏光顕微鏡法位相差/偏光顕微鏡法は、位相差顕微鏡によって計数された繊維状粒子について偏光顕微鏡による観察でアスベスト繊維と非アスベスト繊維に識別し、石綿繊維数濃度を測定する手法である。分析には位相差顕微鏡用コンデンサを装着した偏光顕微鏡を使う。同顕微鏡のレボルバに位相差用と偏光用の対物レンズを装着すると、ターレットと対物レンズの切り替えだけで視野を変えることなく位相差観察と偏光観察(多色性、複屈折、消光角、伸長性の正負)を行うことができる。分析に必要な前提条件として、サンプリングされる可能性のあるアスベストの種類が事前に判明していることが必要であり、適切に実施された事前調査結果が入手可能な建築物等の解体等の場合に限定された手法である。位相差顕微鏡法による総繊維の計測と同じプレパラートの使用が可能であり、同一視野内の繊維を同定することが可能である。5.3.3蛍光顕微鏡法蛍光顕微鏡法は、蛍光物質で修飾したアスベスト結合タンパク質を用いて、微細なアスベスト繊維を検出する方法である。その感度は電子顕微鏡法と同程度であり、PCM法では確認できない約30nmという非常に細い幅の繊維が確認できる。ロックウールなどの非アスベスト繊維と識別して、クリソタイル及び角閃石系のアスベストを同定することが可能であるが、角閃石族アスベストの種類の同定は困難である。また、アスベスト以外の繊維(炭化ケイ素ウィスカー)にも蛍光タンパク質が結合し、角閃石アスベストとの識別が難しい場合がある。試料捕集にはメンブランフィルタを使用するため、PCM法と共通のフィルタを利用でき、灰化処理の必要はない。そのため、解体現場等でサンプリングしたサンプルが、アスベストか否かが迅速に確認できる。255蛍光顕微鏡観察の際、蛍光の退色がおこるため短時間での計数が必要である。5.3.4位相差/蛍光顕微鏡法位相差/蛍光顕微鏡法は、位相差顕微鏡モードによって計数した繊維状粒子計測視野を、蛍光顕微鏡法モードに切り替え当該繊維の蛍光の有無を確認することによりアスベストの同定を行う手法である。位相差顕微鏡モードで確認できた繊維のうち、蛍光を持つ繊維をアスベストとして計数できる。自ら発光する蛍光色であるため、極めて細い繊維の計数も可能であり、特に有機繊維とクリソタイルの判断が容易である。自家蛍光をもつ物質(細い有機繊維等)は偽陽性となるが、UV励起を使用することで、判別可能な場合もある。5.3.5位相差/ラマン顕微鏡法位相差/ラマン顕微鏡法は、レーザーラマン分光法を位相差顕微鏡に応用した手法で、サブミクロンオーダーまでの対象繊維を分析することができる。ラマン分光法をアスベストの識別に応用すると、ヒドロキシ基に帰属されるピークの波数位置や形状から個々の繊維の種類を識別することが可能である。分析に必要な前提条件として、ラマン顕微鏡による測定対象の6種類のアスベストのラマンスペクトルデータ(ライブラリー)を確認しておく必要があり、PCM法による総繊維の計測と同じプレパラートの使用が可能で、同一視野内の繊維のラマンスペクトル測定結果とライブラリーを比較してアスベスト繊維を同定することが可能である。事前にサンプリングされる可能性のあるアスベストの種類を確認する必要はないが、アモサイトとクロシドライト、トレモライトとアクチノライトのラマンスペクトルが類似しているため、区別ができない。5.3.6電子顕微鏡法通常の光学顕微鏡は観察したい対象に可視光線をあてて拡大するのに対し、電子顕微鏡は、電子線をあてて拡大する顕微鏡のことで、広く利用されている。電子顕微鏡は、電子線の持つ波長が可視光線のものよりずっと短いので、理論的には分解能は0.1nm程度にもなる(透過型電子顕微鏡:TEMの場合)。光学顕微鏡では見ることのできない微細な対象を観察(観測)できるのが利点である。電子顕微鏡には走査電子顕微鏡(SEM)と透過電子顕微鏡(TEM)があり、形状観察のほか、EDX分析装置を装着した分析電子顕微鏡(A-SEM、A-TEM)を使用することにより元素分析も可能となり、アスベストの同定分析に使用される。通常は、長さ0.1~1μm程度のアスベスト繊維まで検出できる。通常は、あらかじめ金又はカーボンを蒸着したポリカーボネートフィルタを濾過材としてサンプリングを行うが、位相差顕微鏡法の繊維の同定を目的として実施する場合は、位相差顕微鏡法で使用した残りのメンブランフィルタを使用して金又はカーボン蒸着を行い、観察標本を調整する。モニタリングマニュアルには、A-SEM法の前処理方法は3種類が提示されているが、低温灰化処理装置を保有していない場合には、メンブランフィルタと並行でポリカーボネートフィルタを用いてサンプリングすると前処理も容易で像も見やすい。256※使用フィルタ及び吸引空気量による定量下限の目安試料の採取条件は、測定の目的に応じて定量限界を設定してから、吸引時間、吸引流量を設定する表5.3.1使用フィルタ及び吸引空気量による定量下限の目安直径25mmのフィルタの定量下限直径47mmのフィルタの定量下限吸引空気量300L600L0.95本/L0.47本/L2.4本/L1,200L1.2本/L0.24本/L2,400L0.6本/L0.12本/L(注)1.顕微鏡視野数を50視野とした場合2.吸引空気量が多くなると、他の粉じんが多くなり計数できない場合がある。0.3本/Lメンブランフィルタを濾過材としてサンプリングを行うPCM法による総繊維数の計測アセトン・トリアセチン法で調製したプレパラートサンプルをそのまま使用可能位相差/蛍光顕微鏡法による石綿繊維数の計測アスベスト結合タンパク質による同定位相差/偏光顕微鏡法による石綿繊維数の計測・多色性・複屈折・消光角・伸長性の正負の観察結果から同定電子顕微鏡(A-SEM法、A-TEM法)による石綿繊維数の計数位相差/ラマン顕微鏡法による石綿繊維数の計測ラマン吸収スペクトルの解析による同定図5.3.1メンブランフィルタで採取した試料の測定方法2576呼吸用保護具、保護衣6.1保護具等の選定石綿等の除去等の作業を行う際に着用する呼吸用保護具は、負圧隔離養生の内部では、電動ファン付き呼吸用保護具(電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26年厚生労働省告示第455号)に適合するもののうち、規格で定める漏れ率に係る性能区分がS級であり、ろ過材の性能区分がPS3又はPL3のものに限る。)又はこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器、酸素呼吸器若しくは送気マスク(以下「電動ファン付き呼吸用保護具等」という。)を使用する。なお、隔離養生(負圧不要)の内部においても電動ファン付き呼吸用保護具等を使用することが望ましい。また、石綿等の切断等以外の方法により石綿等の除去作業を実施することが技術上困難な場合であって、電動工具による石綿等の切断等を行う場合の呼吸用保護具は、電動ファン付き呼吸用保護具(漏れ率に係る性能区分がS級であり、ろ過材の性能区分がPS3又はPL3のものであり、かつ、呼吸用保護具の製造事業者により指定防護係数が300以上であることを証明する型式に限る。)又はこれと同等以上の指定防護係数を有する呼吸用保護具を使用する。マスク通達「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」第1の5に定めるところにより、1年以内ごとに1回、フィットテストを行うこと。負圧隔離養生の外部で石綿等の除去等の作業を行う際に着用する呼吸用保護具は、電動ファン付き呼吸用保護具等又は取替え式防じんマスク(防じんマスクの規格(昭和63年労働省告示第19号)に規定するRS3又はRL3のものに限る。)を使用する。ただし、石綿等の切断等を伴わない囲い込みの作業又は石綿含有成形板等の切断等を伴わずに除去する作業では、同規格に規定するRS2又はRL2の取替え式防じんマスクとして差し支えない。石綿等の除去等の作業に当たっては、さらに保護衣又は作業衣を用いる。特に負圧隔離養生及び隔離養生(負圧不要)の内部での作業においては、フード付きの保護衣を用いる。また、石綿含有成形板等の除去作業を行う作業場所で、石綿等の除去等以外の作業を行う場合には、当該作業を行う作業員に取替え式防じんマスク又は使い捨て式防じんマスクを着用させる必要がある。各作業において使用する呼吸用保護具や保護衣を表6.1.1に示す。なお、表に示した呼吸用保護具の区分は最低基準であり、同等以上の防護性能を有する呼吸用保護具を使用することを妨げるものではない。258259表6.1.1呼吸用保護具・保護衣の選定作業石綿等の除去等の作業(吹き付けられた石綿等の除去、石綿含有保温材等の除去、石綿等の封じ込めもしくは囲い込み、石綿含有成形板等の除去、石綿含有仕上塗材の除去)石綿含有成形板等及び石綿含有仕上塗材の除去等作業を行う作業場で石綿等の除去等以外の作業を行う場合作業場所負圧隔離養生及び隔離養生(負圧不要)の内部負圧隔離養生の外部(又は負圧隔離及び隔離養生措置を必要としない石綿等の除去等を行う作業場)石綿等の切断等を伴わない囲い込み/石綿含有成形板等の切断等を伴わずに除去する作業呼吸用保護具電動ファン付き呼吸用保護具又はこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器、酸素呼吸器もしくは送気マスク(区分①)電動ファン付き呼吸用保護具又はこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器、酸素呼吸器もしくは送気マスク又は取替え式防じんマスク(RS3又はRL3)※電動工具により石綿等を切断等する場合は、①に限る。(区分①~③)取替え式防じんマスク(RS2又はRL2)(区分①~④)取替え式防じんマスク又は使い捨て防じんマスク(区分①~④等)保護衣フード付き保護衣保護衣又は作業着保護衣又は作業着備考1)区分は表6.1.2を参照。備考2)電動工具を用いて石綿等の切断等を行う場合は、6.1.1ただし書きを参照表6.1.2呼吸用保護具の区分区分呼吸用保護具の種類区分①面体形及びルーズフィット形(フードをもつもの)の電動ファン付き呼吸用保護具(粒子捕集効率99.97%以上(PL3又はPS3)、漏れ率0.1%以下(S級)、大風量形)(電動工具により石綿等を切断する場合は、電動ファン付き呼吸用保護具(漏れ率に係る性能区分がS級であり、ろ過材の性能区分がPS3又はPL3のものであり、かつ、呼吸用保護具の製造事業者により指定防護係数が300以上であることを証明する型式に限る。)複合式エアラインマスク(プレッシャデマンド形)送気マスク(プレッシャデマンド形エアラインマスク、一定流量形エアラインマスク、電動送風機形ホースマスク)自給式呼吸器(空気呼吸器、圧縮酸素形循環式呼吸器)区分②全面形面体を有する取替え式防じんマスク(粒子捕集効率99.9%以上、RS3又はRL3)区分③半面形面体を有する取替え式防じんマスク(粒子捕集効率99.9%以上、RS3又はRL3)区分④取替え式防じんマスク(粒子捕集効率95.0%以上、RS2又はRL2)6.1.1負圧隔離養生及び隔離養生(負圧不要)の内部で石綿等の除去等の作業を行う際に着用する呼吸用保護具(作業の記録を作成するために当該記録の作成者等を隔離空間に立ち入らせる場合を含む。)除去対象製品及び除去等対象工法から指定された呼吸用保護具の区分①を使用する。使用できる呼吸用保護具は、電動ファン付き呼吸用保護具、複合式エアラインマスク(プレッシャデマンド形)、プレッシャデマンド形エアラインマスク、一定流量形エアラインマスク、電動送風機形ホースマスク等の送気マスク、空気呼吸器、圧縮酸素形循環式呼吸器等の自給式呼吸器となる。肺力吸引形ホースマスク、防じんマスクは使用できない。電動ファン付き呼吸用保護具は、国家検定合格品のうち面体又はフードをもつもので粒子捕集効率99.97%以上(PL3又はPS3)、漏れ率0.1%以下(S級)、大風量形であるものを使用する。送気マスクはJIST8153、空気呼吸器はJIST8155、圧縮酸素形循環式呼吸器はJISM7601に適合したものを使用する。ただし、電動工具(除じん性能を有する電動工具を含む。)を用いて石綿等の切断等を行う場合は、電動ファン付き呼吸用保護具(区分①であって、呼吸用保護具の製造事業者により指定防護係数が300以上であることが証明された型式に限る。)又はこれと同等以上の指定防護係数を有する呼吸用保護具を使用すること。6.1.2負圧隔離養生の外部で石綿等の除去等の作業を行う際に着用する呼吸用保護具除去対象製品及び除去等対象工法から指定された呼吸用保護具の区分①、区分②、区分③を使用する。石綿含有成形板等を原形のまま取り外して除去する場合や、石綿等の切断等を伴わない囲い込みの場合は、呼吸用保護具の区分①、区分②、区分③、区分④を使用する。なお、取替え式防じんマスクについては、国家検定合格品のRS3又はRL3(粒子捕集効率99.9%以上)を使用する(区分②、区分③)。ただし、切断等を伴わない作業の場合に使用する取替え式防じんマスクについては、国家検定合格品のRS2又はRL2(粒子捕集効率95.0%以上)を使用しても差し支えない(区分④)。6.1.3石綿含有成形板等及び石綿含有仕上塗材の除去等以外の作業を行う場合に着用する呼吸用保護具取替え式防じんマスク(区分④)又は使い捨て式防じんマスク(区分外)を使用する。なお、使い捨て式防じんマスクは、国家検定合格品を使用する。2606.1.4保護衣、作業衣石綿等の除去等の作業には、除去対象製品及び除去工法から指定された保護衣等の種類に従い、保護衣又は専用の作業衣を着用する。保護衣は、身体表面、下着及び保護衣の下に着用する作業衣への石綿繊維等の付着を防止するために着用する。負圧隔離養生及び隔離養生(負圧不要)内での作業においては、使い捨てタイプの保護衣を使用し、隔離作業場からの退出の都度廃棄することとする。石綿が付着しているおそれのある保護衣等の廃棄にあたって、廃石綿等が排出される作業場で使用されたものは廃石綿等として処理し、廃石綿等が排出されず石綿含有廃棄物が排出される作業場で使用されたものは石綿含有廃棄物と同様に処理する。形状は、頭部を含む全身を覆うものとし、保護衣と呼吸用保護具の全面形面体、手袋、シューズカバーなどとの接合部は、テーピングで密閉する。汚れ防止等を目的とした使い捨てタイプの簡易な不織布製作業服は使用できない。その理由は、これらを石綿繊維の発生量が多い作業場所で使用した場合、下に着用した作業衣や下着、身体表面に多量の石綿繊維が付着し、エアシャワー等を用いた洗身によっても十分に落ちることが期待できず、作業者による石綿繊維の外部への持ち出しが懸念されるからである。負圧隔離内部など石綿繊維の発生量が多い作業場所では、JIST8115の浮遊固体粉じん防護用密閉服(タイプ5)同等品以上のものを使用する。作業衣は、石綿を取り扱う作業場内で専用に着用する作業衣のことで、石綿を取り扱う作業以外の作業で着用する作業衣や通勤衣と区別して使用する。材質は、表面が平滑で粉じんが付着しにくいもので、構造は、粉じんが服内部に侵入しにくく、また、粉じんが堆積しないようにポケット数が必要最小限のものとする。図6.1.1保護衣(浮遊固体粉じん防護用密閉服)の例図6.1.2専用の作業衣(例)2616.2保護具等の取扱い6.2.1電動ファン付き呼吸用保護具(国家検定合格品)<性能・特徴>①着用者の肺吸引力ではなく、電動ファンによって石綿繊維をろ過材で除去し、着用者に送風する。②漏れ率が0.1%以下(S級)、ろ過材の粒子捕集効率99.97%以上のもの(電動工具を用いて石綿等を切断等する場合は、呼吸用保護具の製造事業者により指定防護係数が300以上であることが証明された型式に限る。)を使用する。③送風量が充分であれば面体内の内部は常に陽圧なので、石綿繊維が漏れ込む可能性が低い。④行動範囲の制限がないが、電池を電源とするため、連続使用時間は限られる。⑤面体を有するものは、電動ファンが停止したときでも、一時的に防じんマスクとして使用できる。⑥フェイスシールドを有するものは、有害性の高い粉じんが存在する環境では使用できないので、石綿を取り扱う作業では使用できない。<使用上の注意事項>①有害ガスが発生する環境や酸素濃度が18%未満の環境では使用できない。②電池の消耗により送風量が低下したら、電池の充電又は電池の交換をする。③半面形面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具では、保護めがねを併用する。④フードを有する電動ファン付き呼吸用保護具は、電動ファンの停止や送風量が規定値より低下した場合、フードと顔の隙間から石綿繊維が流入するおそれがあるので注意が必要になる。⑤ろ過材は毎日交換するか、送風量が低下したら、新しいものに交換する。⑥石綿を取り扱う作業で使用したろ過材は、廃棄時以外は作業場外へ持ち出してはならない。<使用前点検>①面体各部・電動ファン・連結管等に亀裂、変形、穴、ひび割れ等の破損がないこと。②排気弁及び排気弁座に亀裂、変形、ひび割れ、劣化によるべとつき等の破損、汚れ、異物等の付着がないこと。③電池は満充電され、電動ファンが正常に動作すること。④ろ過材は亀裂、変形、ひび割れ等の破損がなく、正しく取り付けられていること。⑤しめひもは十分に弾力があり、伸びきっていないこと。262(a)(b)図6.2.1全面形面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具の例(a)(b)図6.2.2半面形面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具の例図6.2.3フードを有する電動ファン付き呼吸用保護具の例図6.2.4半面形面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具(ゴーグル併用)の例図6.2.5半面形面体を有する電動ファン付き呼吸用保護具(専用フード併用)の例出典)石綿技術指針対応版石綿粉じんへのばく露防止マニュアル(建設業労働災害防止協会)2636.2.2送気マスク(プレッシャデマンド形エアラインマスク、一定流量形エアラインマスク、電動送風機形ホースマスク)(JIST8153)<性能・特徴>①プレッシャデマンド形エアラインマスク及び一定流量形エアラインマスクは、コンプレッサー等の圧縮空気源から中圧ホースを通して着用者に空気を供給する方式の呼吸用保護具である。電動送風機形ホースマスクは、作業場の外部に置いた電動送風機等によって石綿繊維を含まない呼吸に適した清浄な空気をホースを通して着用者に送気する方式の呼吸用保護具である。②使用時間の制限はないが、ホースの長さにより行動範囲の制限がある。③全面形面体及び半面形面体、フードを有するものの使用が適している。④全面形面体及びフードを有するものは、眼の保護もできる。半面形面体の場合は、保護めがねを併用する。<使用上の注意事項>①供給される空気は、石綿繊維を含まない呼吸に適した清浄な空気でなければならない。エアラインマスクを使用するときは、清浄空気供給装置や空気清浄装置等を使用する(図6.2.9、図6.2.10)。電動送風機形ホースマスクは、電動送風機を作業場の中に置かず、作業場の外部に置かなければならない。②エアラインマスクは、ホースにつまずく転倒災害の防止やホースの破損を防ぐため、余分なホースはホースリールに巻き取ることが望ましい。③全面形面体又は半面形面体を有する送気マスクを使用するときは、装着の都度、シールチェック(フィットチェック)を行い、面体と顔面との密着性が良好であることを確認する。④高熱下作業を行う場合は、圧縮空気等を利用した冷却装置を併用することが望ましい。<使用前点検>①石綿繊維を含まない呼吸に適した正常な空気が供給されること。②排気弁及び排気弁座に亀裂、変形、ひび割れ、劣化によるべとつき等の破損、汚れ、異物等の付着がないこと。③ホースは亀裂、変形、キズ、著しい汚れ、べとつき等がないこと。④しめひもは十分に弾力があり、伸びきっていないこと。264図6.2.6全面形面体を有するプレッシャデマンド形エアラインマスクの例図6.2.7全面形面体を有する電動送風機形ホースマスクの例図6.2.8全面形面体を有する複合式エアラインマスク(プレッシャデマンド形)の例図6.2.9清浄空気供給装置の例図6.2.10空気清浄装置の例出典)石綿技術指針対応版石綿粉じんへのばく露防止マニュアル(建設業労働災害防止協会)2656.2.3取替え式防じんマスク(国家検定合格品)<性能・特徴>①取替え式防じんマスクは、作業環境中の石綿繊維をろ過材によって捕集し、着用者が清浄な空気を吸入できるマスクで、ろ過材、排気弁等を交換して、さらに使用を続けることができる方式の呼吸用保護具である。②面体の種類は全面形、半面形がある。全面形面体を有する取替え式防じんマスク(RS3・RL3)と半面形面体を有する取替え式防じんマスク(RS3・RL3)の粒子捕集効率は、99.9%以上であり、取替え式防じんマスク(RS2・RL2)の粒子捕集効率は、95.0%以上である。RL2・RL3の防じんマスクは、オイルミスト等にも有効である。③全面形面体を有する防じんマスクは眼の保護もできる。④全面形面体には、専用の視力矯正用めがねを使用できるものがある。<使用上の注意事項>①有害ガスが発生する環境や、酸素濃度が18%未満の環境では使用できない。②面体内が陰圧になるので、面体と顔面との密着の状態が悪いと、石綿繊維を吸入してしまうおそれがある。マスクを装着したら、必ずシールチェック(フィットチェック)を行い、面体と顔面の気密性を確認する。③厚生労働省の「防じんマスクの規格」に基づく国家検定に合格した取替え式防じんマスクを使用する。石綿等の除去作業では、使い捨て式防じんマスクは使用してはならない。④ろ過材は毎日交換するか、使用中に息苦しくなったら、新しいろ過材に交換する。⑤面体と顔面の気密性が損なわれるので、タオルやメリヤスカバーを接顔部に取り付けた上から防じんマスクを装着してはならない。⑥半面形面体を有する防じんマスクを使用するときは、保護めがね(ゴーグル形)を併用する。⑦オイルミスト等が存在するときは、DOP(フタル酸ジオクチル)粒子による試験に合格したRL3、RL2の取替え式防じんマスクを使用する。⑧使用したろ過材をそのまま作業場外へ持ち出すことは、捕集した石綿繊維の飛散の原因となるので行ってはならない。⑨面体と顔の密着性をよくするため、ひげをそること。図6.2.11全面形面体を有する取替え式防じんマスク(RL3)の例(a)(b)図6.2.12半面形面体を有する取替え式防じんマスク(RL3)の例(a)(b)図6.2.13半面形面体を有する取替え式防じんマスク(RL2)の例出典)石綿技術指針対応版石綿粉じんへのばく露防止マニュアル(建設業労働災害防止協会)2666.2.4呼吸用保護具の密着性の確認面体を有する呼吸用保護具は、使用に当たり、面体と顔面の隙間から面体内に入り込む危険性があるため、密着性の良否の確認が必要である。マスク通達「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」第1の5に定めるところにより、1年以内ごとに1回、フィットテストを行うこと。また、着用者の顔面とマスクの面体の密着性の良否を判定するには、計測器を使用した定量的な方法と着用者自身が行うシールチェック(フィットチェック)がある。(1)フィットテストの実施呼吸用保護具(面体を有するものに限る。)を使用する労働者について、マスク通達により、JIST8150に定める方法又はこれと同等の方法により当該労働者の顔面と当該呼吸用保護具の面体との密着の程度を示す係数(以下「フィットファクタ」という。)を求め、当該フィットファクタが要求フィットファクタを上回っていることを確認する方法とする。フィットファクタは、マスク通達別紙2により計算する。要求フィットファクタは、同別表4に定めるところによる。<フィットテストの実施に当たっての留意事項>アフィットテストは、労働者によって使用される面体がその労働者の顔に密着するものであるか否かを評価する検査であり、労働者の顔に合った面体を選択するための方法(手順は、JIST8150を参照。)である。なお、顔との密着性を要求しないルーズフィット形呼吸用インタフェースは対象外である。面体を有する呼吸用保護具は、面体が労働者の顔に密着した状態を維持することによって初めて呼吸用保護具本来の性能が得られることから、フィットテストにより適切な面体を有する呼吸用保護具を選択することは重要である。イ面体を有する呼吸用保護具については、着用する労働者の顔面と面体とが適切に密着していなければ、呼吸用保護具としての本来の性能が得られない。特に、着用者の吸気時に面体内圧が陰圧(すなわち、大気圧より低い状態)になる防じんマスク及び防毒マスクは、着用する労働者の顔面と面体とが適切に密着していない場合は、粉じんや有毒ガス等が面体の接顔部から面体内へ漏れ込むことになる。また、通常の着用状態であれば面体内圧が常に陽圧(すなわち、大気圧より高い状態)になる面体形の電動ファン付き呼吸用保護具であっても、着用する労働者の顔面と面体とが適切に密着していない場合は、多量の空気を使用することになり、連続稼働時間が短くなり、場合によっては本来の防護性能が得られない場合もある。267ウ面体については、フィットテストによって、着用する労働者の顔面に合った形状及び寸法の接顔部を有するものを選択及び使用し、面体を着用した直後には、マスク通達第1の5(3)に示す方法又はこれと同等以上の方法によってシールチェック(面体を有する呼吸用保護具を着用した労働者自身が呼吸用保護具の装着状態の密着性を調べる方法。以下同じ。)を行い、各着用者が顔面と面体とが適切に密着しているかを確認する。エ着用者の顔面と面体とを適正に密着させるためには、着用時の面体の位置、しめひもの位置及び締め方等を適切にさせることが必要であり、特にしめひもについては、耳にかけることなく、後頭部において固定させることが必要であり、加えて、次の①、②、③のような着用を行わせないことに留意する。①面体と顔の間にタオル等を挟んで使用する。②着用者のひげ、もみあげ、前髪等が面体の接顔部と顔面の間に入り込む、排気弁の作動を妨害する等の状態で使用する。③ヘルメットの上からしめひもを使用する。オフィットテストは、定期に実施するほか、面体を有する呼吸用保護具を選択するとき又は面体の密着性に影響すると思われる顔の変形(例えば、顔の手術などで皮膚にくぼみができる等)があったときに、実施することが望ましい。カフィットテストは、個々の労働者と当該労働者が使用する面体又はこの面体と少なくとも接顔部の形状、サイズ及び材質が同じ面体との組合せで行う。合格した場合は、フィットテストと同じ型式、かつ、同じ寸法の面体を労働者に使用させ、不合格だった場合は、同じ型式であって寸法が異なる面体若しくは異なる型式の面体を選択すること又はルーズフィット形呼吸用インタフェースを有する呼吸用保護具を使用すること等について検討する必要がある。計測器の例を図6.2.14及び図6.2.15に示す。図6.2.14計測器の例労研式マスクフィッティングテスター図6.2.15計測器の使用例出典)石綿技術指針対応版石綿粉じんへのばく露防止マニュアル(建設業災害防止協会)268(2)シールチェック(フィットチェック)シールチェック(フィットチェック)は、呼吸用保護具の取扱説明書に従って行わなければならない。シールチェック(フィットチェック)には陰圧法と陽圧法がある。なお、上記⑴の計測器による測定はシールチェックにおいても可能である。1)陰圧法によるシールチェック(フィットチェック)専用のフィットチェッカーを使用して、ろ過材の吸気口をふさいだ状態でゆっくりと息を吸い、顔面と面体の密着性を調べる。このとき、空気が外部から流入せず面体が顔に吸い付くことが確認できれば、密着性の状態は良好である。フィットチェッカーを使用するのが望ましいが、フィットチェッカーがないときは、手のひらをろ過材の吸気口に当て、吸気口をふさいで確認することができる。このとき、面体を顔に押し付けないように、軽く手のひらを吸気口に当てる。強く押し当てると、このときだけ、密着性が良くなるので注意が必要である。陰圧法のシールチェック(フィットチェック)は、顔面と面体の密着性と併せて、排気弁部の気密性も確認できる。排気弁に粉じん等が付着している場合には、相当の漏れ込みが考えられるので、排気弁を正常にして顔面と面体の密着性を調べる必要がある。2)陽圧法によるシールチェック(フィットチェック)専用のフィットチェッカーを使用して、排気弁の排気口をふさいだ状態で息を吐き、顔面と面体の密着性を調べる。このとき、息が面体と顔面の隙間から外部に流出せずに面体が膨らむ感じがあれば、密着性の状態は良好である。フィットチェッカーを使用することが望ましいが、フィットチェッカーがないときは、手のひらを排気弁の排気口に当て、排気口をふさいで確認することができる。このとき、面体を顔に押し付けないように、軽く手のひらを排気口に当てる。強く押し当てると、このときだけ、密着性が良くなるので注意が必要である。陽圧法のシールチェック(フィットチェック)は、排気弁の排気口をふさいで行うため、排気弁部の気密性は確認できない。●フィットチェッカーがある場合ろ過材にチェッカーを取り付けて、吸気口をふさいだ状態で息を吸う。空気が流入せずに、面体が顔に吸いつくことが確認できれば、密着性の状態は良好である。●フィットチェッカーがない場合軽く手のひらをろ過材の吸気口にあて、吸気口をふさいだ状態で息を吸う。空気が流入せずに、面体が顔に吸いつくことが確認できれば、密着性の状態は良好である。図6.2.16陰圧法のシールチェック(フィットチェック)(3)留意事項密着性の良い呼吸用保護具を使用するためには、事前に複数の種類及びサイズの呼吸用保護具を用意し、作業者ごとに良好な密着性を保つことのできる呼吸用保護具を選定することが望ましい。視力矯正用めがねを使用している作業者の場合、密着性が悪くなる原因となり得るが、メーカーが推奨する眼鏡と面体との隙間を塞ぐ部品等で漏れを低減させることが可能である。また、ひげや髪の毛、タオル、作業帽等が接顔部分やしめひも部分に挟まれることで、漏れの原因になることがある。シールチェック(フィットチェック)により良好な結果が得られない場合、これらのことに注意が必要である。2692706.2.5その他の留意事項(1)呼吸用保護具の適正使用のための体制呼吸用保護具の適正な選択及び使用のため、事業者には厚生労働省の「第10次粉じん障害防止総合対策の推進について(別添)粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」(令和5年3月30日基発0330第3号(一部改正令和6年3月6日基発0306第1号))に準じた対応が求められる。詳しくは表6.2.1を参照すること。表6.2.1呼吸用保護具の適正な選択及び使用の徹底呼吸用保護具の適正な選択及び使用のため、事業者には厚生労働省の「第10次粉じん障害防止総合対策の推進について(別添)粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」(令和5年3月30日基発0330第3号(一部改正令和6年3月6日基発0306第1号))に準じた対応が求められる。詳しくは表6.2.1を参照すること。表6.2.1呼吸用保護具の適正な選択及び使用の徹底「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」(抜粋)(令和5年3月30日基発0330第3号(一部改正令和6年3月6日基発0306第1号))第2具体的実施事項1呼吸用保護具の適正な選択及び使用の徹底事業者は、粉じんの有害性を十分に認識し、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるため、次の措置を講じること。(1)粉じん保護具着用管理責任者の選任及び呼吸用保護具の適正な選択と使用等の推進「粉じん保護具着用管理責任者」を衛生管理者、作業主任者等の労働衛生に関する知識及び経験を有する者のうちから作業場ごとに選任し、令和5年5月25日付け基発0525第3号「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(以下「呼吸用保護具通達」という。)に基づき、防じんマスクの適正な選択等の業務に従事させること。呼吸用保護具通達に基づく保護具着用管理責任者が、粉じん保護具着用管理責任者を兼任することは差し支えない。なお、顔面とマスクの接地面に皮膚障害がある場合等は、漏れ率の測定や公益社団法人日本保安用品協会が実施する「保護具アドバイザー養成・確保等事業」にて養成された保護具アドバイザーに相談をすること等により呼吸用保護具の適正な使用を確保すること。(2)電動ファン付き呼吸用保護具の使用電動ファン付き呼吸用保護具は、防じんマスクを使用する場合と比べて、一般的に防護係数が高く身体負荷が軽減されるなどの観点から、より有効な健康障害防止措置であり、じん肺法第20条の3の規定により粉じんにさらされる程度を低減させるための措置の一つとして使用すること。なお、電動ファン付き呼吸用保護具を使用する際には、取扱説明書に基づき動作確認等を確実に行うこと。(3)(略)「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(抜粋)(令和5年5月25日基発0525第3号)記第1共通事項3管理体制等(1)事業者は、リスクアセスメントの結果に基づく措置として、労働者に呼吸用保護具を使用させるときは、保護具に関して必要な教育を受けた保護具着用管理責任者(安衛則第12条の6第1項に規定する保護具着用管理責任者をいう。以下同じ。)を選任し、次に掲げる事項を管理させなければならないこと。ア呼吸用保護具の適正な選択に関することイ労働者の呼吸用保護具の適正な使用に関することウ呼吸用保護具の保守管理に関することエ・オ(略)(2)(前略)また、事業者は、保護具着用管理責任者に、各労働者が着用する呼吸用保護具の取扱説明書、ガイドブック、パンフレット等(以下「取扱説明書等」という。)に基づき、適正な装着方法、使用方法及び顔面と面体の密着性の確認方法について十分な教育や訓練を行わせること。(3)(略)(2)予防のための保護具の着用建築物等の解体等の作業においては、事前調査が不十分であった場合や隔離空間からの漏えいなどで石綿繊維が飛散するおそれもあること、また、作業に伴って石綿以外の粉じんも発生するおそれがあることから、事前調査の結果として石綿等がないことが確認された場合や別の場所で石綿作業に従事していない場合であっても、作業者に防じんマスク等の呼吸用保護具を使用させる必要がある。2717労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務における留意事項石綿則では、建築物等に使用されたレベル1~2の石綿含有建材の損傷・劣化等により石綿繊維を発散させ、及び労働者がばく露するおそれがあるときは、事業者又は建築物貸与者は、石綿則第10条第1項又は第4項に基づき、その石綿建材の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならないとされている。また、労働者を臨時で就業させる場所については、事業者は、石綿則第10条第1項の措置に代えて、同条第2項に基づき、労働者に呼吸用保護具の使用等で措置することもできる。その他、建築物の所有者・管理者は、建築物の維持管理上の項目として、資産除去債務の評価(企業会計基準)、定期調査報告(建築基準法)、土地工作物責任(民法717条)について対応が必要である。7.1労働者を常時就業させる建築物等に係る措置事業者は、その労働者を常時就業させる建築物若しくは船舶の壁、柱、天井等又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物に、吹付け材又は保温材、耐火被覆材等が封じ込め又は囲い込みがされていない状態である場合は、石綿等の使用の有無を調査することが望ましい。また、事業者は、その労働者を常時就業させる建築物若しくは船舶の壁、柱、天井等又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物について、建築物貸与者は当該建築物の貸与を受けた2以上の事業者が共用する廊下の壁等について、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が封じ込め又は囲い込みがされていない状態である場合は、損傷、劣化等の状況について、定期的に目視又は空気中の総繊維数濃度を測定することにより点検することが望ましい。労働者を常時就業させる建築物等に係る措置については、以下のとおり実施すること。「目視又は空気中の総繊維数濃度を測定することにより点検する」とは、目視により石綿含有建材の劣化状況の確認すること、又はJISK3850-1「空気中の繊維状粒子測定方法」等により、総繊維数濃度又は石綿の濃度が、建築物屋外の濃度と同程度であることを確認することをいう。目視による劣化状況の確認に関しては、毛羽立ち・繊維の崩れ・垂れ下がり・浮きはがれ・局部的損傷、欠損・層の損傷、欠損等を確認することとなり、「既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説2018」(一般財団法人日本建築センター)が参考となる。点検を計画するに当たっては、・現在の損傷劣化の状況・損傷、劣化等を生じさせる要因等を踏まえ、事業場で働く労働者からの随時の情報だけでなく、専門家による目視と測定を的確に組み合わせ、その頻度を定める必要がある。なお、点検時期については、点検を行うのに適した時期やできる限り避けたい時期等があるか確認して設定すると、建築物等の円滑な利用につながる(例えば、エレベーターであれば搬器の交換時期、煙突であれば稼働時期等を考慮する)。「吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等」について、事業者(又は安衛法第34条の建築物貸与者)は、石綿則第10条の適切かつ有効な実施のため、石綿建材の把握が重要である。石綿建材の把握に当たっては、建築物等に対する調査と、その結果に基づき必要な建材に対する石綿分析について、それぞれ適切に実施できる者に依頼する。この調査は、石綿の把握後に速やかに除去等を行う場合を除き、今後、職場という空間を維持管理していくためのものであるから、解体作業等の事前調査とは目的・内容が異なる。具体的には、石綿の有無を把握するだけでなく、石綿建材の劣化状況を含め、今後の維持・管理のためのアドバイスなどについても、依頼することが肝要である。なお、建築物等に対する調査を行った結果、石綿の有無が不明な建材について、分析調査を行わずに石綿とみなして除去等を行うこともできる。272石綿の除去・封じ込め・囲い込みについては、・各建材の現在の損傷劣化等の状況・各建材を損傷劣化等させる要因(下記参照)・その場所を利用する労働者の人数・頻度・労働者の就業する場所に飛散させる要因(天井裏の密閉度合い、空調経路その他気流の生じる箇所であるか否か等)等からリスク等を検討し、建築物・工作物の今後の使用予定年数等を踏まえ、順次、必要と考えられる除去等を行っていくことが重要である。なお、いずれにしても、損傷劣化等により石綿の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれが生じれば、臨時に就業する場所を除き、除去等の措置を講じなければならない。各建材を損傷劣化等させる要因に関して、東京都の手引きでは、別の観点(除去、封じ込め、囲い込みの選択)であるが、物理的損傷の機会の例として次を挙げている。・身体に接触のおそれあり・故意に突っついたり、又はボール等が当たるおそれあり・振動等が発生する箇所にあり・高湿度、結露発生又は水滴がかかるおそれありまた、損傷劣化しやすい建材の具体例としては、レベル1の吹付け材のうち、国土交通省の実態調査において、吹付け石綿や石綿含有吹付ロックウールが劣化等により石綿繊維の飛散事例が確認されている。その他、レベル2建材として、例えば、次が挙げられる。・煙突断熱材(排ガスにさらされる、陣笠がないものは雨雪に特にさらされる、特に寒冷地では内部に浸透した水分の凍結が劣化要因となりうる)・人が通行する箇所の配管エルボ保温材(機械室の通路脇、廊下の消火栓など。人が接触しやすく損傷する)・キャンバス継ぎ手(日常的又は地震等により、被接続部同士が互いに異なる振動をすることで、継ぎ手建材に応力がかかる)2737.2労働者等を建築物等において臨時に就業させる場合の措置労働者を建築物等において臨時に就業させる場合の措置を講ずるに当たっては、次の(1)から(3)までの措置を講ずることが望ましい。(1)事業者は、その労働者を臨時に就業させる建築物若しくは船舶の壁、柱、天井等又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等の有無及びその損傷、劣化等の状況について、当該業務の発注者からの聞取り等により確認すること。(2)事業者は、石綿等の粉じんの飛散状況が不明な場合は、石綿等の粉じんが飛散しているものとみなし、労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させること。(3)建築物又は船舶において臨時に労働者を就業させる業務の発注者(注文者のうち、その仕事を他の者から請け負わないで注文している者をいう。)は、当該仕事の請負人に対し、当該建築物若しくは船舶の壁、柱、天井等又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等の有無及びその損傷、劣化等の状況を通知すること。事業者は、自社の労働者のみならず、その所有等する建築物のメンテナンス作業(例:エレベーターの定期点検)、機器の取り付け作業、その他石綿が使用された場所での作業を外部に発注するときは、請負人の労働者が石綿にばく露することを防止するため、必要な情報を通知することが重要である。石綿を取り扱う場合は石綿作業主任者の選任などが義務付けられており、例えば石綿含有不明の断熱材の劣化した煙突の灰出し口の掃除を行わせるような場合を含め、これら法令に基づく措置を履行できない業者に発注してはならない。建築物を解体せずに引き続き利用する場合は、各種マニュアル等を参考に、除去、封じ込め、囲い込みの中から適切な措置を選択する。法令に措置内容の定めがある場合は、それに従うこと。大防法、石綿則の他、建築基準法では、一定規模以上の増改築時や大規模修繕・模様替え時に石綿含有建材の除去等の措置を行うことが定められている。また、封じ込め、囲い込みについても、国土交通大臣によりレベル1建材のうち吹付け石綿と石綿含有吹付けロックウールの封じ込めや囲い込みの措置の基準が示されている。建築基準法に基づく場合以外も、この基準を参考にし、適切な方法で行うこと。除去、封じ込め、囲い込みの具体的方法等は、例えば対象建材に対する封じ込め剤の有効性を確認するなど、各種情報を参考にし、適切な方法で行うこと。274付録Ⅰ事前調査の方法1.事前調査の概要事前調査とは、工事前に建築物等に使用されている建材の石綿含有の有無を調査することをいう。調査は石綿含有無しの証明を行うことから始まり、その証明ができない場合は分析調査を行うか、石綿含有とみなすことが基本となる。建築基準法など各種法律に基づき施工された石綿含有建材以外にも、改修・改造・補修などにより、想定できないような場所に石綿が使用されている場合がある。建材等の使用箇所、種類等を網羅的に把握し的確な判断を行うためには、見落とさないよう注意する必要がある。事前調査の基本的な流れを図Ⅰ-1-1に示す。発注者からの情報提供書面調査現地での目視調査石綿あり各建材について判断石綿なし石綿ありみなし不明書面調査及び現地での目視調査は原則として実施する。試料採取分析石綿あり図Ⅰ-1-1事前調査の基本的な流れ書面調査及び現地での目視調査で石綿含有の有無が不明な場合に分石綿なし析を行う。Ⅰ-12.書面調査事前調査の第1段階は書面による調査(設計図書等の調査)(以下「書面調査」という。)である。書面調査では、①図面などの書面や聞き取りから情報をできる限り入手し(発注者や過去の経緯をよく知る施設管理者や工事業者等の関係者に対するヒアリング等により情報を入手する)、②それらの情報からできる限り多く、石綿の使用の有無に関係する情報を読み取り(工事概要や建築物等に関する情報のほか、建築物等に使用されている個々の建材を把握するとともに、得られた情報から石綿含有の有無の仮判定を行う)、③現地での目視による調査(以下「現地での目視調査」という。)を効率的・効果的に実施できるよう準備を行う(得られた情報を参照しやすいよう整理する)。書面調査は、調査対象建築物に係る情報を理解・把握することにより、ⅰ現地での目視調査の効率性を高めるとともに、ⅱ石綿含有建材の把握漏れ防止につながるなど、調査の質も高めるものであり、重要な工程である。これらの質と効率を高めるには、建築や建材などの知識が重要である。書面調査の流れは図Ⅰ-2-1のとおりである。図Ⅰ-2-1事前調査の流れ①Ⅰ-2Ⅰ-3参考石綿含有建材の代表的な使用箇所石綿は、「目で見るアスベスト建材(第2版)」(国土交通省、平成20年3月)に掲載されているように、非常に幅広い建材に使用されている。ここに掲載されている以外にも、例えば、配管貫通部やカーテンウォールファスナー部の吹付け材や耐火材など様々な箇所の建材に石綿は使用されている。<S造・RC造><戸建て住宅>●:吹付け石綿●:石綿含有断熱材、保温材、耐火被覆材●:成形板等建材出典:目で見るアスベスト建材(第2版)(国土交通省)①発注者等からの情報の入手ア発注者等が保有する資料の提供依頼発注者等に対し、設計図書、過去の維持管理のための調査記録や改造補修時の記録などの提供を依頼する。発注者は建築や石綿に詳しくないことが多いため、①ヒアリング相手方として管理担当者など詳しい者を要望したり、②必要な書面の具体例を挙げたり(例:設計図は「確認申請書」「確認済証」という用語を伝えてみる)、③書面の重要性を説明して理解を求める、などするとよい。発注者等に提供を依頼する主な図面等の種類は以下のとおり。(ア)設計図書・竣工図書等(詳細は、参考資料(4))建築施工中に設計内容を変更することが多くあるため、竣工図があるなら竣工図を確認するとよい。また、新築時以外にも、増築、改築、修繕、模様替え、用途変更等の際の図面も入手する。意匠図(特記仕様書、内外装仕上表、配置図、平面図(防火区画の確認)、立面図、断面図、天井伏図、平面詳細図、断面詳細図、矩計図、各種詳細図、什器備品関連図)構造図設備図(各図面に特記仕様書が付いている)(イ)過去の石綿含有建材の調査記録(ウ)過去に石綿含有建材を処理(除去、封じ込め、囲い込みなど)した履歴(工法、施工日、部屋名・箇所)(エ)機械設備の分解、廃棄が解体工事に含まれる場合は、用途等の情報(オ)吹付け材などの劣化状況の調査情報イ発注者等関係者からのヒアリング発注者等に対し、上記アの資料の提供のほか、以下の事項を確認し、聞き取った内容をメモ等に残す。(ア)建築物等の用途上記アの資料により確認できる情報のほか、建築物等がどのような用途であったかを確認する。用途から、必要な性能(耐火性、防音性、断熱性・保温性、等)の情報を得ることができる。また、過去の用途の変遷から過去の改修履歴を、逆に過去の改修履歴から過去の用途の変遷を推測できる。(イ)事前調査の範囲の確認事前調査の範囲は、調査後行われる予定の工事の目的・内容に照らし、必要十分なものとなるよう発注者等と十分相談の上、確定する。(ウ)事前調査の実務上の制約の確認(湿潤・破壊・復旧等)発注者に対して、事前調査の実施に当たって、①壁の内部の確認や建材の取り外し、②点検口のない天井の破壊等、③粉じん飛散抑制剤の散布の可否、④分析試料採取のための壁等の破壊の可否、⑤事前調査のための破壊後の復旧の程度、などについて確認する。さらに、現地での目視調査の際の建築物等の使用・利用状況を確認し、建築物等が使用中の場合は、調査対象室における使用者・利用者の在室状況及び調査のために入室できる時期等を確認する。なお、工事対象箇所(壁等の内部を含む)を網羅できない場合は、施工までに再度調査がⅠ-4必要である。(エ)その他調査の日時、報告書提出期限、報告書に記載すべき内容の確認を行う。その際、現地での目視調査時の立会人(管理者等)が上記(ア)~(ウ)のヒアリング対象者と異なる場合は、立会人との日程調整等も行う。②情報の読み取り・活用発注者等より入手した設計図書、過去の調査記録、ヒアリング内容等から、次のア~エのとおり情報の読み取り等を行うとともに、オのとおり現地での目視調査の準備を行う。ア建築物の概要の把握木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造などの構造、階数、耐火建築物・準耐火建築物か否か、部屋数等のフロアの概観、竪穴区画や煙突があるか否かなど、建築物の概要を把握する。また、工事に着工した年月、増築・改築・改修の有無と年月日及び用途変更を伴うものか等を確認する。イ個々の建材情報の把握建築物等に使用されている建材の種類等の確認を行う。参考資料(4)に書面調査で参照する書類と得られる情報について、例を示している。ウ過去の石綿含有分析の結果石綿含有無しの判定として使う場合は、特に次の点を確認する。・分析の対象とした石綿がクリソタイル等の6種類すべてであること・石綿の含有なしの判定が0.1%以下の基準でなされていること・同一と考えられる建材の範囲の判断が適切であることエ石綿含有の有無の仮判定個々の建材の石綿含有の有無の判断には、ⅰ建材の特定(商品名等)と、ⅱ当該建材の石綿含有情報との照合、が必要である。ⅰは上記イのとおりであり、ⅱについては、次の(ア)~(エ)のとおり、データベースやメーカー情報等と照合しつつ、石綿含有の有無の仮判定(想定)を行う。(ア)建材の製造時期や材質による判定石綿の製造・使用等の禁止(平成18(2006)年9月1日)以降に着工した建築物・工作物(又はその部分)は、原則として石綿含有なしと判断できる。また、例えば、ガラス、金属、木材に石綿が含有していることはないが、これらに石綿が付着していることがあるので注意を要する。(イ)石綿(アスベスト)含有建材データベースによる判定国土交通省及び経済産業省が公表しているデータベースは、建材メーカーや加工メーカーが過去に製造した石綿含有建材の種類、名称、製造時期、石綿の種類・含有率等の情報を検索できる。ただし、データベースには、すべての石綿含有建材が掲載されているものではないことから、データベースに存在しないことを以て石綿含有なしの証明にすることはできない。Ⅰ-5Ⅰ-6参考データベース利用の留意点https://www.asbestos-database.jp/データベースの利用には、主に以下の留意点があるため、よく理解して活用すること。・完全な情報整備ができていないため、実際に存在する石綿含有建材を検索できない場合があること・建材の名称やメーカー名などは、正式名称を入力しないと検索できない場合もあること・最新のウェブ版を使用すること(古いダウンロード版は使用禁止)。留意点不燃番号についてデータベースでは不燃番号等により検索できるが、一般に同じ不燃番号でも複数の商品があり、石綿含有製品と石綿含有なし製品の両方がありうる。このため、少なくとも石綿含有の有無を判断するには、商品を特定する必要がある。留意点データベースに掲載されている関連情報・「石綿(アスベスト)含有建材データベース」の「関連情報」に接着剤、塗料、建築用仕上塗材、石膏ボード、壁紙、アスファルト防水材料・副資材についてウェブ上で建材の情報等を公開している企業等へのリンクが掲載されている。・「関連情報」として、各種石綿含有建材の特徴も掲載している。・「関連情報」として、アスベスト非含有建材(材料に石綿を必要としない建材)も掲載している。グラスウールなど、石綿含有建材と間違えないように留意する。なお、ロックウールそのものには石綿は含まれていないが、石綿を含有されているものがあるので、留意が必要https://www.asbestos-database.jp/tabid/78/Default.aspx(ウ)団体・メーカー資料による判定建材の石綿含有の有無に関するメーカー情報等としては、建材メーカーが自社のウェブサイトにおいて情報を公開していたり、個別の問い合わせに回答していることがある。図Ⅰ-2-2(株)エーアンドエーマテリアルの製品への石綿含有の有無の公表例表Ⅰ-2-1団体・メーカー等が製品への石綿含有の有無を公表している例団体・メーカー名URL日本建築仕上材工業会https://www.nsk-web.org/asubesuto/questionnaire.pdf一般社団法人石膏ボード工業会http://www.gypsumboard-a.or.jp/safety/asbestos.html団体せんい強化セメント板協会(SKC協会)http://www.skckyoukai.org/environment/pdf/productlist_asbestos.pdfロックウール工業会https://www.rwa.gr.jp/download/data/AS_SEIZOUJIKI.pdf(株)エーアンドエーマテリアルhttps://www.aa-material.co.jp/contact/asbestos.htmlメーカーhttps://www.nichias.co.jp/kanrenjouhou/pdf/20050721.pdfニチアス(株)https://www.nichias.co.jp/kanrenjouhou/pdf/050906_05.pdfメーカー証明により石綿含有なしと判断する場合は、ⅰ無含有証明が対象とする石綿が6種類すべてであるか、ⅱ無含有証明が対象とする石綿含有率は0.1%以下かについて確認する。Ⅰ-7(エ)過去に実施された調査結果による判定過去に行われた石綿含有建材の調査結果を使用して判定する際の留意事項は以下のとおり。なお、過去に調査された後に、改造、補修された箇所がある場合は、その記録についても確認し、調査対象の建材を確認する。ⅰ石綿ありの判定過去に「石綿含有」と判断された建材は、改造、補修で除去された履歴がなければ、石綿ありと判定する。ⅱ石綿なしの判定石綿含有なしと判断する場合には、以下の事項に留意して慎重に判定する。分析で判定した石綿の種類・含有率(なし判断については含有率が0.1%以下と判定しているか、6種類すべての石綿を対象に分析しているか確認。)調査対象建材について同一建材と判断する範囲(裏面情報や採取した試料の結果により、どこまでの建材を同一と判断して石綿含有なしとするか)当該過去の調査範囲(具体的な調査範囲について記録がない場合は、調査範囲がわからないため石綿含有なしの判断には直接使えない。)オ書面調査結果の整理と現地での目視調査の準備書面調査で得られた情報については、現地での目視調査において効果的に活用できるよう、整理する必要がある。具体的には、目視調査の作業用資料として、・現場で、迅速・簡易に情報を記入できるもの・現場で、調査・判断の流れに沿って記入しやすいもの・現場で、調査箇所に漏れがないことを確認しやすいものとなるよう留意しつつ、書面調査で把握できた建材をリストにまとめる。また、作成した建材のリストや、発注者等関係者からヒアリングした内容をもとに、次のような事項について調査実施計画の策定を行う。動線計画(同じタイプの部屋でも改修されていることがあるので、それぞれの部屋を確認する目視調査計画とすることが必要)入室可能時間特に大きな建築物の場合は、建材確認、裏面表示確認、試料採取などの実施順序・流れ発注者との相談予定日時、立会いがない場合の調査当日の連絡先(みなしか、分析かの選択の相談などの確認方法)留意点入手できた書面に応じた現地での目視調査の準備(計画)どこまで図面が残っているかによって目視調査の準備(計画)は異なってくる。①図面に動線計画を記入しておくことにより目視調査の時に調査漏れの防止につながり、また、②調査結果の記録として図面を用いることにより、石綿含有建材の使用箇所が分かりやすく作業者に伝わるため、図面があることが望ましい。具体的には、入手できた図面によって下記の対応が考えられる。(ア)図面が全くない場合・目視調査までに、フロアマップなどから略図を作成しておき、ヒアリング時に現地の概略を確認する。目視調査で階ごとの部屋数を確認するとともに、変更されていた場合はメモ書きで残す。(イ)図面が一部のみの場合Ⅰ-8・不足分は目視調査で略図を作成し補足する。(ウ)図面がほぼ揃っている場合・図面と建築物の構造や間取り、使用している建材の整合性を確認する。参考現地での目視調査に準備すべき資料設計図書のコピーなどを現地に持ち込むことは再確認のため、重要なことと考えられる。しかし、特に原図のサイズはA1またはA2の場合がほとんどであり、現地では大きすぎて使いづらい。また、解体時の事前調査は電気が不通であることが多く、原図の縮小コピーでは文字が読みにくくなり、判読を誤りかねない。そのため、・設計図書のコピーの建材名等の表記について、見える大きさに手書きで記載しておく・書面調査情報を目視調査用の資料に整理しておく(例:参考資料(1)イ、ウの目視調査における確認表)・原図の写真や整理票をタブレットなどに保存しておくなどにより、目視調査が適切かつスムーズに実施できるようにすることが必要である。3.現地での目視調査設計図書や竣工図等の書面は石綿含有建材の使用状況に関する情報を網羅しているものではなく、また、必ずしも建築物の現状を現したものとは限らないことから、書面調査の結果を以て調査を終了せず、石綿の使用状況を網羅的に把握するため、原則として現地で目視調査を行うことが必要である。例えば、仕様を満たすため現場判断で設計図書と異なる施工をした場合や、設計図書には残っていない改修が行われている場合があり、書面調査はあくまで下調べに過ぎず、相違があれば、当然、現地での目視調査の結果が優先する。目視調査では、次のような点がポイントとなる。・内装のほか下地等の内側等の外観からでは直接確認できない部分を含め、建材の使用箇所(各部屋・各部位等)に漏れがないようにする。-各部屋のほか、パイプスペース、煙突、改修により遮断された空間、エレベーター昇降路等[各部屋の網羅]-床、幅木、腰壁、垂れ壁、天井、懐などに加えて、取り合い部、金属パネル裏打ち、配管貫通部等[各部位の網羅]・建材等の種類や石綿含有の有無等を判断する、又は石綿含有とみなす。-建材等の種類等を判断する(例:ロックウールかグラスウールか)-同一と考えられる建材の範囲を判断する(例:改修の有無)-建材の商品等を特定する(裏面の表示等の情報を読み取る)-建材の石綿含有の有無を判断する(特定した商品等と、データベースや団体・メーカー等の石綿含有情報と照合する)(詳細は参考資料(5))※書面調査で特定した商品等と同じであれば、改めて判断することは不要・これら建材の種類や石綿含有の有無・不明の根拠等を記載し、調査結果の現場メモを作成する。ただし、以下の建築物等を解体等する場合には、書面調査で工事着手日を確認することで、石綿含有建材が使用されていないと判断することができる。イ平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等(ロからホまでに掲げるものを除く。)Ⅰ-9ロ平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した非鉄金属製造業の用に供する施設の設備(配管を含む。以下この号において同じ。)であつて、平成19(2007)年10月1日以後にその接合部分にガスケットを設置したものハ平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した鉄鋼業の用に供する施設の設備であって、平成21(2009)年4月1日以後にその接合部分にガスケット又はグランドパッキンを設置したものニ平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した化学工業の用に供する施設の設備であって、平成23(2011)年3月1日以後にその接合部分にグランドパッキンを設置したものホ平成18(2006)年9月1日以後に設置の工事に着手した化学工業の用に供する施設の設備であって、平成24(2012)年3月1日以後にその接合部分にガスケットを設置したもの図Ⅰ-3-1事前調査の流れ②①建材の確認・把握事前調査は、解体・改修等を行う全ての建材が対象であり、必要がある場合は建材の取り外し等も行う。建築物等に使用されている建材等の使用箇所、種類等を網羅的に把握できるよう行うことがポイントである。具体的には、調査は建築物のうち解体や改修作業等を行う部分について、内装や下地等の内側等、外観からでは直接確認できない部分についても網羅して行う必要がある。書面調査において作成した建材リストをもとに、他に石綿含有の可能性のある建材が使用されていないか確認するとともに、現場で使用されている建材との整合性を確認していくと現地での目視調査を効率的に行うことができる。なお、見落としやすい例は、「参考資料(6)」を参照のこと。Ⅰ-10Ⅰ-11参考書面と現地で相違がある例・RC造の最上階スラブ下に結露防止等の断熱のため発泡系断熱材のコンクリート打ち込みを行うことがあるが、これが石綿含有吹付けロックウールなどに変更されていないか等を確認する。・増築・改修・改造などによる間取りの変更・ボードの貼り替え等がないか確認する。留意点調査対象の留意点・耐震補強工事において、梁、柱を利用して耐震補強を行う場合は、梁や柱の周辺の吹付け材や耐火被覆板等の石綿について部分除去が必要となる可能性があるため、当該施工箇所周辺について調査を行う。・天井裏の吹付け材を除去せず、天井板等の取替えのみの場合であっても、吹付け材が劣化・脱落して天井板等に堆積している場合においては、堆積している吹付け材の石綿含有の有無について確認する必要がある。・改修工事では、改修の対象となっていなくても、工事に伴い石綿が飛散するおそれのある建材を適切に調査の対象にする。例えば、建築用仕上塗材を改修する際に、劣化した仕上塗材層だけでなく、下地調整塗材層までも削り取ることによって粉じんが飛散するおそれがある場合には、下地調整塗材層についても別途調査を行う。留意点応急措置現地での目視調査において確認された吹付け石綿等で、露出している部分が劣化しており、かつ、人の出入りがある場所の場合は、使用者・利用者がばく露する危険性があるため、速やかに発注者等に劣化状況を連絡して立入禁止措置を含め対策措置の検討を速やかに講じてもらうようにする。〈目視により劣化状況の確認〉毛羽立ち・繊維の崩れ・垂れ下がり・浮きはがれ・局部的損傷、欠損・層の損傷、欠損等を確認する。《改訂既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説2018P20参照》②建材情報の読み取り成形板等の建材のうち表3-1の建材は、裏面等に表示されている情報(メーカー名・不燃認定番号・JIS番号・ロット番号・商品名・製造工場名・aマークなど)を確認し、石綿含有の有無に関する情報と照合することができる場合がある。一方、表3-2の建材は表示の確認はできない。なお、メーカーによる石綿含有なしの証明は、ロット番号がわからないと発行できない場合が多く、建材に表示されている情報をできるだけ読み取り、写真等で記録することが重要である。表Ⅰ-3-1表示の確認ができる建材スレートボードスラグせっこう板窯業系サイディング複合金属系サイディングパルプセメント板けい酸カルシウム板第1種押出成形セメント板スレート波板せっこうボードパーライト板住宅屋根用化粧スレートセメント円筒その他パネル・ボードセメント管表Ⅰ-3-2表示の確認ができない建材ロックウール吸音天井板ルーフィング壁紙ビニル床タイル発泡体不定形、液状、粉末状などの建材ビニル床シートソフト巾木紡織品注意昔の「無石綿」表示では石綿含有製品になることも労働安全衛生法令における石綿等の対象含有率は、昭和50(1975)年に石綿の重量が5%を超えるもの、平成7(1995)年に1%を超えるもの、平成18(2006)年9月に0.1%を超えるものとなった。このため、石綿を含有する可能性のある建材について、平成18(2006)年9月以前に記載等された情報(裏面情報等)において単に石綿を含有しないとされていること自体を以て、石綿を含有しないものとは扱えない。成形板等は、裏面等に表示されている情報や建材メーカー情報から確認できる場合がある。その際に、「石綿なし」の記載、「無石綿」の表示があっても、石綿含有建材とする含有率が時期により異なっているため、その表示をもって、石綿なしと判断できないことに注意する。参考ビスの位置の探し方石膏ボードなどはクロスや塗料などで二重張り、三重張りで化粧されているが、発注者の意向から事前調査時にクロスを全面的には剥がせないことがある。その場合、磁石を用いることでビスの位置を確認することもできる。Ⅰ-12③同一と考えられる建材の範囲の判断同種類の製品等であっても、ある材料の分析結果や裏面情報等を以て、それとは同一と考えられない範囲の材料について石綿含有の有無の判断を行えない(別のものに判断を転用しない)(代表性の適切な判断)。そのため、同一と考えられる建材の範囲を判断することが必要である。また、石綿含有みなし範囲を判断する場合にも、廃棄物の分別を適切に行う観点から、同一と考えられる範囲かどうか、適切に判断することが望ましい。具体的には、同一と考えられる建材の範囲については、色を見たり、成形板であれば触ってみる、叩いてみる、外してみる等により、知識と経験を持って総合的に判断を行う。例えば、・同一のフロア内・部屋内であっても、建築物等に補修・増改築がなされている場合や建材等の吹付けの色が一部異なる場合等複数回の吹付けや複数業者による施工が疑われるときには、それぞれの範囲ごとに別の材料として、独立して石綿の含有の有無を判断する必要がある。・同様の部屋が複数ある場合(例:ホテル客室、病院病室、オフィスの執務室)においては、同種建材が繰り返し使われていても、そのことのみを以て同一建材であるとは判定できず、裏面確認により商品情報を確認するなどの対応が必要である。・また、改修工事等の仕上げでは、表面を同一色に塗装等されることも多く、表面の色が同一であることのみを以て改修が行われていないとの判断は安易に行わず、例えば天井板であれば点検口から裏面確認を行う等、必要な確認を行う。④目視調査時の現場メモ調査箇所の漏れを防止する観点から、調査した箇所を写真や図面その他の書類に記録していき、調査の終了時に漏れがないか確認する。なお、工事の進捗後でなければ調査の難しい箇所についても現場メモに明記する。4.石綿含有の有無の判断現地での目視調査を踏まえ、建材の石綿含有の有無を判断する。判断は、①読み取った建材情報と各種情報との照合による判断、②分析による判定、③石綿含有みなしと取り扱うことにより行う。石綿含有とみなす場合は、吹付け材や保温材等を作業基準のことなる成形板等や仕上塗材と扱わないよう注意が必要である。石綿含有とみなした場合は、当該解体等工事は石綿含有建材の除去等に該当することはもちろん、当該建材が廃棄物となった際に廃石綿等又は石綿含有産業(一般)廃棄物として扱うことになる。留意点主な建材の石綿含有の有無の判断方法の概略吹付け材は目視での石綿含有の有無の判断はできない。過去の施工記録等で「石綿あり」とされている場合を除き、分析が必要である。けい酸カルシウム板第2種では表示により判断できる場合があるが、基本的には保温材、断熱材等についても、吹付け材と同様である。成形板等の建材は、裏面等に書かれている情報(メーカー名・不燃認定番号・JIS番号等・ロット番号・商品名・製造工場名・aマークなど)を確認し、石綿の有無に関する情報を読み取る。読み取った情報をもとに、「石綿(アスベスト)含有建材データベⅠ-13ース」やメーカー情報と照合し、石綿「あり」、「なし」の判断を行う。参考石綿含有みなしの実際例建築物等に対する調査を行った結果、石綿の含有の有無が不明である場合において分析を行うが、分析を行わずに石綿含有「みなし」とすることができる。分析を行うかどうかについては、事業者や発注者等が選択する。その際、具体的には、同一と考えられる建材ごとに、主に次のような要素を踏まえて、環境負荷や石綿対策に要する費用などが比較考量され選択されている。・再資源化の要否(安易に石綿ありとするのではなく、石綿なしを証明して再資源化すべきものか)・石綿ばく露・飛散防止対策や廃棄物処理に要する費用(石綿ではないと証明できた場合のコスト減少保温材・断熱材等>成形板等等)・石綿の含有の可能性(可能性が低いほど分析により含有の有無を判定した方がトータルでコストが下がる場合が多い一方で、可能性が高いほどみなしが効率的となる可能性がある。)なお、国土交通省の「建築物石綿含有建材調査マニュアル」の参考資料に、建材の種類ごとに石綿が多用された年代がまとめられている。①読み取った建材情報と各種情報との照合現地での目視調査で確認した建材情報を元に、(1)エ石綿含有の仮判定に記載の方法で石綿含有の有無の判断を行う。②分析による判断分析により石綿含有の有無を判定する場合は、5.試料採取・分析のとおり試料採取を行い、分析を行う。Ⅰ-14図Ⅰ-4-1石綿含有有無の判断の流れ(参考例)5.試料採取・分析分析を行うこととなった建材の試料採取については、目的とする分析対象を採取できるよう同一材料と判断される建築材料ごとに、代表試料を選定し、採取しなければならない。①試料における混入の防止採取時における他の試料の混入を防止するため、採取箇所ごとに採取用具は洗浄する、手袋は使い捨てのものを使用する等、必要な措置を講じる。また、採取しようとする材料に別の材料が接着している場合は、試料採取時に接着している材料を剥離しておく。また、当該建材が破損しやすく、剥離が困難な場合は、運搬時などに混ざってしまわないように注意するとともに、分析者に分析対象部分を明確に指定することが重要である。図Ⅰ-5-1試料採取における混入の防止(3箇所採取の場合)Ⅰ-15②採取箇所等の考え方一般に分析は、分析対象の代表性と変動性(均一性)を考慮したものとすべきであり、建材の石綿分析においては、具体的には、ⅰ現地での目視調査において同一と考えられる範囲を適切に判断し、ⅱ試料採取において建材にムラがあることを考慮しなければならない。例えば、ⅰの例として、吹付け材であれば、色違いの部分や複数回吹付けがなされた場合は、それぞれの施工部位を別の建材と判断する必要がある。ⅱについて、吹付け材の場合であれば、試料採取は該当する吹付け面積を3等分し、各区分から1個ずつサンプルを採取する。試料採取箇所の判断を適切に行う観点から、石綿に関し一定の知識を有し、的確な判断ができる者が採取箇所の判断を行う。(吹付け材の具体例)ⅰ平屋建ての建築物で施工範囲(床面積を想定)が3000m2未満の場合、試料は、原則として、該当吹付け材施工部位の3箇所以上から試料をそれぞれ採取し、それぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で、それらの試料を一纏めにして密閉式試料容器(袋)に収納する。(図Ⅰ-5-2)。ⅱ平屋建ての建築物で施工範囲(床面積を想定)が3000m2以上の場合、600m2ごとに1箇所ずつ試料をそれぞれ採取し、それらの試料を一まとめにして密閉式試料容器(袋)に収納する。(3000m2以上の場合は2業者で施工することがある。)(図Ⅰ-5-3)。ⅲ施工等の記録により、耐火被覆の区画に関し、耐火被覆の業者(吹付け業者)が明確な場合、業者ごとの区画を一つの施工範囲とし、その範囲ごとに3箇所以上から試料をそれぞれ採取し、それぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で、それらの試料を一纏めにして密閉式試料容器(袋)に収納する(図Ⅰ-5-4)。ⅳ耐火被覆の区画に関し、記録がなく、かつ耐火被覆の業者(吹付け業者)が不明確な場合、各階を施工範囲とし、その範囲ごとに3箇所以上から試料をそれぞれ採取し、それぞれ密閉式試料ホルダーに入れ密閉した上で、それらの試料を一纏めにして密閉式試料容器(袋)に収納する(図Ⅰ-5-5)。ⅴ高層階における防火規制などにより仕様が異なるものもあるので、別の建材範囲として区別するなど、同一と考えられる材料の範囲を適切に区分・判断する。Ⅰ-16図Ⅰ-5-2試料採取説明図(平屋建ての建築物:床面積3,000m2未満)図Ⅰ-5-3試料採取説明図(平屋建ての建築物:床面積3,000m2以上)Ⅰ-17例:同一フロアで施工分担が分かれている場合例:階数で施工分担が分かれている場合図Ⅰ-5-4試料採取説明図(一建築物:施工業者が明確)Ⅰ-18図Ⅰ-5-5試料採取説明図(一建築物:施工業者が不明確)Ⅰ-19③試料の採取方法吹付け材、保温材等、仕上塗材について各採取箇所で下地を確認できるように、躯体との界面まで貫通して試料を採取する。なお、吹付け材については、多層の吹付けが行われていた場合に表面と内部とで石綿の含有の有無等が異なる場合があることからも、下地近くまで採取することが必要である。④試料の採取量試料採取の必要量等は、JISA1481-1やJISA1481-2をベースとした厚生労働省「アスベスト分析マニュアル」に記載されている。実務上は、分析機関に確認するのがよい。⑤試料採取時の石綿の飛散・ばく露防止試料採取時の石綿の飛散・ばく露防止のため、湿潤化や保護具の着用等が必要であり、試料採取時に粉じんを飛散させないように、霧吹きなどを用いて常に湿潤させながら実施するとともに、採取者が粉じんを吸入しないように呼吸用保護具、手袋を装着し、作業衣を着用する。作業衣または保護衣は、粉じんの付着しにくい「JIST8118静電気防止作業服又は同等品」等が望ましい。試料採取したときは、採取痕から粉じんを飛散させないよう適切な補修の手段を講じる。試料採取は、試験研究の業務であることから石綿作業主任者の選任義務はないが、試料採取作業者の石綿ばく露防止の観点から、石綿作業主任者を選任することが望ましい。⑥試料採取に必要な器材の確認次のような器材を準備する。・保護具呼吸用保護具・保護眼鏡・作業衣または保護衣・手袋・保護帽・安全帯など・採取用具採取対象の材料に適したもの・採取用トレー・採取袋(大・小)・カメラ・ホワイトボードなど・安全衛生用具高性能真空掃除機・養生シート・養生テープ・粉じん飛散抑制剤・粉じん飛散防止処理剤・ウェットティッシュ(保護具の付着物除去)などⅠ-20⑦採取作業の実際ア吹付け材検体を採取する部屋の入口に「作業者以外立ち入り禁止」等の看板掲示を行い、開口部を養生する(採取に要する範囲を隔離できれば一層よい)。飛散抑制剤等で対象材を湿潤化し、鋭利な道具で切り抜くように躯体との界面まで採取する。採取後は飛散防止処理剤を散布して吹付け材を固化し、身体・床面その他周辺を高性能真空掃除機で清掃する。(飛散抑制剤にて湿潤化)(剥ぎ取り)(飛散防止剤にて固化)吹付け材については発じん性が著しく高いため、湿潤化を十分行うことが必要。図Ⅰ-5-6サンプリング例(室内天井面吹付けバーミキュライト)イ保温材・断熱材等基本的に吹付け材に準じ、躯体との界面まで採取する。吹付け材同様、保温材・断熱材等は発じん性が高いため、湿潤化を十分行うことが必要。煙突の場合は、灰出口で採取する。安全が確保できる場合は、頂部でも採取した方が望ましい。(脱落の有無を確認)(湿潤化)(サンプリング)図Ⅰ-5-7サンプリング例(煙突断熱材)Ⅰ-21ウ成形板等「関係者以外立入禁止」の看板等を作業場入口に掲示する。採取部位を養生後、飛散抑制剤等で採取箇所を湿潤化し、鋭利な道具で切り抜くように採取する。採取後は飛散防止措置のため切断面や採取痕を固化し、身体・床面その他周辺を高性能真空掃除機で清掃する。(湿潤化)(3か所より採取)(切り抜き)(採取した試料を密閉)(清掃)(確認状況)図Ⅰ-5-8サンプリング例(成形板)エ建築用仕上塗材等「関係者以外立入禁止」の看板等を作業場付近に掲示する。外壁や軒天などの外部から採取することが多いため、採取前後を通じて飛散がないように充分留意する。採取部位を養生後、飛散抑制剤等で採取箇所を湿潤化し、スクレーパー等で仕上塗材層(必要に応じて下地調整塗材層まで)を剥離して採取する。水循環式の無振動ドリルの使用も有効である。採取後は飛散防止措置のため採取痕を固化し、必要に応じて簡易補修を施す。(湿潤化)(剥離採取)(固化および簡易補修後)図Ⅰ-5-9サンプリング例(建築用仕上塗材等)Ⅰ-22⑧分析ア石綿含有分析の概要大防法及び石綿則において、石綿含有の有無が不明な場合は分析を行うことが義務づけられている(石綿含有ありとみなす場合を除く)。分析方法は、日本工業規格(JIS)A1481規格群をベースとし、その実施に当たっては、厚生労働省の「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」の記載内容を優先する必要がある点に留意する。これに基づく石綿分析の流れは、次のとおりである。まず、建材中の石綿の含有の有無を調べるための定性分析を行う。定性分析で石綿が含有していると判定された場合は、含有率を調査するための定量分析を行い、建材中の石綿の含有率(0.1%以下か否か)を確定させる。ただし、定性分析で石綿ありと判定された場合において、定量分析を行わずに、石綿が0.1%を超えているとして扱うことも可能である。なお、吹付け材については、ばく露防止措置を講ずる際の参考とするための含有率を調査するための定量分析を行うことが望ましい。(※)定性分析で石綿ありと判定された場合において、定量分析を行わずに、石綿が0.1%を超えているとして扱うことも可能である。図Ⅰ-5-10石綿含有分析の流れ(概要)なお、定性分析の方法として、①偏光顕微鏡法、②X線回折分析・位相差分散顕微鏡法、③電子顕微鏡法の3種類があるが、このうち③の電子顕微鏡法は、①または②を補完するものであり、③単独で石綿なしの判定を行う方法ではない。Ⅰ-23イ分析の精度管理石綿含有分析については、十分な経験及び必要な能力を有する者によって行われる必要がある。また、令和5(2023)年10月1日からは、石綿則に基づき厚生労働大臣が定める者に分析を依頼しなければならない。参考厚生労働大臣が定める者(令和2年厚生労働省告示第277号)第1条石綿則の規定に基づき厚生労働大臣が定める者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。一分析調査講習を受講し、次条第四号及び第五号の修了考査に合格した者二前号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者第2条前条第一号の分析調査講習は、次に定めるところにより行うものとする。一学科講習及び実技講習によって行うこと。二前号の学科講習は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる内容について同表の下欄に掲げる時間以上行うこと。科目内容分析の意義及び関係法令六学科講習又は実技講習を適切に行うために必要な能力を有する講師により行うこと。時間イ分析調査を行う者の心構えロ石綿の有害性ハ労働安全衛生法その他関係法令鉱物及び石綿含有材料等に関する基礎知識0.75時間イ石綿等に関する鉱物の基礎知識ロ石綿等が使用されている材料の種類と組成ハ建築物、工作物及び鋼製の船舶の種類並びにこれらにおける石綿等が使用されている材料の使用状況二分析のための資料の取扱い分析方法の原理と分析機器の取扱方法3時間イ光学顕微鏡の基礎知識(原理と構造)ロエックス線回折装置の基礎知識(原理と構造)3時間三第一号の実技講習は次に掲げるいずれかの方法について行うこと。イ偏光顕微鏡による定性分析の実施方法ロ位相差・分散顕微鏡及びエックス線回折装置による定性分析の実施方法ハエックス線回折装置による定性分析及び定量分析の実施方法ニ偏光顕微鏡による定性分析及び定量分析の実施方法四学科講習を行った後に、分析調査を行うために必要な知識についての筆記試験により修了考査を行うこと。五実技講習を行った後に、分析調査を行うために必要な技能についての筆記試験又は口述試験により修了考査を行うこと。Ⅰ-24参考石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について(令和2年8月4日基発0804第8号)3関連告示関係(2)分析調査者告示ア第1条第2号に規定する「同等以上の知識及び技能を有すると認められる者」は、次の①から⑤までに掲げる者であること。①公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する「石綿分析技術評価事業」により認定されるAランク若しくはBランクの認定分析技術者又は定性分析に係る合格者②一般社団法人日本環境測定分析協会が実施する「アスベスト偏光顕微鏡実技研修(建材定性分析エキスパートコース)」の修了者③一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「建材中のアスベスト定性分析技能試験(技術者対象)合格者」④一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター」⑤一般社団法人日本繊維状物質研究協会が実施する「石綿の分析精度確保に係るクロスチェック事業」により認定される「建築物及び工作物等の建材中の石綿含有の有無及び程度を判定する分析技術」の合格者イ分析調査を実施する者は、第2条第3号に掲げる方法のうち、実技講習を修了した方法による分析のみを実施することができるものであること。6.事前調査の記録及び報告書の作成等事前調査を行う業者は、書面調査、目視調査時の現場メモをもとに、事前調査の記録を作成する(みなしや分析を行った場合にはその結果を含む)。その後、その記録をもとにして事前調査の報告書を受注者が責任者となりとりまとめ、大防法に基づき、発注者に書面で報告すること。また、調査業者が受注者とは別の場合は、調査業者は、発注者、除去業者及び解体業者に対して、実際の現場において事前調査を行った範囲や内容について説明をする場を設けることが望ましい。①事前調査の記録の作成大防法及び石綿則に基づき、事業者は事前調査の結果を記録しなければならない。解体等作業を行うすべての事業者に記録の作成義務があるが、実務上は、元請業者が工事すべての箇所を網羅した調査結果の記録を作成し、それを各請負人は入手することにより、重複して記録の作成を行う手間を省くことが可能である。記録は、作業前ないし作業中に関係者に調査結果を分かりやすく伝えるとともに、作業後にも調査が的確であったか検証できるものであることが必要である。そのため、次のアからエまでの内容が明確になるようにし、それぞれ次に示すことに留意しながら作成する。なお、外部の調査業者に委託する場合は、大防法及び石綿則の記録として求められる事項を網羅した形で依頼すると、調査業者の報告書をそのまま記録として活用できる。Ⅰ-25ア石綿含有建材の有無と使用箇所作業者へ石綿含有建材の使用箇所を的確に伝えられる形式とする。具体的には、石綿含有の可能性のある建材について、部屋や部位等を特定できるよう明記しつつ、石綿含有の有無の判断結果や名称を書面にとりまとめる。また、分析を行った場合(特に石綿なしの場合)は、その根拠を明確にするため、試料採取箇所について、写真、図面への記入、スケッチ又はこれらを組み合わせる等により、試料採取箇所が特定できるように記録を作成する。なお、平面図を用いたり、平面図で表現しづらいものは断面図や詳細図等を用いたり、建材の種類別に色分けしたり、石綿含有なしの範囲についても表示するなど、使用箇所が一層分かりやすく示すことが望ましい。イ石綿含有の有無の判断根拠石綿含有の可能性のある建材について、石綿なしと判断した場合は、その同一と考えられる建材範囲ごとに、判断根拠が明確となるよう記録を作成する。石綿ありの判断は、発注者への説明責任など実務上の必要性等に応じ、記述や資料添付を行う。具体的には石綿含有の有無の判断根拠とした資料として、データベースのプリントアウト、メーカーの石綿含有なし証明資料、分析結果の報告書などを添付し、石綿含有の有無の判断が適確に実施されたことが説明・検証できるようにしておく。ウ調査を行った者調査者氏名及び所属に関して、責任分担が明確になるよう、各建材について、・調査の網羅性の確保(石綿非含有建材の判断を含む)・石綿を含有する可能性のある建材について同一材料範囲の判断・試料採取する箇所の判断を行った者がそれぞれ特定できるよう記録を作成する。エ調査の範囲調査した範囲が明確になるよう、記録する。その際、破壊しないと調査できない場所であって解体等が始まる前には調査できなかった場所があった場合については、解体等開始後に確実に調査がなされるよう記録を行う。なお、破壊しないと調査できない場所であって解体等が始まる前に調査できない可能性がある場所の例として、具体的には以下の部位が考えられる。表Ⅰ-6-1破壊しないと調査できない場所であって解体等が始まる前に調査できない可能性がある場所の例1スラブと外壁面間の層間部(層間ふさぎ)2外壁がプレキャストコンクリート板やカーテンウォールの場合の裏側、それらを取り付けている金物(ファスナー)部3渡り廊下の建物の接合部分のエキスパンションジョイント4内装仕上材(グラスウール断熱材、天井ボード、ウレタン吹付けなど)の裏5改修工事で石綿含有吹付け材の上に無石綿のロックウールを吹付けた場合6厨房の調理台周辺の金属板の裏側、タイル張りの下地材7バスルームのタイル張りの下地材、ユニットバスの裏側の成形板、システムキッチンの裏側Ⅰ-26②発注者への事前調査報告書の作成大防法上、特定粉じん排出等作業の届出は発注者に義務づけられており、当該作業に該当するのか否か、発注者に報告するための書面を作成することになる。①でとりまとめた事前調査の記録から、事前調査の結果報告書を作成する。なお、①の記録及び報告書の例を参考資料(1)、(2)に示すが、都道府県等によっては、条例等で様式を定めている場合があるので、留意する。改修工事や今後も建築物等を使用する場合の石綿の除去等については、事前調査の範囲が建築物の工事関連箇所のみとなり、事前調査の報告書も当該箇所のみの結果となる。改修工事等の事前調査の結果が、将来解体等する場合に、調査結果が誤って流用されないよう、調査を実施した範囲、調査対象建材、石綿含有建材の有無と使用箇所について図面や概略図で具体的な場所がわかるように上記①の記録を報告書に添付することが必要である。なお、関係者間での情報共有のため、解体の場合であっても、報告書には事前調査の記録を添付することが望ましい。また、破壊しないと調査できない場所であって解体等が始まる前には調査できなかった場所があった場合については、発注者にあらかじめ報告するため報告書に明記する。Ⅰ-27Ⅰ-28参考資料(1)事前調査を実施中の記録………………………………………Ⅰ-29(2)事前調査結果報告書の例………………………………………Ⅰ-33(3)石綿含有みなしに使用できるツール……………………………..Ⅰ-46(4)書面調査で参照する書類の例…………………………………..Ⅰ-52(5)現地での目視調査での建材情報の読み取り………………………..Ⅰ-54(6)見落としやすい例……………………………………………Ⅰ-56(7)よく使われている箇所………………………………………..Ⅰ-61(8)建材中の石綿含有分析の概要…………………………………..Ⅰ-62(1)事前調査を実施中の記録ア.試料採取計画表の例石綿含有の有無が不明な建材については、分析を行うか、石綿含有みなしとするか選択する必要があるが、特に分析検体数によって費用等が変わってくるため、発注者等に分析検体数を個別に相談する必要があることが多い。以下は、その相談のために用いる様式の一例である。実務上は、書面調査が終わった段階で一旦相談しておき、現地での目視調査が終わった段階で再度相談するような段取りが考えられる。Ⅰ-29イ.現地での目視調査持込用資料(書面調査結果の整理方法)の例(その1)①目視調査では各室(階数・部屋名)・各部位(床・巾木・腰壁・壁・天井・ふところ等)の調査を行うので、それぞれごとに、書面調査情報(特記仕様書で示された製品も含む)を整理した整理票を作成する。②設計図書等から各部屋に使用されている建材を部位ごとに抽出し、目視調査における確認表に記録していく。③抽出した建材について、石綿(アスベスト)含有建材データベースや業界団体、メーカーが公表しているデータをもとに、石綿含有のおそれのある建材を判断し、記録していく。④目視調査では、部屋毎に書面調査で抽出した建材と、実際に使用されている建材の整合性を確認し、記録する。⑤石綿含有の可能性がある建材であって、分析用の試料を採取した建材も目視調査における確認表に記録し、サンプルの識別№等を記録する。⑥分析の結果が出たあとは、その結果を記録し、石綿含有建材と石綿含有なしの建材に分けていく。⑦調査結果は、別途の様式(アの詳細表など)に整理し、目視調査における確認表は必要に応じて添付資料とする。⑧すべての建材の石綿含有の有無の確認結果を総括表(アの本体部分など)へ記載し報告する。Ⅰ-30Ⅰ-31ウ.目視調査持込用資料(書面調査結果の整理方法)の例(その2)以下のように部屋ごと個表に図面を切り貼りして現地でさらに記入する。<○○ビル>※写真や文言は演習用のイメージですP2階:PH2F室名:EV機械室部位:天井材料:吹付けRW(乾式・半乾式)厚さ:15㎜劣化度:劣化備考:採取・目視メモ凡例:◆天井から採取・◇目視、▲壁から採取・△目視、■()から採取、→進入路天井に吹付けRW(乾式・半乾式)、壁はモルタル天井、一部に吊りボルト増設の痕あり、一部で剥落個所あり①採取は契約採取個数の関係で同一と目視判断した場合は階代表箇所とした(以下同じ)。②天井の吹付け材は石綿含有吹付けロックウール(乾式・半乾式)、ドア近辺に50cm2の剥落個所および全体に付着力の低下(浮き)が見られる。CH=2,750。◆NEV機械室エ.分析者への連絡様式の例現地での目視調査・試料採取から分析までの過程においては、特に次の点に注意して役割分担の漏れがないようにするとともに、必要な情報が伝わるようにする。・試料採取を外注する際に、同一材料範囲の判断もあわせて依頼するのであれば、そのことを明示して依頼することが必要である。・試料採取を行う際に、採取作業者とは別の者が、採取個所を指示(判断)する場合もある。採取作業者だけでなく、採取個所の指示者(判断者)の氏名も明記する。・分析機関が試料採取に関与しない場合には、試料採取者は、採取した試料ごとに、以下に示すような試料採取履歴に関する内容について記入し、試料と一緒に分析機関に委託する。また、分析機関に試料採取者の情報を伝え、分析機関が作成する分析結果報告書には、当該試料採取者の情報を記録させる必要がある。試料採取履歴(例)Ⅰ-32(2)事前調査結果報告書の例事前調査結果報告書は、以下の内容が分かるように作成する。事前調査結果報告書の方法は、厚生労働省が公開している、建築物石綿含有建材調査者講習の標準テキストの第4講座にまとめられている。(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/other/pamph/index_00002.html)また、(一社)JATI協会のHPでは「アスベスト有無に関する事前調査結果報告書モデル様式」を掲載している。(http://www.jati.or.jp/)報告書作成の際はこれらの内容を参考にして作成する。1.報告年月日2.報告書№3.報告先の名称(宛名)4.報告書名「○○○石綿有無に関する事前調査結果書」(例)5.報告者名6.調査責任者、調査実施者(現地での目視調査、試料採取箇所判断など)7.調査の目的(石綿則第3条に基づく事前調査・その他)8.目的とする調査範囲及び調査対象建材(吹付等)9.対象物件概要(施設名・竣工年・所在地・構造・規模・用途など)10.調査期間11.調査方法(設計図書調査・現地での目視調査・分析など)12.結果の概要(項目においては大気汚染防止法と調整の必要有り)13.調査結果平面図(石綿含有建材位置図)(サンプリング位置図)14.調査報告詳細15.調査した範囲(アクセス不能であった箇所、改修の場合は調査対象外の箇所)16.各部屋の調査現況写真17.サンプリング等の調査状況写真18.添付資料(判断根拠等証明書類等)19.その他(工法・ばく露防止対策の参考になる現場状況等)報告書の作成例を次ページ以降に示す。Ⅰ-33Ⅰ-34ア.報告書の表紙令和〇年〇月〇〇日報告書No.〇〇〇〇〇石綿含有建材有無に関する事前調査等結果報告書委託業務名:○○○○○アスベスト調査診断業務調査の種類調査期間(氏名)(資格名等)特定建築物石綿含有建材調査者(登録番号)〇〇〇〇(所属)○○○○株式会社Tel〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇(氏名)(資格名等)公益社団法人日本作業環境測定協会Aランク認定分析技術者(所属)株式会社○○○○Tel〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇施設名竣工年竣工昭和62年改修平成16年文書記録所在地分類規模用途(複数選択可)・戸建住宅・共同住宅調査対象材料(複数選択可)調査方法(複数選択可)(代表者名)〇〇〇〇調査責任者〇〇〇〇対象物件概要株式会社〇〇〇建設殿貴社より委託を受けたアスベスト有無に関する調査結果は、下記に記載した通りであることを報告いたします。(会社名)〇〇〇〇株式会社(住所)〇〇県〇〇市〇〇〇〇-〇〇令和〇〇年〇〇月〇〇日~令和〇〇年〇〇月〇〇日1.石綿則第3条及び大防法第18条の15に基づく事前調査2.その他の調査建物構造S造・SRC造・RC造木造・その他()〇〇〇〇センター設計図書・竣工図書・維持保全記録等〇〇県〇〇市○○〇丁目〇〇(住居表示)建築物工作物・娯楽施設・学校/病院ボイラー・焼却施設・公共施設・店舗その他()〇階建て延床面積〇〇〇.〇㎡屋内工作物・屋外工作物分析者〇〇〇〇全ての建築材料・吹付け材・保温材・断熱材・耐火被覆材・成形板等・仕上塗材・その他()書面調査・現地調査・分析調査調査結果調査の結果、以下の石綿含有建材が確認された。・石綿含有岩綿吸音板・石綿含有その他パネルボード・石綿含有スラグせっこう板・石綿含有けい酸カルシウム板第1種・石綿含有長尺シート調査結果の詳細は、特記事項のとおりである1/2・その他の特殊建築物()・運輸関連施設・事務所・工場/倉庫電力・石油/ガス・化学プラントⅠ-35特記事項(建材ごとの調査の結果、調査不能の箇所、改修の場合は調査対象外の箇所等を記入)2/21石こうボード部屋№7ばら組の天井と壁の一部、№13ひまわり組の天井、№17ちゅーりっぷ組の天井、№23すみれ組の天井、№28多目的ホール(遊戯室)№34休憩室の天井と壁、№38図書コーナーの天井、№41乳児室ホフク室の天井、№45職員室の天井と壁の一部、№46乳児室ホフク室の天井、№47和室の天井と壁、№49医務室の天井、№51倉庫の天井の捨て貼り、№52職員用玄関内の天井と壁の一部に使用されていた。各部屋とも裏面確認により、吉野石膏準不燃第2015号を確認し、無含有と判断した。点検口にも石こうボードが使用されており、裏面確認により不燃NM8619を確認し、無含有と判断した。【添付資料〇】2ジュラックスロック塗上記表記の各部屋(№49医務室と№51倉庫を除く)の天井や壁の石こうボードの上に、ジュラックスロック塗が使用されている。施工面積が多く、石綿含有の可能性があるため、分析を行った。結果は無含有であった。【分析結果報告書〇】3岩綿吸音板(ダイロートン)部屋№51倉庫の天井に使用されており、過去に石綿含有事例があったため分析を行った。結果は石綿含有(クリソタイル)であった。【分析結果報告書〇】№51倉庫の天井は二重貼り施工となっており、下地の石こうボード(無含有建材)の上に石綿含有岩綿吸音板(ダイロートン)が施工されている。改修工事や解体工事の際は、岩綿吸音板と石こうボードを別々にして除去を行えば石綿飛散が起こるため、十分な注意が必要とされる。4グラスウール・セルロースファイバー部屋№4玄関1から№30倉庫(遊戯室)建物の西側の天井裏に、グラスウールが敷き込まれた上にセルロースファイバーが吹付けられており、№35調理室便所から№52職員用玄関内の建物の東側の天井裏には、グラスウールだけが使用されていた。グラスウールとセルロースファイバー自体は無含有材料なので無含有と判断した。【添付資料〇】5石綿含有その他パネルボード(浅野FGボード)部屋№6廊下1と№39廊下2の天井に使用されており、材料の裏面確認により浅野FGボードと確認した。この材料は、国土交通省の石綿含有データベースでは石綿含有(クリソタイル)と記されており、石綿含有と判断した。【添付資料〇】6石綿含有スラグせっこう板(ジブボン-S)部屋№31食品庫前室の壁と天井、№32食品庫の壁、№50湯沸室の壁と天井に使用されており、材料の裏面確認によりジブボン-Sと確認した。この材料は、国土交通省の石綿含有データベースでは石綿含有(クリソタイル)と記されており、石綿含有と判断した。【添付資料〇】7けい酸カルシウム板第1種(ニチアスラックス)部屋№33調理室の天井、№36勝手口(調理室踏込)の天井に使用されており、材料の裏面確認によりニチアスラックスと確認した。この材料は、国土交通省の石綿含有データベースでは石綿含有(クリソタイル・アモサイト)と記されており、石綿含有と判断した。【添付資料〇】また、部屋№1テラス1の天井、№11児童トイレ1手洗い流しの天井、№12児童トイレ1の天井、№21児童トイレ2手洗い流しの天井、№22児童トイレ2の天井、№35調理室便所の天井、№41職員用便所の天井、№43調乳室の天井、№44便所・沐浴室の天井、№53職員用玄関外の天井、№54バスのりばの天井、№59外壁(東面調理室)の軒天に石綿板が使用されており、過去に石綿含有事例があったため分析を行った。結果は石綿含有(クリソタイル・アモサイト)であった。【分析結果報告書〇】裏面印字情報は不鮮明で確認できなかったが、これによりニチアスラックスの可能性が高く、けい酸カルシウム板第1種であると判断した。けい酸カルシウム板第1種は、今回の石綿則・大防法改正により、飛散性が比較的高い石綿含有成形板等に指定されているため、除去等の取扱いについては十分な注意が必要である。8ビニルクロス部屋№34休憩室の壁、№47和室の壁にビニルクロスが使用されていた。壁紙はアスベストを混ぜる等の製造方法はとられていないため、無含有と判断した。【添付資料〇】9長尺シート部屋№4玄関1、№5玄関2、№11児童トイレ1手洗い流し、№21児童トイレ2手洗い流し、№41廊下2、№50湯沸室の床に使用されており(平成16年の改修工事時)、過去に石綿含有事例があったため、長尺シートと接着剤を一緒に分析を行った。結果は石綿無含有(クリソタイル)であった。【分析結果報告書〇】また、部屋№33調理室、№43調乳室、№44便所・沐浴室の床に使用されており(昭和62年の新築工事時)、過去に石綿含有事例があったため、長尺シートと接着剤を一緒に分析を行った。結果は石綿含有(クリソタイル)であった。【分析結果報告書〇】調査結果の概要Ⅰ-36イ.添付資料①調査部屋番号平面図部屋に番号をつける意味は、調査動線の計画と網羅的調査を行うためである。玄関から調査のしやすい順に番号をつけるが、諸事情で多少の番号の変更もありうる。この建築物が調査時に使用中である場合、管理者の都合、施設利用者の都合により動線は入れ替わる場合がある。調査順は右サイドの部屋リスト表にて管理する。調査単位は基本的には仕上げ表の部屋分けに準じる必要があるが、場合によっては部屋内に仕上げ建材が貼り分けてある場合がある。その場合、当該範囲を別の部屋とする部屋割りもあり得ることを注意する。動線計画時には、調査しやすいよう東西南北と外部も組み込む。外壁は庇、壁、腰壁、巾木など仕上げが異なる場合がある。軒天も見落とさないように注意する。屋根においても順次調査するが別棟に移る前に1棟ずつ調査する。上記図面の中で部屋の色分けをしてあるが、この表記は施工年の違いを表している。1.石綿則第3条及び大防法第18の15に基づく調査②調査詳細報告書(部屋番号図と整合するよう作成する)Ⅰ-371.上段の対象物件(1)【対象物件】①施設名:発注書通りの施設名を使う、複数の建物が存在する場合は補助番号などで補う。②竣工年:竣工年の竣工月まで記入する。(法改正などとの照らし合わせに必要)改修年もここに記入する。③所在地:竣工当時の所在地と現在の所在地を記載するように努める。④階数:平家か複数階か、地階があるのかなど⑤延床面積:図面に記されている様に記す。小数点2桁など⑥建築構造:S造SRC造RC造W造その他()()内に書き込む。複合する場合は存在する構造に全てレ点を入れる。⑦建物用途:事務所工場/倉庫娯楽施設学校など複数選択可である。(2)【調査の種類】①解体前の調査、その他の調査等②調査期間書面調査現地での目視調査③実施者:氏名、資格名、資格認定(登録)番号、書面調査と現地での目視調査それぞれに書く。(3)【各室の調査結果】左から①通し番号(調査部屋番号平面図の右サイドの部屋リスト表にて管理)②階数③部屋名④部位(床、幅木、腰壁、壁、天井、ふところ)必要に応じて下がり壁、袖壁、下がり天井、ふところ内既存の天井など追加になることがある。(4)【書面調査】①材料名竣工図に記載されている用語を確認して記載する。②商品名竣工図に記載されている用語を確認して記載する。③メーカー名〃④石綿含有の可能性高濃度及び劣化状況が最悪の場合などに使用⑤石綿の種類想定並び限定が可能な場合に使用⑥判断根拠想定し現地での目視調査にて確認するが書面での判断が必要な場合使用⑦添付資料(5)【現地での目視調査】〃①整合性の確認書面と現地が整合する場合は◯、整合しない場合は×で明示する。②材料名整合する場合もしない場合も記録する。③気づき事項整合する場合は書面調査添付書類を活用、整合しない場合は製品の確認、建材種類、施工年代・製品製造年代の確認、裏面の情報の確認及び記録、分析等の通し番号と同一範囲とする建材の番号などの記載をする。④写真番号整合性の確認状況写真と試料採取等の状況写真の番号など⑤試料番号試料採取番号を記載⑥採取位置試料採取(サンプリング)位置図との連携を記載Ⅰ-38(6)【診断】①判断根拠分類を記号で記入する。a.「国土交通省・経済産業省石綿(アスベスト)含有建材データベース」b.メーカーの証明書、ホームページ情報等c.分析によるd.公開されている材料名などの情報から現時点では一般的に含有せずe.その他(具体的に記載)②添付試料左記判断の根拠を署名するのに必要な資料を記録する。③石綿の有無ありかなしかの二択を記す。④石綿の種類クリソタイル=クリ、アモサイト=アモ、クロシドライト=クロ、アンソフィライト=アン、トレモライト=トレ、アクチノライト=アク、不明=不明⑤材料レベルレベル1レベル2レベル3レベル外無石綿※2枚目以降は、【対象物件】【調査の種類】を省いた書式を使用する。Ⅰ-39③調査状況写真整合性の確認表による網羅的調査。全ての部屋を動線計画に沿って調査する。Ⅰ-40Ⅰ-41裏面確認の状況写真動線計画に沿って、リスト表の順に網羅的な調査を行う。部屋ごとに床、幅木、腰壁、壁、天井、ふところの確認を行う。④分析試料サンプリング位置図分析試料の採取場所、試料№、3箇所からの採取状況が分かるように平面図に記載する。書面調査で分析しなければならない建材を洗い出し、目視調査で分析対象建材を確定することになる。施設規模、敷地内棟数によって、試料採取数は大きく変わるが10検体を超えることは珍しくない。発注者にわかりやすい様に位置図作りを進めていくことが必要である。同一と考えられる建材の範囲ごとに、原則として3箇所以上から試料を採取すること。(変動性・均一性の適切な考慮)例えば採取No.1−1、長尺塩ビシート、室番号4玄関ホール、部位は床。採取No.1−2、長尺塩ビシート、室番号15脱衣室男子、部位は床。採取No.1−3、長尺塩ビシート、室番号38倉庫①、部位は床。などの様に適宜色分けをして採取位置を明記する。同一と考えられる建材の範囲は、1室になることもあれば、1フロアにあること、複数階に跨ることもある。Ⅰ-42⑤試料採取(サンプリング)状況写真非意図的に混入した石綿の有無も確認することが必要であることから、分析方法にかかわらず、同一と考えられる建材の範囲ごとに、原則として1検体につき3箇所以上から試料を採取する(変動性・均一性の適切な考慮)。試料採取状況写真は、採取地点の全てで撮影する。Ⅰ-43⑥分析試料一覧表(分析依頼表)①試料番号AS−1は(アナリシスサンプリングの略)分析のためのサンプリング。②採取場所は3つの部屋にまたがることもあり得る。③採取物建材名は、竣工図(特記仕様書、仕上表)に書かれている建材名(商品名)に合わせる。使用建材が竣工図と異なる場合は使用建材の建材名となる。④採取建物名は、調査対象に複数棟があれば配置図等で確認し、記載がない場合は、調査依頼者に分かり易く表現する。⑤竣工年月においては、改修工事が行われていれば改修年月となる。新しい年月を記す。⑥試料採取日、採取者資格は、採取した者の姓名と資格を記すこと。⑦採取指示者においても、採取者と同様である。Ⅰ-44⑦分析結果報告書及び分析結果一覧表分析機関から提出された分析結果報告書を添付する。また、分析結果の一覧表を添付する。石綿分析結果報告書は「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【第2版】」の参考資料に掲載されている。⑧判断根拠の資料建材情報、建材の施工状況・商品名・製品の確認写真等を添付する。判断根拠の資料は、含有建材・無含有建材の判断をした根拠であるので、発注者にわかりやすくまとめなければならない。判断根拠の詳細な説明は、特記事項に記録する。⑨調査者資格者証の掲示調査を行った全員の資格者証をわかりやすく添付する。Ⅰ-45(3)石綿含有みなしに使用できるツール石綿含有みなしについては、できる限り、石綿含有の可能性の高いものを「石綿含有みなし」とし、そうでないものは分析を行い、石綿含有の有無を確認することで廃棄物の分別がなされ、環境負荷の低減にもつながる。次の①~③にその参考となる情報を紹介する。なお、0.1%を超えて石綿が含有するか否かを判定する場合は、本編5.⑧のとおり、分析による判定が必要であるので注意されたい。①様々な要素を踏まえた「石綿含有みなし」の選択の実際例建築物等に対する調査を行った結果、石綿の含有の有無が不明である場合において、分析を行うが、分析を行わずに石綿含有「みなし」とすることができる。分析を行うかどうかについては、発注者等が選択する。その際、具体的には、同一と考えられる建材ごとに、主に次のような要素を踏まえて、環境負荷や石綿対策に要する費用などが比較考量され選択されている。・再資源化の要否(安易に石綿ありとするのではなく、石綿なしを証明して再資源化すべきものか)・石綿ばく露・飛散防止対策や廃棄物処理に要する費用(石綿ではないと証明できた場合のコスト減少保温材・断熱材等>成形板等等)・石綿の含有の可能性(可能性が低いほど分析により含有の有無を判定した方がトータルでコストが下がる場合が多い一方で、可能性が高いほどみなしが効率的となる可能性がある。)なお、国土交通省の「建築物石綿含有建材調査マニュアル」の参考資料に、建材の種類ごとに石綿が多用された年代がまとめられている。②建材中の無機繊維の含有状況の観察建材中に一定濃度で石綿が含有していると、肉眼等でも繊維が見えることがある。例えば、建材の断面を観察できる場合は、肉眼やルーペ等で観察したり、空等の明るい場所に断面をかざすことにより、繊維を観察する((参考資料)写真3-1)。また、石綿などの無機繊維は燃焼しないが、有機繊維は燃焼するため、繊維の見える断面をライター等であぶることにより有機繊維等は排除できる((参考資料)写真3-2)。なお、石綿飛散防止の観点から、あえて破断面をつくることは避けるようにすることが望ましい。また、こうした方法については、「石綿含有建材の見分け方-石綿含有建材の目視評価方法について-」(埼玉県環境科学国際センター(CESS))に詳しく解説されている。https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/27958/521057_2.pdfhttps://www.pref.saitama.lg.jp/documents/27958/521058_2.pdfhttps://www.pref.saitama.lg.jp/documents/27958/521059_2.pdfⅠ-46(参考資料)写真3-1破断面注)破断面を観察して石綿含有しているかを確認する③アスベストアナライザー(マイクロフェイザー)(参考資料)写真3-2燃焼試験注)有機繊維を減らして、無機繊維を見やすくする現場での調査を実施する場合に、オンサイトで石綿の含有が確認できるアスベストアナライザー(マイクロフェイザー)が市販されている。この装置により石綿含有と判定されたものを石綿含有とみなすことにより事前調査の効率化につながることが期待されるが、上述のとおり、0.1%を超えて石綿が含有するか否かを判定する場合は、分析による判定が必要である。また、使用にあたっては、以下の事項に留意する必要がある。(詳細は(参考資料)表3-1)留意点1:あらかじめ所定の較正を実施すること。留意点2:マイクロフェイザーは、国内のメーカー感度検定を受けたものを使用し、少なくとも年1回はメーカーで感度検定を受けること。留意点3:以下の状況で使用すると正確な結果が得られないので注意すること。①試料表面に水分や水膜がある場合②(結露するような)高湿度な周辺環境③5℃以下または45℃以上の極端な温度環境Ⅰ-47Ⅰ-48(参考資料)表3-1アスベストアナライザー(マイクロフェイザー)の原理と使用方法1.原理近赤外光は、ある特定の分子結合の振動を励起し、特定の波長の光を吸収させる。伸縮振動、変角振動、秤動運動などを起こし、試料と相互作用する光のスペクトルの分析により、試料の結晶構造や化学的組成に関する情報が得られる。このような近赤外線吸収スペクトル(NIRS)法を利用し、サンプルに近赤外線を照射し反射してきた波長域1.321~1.448μm(振動数7570~6906cm-1)の範囲のNIRSを検出し、予め装置に保存されている標準石綿6種類のスペクトルのデータライブラリーと対照して、両者の相関係数が一定以上であるときに、石綿と判定する。この領域の吸収スペクトルは6種類の石綿ともOH基の振動に起因するもので、通常の赤外線吸収スペクトル(IRS)の3700~3500cm-1付近にある石綿のOH基の吸収スペクトルの倍音が指標となっている。(図1参照)図1各種石綿のスペクトル約7秒間の測定で石綿の含有の有無を検知し、約1%以上のクリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、約2%以上のアンソフィライトを含有している場合には石綿の種類を表示する。アモサイトとクロシドライトは近赤外線の吸収スペクトルが重なるためアモサイト/クロシドライトと表示される。石綿の含有率が当該含有率以下または含有していない場合には「notfound」または「Unidentified」と表示される。2.使用する機器による表示等の相違点日本で現在までに市販されてきたマイクロフェイザーは3世代のバージョンがあり、表示や較正方法等に相違点があるので、使用する機器について確認が必要である。(1)2010年(平成22年)10月~2012年(平成24年)2月:シリアル№1700~1900番台較正治具:WRは円盤状、ARは円形ホルダーバッテリー使用時間:6時間結果の表示:クリソタイル、アモサイト/クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、不検出(notfound)Ⅰ-49(2)2013年(平成25年)11月~2018年(平成30年)3月:シリアル№2100~3500番台較正治具:WRはスティック状、ARはスティック状バッテリー使用時間:6時間結果の表示:クリソタイル、アモサイト/クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、不検出(notfound)(3)2018年(平成30年)9月~2021年(令和3年)1月:シリアル№3600~3900番台較正治具:WRはスティック状、ARはスティック状バッテリー使用時間:5時間結果の表示:クリソタイル、アモサイト/クロシドライト、トレモライト/アクチノライト、不検出(Unidentified)※この第3世代の装置はトレモライトとアクチノライトを区別せず/で同一表示をするようになった。(1)と(2)では良好な精度を持って両者を区別していたので残念な変更である。2.現場での具体的な使用方法について(1)建材が建築物に組み込まれている状態で使用する場合①成形板などの建材等の表面が塗装されている場合には、粉じんの飛散に留意しつつ、測定予定箇所をマイクロフェイザーの照射面積よりやや大きめに削っておく。②成形板などの建材等の表面が塗装されている場合であっても、裏面で測定可能であれば裏面を使用する。③測定点の設定は、同一と考えられる範囲の建材ごとに、さらに対象範囲を3~5か所程度に均等に分割し、分割範囲ごとに3回以上ずつ照射する。これら①から③の点に留意をして各測定点で測定した結果、石綿の含有が1回以上認められた場合には、当該建材は1%以上の含有有りと判断し、石綿等が使用されているものとみなして労働安全衛生法及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずること。もし、この測定結果及び措置に疑問・不服がある場合は「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」の第3章~第7章に示す方法により分析を実施し、0.1%を超えて石綿が含有するか否かの法的判定を必ず実施すること。(2)採取済み試料に使用する場合①採取建材の粉砕等を実施していない固形の場合は、各サンプル(1試料当たり3サンプル)をチャック付の透明な薄いポリエチレン製の袋※に入れ、袋の上から直接マイクロフェイザーの照射面を密着させて3回以上測定(1試料当たり計9回以上測定)し、そのうち1回以上石綿の含有が認められた場合には、当該建材は1%以上の含有有りと判断する。②採取建材の粉砕等を実施済みの場合は、粉砕した建材をチャック付の透明な薄いポリエチレン製の袋※や透明のガラス製バイアル瓶に入れ、当該試料を出来るだけ寄せ集めるなどして密度を高くした上で、①と同様に、サンプルごと(1試料当たり3サンプル)に袋やサンプル瓶の上から直接マイクロフェイザーの照射面を密着させて3回以上測定(1試料あたり計9回以上測定)し、そのうち1回以上石綿の含有が認められた場合には当該建材は1%以上の含有有りと判断する。①及び②で石綿が1%以上の含有有りと判断された場合は、石綿等が使用されているものとみなして労働安全衛生法及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずること。もし、この測定結果及び措置に疑問・不服がある場合は「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」の第3章~第7章に示す方法により分析を実施し、0.1%を超えて石綿が含有するか否かの法的判定を必ず実施すること。※薄いポリエチレン製の袋を使用する場合は予め妨害の有無をチェックしてから使用する。Ⅰ-50(3)notfound又はUnidentifiedと表示された場合の取り扱い1)及び(2)で測定した結果、全ての測定で「notfound」または「Unidentified」と表示された場合には、「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」の第3章~第7章に示す方法により分析を実施し、0.1%を超えて石綿が含有するか否かの法的判定を必ず実施すること。図2マイクロフェイザー概観(クリソタイル含有)(石綿検出されず)※シリアルナンバー3500番台まではトレモライト、アクチノライトは単独表示され、不検出の場合は「notfound」と表示される。図3a.測定結果表示液晶画面に測定されたNIRSと判定結果が表示される。Ⅰ-51(クリソタイル含有)(石綿検出されず)※シリアルナンバー3600番台以降はトレモライト/アクチノライトとして一括表示され、不検出の場合は「Unidentified」と表示される。図3b.測定結果の表示(現行品)留意点1:使用に当たっては、あらかじめ所定の較正を必ず実施すること。留意点2:マイクロフェイザーは、国内のメーカーの感度検定を受けたものを使用し、少なくとも年1回はメーカーの感度検定を受けることが望ましい。留意点3:ランプ光量減衰があるため、メーカー推奨の2年ごとに光源ランプ交換を実施すること。留意点4:石綿と同様な近赤外領域に吸収ピークが存在する無機・有機化合物は石綿と判別表示(疑陽性判別)される場合があり注意を要す。(注意:近年の無石綿天井吸音板に混和剤として使用された有機物に起因してアンソフィライトと表示された報告がある。各種の鉱物に関するデータは以下の参考文献を参照し、確認して判断すること。)留意点5:プローブヘッドセンサー部の傷損回避のため、マイクロフェイザーの照射面に市販されている樹脂製保護シートを貼付したり、大きな樹脂袋に装置全体を入れて使用している場合が見受けられるが、正確なスペクトル測定に支障をきたすおそれがあるのでいずれの場合も使用してはならない。液晶画面に測定されたNIRSと判定結果が表示される。(4)書面調査で参照する書類の例次のような各図面等について、建物用途などに応じて想定しながら確認する。①竣工図または設計図建築施工中に設計内容を変更することが多くあるため、竣工図があるなら竣工図を確認する。新築時以外にも、増築、改築、修繕、模様替え、用途変更等の際の図面も確認する。・特記仕様書(工種ごとに施工方法を指定しているので、石綿に関係する部分を抜き出す。また、メーカーを数社指定・推奨していることがあるので、同等品等を確認する。)・内外装仕上表(各部位の建材名・商品名などが記載されている。なお、仕上げ表には製品名が記載されていることは少ないことから、その際には、現地での目視調査で確認が必要な建材として整理する。)・配置図(別棟の機械室、自転車置き場、本館のほか別館などが他にないかを確認する)・平面図、立面図、平面詳細図(部屋・PS・煙突などを確認する)・断面図、断面詳細図、矩計図(取り合い部などを確認する)・天井伏図、屋根伏図(天井吹きつけ材、屋根材、防水剤などの建材の一般名が記されていることが多い)・什器備品関連図・その他、各種詳細図②竣工図書類上記の竣工図のほか、材料納入時の写真などを確認する。③設備図(配管図、貫通部分詳細図等)例えば、配管保温材、貫通部分などを確認する。④建築確認申請書(表紙)建設時期(確認済証の交付日)・建築場所・建築物の主要用途・工事種別・延べ面積・建築物の構造・建築物の階数・防火地域及び屋根、外壁、軒裏の仕上げなどの内容を確認する。(図4-1参照)Ⅰ-52(参考資料)図4-1確認申請書(平成2(1992)年頃までの書式)Ⅰ-53(5)現地での目視調査での建材情報の読み取り①製造メーカー・商品名・不燃番号・JIS番号・ロット番号などの表示成形板などにおいては裏面、小口などに製造メーカー・商品名・不燃番号・JIS番号・ロット番号など使用材料に詳細が表示されている場合が多い((参考資料)写真5-1・2・3・4・5)。これらの表示内容をデータベースやメーカー情報と照合することにより、石綿含有の有無が判断できる場合がある。(参考資料)写真5-1不燃番号等の表記(参考資料)写真5-2JISマーク等の表示(参考資料)写真5-3商品名等の表示(参考資料)写真5-4小口への表示(参考資料)写真5-5不燃番号・ロット番号等Ⅰ-54②「a」マーク平成元(1989)年7月以降に生産された石綿含有建材は「a」マークが業界自主規制として表示されている(写真Ⅰ-5-6)。ただし、平成7(1995)年1月までは5%以下、平成16(2004)年9月までは1%以下の石綿含有建材は規制対象でないことから「a」の記載はない。したがって、この時期の建材は、「a」マークが表示されていないことをもって「ゼロアスベスト」と判定はできないことから注意が必要である。《平成17年3月30日環廃産発第050330010号、平成30年4月20日基安化発0420第1号》(参考資料)写真5-6「a」マークⅠ-55(6)見落としやすい例次のように内装等の内側に石綿建材が隠れている例や、一区画のみ石綿建材が使用され見落としやすい例がある。・内装仕上げ材(天井ボード、グラスウールやセメント板等)の下に石綿含有吹付け材が存在する例(過去の囲い込み工事等による)・石綿含有吹付け材の上からロックウール(石綿含有無し)が吹き付けられる例・耐火建築物、鉄骨梁への耐火被覆吹付けロックウール施工時に他部材へ吹きこぼれた例(または、これらを見落とし、天井上吹付けロックウール等の脱落・堆積物を見逃す例)・鉄骨造の柱・梁に石綿含有吹付け材が存在しその内装仕上げ材としてモルタル等が使われている例・鉄骨造の柱に吹き付けられた石綿含有吹付け材の周囲をブロック等で意匠的に囲われている例((参考資料)写真6-1)(参考資料)写真6-1鉄骨造の柱の石綿含有吹付け材Ⅰ-56・天井の一部に仕上げ材(意匠)として石綿含有吹付け材が使用されている例・鋼板の仕上げ材の裏打ちとして石綿含有ロックウール等が吹き付けられている例・準耐火建築物の、防火区画、異種用途区画などのために、建物全体の主要構造部(柱、梁、床、階段)の耐火被覆ではなく、建物の一部分の主要構造部(柱、梁、床、階段)に耐火被覆として石綿含有の吹付け材を使用している例・RCの内壁に青石綿が吹き付けられ(想定:改修時など)その上にラス網を張りモルタル+プラスター塗り仕上げが行われている例((参考資料)写真6-2)・敷居のない大フロアで奥の1区画のみ石綿等が吹き付けられている例(参考資料)写真6-2壁の中に青石綿が吹付けられた例・煙突内部が綿状ではなく、成形板の形状の断熱材を見間違う例((参考資料)写真63,4,5)・煙突用断熱材の調査における注意点として、昭和52(1977)年より、ライナー層と断熱層の二重構造となったため、一見すると、スレート管があるだけで、断熱材はないものとして見落としがちである。内部に断熱材がないか確認することを忘れてはならない。(昭和39(1964)年以降煙突用断熱材が存在するが、昭和52(1977)年までは、断熱材が露出した施工方法であるため、目視による確認がしやすい。)➢(カポスタック)アモサイトフェルト状とライナー付き二重構造製品がある。➢(ハイスタック・パールスタック)ライナーだけの煙突断熱材があることも見逃してはならない。・外装(外壁や柱)のボードや金属パネルの内側に耐火被覆板が使用されている例・外壁とコンクリート床の取り合い(上階と下階を区画する)の層間塞ぎとして詰められモルタル等で仕上げられている例・防火区画の貫通部(給排水及び電気設備)に石綿含有吹付け材等の石綿含有建材が使用されている例((参考資料)写真6-6)Ⅰ-57(参考資料)写真6-3ハイスタック煙突断熱材(参考資料)写真6-5ライナー付きカポスタック煙突断熱材(参考資料)写真6-4ハイスタック煙突用断熱材(2分割)(参考資料)写真6-6電気配線部分隙間閉鎖・石綿含有吹付け材が使用された機械室や地下フロア等が用途変更により石綿含有吹付け材が使用された天井等が天井ボード等で仕切られている例・防耐火構造認定にあるように、壁・天井・柱等に、下地構造にもよるが複層板や同種成形板の複層張り、また、異種成形板の複層張りが存在する例・階段裏の石綿含有の建材をプラスチックシートで養生の上、岩綿吸音板で張仕上げをしている例・配管保温材のエルボー部のみならず、直管部に石綿含有保温材が使われていた例((参考資料)写真6-7)(参考資料)写真6-7直管部分にも使われる配管保温材Ⅰ-58・ALC板の層間塞ぎにロックウール充填が図面に指示され、充填忘れもしくは外れている状況((参考資料)写真6-8)などがある。近くにはファスナー部の耐火被覆を見ることもできるが非常にわかりづらい例((参考資料)写真6-9)である。・玄関のひさしの中、ガラリ内(結露防止や震動音防止のため)、シャフト内、パイプスペース、カーテンウォール裏打ち((参考資料)写真6-10)・目の高さにない非常に細部のキャンバス継ぎ手((参考資料)写真6-11)、機械室、最上階天井裏スラブ、防火壁の欠き込み部分変電器裏の見えない部分に石綿等が吹き付けられている例(参考資料)写真6-8スラブ層間塞ぎ充填材なし(参考資料)写真6-10カーテンウォール裏打ち断熱材(参考資料)写真6-9ファスナー耐火被覆(参考資料)写真6-11キャンバス継ぎ手・けい酸カルシウム板第2種は、多くは耐火被覆として使用されている((参考資料)写真6-12)(施工中)があるが、表面は塗装したり化粧紙を貼っているために、外部からでは分かりにくい場合がある。なお見落としやすい例ではないが、学校の教室、廊下の柱にけい酸カルシウム板第2種が使われた例((参考資料)写真6-13)Ⅰ-59(参考資料)写真6-12けい酸カルシウム板第2種を耐火被覆として使用している例(この施工例は石綿含有なし製品)(参考資料)写真6-13鉄骨造校舎教室・廊下の柱長年の接触により欠損している・外壁などの外部、サッシ廻り・目地のコーキング剤、煙突、屋上ルーフィングなどに留意する。・システムキッチンのシンク裏側に防音塗料が使ってありアスベストが含有している例・観客席天井仕上げの下地リブラス張に吹き付けられた石綿の一部が、リブラスの編み目を通り抜けるなどして、吊りボルトや金物、天井建材などにも付着・堆積している例・梁をモルタルで仕上げられた際に、天井に吹き付けられた石綿をモルタルが噛み込んでいて、その部分の除去が漏れている例Ⅰ-60(7)よく使われている箇所建築物等の構造、目的、建材の種類により、使用されている建材が類推できる。なお、国土交通省「建築物石綿含有建材調査マニュアル」の参考資料も参照されたい。①建材種類別の多用箇所・吹付け材は、火災発生時の鉄骨の軟化時間を遅らせるための耐火性能向上、機械室等の騒音を低減するための吸音目的、結露を防止するための断熱目的として吹付け石綿、湿式石綿含有吹付けロックウールが使用される。また、仕上げ用として、吹付けパーライト、吹付けバーミキュライト(ひる石吹付け)が使用されている。・けい酸カルシウム板第2種は、吹付け材の代わりに化粧用として使用される場合が多く、施工部位も梁と柱がほとんどであるが、化粧がなされているので、目視による調査には限界があることに留意する。・断熱材は、屋根用と煙突用があり、施工部位は限定されているが、特に煙突用は、断熱材のみの場合だけでなく、断熱材と円筒管が一体の場合(ライナー付き)があり、断熱材に石綿を含んでいなくとも、円筒管(ライナー付き)に石綿が含有されている場合があるので、留意する必要がある。・保温材は、熱の損失を防止するための目的で使用されるため、使用部位は熱源本体とダクト(配管)に限定される。特に小型ボイラーの場合は、配管の直線部分にはグラスウール、ロックウールの石綿を含んでいない建材が使用されている可能性が高いが、エルボ部分等の曲り部、分岐部分には不定形の保温材が使用され、これに石綿が含有されている可能性があるので、留意する必要がある。また、保温材に塗られている塗料に石綿が使用されているケースもあるので留意する。・断熱材・保温材等については、壁の中ならびに天井裏等に使用されていることがあることに留意する。特に配管保温材においては配管エルボだけではなく、直行部分、直管部分、バルブ部分も確認する必要がある。・成形板は、建築物の内外装等の幅広い箇所で使用されている。建築基準法の不燃材料等(内装制限)が要求されている箇所の使用もあるが、そうした法令以外の用途(製品性能等)で使用されたものも多い。・天井裏(ふところ)等にある配管の継目部分にあるガスケット。②防火規制・用途等による多用箇所・防火区画・異種用途区画の床・壁の使用材料及び、床・壁の貫通部分の穴埋め材料を確認する必要があることに留意する。耐火建築物または準耐火建築物において、高層区画・階段、EV昇降路、ダクトスペース等の竪穴区画に該当する場合は、床・壁等を準耐火構造以上にしなければならない。したがって、不燃材料を使用しなければならない(高層区画は耐火構造としなければならない)ことから、石綿含有建材の使用例が多い。・配管・ダクト・電気管の貫通部分には不燃材料がよく使用されている。さらに耐火性能を確保するために石綿含有吹付け材・耐火シール等を施工することがある。・鉄骨造の建築物については、耐火建築物とするために、主要構造部(柱・梁・壁・床・屋根・階段)を耐火構造または、政令で定める技術的基準に適合しなければならない。この場合、建築年度によっては石綿含有吹付け材等の石綿含有建材を使用している可能性がある。Ⅰ-61・準耐火建築物とするために、防火区画、異種用途区画などの主要構造部に、石綿含有吹付け材等の石綿含有建材を使用している可能性がある。・鉄筋コンクリート造でも、ボイラー・空調機械室等の壁、天井に吸音材として石綿含有吹付け材を使用することが多いので注意が必要である。(参考)建築基準法では建築物の防火規制を定めており、建築物の用途、規模、地域に応じて、建築物の壁や柱の主要構造部を耐火構造や準耐火構造とすることや、建築物を耐火建築物とすることが義務づけられている。(8)建材中の石綿含有分析の概要①JISA1481規格群とアスベスト分析マニュアル石綿則第3条第5項の分析方法は、JISA1481規格群を用いるよう、「建材中の石綿含有率の分析方法について」(平成18年8月21日基発第0821002号、最終改正平令和3年12月22日)に規定されており、その実施に当たって、厚生労働省マニュアル(石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル)に留意するよう、「建材中の石綿含有率の分析方法等に係る留意事項について」(平成26年3月31日基安化発0331第3号)で示されているが、その対応関係は(参考資料)表8-1の通りである。(参考資料)表8-1JISA1481規格群とアスベスト分析マニュアルで示す方法の対応関係JISA1481規格群分析マニュアルJISA1481-1定性分析方法1(第3章)備考実体顕微と偏光顕微鏡により定性分析する方法JISA1481-2定性分析方法2(第4章)X線回折分析法と位相差分散顕微鏡法を併用した定性分析方法で判定基準に基づいて石綿含有の有無を判断する方法JISA1481-3X線回折分析法による定量分析方法で石綿の質量を定量し、試料全体に対する石綿の質量百分率(%)を求める方法定量分析方法1(第5章)JISA1481-5アスベスト含有率1%未満の際に使用する検量JISA1481-4定量分析方法2(第6章)線Ⅱ法偏光顕微鏡を用いた定量分析方法JISA1481-1とJISA1481-2で特定の場合に実施を推奨定性分析方法3(第7章)電子顕微鏡法による定性分析方法注「分析マニュアル」欄は、「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【第2版】」(令和4年3月厚生労働省)で規定する分析方法の名称と章番号。「アスベスト分析マニュアル」の定性分析方法1(第3章)と定量分析方法2(第6章)は、それぞれ、JISA1481-1とJISA1481-4によるアスベスト含有率測定について、JISA1481-1とJISA1481-4に記載の内容のほか、JISJISA1481-1とJISA1481-4の実施に当たって具体的な留意点や補足を掲載したものである。Ⅰ-62また、「アスベスト分析マニュアル」の定性分析方法2(第4章)と定量分析方法1(第5章)は、それぞれ、JISA1481-2とJISA1481-3をベースとしつつも、その一部を修正し、また、JISA1481-2とJISA1481-3を単に補足するのではなく、分析手順等が当該マニュアルの内容で完結するよう解説している。加えて、定量分析方法1(第5章)は、アスベスト含有率1%未満が予想される場合はJISA1481-5の検量線Ⅱ法を使用することからその概要を記載している。②アスベスト分析マニュアル平成25年度に厚生労働省委託事業「適切な石綿含有建材の分析の実施支援事業」の下で設置された検討委員会によって「アスベスト分析マニュアル」(1.00版)が策定され、その後も逐次改訂を行い、現在は『石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル』(第2版)が発行されている。「アスベスト分析マニュアル」は、その事前調査においてアスベストの有無を適切に分析するために、分析者に詳しい情報と最新の知見に基づくノウハウを伝えることを目的に策定したものである。③分析結果についての留意事項ア煙突断熱材の分析の留意事項煙突用の断熱材では石綿の含有率が80%以上と高いにもかかわらず、実際の分析ではアモサイト含有率が低値を示す場合があるが、これは、重油等の燃焼により発生したSOxガスと煙突内の建材に由来するカルシウムやナトリウム等が反応して生成した硫酸ナトリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩の蓄積により、見かけ上低くなることが原因であり、X線回折分析法の定性分析で硫酸塩が確認された場合には、分析結果報告書に除去対象の石綿含有率は分析値よりも高い可能性があることを記載し、当該作業者に注意喚起する事が重要である。イバーミキュライトなどの分析の留意事項(1)吹付けバーミキュライトの分析は、「アスベスト分析マニュアル」の定性分析方法1(第3章:偏光顕微鏡法)又は定性分析方法2(第4章)で実施する。吹付けバーミキュライトの分析を行う場合は、同マニュアル第4章はX線回析分析法での調査のみの判定となっているが、加えて顕微鏡による繊維の有無の確認も行うことが望ましい。また、その定性分析方法2(第4章)では吹付けバーミキュライトに含まれる石綿の分析はX線回折分析法で実施することになっているが、意図的に加えられた石綿は0.8%以上とされており、それ以外に原石に混在する不純物として石綿が含まれる場合は1%以下の低濃度のため、分析操作やX線回折分析時のピーク処理が適切に行われなかった場合には過剰に「石綿含有あり」として判定される場合がある。「石綿含有あり」となった場合には位相差・分散顕微鏡で石綿繊維を確認することが望ましい。「石綿含有あり」で位相差・分散顕微鏡で石綿繊維が確認できなかった場合は、分析操作やX線回折分析時のピーク処理の見直しが必要である。(2)バーミキュライトに不純物としてウィンチャイト及びリヒテライトが含まれる場合がある。「アスベスト分析マニュアル」の定性分析方法1(第3章:偏光顕微鏡法)はこれらを区分することが可能である。同マニュアルの定性分析方法2(第4章)、定量分析方法1(第5章:X線回折分析法)ではトレモライトとして判定されるが、これらを区分するため改めて分析する必要はなく、他の分析方法によりウィンチャイト及びリヒテライトが含有していることが明らⅠ-63かになった場合には、石綿障害予防規則に準じたばく露防止対策を講ずる必要があるⅠ-64付録Ⅱ石綿含有建材の取り残しの例1.石綿含有吹付け材鉄骨梁の空洞ダクト貫通口でダクト取り外し時取り残しが確認された。鉄筋ブレスに取り残された吹付け石綿屋根折板部に発見された取り残しの石綿含有吹付け材Ⅱ-1Ⅱ-2鉄骨梁ボルト部に確認された吹付石綿の取り残し鉄骨梁側面の取り残し鉄骨梁下の取り残しⅡ-3梁面全体の取り残しや清掃不備梁の木毛セメント板に食い込んだ石綿含有吹付けロックウールが残存。(木毛セメント板の隙間に吹付け材が食い込み残在しているので、木毛板全ての除去を行うことが望ましい。)同上コンクリート壁面の石綿含有ロックウールの取り残しコンクリート壁と天井との入隅位置の取り残し合板型枠の段差部をブラッシングしていないため、取り残しが生じたⅡ-4Ⅱ-5ドアの入隅部分の取り残しコンクリートスラブ面、機器固定部の取り残し鉄骨梁部の取り残し腰壁入隅部の清掃不良電線管ダクター部の清掃不良鉄骨デッキプレート部の石綿含有吹付けひる石の取り残し(剥離剤併用手工具ケレン工法)Ⅱ-6Ⅱ-7タイトフレーム部に取り残しの石綿含有吹付け材が残存(折板には石綿含有吹付け材を除去後、石綿非含有の断熱材を吹付け)タイトフレーム部の石綿含有吹付け材取り残し同上2.石綿含有煙突断熱材カポスタックカポスタック水量や圧力等が不足なために煙突頂部以外は除去されていなかったケース。完了検査時に煙突内へ蒸気が充満して目視確認が不完全であった事例。(高圧噴射水は壁面等に衝突した瞬間、衝突エネルギーが熱エネルギーに移行する為温水へ至る。そのため除去後煙突内には蒸気が立ち込め目視並びにビデオカメラで完了検査を実施する際は高い負圧の集じん排気装置にて換気をしないと目視確認も撮影もできない)カポスタック煙突内面全体に除去された石綿飛沫が付着し、段差部へは大量に石綿塊が確認される。(高圧水圧は200M㎩ではあるものの水量が不足のために十分な除去と洗浄が出来ていない。)煙突断熱材の接合段差部(写真中央右)へカポスタック断熱材が食い込み残存している。コンクリート打設時カポスタック破片が浮き上がりコンクリートへ食い込みしていた。(取り残しをビデオカメラで確認後、再度遠隔高圧水洗工法により除去)Ⅱ-8ハイスタックカポスタック煙突頂部の断熱材端部押さえ目的で耐酸モルタルが施工されている。ハンマー等で破砕出来るので除去も確認も可能だが、カポスタック断熱材の食い込み残存がある。(煙突頂部なのでのぞくか鏡等を使用し目視確認は容易。)ハイスタック水量が不足と除去速度が早いために破壊力が限定され、円形筋状に白く取り残しが確認されている。円形筋状に白くハイスタック断熱材の取り残しと、煙突底部には汚染水が残っている。また、底部コンクリートの外周部に断熱材が食い込み残存していることがある。更に煙突底部中央部に雨等の侵入水排水ドレンがある場合もあり、除去時には密栓すること。ドレン排水口の土壌が汚染されていることもあり得る。Ⅱ-9折板の重ね折込み部折板断熱材建材(フェルト)折板と折版の重ね折込み部分にシート状の石綿フェルト断熱材が圧縮されて残存している。かすかに白い繊維が確認出来る。折板の重ね折込み部Ⅱ-103.石綿含有成形板等けい酸カルシウム板第1種天井面の軽鉄下地のビス部に、ケイ酸カルシウム板第1種のかけらが取り残されているスレート板木造住宅の木下地のくぎ部分に取り残されたスレート板Ⅱ-11下地調整塗材(外壁コンクリート面超高圧水洗工法)ハンド式バキューム研磨機による下地調整材の取り残し(中央位置)下地調整塗材(外壁コンクリート面超高圧水洗工法)ハンドガン噴射除去による取り残し下地調整塗材(外壁コンクリート面超高圧水洗工法)ハンドガン噴射除去によるドア廻り付近の取り残しⅡ-124.石綿含有仕上塗材外壁コンクリート面仕上塗材(剥離剤併用手工具ケレン工法)剥離剤の効力がなかったのか、建築物正面以外の面は取り残しが多く、その上には着色された粉じん飛散防止剤が散布されていた。同上同上Ⅱ-13Ⅱ-14外壁コンクリート面仕上塗材(剥離剤併用手工具ケレン工法)コンクリート面にはゲル状と化した仕上塗材が粘り付き取り残されている外壁コンクリート面仕上塗材(剥離剤併用手工具ケレン工法)吹付タイルの凸部が取り残されている外壁コンクリート面仕上塗材(剥離剤併用手工具ケレン工法)上記取り残し面を温水洗浄しても白い斑点となって取り残されている。さらに洗浄不足により飛沫の清掃が不十分。Ⅱ-15外壁モルタル面仕上塗材(剥離剤併用手工具ケレン工法)除去面全体に水色の仕上塗材が斑点状に取り残されている同上拡大同上拡大Ⅱ-16外壁ALC面仕上塗材(剥離剤併用手工具ケレン工法)全体的に仕上塗材が取り残されている同上一部に2回目の剥離剤を塗布して除去したが、黒色の下地調整塗材の表面には取り残しが確認されるⅡ-17内壁コンクリート面仕上塗材(剥離剤併用手工具ケレン工法)比較的下地調整塗材が平滑であるが、白色のゲル状の仕上塗材の取り残しがある同上同上Ⅱ-18外壁コンクリート面仕上塗材(ディスクグラインダーケレン工法)ディスクグラインダー切削刃が平らなため下地凹部に仕上塗材(白色)が取り残されている同上同上Ⅱ-19外壁ALC面仕上塗材(ディスクグラインダーケレン工法)赤色の仕上塗材の取り残しが確認される同上別の壁面は取り残しがみられないⅡ-20外壁コンクリート面仕上塗材(超高圧水洗工法)ハンドガン噴射水による除去で白色仕上塗材の取り残しがみられる外壁コンクリート面仕上塗材(超高圧水洗工法)ハンド式バキューム研磨機による除去でのオレンジ色仕上塗材の取り残し外壁コンクリート面仕上塗材(超高圧水洗工法)ハンド式バキューム研磨機による肌色仕上塗材の取り残し付録Ⅲ大規模工事等における石綿飛散漏えい防止手法1.集じん・排気装置の選定大規模工事では隔離空間の大容量化が見込まれるため、大空間を負圧化する能力を有する集じん・排気装置が必要となる。また、煙突解体時にウォータージェット工法で断熱材を除去する場合、隔離空間内部の圧力が高くなり通常の計算による集じん・排気装置の設置台数では、負圧を確保できない状況となるおそれがある。これらの場合は、大型集じん・排気装置として大きな動力(200V/400V)で稼働するもの、且つ、フィルタ通気圧力損失やダクト抵抗による風量低下を考慮し定格全圧が2~3kPa程度のものを使用すること。写真Ⅲ-1大型集じん・排気装置の例(定格風量1,800m3/分)表Ⅲ-1大型集じん・排気装置主要諸元の例定格風量~1,800m3/分~2,400m3/分定格全圧1.96kPa1.96kPa~3,000m3/分電圧400/440V1.96kPa400/440V動力55kW×2(110kW)80kW×2(160kW)400/440V110kW×2(220kW)捕集効率0.3μm×99.97%以上2.使用フィルタの検討大型集じん・排気装置は作業場外部に設置するため、工事期間中にフィルタ交換の必要ない自動クリーニング機構を有するものを使用すること。また、大型集じん・排気装置に使用するフィルタは石綿の漏えいがないようHEPAフィルタと同等の捕集効率(定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集効率)が必要となるため、公益社団法人日本空気清浄協会等の公的機関で性能が確認されたものを使用すること。なお、JISZ8122で定義されている「初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ」については使い捨てフィルタの定義であるため、フィルタ自動再生式のプリーツフィルタを使用するときはこの限りではない。Ⅲ-1写真Ⅲ-2プリーツ成形フィルタの例写真Ⅲ-3フィルタ自動再生状況3.所要換気量の検討(1)作業場の気積からの所要換気量計算集じん・排気装置の能力は、隔離空間を負圧に保つため作業場の気積の空気を1時間に4回以上換気できる風量に設定する。なお、作業場の気積は隔離空間内の撤去する構造物を含まない容積として計算すること。換気風量(㎥/分)≧作業場の気積(床面積×高さ)(㎥)×4回60分(2)ディーゼル機関からの所要換気量計算大規模工事ではディーゼル機関を搭載した重機を使用するケースも考慮する必要がある。隔離空間でディーゼル機関を使用する場合、「新版ずい道等建設工事における換気技術指針」(平成24年建設業労働災害防止協会)を参考に、その排出ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を作業者保護の観点より許容濃度である25ppm以下に希釈する。ディーゼル機関から排出される有害ガスに対する所要換気量は下式により算出する。Q=H×q×αQ:所要換気量(m3/分)H:使用機械の出力(kW)q:実出力当たりの換気量(m3/分・kW)α:負荷率Ⅲ-2(3)所要換気量の決定ここでは(1)作業場の気積からの所要換気量と(2)ディーゼル機関からの所要換気量を比較し、より大きい値を所要換気量とする。4.効果的な換気の検討(1)安定した負圧の確保大規模工事では屋外にセキュリティゾーンを設けることが多いため、吹込み、吹き戻しによる石綿の外部への漏えいが起こらないよう、セキュリティゾーンと隔離空間を2重扉型のエアシャワールーム等で遮断し、隔離空間内の負圧(-20〜-40Pa程度)を安定的に確保すること。また、作業員の入退出の多い現場では入退出時に渋滞を引き起こさないようエアシャワーは作業人数に応じ複数台設置すること。写真Ⅲ-4エアシャワールーム(2重扉)の例(2)給気口の設置セキュリティゾーンと隔離空間の間をエアシャワールームで遮断することにより隔離空間内の空気の流れを阻害することになる。そのため、内部の空気を効率的に排出できるよう集じん・排気装置と対角線上の位置に給気口を設置し、プッシュプル換気を行うこと。また、負圧を安定して保つため、給気口には開閉可能なもの(風圧式シャッター、電動式有圧換気用シャッター等)を使用すること。5.保守・管理(1)出口粉じん濃度の測定大型集じん・排気装置を使用する際は、設置完了後試運転を行いフィルタの劣化や損傷がないことを確認するため、粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)やパーティクルカウンターにより出口粉じん濃度を測定し、性能を確認すること。測定は大防法及び石綿則に基づいた頻度で実施するが、リアルタイム連続監視測定を行うことが望ましい。Ⅲ-3(2)撤去時の注意工事終了後のダクトの解体は石綿飛散漏えい防止の観点から次の手順にて行うこと。①隔離空間内部からダクト内部をHEPAフィルタ付高性能真空掃除機または濡れウエス等で十分に清掃し、粉じん飛散防止処理剤等によりダクト内の固定化を図る。②集じん・排気装置をインバータ制御により低速運転した状態で隔離空間との接続部を取り外す。③集じん・排気装置をインバータ制御により低速運転した状態で集じん・排気装置よりダクトを取り外した後、集じん・排気装置の運搬中の粉じんの漏えいを予防するため確実な密閉化を行うこと。ダクトはスクラップとして廃棄する。写真Ⅲ-5吸込ダクト内部(φ1,300)の例(3)集じん・排気装置の清掃・整備大型集じん・排気装置は作業場外部に設置し隔離空間の換気を行うため、粉じんはフィルタ室内のみに堆積付着することになる。そのため、フィルタ室内の清掃は石綿飛散漏えい防止のため、メーカー等が保有する除染ブースで行うことが望ましい。除染ブースには密閉された室内空間を負圧に保つと同時に除染メンテナンス作業で発生する粉じんを吸引・清浄化できるHEPAフィルタ付集じん・排気装置を備える必要がある。なお、除染ブース内にて石綿等の粉じんを清掃する際は、次の手順にて行う。①粉じん排出箇所を隔離養生し、小型の集じん・排気装置を使用し飛散漏えい防止を図る。②作業者は電動ファン付き呼吸用保護具やプレッシャデマンド形エアラインマスク等レベル1に準じた保護具を着用し、バキューム等の粉じん回収装置にて石綿等の粉じんを飛散させないよう回収を行う。③回収した石綿等の粉じんや養生に使用したシート等は適正に処分する。Ⅲ-4写真Ⅲ-6除染ブースの例6.ウォータージェット工法で断熱材を除去する場合の例煙突解体時にウォータージェット工法で断熱材を除去する場合、隔離空間内部の圧力が高くなり通常の計算による集じん・排気装置の設置台数では、負圧を確保できない状況となるおそれがあることから、-20~-40Pa程度を目安に確保できる、十分余裕がある集じん・排気装置を設置する計画とする。また、強風による吹込みを防止するため、セキュリティゾーンは出入口を2重扉型のエアーシャワールームやファスナー付きプラスチックシート等にするなど、適切な漏えい対策を実施すること。(図Ⅲ-7参照)また、隔離自体の構造的な強度にも十分注意する。その場合、セキュリティゾーンからの給気が出来なくなるため、プッシュプル換気が行えるよう、集じん・排気装置と対角線上の位置に風圧シャッター等の逆流防止の機能を有した給気口を設ける。給気口面積(m2)=換気風量(m3/分)÷開口面風速(m/秒)÷60(分)隔離空間内の負圧を安定的に保つために開口部にかかる圧力を40Paとした場合、開口面での風速は8m/秒程度を確保する必要がある。ただし、強風時、特に開口部に作用する正面の風速が設定した開口面の風速を超える場合には、隔離空間内が陽圧となり石綿等の粉じんが漏えいするおそれがあるため、作業を中止する。Ⅲ-5Ⅲ-6図Ⅲ-1煙突解体時にウォータージェット工法で断熱材を除去する場合の例集じん・排気装置作業者動線逆止弁付吸気口セキュリティゾーン作業場所側セキュリティゾーン外部側前室外気取入排気平面図断面図付録Ⅳ石綿含有建材除去等工事において注意が必要な工事事例1.負圧隔離養生の方法(1)エレベーター稼働中のエレベーター機械室エレベーターを稼動させながらエレベーター機械室内の工事(梁・柱・天井・壁の石綿含有建材の除去又は封じ込め)を行う場合は、エレベーターのモーター部や制御盤を工事用の負圧隔離養生とは別に養生する必要がある。モーター部は、エレベーターの籠を支持するワイヤーの穴が開いているため、負圧隔離養生を別に設けないとエレベーターシャフトの風が機械室内に流入してしまう。また制御盤は稼動時に熱を発散させる場合もあることから、モーター部の養生と共に、冷却と排気を兼ねて直接外部と直結させるなどの工夫が必要となる。(2)空調システム稼働中空調機械室や事務室等空調機械の風が流れる場所の石綿除去をする際に、空調機械を停止することができないなどの理由で、空調機械の風が隔離内を流れるような場合は、工事実施を避け、空調機械を停止できるタイミングで工事を行うようにする。(3)床層間部耐火区画床層間部耐火区画に区画処理材として施工されている石綿含有吹付け材を除去する場合は、該当フロアの下方階も負圧隔離養生エリアにする必要がある。床層間部の区画処理材としてロックウールやラス網で下地を作成しその後に吹付け材を施工している場合は、除去する際に下方階への飛散が考えられることから、上記のような隔離エリアの形成が必要となる。(4)負圧隔離養生内からの天井材等の搬出石綿含有吹付け材の下の天井板に石綿を含む粉じんが堆積している場合は、負圧隔離養生内で天井材(下地含む)を撤去することとなるが、撤去した天井材(下地含む)を負圧隔離養生内部より搬出する際に、通常のセキュリティゾーンの幅では、天井材(下地含む)搬出の際にセキュリティゾーンを破損させるおそれがあることから、十分な広さで設計する。Ⅳ-1Ⅳ-2(5)石綿含有吹付け材が劣化・脱落し堆積している天井板を撤去前(4)の作業において、天井撤去前の壁の負圧隔離養生は天井下までとなるので、下図のような手順で天井内の開口部やダクト貫通部の周囲をシート等で塞いでから、除去工事を行う。集じん・排気装置稼働(6)石綿含有吹付け材が粉じんとして堆積している天井板と電気設備等対策の取扱い前(5)の作業において、負圧隔離養生完了後、天井材撤去前に電気設備等を撤去するが、天井はめ込みタイプの蛍光灯カバーに石綿粉じんが堆積している場合があるので、負圧隔離養生内から搬出する際には、粉じん飛散防止剤に浸したウェス等で粉じんを十分に拭き取った後に搬出する。また、石綿粉じんが堆積している天井材が石綿を含有していない場合は、天井材は産業廃棄物で処分できるので、蛍光灯のカバー同様、天井材の両面の粉じんをウェス等で拭いた後、エアレススプレイヤ等で粉じん飛散防止剤を十分に吹付け、負圧隔離養生外に搬出した後に石綿粉じんが飛散しない対策を施す。上記の作業は、負圧隔離養生内で行うが、汚染区域とは別の区画*で行うことが望ましい。*別の区画例:セキュリティゾーンの前室の先(作業エリア側)に1部屋追加し作業を行う。(7)フロアの一部の除去を行う際の工事区画テナントビル等において、テナントが退去した空間にある石綿含有吹付け材等の石綿含有建材のみを除去する計画がよくあるが、その場合の工事区画の考え方として、防火区画で区切られた範囲や、大梁のある位置の範囲で工事区画が形成されている方が、漏えいの危険性が少ないので、このような工事計画を行うことを心掛ける。(8)折板屋根に付け材が施工されている場合の外部養生折板屋根(工場や体育館の屋根等)の石綿含有吹付け材の対策工事を行う場合、面戸部の隔離養生が重要となる。折板の端部(雨どい側)は、面戸と呼ばれる折板の形をした金属等の蓋が施されている。面戸部分で隔離養生を行うと、折板の吹付け材が邪魔になり、テープを貼り付けることが困難な場合が多い。そのようなときは、建屋外部から折板端部の養生を行うか、面戸部を除いた隔離養生完成後、面戸部の折板の吹付け材を高性能真空掃除機等を利用し養生用のテープ幅分先行除去を行い、面戸部分の隔離養生を完成させたのち、吹付け材の対策工事を行う等の作業手順で行う。(9)竪穴区画の集じん・排気装置の設置エレベーターシャフトや階段室等いわゆる竪穴区画における集じん・排気装置の吸引口の設置場所は、セキュリティゾーンの対角位置に設置することが原則である。竪穴区画における対角とは、例えば10階建ビルのエレベーターシャフトの場合1階にセキュリティゾーンを設置したら、対角に当たる10階に集じん・排気装置を設置する設計とする。逆に設置するとドラフト効果により差圧が発生しないおそれがあることからそのような設計は行なわない。また、設置台数に関しては、ドラフト効果や区画壁の隙間から流入する圧力に負け差圧が発生しない可能性があることから余裕を持って設置台数を計算する。試験稼動後差圧数値が低い場合には、集じん・排気装置を増設できる隔離空間設計とし、換気回数1時間あたり4回以上が確保できるようにしておくことが必要である。Ⅳ-32.石綿含有成形板等の除去方法(1)屋根材や壁材を撤去する際の湿潤化石綿含有成形板等を除去する際の湿潤化について、原形のまま取り外しを行う時に、ビスやクギ部分を少量の水で濡らすだけでは十分に粉じんの飛散を抑えることはできないことから、エアレススプレイヤ等を使用し、特にビスやクギ部分に入念に水等を吹付けておくとともに、ビス抜き・クギ抜き時にも再度吹き付けることで粉じん飛散防止を行う。一方で、屋根材表面を湿潤化しすぎると、足元が滑り転倒、墜落・落下する危険性があることから、散水による足元の状況や作業靴の滑り具合を常に確認し、安全対策を十分に講じてから作業を行う。または、湿潤化の代わりに、石綿を吸引しながら釘引抜きを行うことも考えられるが、その際は、吸引機器が釘が刺さる等により破壊されないこと、屋根材の破砕を抑制するために圧力が集中しないような釘抜きを用いること、整備時に機器を開放する際に石綿の飛散を防止することなど、石綿の発散防止措置を講じることが必要である。なお、屋根上作業は、手すりの設置等の必要な墜落防止措置を講じる。Ⅳ-4Ⅴ-1付録Ⅴ作業の順序等が不適切であったと考えられる事例1集合住宅の解体工事において、天井裏に石綿含有吹付け材のある部屋とない部屋が混在していた。元受業者は、実際には石綿含有吹付け材がある部屋を、石綿含有吹付け材の無い部屋だと取り違えて、その下請負人に対して間仕切りやつり天井の撤去を発注した。その後、当該下請負人によって、石綿含有吹付け材のある部屋にも関わらず、負圧隔離養生することなく解体が行われた。23階の天井裏の吹付け石綿の除去工事や負圧隔離養生に先立ち、3階の室内の解体作業を行ったところ、3階の天井板が落下し、吹付け石綿がむき出しの状態となったほか、吹付け石綿の一部が床に落下した。建屋の老朽化もあり、天井板が落下したものと思われる。3建築物の解体工事において、建築物の所有者から石綿含有建材は使用されていないという説明を受けていたこと、当該建築物では改修工事が複数回行われた結果、天井の内装材が厚くなっており天井裏の調査が行いにくかったことから、適切な事前調査がされず、飛散・ばく露防止措置が講じられないまま工事が開始された。工事開始後、天井板を撤去後にレベル1の石綿含有建材が確認された。4建築物の解体工事において、天井裏にレベル1の石綿含有建材が使用されていたが、飛散・ばく露防止措置が講じられないまま解体作業が進められた。発注者及び元請業者は当該建材を把握していたものの、その情報が下請業者に適切に共有されず、下請業者が石綿含有建材を把握しないまま作業を進めた。5レベル1の石綿含有建材が使用されていることが把握され、大防法及び安衛法に基づく届出が行われた現場において、地方公共団体が敷地境界における石綿濃度測定を行ったところ石綿繊維が検出された。届出がされた箇所では飛散・ばく露防止措置が講じられていたが、別の箇所において、レベル1の石綿含有建材が天井裏に使用されており、当該建材が飛散・ばく露防止措置が講じられないまま天井と共に破砕されていた。本件の原因としては、事前調査が不十分で会ったことのほか、事業者が工期どおりに工事を行うため、飛散・ばく露防止を行わなかったと指摘されている。6建築物の解体工事において、機械室の煙突にレベル2のアスベスト含有建材が使用されていたにもかかわらず、飛散・ばく露防止措置が講じられないまま煙突が解体された。原因として以下の点が挙げられている。・当該建築物において過去に行われたアスベスト含有建材の除去工事では、機械室は対象に含まれていなかったが、発注者は、当該建築物に使用されていたアスベスト含有建材が全て除去されたものと判断したこと。・事業者は、発注者から当該建築物のアスベスト含有建材は全て除去されていると説明され、再度十分な事前調査を行わなかったこと。7駅の高架化工事において、レベル3建材を湿潤化せずに除去していた。出典)1,2:都道府県労働局からの報告を元に厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課が作成3~7:「アスベスト対策に関する行政評価・監視-飛散・ばく露防止対策を中心として-結果報告書」(平成28年5月総務省行政評価局)(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/104144.html#kekkahoukoku)を元に作成(3:p.43№4、4:p.47№15、5:p.47№16、6:p.51№26、7:p.156表2-(6)-⑫№2)付録Ⅵ参考文献1.石綿に関する基礎知識に係る参考文献●WHO:IARCMonographsontheEvaluationofCarcinogenicRiskofChemicalstoMan:Someinorganicandorganometalliccompounds,Vol.2.WorldHealthOrganization,InternationalAgencyforResearchonCancer.Lyon,France.pp.1811973●ILO:石綿の使用における安全に関する条約(第162号)1986●大気汚染物質レビュー石綿・ゼオライトのすべて環境庁大気保全局企画課監修、(財日本環境衛生センター)1987●石綿ばく露と石綿関連疾患基礎知識と補償・救済(増補新装版)、森永謙二編、三信図書、2008●ILO:石綿の使用における安全に関する条約(第162号)1986●厚労省労働基準局安全衛生部化学物質対策課基安化発1228第1号,平成21年12月24日●WHO:Determinationofairbornefibrenumberconcentrations,Arecommendedmethod,byphase-contrastopticalmicroscopy(membranefiltermethod),WHO,Geneva1997●NIOSH:Asbestosfibersandotherelongatedmineralparticles:Stateofthescienceandroadmapforresearch.RevisedEdition.Atlanta,GA:NationalInstituteforOccupationalSafetyandHealth,CenterforDiseaseControlandPrevention.2011●KohyamaN,FujikiM,KishimotoT,MorinagaK:Lungcancerinapatientwithpredominantlyshorttremolitefibersinhislung,AmJIndMed60:831-8382017●神山宣彦、藤木正昭、岸本卓己、森永謙二:へき開で生じたトレモライト短繊維の人への発がん性、繊維状物質研究VOL.5:28-35、20184.建築物等の解体等における飛散防止対策に係る参考文献●既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説2018((一財)日本建築センター、2018年9月)●-新石綿技術指針対応版-石綿粉じんへのばく露防止マニュアル(建設業労働災害防止協会、平成28年4月)●建築改修工事監理指針(下巻)平成28年版(一般財団法人建築保全センター、平成28年12月)●石綿分析技術評価事業による「認定分析技術者」(A~Cランク別)一覧:https://www.jawe.or.jp/ishiwata/ishiwatabunseki.html((公社)日本作業環境測定協会)●(一社)日本環境測定分析協会の実技研修修了者等の一覧https://www.jemca.or.jp/seminar/asbestos_tec/(実技研修)https://www.jemca.or.jp/seminar/jemca_instructor/(インストラクター)https://www.jemca.or.jp/analysis_top/asbestos_top/(アスベスト分析技能試験)●(一社)日本繊維状物質研究協会の石綿の分析精度確保に係るクロスチェック事業https://www.jasfm.or.jp/activity/index.html●神山宣彦・篠原也寸志:手持ち式アスベスト分析計のアスベスト同定能力の検討(第50回日本Ⅵ-1労働衛生工学会抄録集、平成22年11月)●小西雅史・小西淑人・神山宣彦:手持ち式アスベスト分析計(PHAZIR)の性能評価と具体的使用方法について(第50回日本労働衛生工学会抄録集、平成22年11月)●山根俊浩・三木孝司・尾川俊也:アスベスト分析におけるフェイザーとJIS法との比較試験について(第33回作業環境測定研究発表会抄録集、平成24年11月)●作業環境測定ガイドブック1鉱物性粉じん・石綿・RCF((公社)日本作業環境測定協会、2018年9月25日第6版)●低層住宅石綿取扱ガイド(改訂4版)((一社)住宅生産団体連合会、平成21年6月)●アスベスト含有シール材除去回収ガイドライン(特定非営利活動法人アスベスト処理推進協議会、平成19年3月)●石綿含有シール材の取り外し及び非石綿シール材の取扱いマニュアル(平成19年度厚生労働省委託事業、中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター、平成20年3月)●石綿ばく露歴把握のための手引き~石綿ばく露歴調査票を使用するに当たって~(石綿に関する健康管理等専門家会議マニュアル作成部会、平成18年10月)●水道用石綿セメント管の撤去作業等における石綿対策の手引き(厚生労働省健康局水道課、平成17年8月)●建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針(国立研究開発法人建築研究所、日本建築仕上材工業会、平成28年4月)●JISH8502:1999「めっきの耐食性試験方法」●剥離剤を使用した塗材の剥離作業における労働災害防止について(令和2年10月19日基安化発1019第1号)●「アスベストの種類による発散状態に関する研究」報告書の概要、(社)日本石綿協会、せきめん、2004年Vol.687、6-11●「アスベスト飛散性実験報告書((社)日本作業環境測定協会、平成18年10月12日)」(船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル参考資料1((一財)日本船舶技術協会、2011年3月)●「石綿含有建材を使用した建築物等の解体・改修工事における石綿飛散状況のチェックのためのリアルタイム計測機器導入のための調査研究」報告書(平成21年3月:研究代表者:小西淑人、共同研究者:名古屋俊士、神山宣彦、本橋健司、富田雅行)●中元章博・田島奈穂子・竹内香代・居川知世・田村美絵:パーティクルカウンターによるアスベスト除去工事における負圧除じん装置吹出口管理の有効性について(第52回日本労働衛生工学会抄録集、平成24年11月)●岸田徳行・横山能周・中村優・霜村浩一:リアルタイムモニタを用いた解体現場での漏洩管理の提案及び調査結果報告(第52回日本労働衛生工学会抄録集、平成24年11月)●JISZ8122:2000「コンタミネーションコントロール用語」●再生砕石への石綿含有産業廃棄物の混入防止等の徹底について(平成22年9月9日基安発0909第1号・国総建第112号・環廃産発第100909001号)●石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)(令和3年3月環境省環境再生・資源循環局令和4年11月4日一部修正)5.隔離空間全体からの漏えい監視のための石綿濃度の測定等に係る参考文献●アスベストモニタリングマニュアル(第4.2版)(環境省水・大気環境局大気環境課、令和4年Ⅵ-23月)●JISK3850-1:2006「空気中の繊維状粒子測定方法-第1部:光学顕微鏡法及び走査電子顕微鏡法」●第6回「東日本大震災アスベスト対策合同会議」厚生労働省資料2:平成24年度東日本大震災がれき処理作業等における石綿気中濃度モニタリングについて(案)●黒田章夫・石田丈典・西村智基・MaxymAlexandrov・奥山里見・神山宣彦:蛍光顕微鏡法によって実際の大気サンプルのアスベスト繊維を判定した場合の確度の検証(第52回日本労働衛生工学会抄録集、平成24年11月)●小西雅史・小西淑人:位相差・レーザーラマン顕微鏡による環境空気中のアスベストの同定分析方法について(第52回日本労働衛生工学会抄録集、平成24年11月)●建築物の解体現場における大気中の石綿測定方法及び評価方法について(環境省水・大気環境局大気課平成25年10月アスベスト大気濃度調査検討会)6.呼吸用保護具、保護衣に係る参考文献●電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26年11月28日厚生労働省告示第455号)●電動ファン付き呼吸用保護具の規格の適用等について(平成26年11月28日基発1128第12号)●電動ファン付き呼吸用保護具等の型式の取扱いについて(平成26年11月28日基発1128第16号)●石綿粉じんのばく露防止のための適正な保護衣の使用について(平成26年9月12日基安化発0912第1号)●第9次粉じん障害防止総合対策の推進について(平成30年2月9日基発0209第3号)●JISM7601:2001「圧縮酸素形循環式呼吸器」●JIST8115:2015「化学防護服」●JIST8153:2002「送気マスク」●JIST8155:2014「空気呼吸器」7.労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務における留意事項に係る参考文献●建築材料から石綿を飛散させるおそれがないものとして石綿が添加された建築材料を被覆し又は添加された石綿を建築材料に固着する措置について国土交通大臣が定める基準(平成18年国土交通省告示1173号)●国土交通省ウェブサイト:石綿飛散防止剤の認定状況について※リンク先「構造方法等の認定に係る帳簿」の「指定建築材料(ExcelFile)」をご参照ください。https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000042.html●民間建築物の石綿(アスベスト)点検・管理マニュアル(令和元年8月、東京都環境局)●アスベスト対策Q&A-国土交通省https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/Q&A/index.htmlⅥ-3付録Ⅰ事前調査等の方法に係わる参考文献●目で見るアスベスト建材(第2版)(国土交通省、平成20年3月)●石綿(アスベスト)含有建材データベース:https://www.asbestos-database.jp/(国土交通省・経済産業省)●石綿建材の判定方法に関する石綿作業主任者等を対象とした講習会座学講習会用配布テキスト(平成30年3月訂正、平成29年度厚生労働省委託事業)●船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル(第3次改訂)((一財)日本船舶技術研究協会、令和4年2月)●建築物石綿含有建材調査マニュアル(国土交通省、平成26年11月)●JISA1481-1~4:2016「建材製品中のアスベスト含有率測定方法-第1部~第4部」●石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【第2版】(厚生労働省、令和4年3月)●ISO22262-1:2012「大気の質―バルク材―第1部:商用バルク材中のアスベストの試料採取及び定性的測定」●EPA/600/R-93/116:1993「MethodfortheDeterminationofAsbestosinBulkBuildingMaterials」関係省庁の石綿関連HP石綿に関する通達や通知等はHPから確認してください。●厚生労働省労働安全衛生法関係の法令等(石綿)https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/hourei/index.html●環境省大気環境中へのアスベスト飛散防止対策https://www.env.go.jp/air/asbestos/litter_ctrl/index.html●環境省アスベスト廃棄物の処理等についてhttps://www.env.go.jp/air/asbestos/index7.html●国土交通省建築基準法による石綿規制の概要https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/asubesuto/houritsu/071001.htmlⅥ-4付録Ⅶ石綿関連機関情報石綿関連情報について石綿全般について名称電話・ホームページアドレス等一般社団法人JATI協会http://www.jati.or.jp事前調査についてhttps://asajapan.or.jp/index.php一般社団法人建築物石綿含有建材調査者協会事前調査についてhttps://www.nada20090620.com/一般社団法人日本アスベスト調査診断協会測定関係についてTel:03-3456-0443https://www.jawe.or.jp公益社団法人日本作業環境測定協会廃棄物処理関係について公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターTel:03-5275-7111https://www.jwnet.or.jp保護具関係についてTel:03-5804-3125https://www.jsaa.or.jp公益社団法人日本保安用品協会建築技術関係についてTel:03-5283-0461https://www.bcj.or.jp一般財団法人日本建築センター事業者の方々からの石綿ばく露防止対策、建物の建材等に含まれる石綿の定性、定量分析中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センターTel:03-3452-6841https://www.jisha.or.jp石綿作業にかかる安全衛生全般について建設業労働災害防止協会Tel:03-3453-8201https://www.kensaibou.or.jp石綿による健康被害による救済関係について独立行政法人環境再生保全機構フリーダイヤル:0120-389-931https://www.erca.go.jp住宅とアスベスト住宅情報提供協議会https://www.sumaiinfo.jp/asbestos/index.html研究情報等について独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所研究情報等についてTel:044-865-6111https://www.jniosh.johas.go.jp/Tel:03-6447-1330https://www.isl.or.jp/公益財団法人大原記念労働科学研究所石綿使用についての規則や飛散防止対策、廃棄物処理方法等について環境省https://www.env.go.jp/air/asbestos/index.html石綿の製造等の禁止、労働者へのばく露防止対策、労災認定、健康相談関連情報等について厚生労働省企業での石綿の使用状況、代替製品についての情報等について経済産業省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/index.htmlhttps://www.meti.go.jp/建設業、運輸関連業、造船業における石綿被害の状況等について国土交通省https://www.mlit.go.jp/学校施設等における石綿使用状況等について文部科学省https://www.mext.go.jp/石綿総合情報ポータルサイト厚生労働省https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/Ⅶ-1建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル改訂検討会委員名簿笠井賢一一般社団法人日本建設業連合会環境委員会建築副産物部会委員加島強大阪市環境局環境管理部環境管理課環境規制担当課長神山宣彦独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所フェロー研究員古賀純子芝浦工業大学建築学科教授小西淑人一般社団法人日本繊維状物質研究協会専務理事城山浩二一般社団法人住宅リフォーム推進協議会市場環境整備委員会委員長高橋仁公益社団法人全国解体工事業団体連合会副会長環境・施工・労務委員会委員長土屋浩一般社団法人JATI協会アスベスト診断士運営委員長中丸文人一般社団法人日本木造住宅産業協会中村憲司独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所主任研究員姫野賢一郎一般社団法人建築物石綿含有建材調査者協会副代表理事本山幸嘉一般社団法人日本アスベスト調査診断協会理事長山田比路史日本呼吸用保護具工業会技術委員長吉江博巳神奈川県環境農政局環境部大気水質課大気環境グループリーダー(五十音順、敬称略)
建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル<令和3年3月、令和6年2月改正、令和7年3月訂正事項を反映>
大気汚染防止法
